プレイレポート
「リマザード:ブロークン ポーセリン」プレイレポート。裸エプロンの老人の次は,複数の殺人鬼が登場。果たして少女は逃げ切れるのか
謎を抱えたまま幕を閉じた「トーメンテッド ファーザーズ」。その続編が登場
ホラーゲームが好きな人は,「トーメンテッド ファーザーズ」のことを覚えていることだろう。同作は,少女セレステの失踪事件を追う主人公・ローズマリーが調査のために赴いた屋敷で,自身を殺そうとする老人・フェルトン博士に追いかけられるというもの。
クリーチャーやゾンビという非現実的な存在ではなく,錯乱した老人という,日常と非日常の狭間にいる存在が追ってくる様はインパクト抜群で,“裸エプロンの老人に殺されるホラーゲーム”として一部で話題を呼んだ。しかし,「トーメンテッド ファーザーズ」は,多くの謎を抱えたまま幕を閉じた。その続きを描くのが,「ブロークン ポーセリン」なのである。
さて,シリーズ未経験が気になると思うのは,「ブロークン ポーセリンから始めても大丈夫なのか」ということだろう。結論からいうと,あらかじめ前作を体験しておくことを強くオススメする。というか,いきなり本作からプレイしても何が何だか分からないと思う。
セーブデータの引き継ぎや連動要素があるわけではないのだが,ストーリーがかなり複雑で,ゲームを終えた後にいろいろと情報を整理してやっと輪郭が見えてくるような構成になっているからだ。
もちろん,前作をネタバレありで解説してくれるダイジェストも用意されてはいるのだが,かなりの駆け足であるため,前作をプレイしていないと理解が難しいだろう。とくにネタバレ部分を中心に解説されるので,「実はこんな話だったのか!」という部分を見出す喜びがスポイルされる可能性すらある。
幸い,前作と本作をセットにした「リマザード ダブルパック」(Switch/PS4)が発売されているため,初めての人はこちらを選ぶといいだろう。
追跡者たちをかわしつつ,ジェニファーは謎を解くことができるのか
本作で描かれるのは「トーメンテッド ファーザーズ」よりも過去の時代だ。
主人公の名はジェニファー。非行で学校を追われ,ホテルに従業員として引き取られた15歳の少女だ。ジェニファーは同じ境遇のリンゼーと親しくなり,ホテルのオーナーの部屋へ盗みに入るのだが,リンゼーのミスで腕に大けがをしてしまった。これが原因でリンゼーと仲違いしたジェニファーは,ホテル内を彷徨ううちに謎の怪人を発見する。そればかりか,ホテルの従業員・アンドレアも死人のような姿に変貌し,ジェニファーを追いかけてくるようになった。果たしてジェニファーはホテルから脱出することができるのだろうか……?
基本部分は前作と同様だ。プレイヤーは主人公(ジェニファー)を操作し,こちらを殺そうとする敵から逃れつつ,建物の中をかけずり回って謎を解いていくことになる。
最初の敵となるアンドレアは,恰幅のいい中年のオバサン。普通なら何気ない存在だが,本作ではジェニファーを殺そうと追いかけてきて,とても怖い。前作で特徴的だった日常と非日常の狭間を覗くような恐怖は本作でも健在だ。
ジェニファーは基本的に普通の少女なので,敵と真正面から戦うことはできない。近づくと容赦なく攻撃され,体力がゼロになると殺されてゲームオーバーだ。今回は複数の敵が同時に出現することもあり,その間を縫うようにして逃げ回らなければならないこともあり,スリルが増している。
舞台となるホテルは,前作の邸宅より明るいものの,やはり遠くは見えづらいので,敵と鉢合わせすると心臓が止まりそうになる。
また前作同様,敵の位置を示すマップやレーダーのようなものはないので,音が重要な役割を果たす。アンドレアをはじめとする敵たちはブツブツと呟きながらジェニファーを追ってくる。敵との位置によって声や足跡が近づいたり遠ざかったりするので,それを手掛かりに敵との距離を把握する必要があるのだ。
見つからないようにするためには,かがんで音を出さないようにするのが重要だ。敵の側面や後方といった視界外でかがみ歩きすれば,発見されずに逃れられるのだが,いつ振り返るかと思うと気が気ではない。焦らず迅速に切り抜けよう。
また気をつけたいのが,ホテルのあちこちに設置されている鳥かごだ。不用意に近づくと鳥が騒ぎ出し,こちらの位置がバレてしまう。
ひとたび見つかれば,敵は走ってジェニファーを追ってくる。対抗するには後述する「防御アイテム」が重要だ。防御アイテムを持っている状態だと,捕まってもQTE(クイックタイムイベント)が発生。成功すると何とか逃げられるが,失敗するとあっさり殺されてしまう。持っていないとゲームオーバーになるため,ホテルを探し回って常に身に付けておきたい。
追跡を振り切るには,走って距離を稼いだり,ロッカーやクローゼットといったスペースに隠れたりする必要がある。隠れ場所からは外をうかがえるが,敵がこちらを探し回っているのが見えるので,恐怖は増す。
敵が隠れ場所に近づいてきたら,“フラフラと動くカーソルを操作し,円から飛び出さないようにする”というミニゲームが発生。失敗すると引きずり出されてしまうため,何とか成功させたいところだこのミニゲームも前作と同様だが,今回は後述する「アビリティ」によって難度を下げられるため,前作よりも恐怖感は控えめになっていると言えるだろう。
ホテルの中でさまざまな小物を集め,追跡者たちに対抗するというセオリーも前作と同じだ。ペーパーナイフやアイスピックといった“凶器に使える小物”が防御アイテムで,これを持った状態なら前述の通り,敵に捕まってもQTEが始まり,成功すれば窮地を逃れられる。
そして,ラジオやロープ,殺虫剤といった小物は一見武器に使えなさそうだが,組み合わせてクラフトすると「陽動アイテム」になる。音を出して敵をおびき寄せたり,ドアを封鎖して進行を妨げたりできる。うまくすれば探索を有利に進められるのだが,ジェニファーが持てるアイテムは限られているため,使いどころが難しい。
これらのアイテムは常備しておくのが理想だ。ただ,ジェニファーはずっとダッシュし続けられるため,在庫切れでも逃げ延びることはできる。本作はダッシュ周りのシステムが少し変わっていて,ダッシュするとスタミナが減少するが,スタミナが切れても走り続けられる。“スタミナがないと敵を押しのけられない”のが唯一のペナルティだが,押しのけなくても,走って横をすり抜ける分には問題ない。足を止めないようにすれば,頻繁に殺されることはないだろう。
また,こちらが発見されていない状態で,防御アイテムを持って敵に接近できれば,敵に大ダメージを与える「ステルス攻撃」が可能だ。敵のノックダウンも狙えるため,敵がアイテムを守っているときになど,積極的にこちらから動かなければならない場合に役立つ。
ただし,ノックダウンのためには複数回ステルス攻撃を行う必要がある点は注意だ。さらに,防御アイテムは使うと消えてしまうため,使った後は落ちているアイテムを拾って即座に補充しなければならない。
さまざまなアビリティがジェニファーを助けてくれるのは,前作との大きな違いである。マップのあちこちにある「蛾の鍵」を集めて宝箱のところに行けば,足音を抑えたり,アイテムの効果をアップさせたり,体力の回復速度を上げたりできるという便利なアビリティを習得可能。中でも隠れ場所のミニゲームを簡単にするアビリティは,習得すれば安心感も増す。
そして,物語が進んでいくと,ジェニファーに「蛾の力」という能力が目覚める。蛾を操作し,遠くにある品物を作動させて敵の注意をひけるうえ,敵をマーキングして壁の向こうからでも大まかな位置を確認できるため,うまく使えば追いかけっこが有利になる。超能力的な派手さを感じさせる要素であり,前作から雰囲気が少し変わっている点といえるだろう。
ただ,システムやアイテムの使用法についての説明が不足している点は,気になった。新要素が出るたびにチュートリアルは表示されるのだが,肝心なところが書かれておらず,ポーズして説明一覧をチェックしなければ使い方が分からないのだ。
特に,ジェニファーに蛾の力が発現した時は,一刻も早く脱出しないと命にかかわる状況なのに,説明が不足してたため非常に焦った。また,謎解きに関するヒントが少なめなのも,人によっては気になる点かもしれない。
ストーリーはかなり入り組んでおり読みごたえがある。前作の主人公・ローズマリーも登場し,さまざまな謎が明かされるが,全貌を把握するためにはしっかりとゲーム内のテキストを調べつくして理解する必要があるだろう。クセがあり,決して遊びやすいゲームとはいえないものの,ホラーな雰囲気が好きな人,考察好きの人であれば楽しめるだろう。
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「リマザード:ブロークン ポーセリン」公式サイト
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