プレイレポート
「アストリア アセンディング」プレイレポート。往年のRPGを思い出させる雰囲気ながら,シナリオや戦闘を手探りで理解していく感覚はかなり独特
冒険の舞台は,古より12の聖獣によって守護される地・オルカノン。この地に住む5つの種族は「調和の実」を食べることで,種族間の争いを克服し,長きにわたる平和と安寧を享受してきた。
しかし,その平穏は調和を乱す怪物「ノイズ」により,常に脅かされていた。プレイヤーは選ばれし8人の英雄のリーダー「ウラン」の立場で,ノイズから人々を守りつつ,世界の謎を解き明かしていくことになる。
……と,情報を整理してしまえばそれほど難解な世界設定・物語ではないのだが,実際のゲーム内のテキストでは作中の地名,人名,種族名,制度,称号などの固有名詞が次々に飛び出してきて,かなり面を食らった。独特なテキストやセリフ回しで説明される背世界観はすんなりとは理解しにくいものがあり,理解にはかなりの時間を要するかもしれない。
とはいえ感心させられた点もある。それは,探索,戦闘,イベントと,ゲーム中の場面が一貫して横視点で描かれ,そのほとんどにキャラクターの音声が入っているため,どこか舞台劇のような雰囲気が生まれていたことだ。
特にイベントでは「相手を指差して笑う」「怒って地団駄を踏む」「挨拶代わりに手をひらひらさせる」といった,キャラクターのアニメーションがじつに細かく描かれており,なかなか見ごたえがある。昨今はゲーム中に映画的なシーンを挿入することも一般的になったが,こうした昔ながらのイベントの見せ方も温かみがあり,また味わい深いものだ。
ウランたちは「ハルモニア」「ベティラ」などの街を拠点に,森林や荒れ地,洞窟や神殿といったロケーションを探索していく。
各ロケーションへの移動はワールドマップから選択するのが基本だが,大きな街では列車で移動する場合もある。
探索場面にはジャンプアクション的な要素があり,足場を飛び移って高所の宝箱を開けたり,崖を飛び越えて先へ進んだりもできる。また,各所にある仕掛けを使って謎を解き,閉ざされた扉を開けるといったことも楽しめる。
また,力の入った背景のグラフィックスも本作の見どころのひとつだ。巨大な建造物が立ち並ぶ荘厳な街や土埃の舞う荒野などが,細やかに表現されている。ときにはゲームを進める手を休め,背景をすみずみまで眺めつつ,目を楽しませてはいかがだろうか。
ロケーションの各所には敵のシンボルがうろついており,これに対して剣を振ることで先制攻撃が可能となる。先制攻撃は必ずしも成功するわけではないが,敵と戦うときに狙ってみて損はないだろう。
戦闘システムはコマンド選択式を採用している。敵の弱点となる属性を見つけると有利に戦えるので,さまざまな属性の魔法や技を試してみるのがコツだ。また,魔法や技の種類が少ないうちは,アイテムを使うタイミングも勝敗を左右する。
戦闘中,敵の弱点属性で攻撃すると「FP」が得られ,ストックされたFPは画面右上に表示される。これを使ってダメージの倍率を増やしたり,HPの回復量を増やしたりすることが可能だ。
たとえば,FPを一度に4ポイント消費するとダメージの倍率が+200%となり,普段の約3倍のダメージを与えられる。
強敵に大ダメージを与える以外にも,1度の攻撃では少しだけHPが残ってしまう敵を確実に倒したり,大きなダメージを受けた味方を全回復させたりと,FPはさまざまな使い方ができる。FPに関するシステムは,本作の戦闘においてもっとも重要な要素と言えるだろう。
と,大まかな構造はオーソドックスなコマンド戦闘ではあるのだが,本作はいきなり8人のパーティメンバーが揃っており,ゲーム冒頭から採れる選択の幅がかなり多い。昨今の一般的なRPGなら,ゲームを進めていくなかで,戦闘の基本やキャラクターの特性を覚えていくことが多いが,チュートリアル的なものもないため,戸惑ってしまう人は多いかもしれない。
味方のステータスやデータをチェックし,それぞれがやれることを確認した後に手探りでパーティを組んで戦わせ,結果を見て組み直していくのが基本となるため,オーソドックスなRPGの戦闘というよりは,シミュレーションRPGでユニットを組み合わせて,軍団を編成していき,戦っている感覚に近かった。
8人のパーティメンバーの役割はさまざまで,主人公のウランは敵を「挑発」して攻撃を引き受けられるため,ボス戦などで仲間を守る盾の役割を果たせる。
多様な属性の魔法を使えるダグマは火力担当,早い段階で全体回復魔法を修得できるエコは回復の要といった具合に,キャラクターの特性を見極めて適材適所で使っていきたい。
パーティは8人の中から4人を選んで編成することになるが,メンバーチェンジは戦闘中でも行える。敵の弱点属性を攻められるメンバーがいないときなどは,すみやかに交代させたい。ただし,戦闘中のメンバーチェンジは行動1回と引き換えとなるので,さまざまな敵に対処できる編成を考えることも大切だ。
ちなみに戦闘に使用するスキルは,星座のような「アセンションツリー」を使ってアンロックしていく。これはいわゆるスキルツリー的なもので,隣接する星(スターノード)を順番にアンロックし,新たなスキルの修得したり,キャラクターの能力値を伸ばしたりできる。こまめに確認して成長させてもいいし,敵に苦戦するようになったらまとめて成長させてもいいだろう。
さらに,キャラクターの「メインジョブ」を変えると,修得できるスキルも大きく変化。得意とする戦闘スタイルも変わっていく。キャラクターの見た目もガラリと変化するので,デザインも考慮しつつジョブを選ぶのもひとつの遊び方だろう。
本作ではキャラクターを成長させ,メインストーリーを進めていく以外にも,さまざまな遊びの要素が用意されている。
人々の要望を聞き,達成していく「サイドクエスト」は43種類あり,解決すれば報酬を得られるのはもちろん,依頼者とのちょっとした会話も楽しむことができる。ただ,依頼者の場所を調べる手段がないため,移動可能な範囲が広がってからまとめて遊ぼうとするとかなり大変かもしれない。そこは少し惜しい部分だ。
さらに,敵から得られる「トークン」を使い,「J-STER」なるボードゲームまでプレイできる。
このゲームは7つの六角形が並ぶゲーム盤に,2人のプレイヤーが交互にトークンを並べていき,リバーシのようにトークンを取り合うというもの。リバーシとは違い,各トークンの数値や,置く向きも考慮しないと相手に勝つことはできない。
この「J-STER」は,世界中で流行しているという設定らしく,各地の町にいるモブキャラたちとも対戦することが可能だ。どことなく「FINAL FANTASY VIII」のカードゲーム「トリプル・トライアド」を思い出す人は多いのではないだろうか。
プレイした率直な感想としては,古き良き時代のRPGのエッセンスが感じられるグラフィックスや演出は素晴らしいものの,突如飛び出す難解な用語の数々や,バトルシステムの説明不足感など,惜しさが残る作品でもあった。個人的にはもう少しシナリオにおける説明を増やしたり,手順を踏んでバトルシステムを理解させる仕組みがあれば,よかったのではないかと思う。また,ソフトの動作も安定していないようで,今回プレイしたPS4用の開発版でプレイした際は戦闘中のエフェクトが省略されることも散見された。
しかし,すんなり理解しにくいとはいえ,シナリオの内容自体は読みごたえがあるし,前半でもお伝えした舞台劇のような演出は見ものだ。物語は世界を守護するはずの聖獣が,8人の英雄に牙を剥くなど,波乱の展開を見せていく。そして,それぞれの英雄たちが抱えるドラマはどんな結末を迎えるのか──ウランたちの運命が気になった人は,ぜひプレイしてみてほしい。
「アストリア アセンディング」公式サイト
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