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新作ストラテジー「Dice Legacy」をテストプレイ。ダイスを振って運命と未開の地を切り拓け
今回,メディア向けに配信されたβ版をプレイしたので,気になるゲーム内容を紹介していこう。なお,β版のビルドはメインシナリオのみの実装となっており,本稿ではメインシナリオで確認できたシステムの解説を行っている。
ダイスの目が勝敗を分かつ新感覚のストラテジーゲーム
Dice Legacyは,神秘的かつ過酷な冬と多くの危険が待ち受けるリングワールドを舞台に,街を築いて社会を繁栄させつつ,未開の地を切り拓いていくシミュレーションゲームだ。
地形は六角形のタイルを組み合わせたヘックスで表現されており,一見すると,かの名作「シヴィライゼーション」に似たゲーム性なのかと思う人もいるかもしれない。しかし,本作はターン性ではなくリアルタイムで進行していくので,どちらかというとRTSの感覚に近い。また,ローグライクゲームの要素も取り入れられ,独特なプレイ感は本作ならではと言える。普段からこの手のシミュレーションゲームを遊んでいる人でも,新鮮な気持ちでプレイできるのではないだろうか。
舞台となるリングワールドは,横幅が一画面分しかないかわりに,縦方向に長く伸びる特殊な地形だ。円筒形のスペースコロニーを想像してもらうとイメージがしやすいかもしれない。
プレイヤーは地図の一番下側からスタートし,どんどん上方向に領地を拡大していくことになる。上側の端には敵対する勢力の本拠地があり,それを陥落させられればマップクリアだ。逆に,マップ最下部にあるプレイヤーの拠点「町役場」が破壊されてしまうと敗北となってしまう。
プレイヤーは食料や資源を採取し,それをもとに施設を建て,新たな資源を生み出して,さらなる街の発展を目指していく。従来のシミュレーションゲームであれば,資源の採集や建築を“ユニット”に指示を出すところだが,本作ではそれらの行動を行う際に「ダイス」が必要になる。
ダイスの6面にそれぞれ行動を示したアイコンが描かれていて,その行動に合致した場所でのみ行動が行える。例えば食料や木材を採集したいなら「採集」アイコンのダイスを,農場で小麦を作りたいなら「労働」アイコンのダイスをマップ上のポイントに配置しなければならない。
一度使ったダイスは暗転表示されて一時的に使用不可となり,「ダイスをロール」することで,ダイスの出目,つまりアイコンの再抽選が行われ使用可能となる。ただし,ダイスには「耐久度」が設定されていて,ダイスをロールするごとに耐久度が1つずつ減少していく。
ダイスは画面下部の所定の場所に,最大12個まで保持できるが,耐久度がなくなってしまうとそのダイスは消滅してしまう。ダイス自体はゲームスタート早々に作れる施設の「家」で,時間はかかるが比較的簡単に生み出せる。しかし,ダイスが消滅してしまうと「幸福度」(詳しくは後述)が減少してしまい,ゲーム進行に支障をきたす事態になることも。
なお,初期配置されている施設「調理場」にダイスを置いて食料を消費することで,そのダイスの耐久度を回復できる。したがって,ダイスの出目に合わせた行動をしながら,その合間にどう耐久度を維持していくのが攻略のポイントになるわけだ。
理屈で言えば,耐久度を管理しながら無理せずロールしていけば良いだけだが,ある程度マップが広がったあとで敵が出現し始めるようになると,とたんに管理が難しくなる。敵を迎撃するためには「戦闘」アイコンのダイスが必要になるが,敵が出現したときに限って戦闘アイコンが出ずに,延々とロールをして耐久度が激減したりするのだ。
もちろん,敵を迎撃するための「塔」のような軍事施設もあるにはあるのだが,マップに配置された木材や鉄などの採取場所が有限なこともあって,どうしてもマップを広げることを優先しがち。結果,軍事施設が疎かになって危険な状態に陥ってしまうのである。このあたりはバランス感覚の大事さを痛感するところではあるが,じっくり考える時間がそう長くはないリアルタイム進行なこともあって,慣れていない最初のうちは難しく感じることも多いかもしれない。
ただ,そろそろ戦闘ダイスをロックして残しておこうといった作戦は,何度かプレイすれば自然と身につくものであり,ある程度の難度があるからこそ,クリアしたときの喜びもひとしおというものだ。敵対勢力に手を出さない限り攻撃を受けない難度も用意されているので,まずはゲームに慣れることから始めてみよう。
ここからは,ゲームの細かな仕様とルールについて解説していこう。
●ダイスの“クラス”
本作最大の特徴であるダイスには,複数の種類(クラス)が用意されている。最初から所持しているのが,黄色の「農民」ダイスだ。農民は「採集」「労働」「建築」「戦闘」とほぼすべての行動が行えるが,その半面,目が散らばって目的の出目が出づらいのが欠点といえる。
施設の「学校」に農民を置くことで,教育を受けた農民は緑色の「市民」ダイスに変化する。市民ダイスには採集がないので,木材や鉄を集めることはできないが,農民にはない「研究」の目がある。この研究は,特殊な施設「工房」で役立つもので,工房ではこれまた特殊なリソースである「知識」を得ることができる。知識は「技術ツリー」の開放に必須なので,工房の稼働に必要な3つ分の市民ダイスは最低限揃えておきたい。また,労働の目が2つあるので,農場で小麦を作る際にも役に立つ。
施設の「兵舎」で作れる青色の「兵士」ダイスは,6面のうち3つが戦闘ダイスとなっており,敵の攻撃が激しいときほど存在感を発揮できる。ただし,採集や労働といった目がないので,基本的にはリソース集めには向かない。街の崩壊を防ぐためにキープしておきたいが,多すぎると発展が遅れてしまうのだ。
ほかにも原住民の集落と取引ができる「商人」や,宗教関連の施設で使われる「修道士」のダイスもあり,ダイスをどんなバランスで所持するのかも重要となる。
●技術ツリー
知識で開放していく技術ツリーでは,採集や生産,行政や軍事などカテゴリーに分かれていて,いわゆるパッシブスキルのような能力を得られる。
とくに序盤で有用なのが採集関連の技術ツリーで,一度の採集行動でより多くリソースが入手できるため,街の発展を急ぐためにできるだけ早い段階で習得しておきたいところだ。
ほかにも特殊な施設をアンロックする技術も含まれており,有用なものだけを習得すると考えても相当量の知識が必要になるだろう。
●施設の建築
自分の領地内の空いている場所に,木材/石/鉄といったリソースを消費することで好きな施設を建築できる。農地などの一部の例外を除くと,場所を指定したあと「建築」ダイスを置いて完成させなければならない。
基本的には好きな場所に好きな施設を建てて構わないが,周囲の施設に影響を与える建物(クラス地区役場など)があり,かつ密集しすぎると火事になった際の後始末が大変になってしまう。自分なりに効率的な配置を考えていきたい。
できあがった施設を「解体」することも可能だが,使った資源は一部しか戻らないので,あらかじめどんな配置にするのか考えてから建てるのがベストだ。
●時間の経過で“季節”が変わる
本作にはスタート時の夏と極寒の冬,2種類の季節が存在している。
夏は農地で小麦を作れる季節であり,リソースをため込むのに適した季節だ。冬は(特定の条件を満たさないと)小麦が作れず,さらに雪で覆われた場所で行動してしまうと一定確率でダイスが「凍結」してしまう危険性がある。凍結してしまったダイスはロールできず,冬が終わるまで一切の行動ができなくなってしまう強烈なデバフとなっている。
凍結を防ぐ手段はいくつかあるが,運に頼らないものとしては,施設の「蒸気発生器」を作って稼働させることになるだろう。ただ,蒸気発生器の効果は一定範囲内に限られるし,貴重な資源である木材を大量に使わなければならない。
施設の「酒場」でビールを飲ませて凍結を直すこともできる。ビールは小麦から作ることになるが,木材と違って小麦は農地と労働力さえあればいくつでも作れるので,こちらの方がよりオーソドックスなものになるかもしれない。しかし,凍結率はかなり高いので,冬の間はあえて多くの行動をせず,耐久度の回復に集中するのもいいだろう。
なお,季節の変わり目に「評議会」が開催され,そこで統治体制に新たな法律を加えることができる。クラスごとに提案されるこの施策はかなり強力なものだが,提案が通らなかったクラスは,幸福度が大きく下がってしまう。
●幸福度について
クラス別に「幸福度」が設定されており,基本的には耐久度がなくなって消滅してしまったクラスは幸福度が下がり,ダイスが増えると幸福度が上がる仕組みとなっている。ほかにも評議会や細かな行動の結果が結びついて幸福度が上下することになるので,画面上部の幸福度ゲージはつねにチェックしておきたい。
幸福度は,そのクラスの行動に影響を与えることとなり,数値が高い“大満足”の状態の場合,農民や市民なら普段より多くの資源が入手できる。逆に幸福度が低いと,暴動が起きてしまうことも。農民は施設に火を放ち,市民はストライキを起こして施設が使えなくなるといった大きなデメリットがあるので,幸福度を上げる「町の広場」のような施設を用意して対処しよう。
●敵との戦闘
本作において一番頭を悩ませることになり,街の崩壊に直結するのが何者かが襲ってくるシーンだ。敵を排除するには前述したように戦闘ダイスを敵のユニットに重ねる必要があるのだが,敵には戦闘力が設定されており,その戦闘力と同じ数のダイスを重ねないと倒せない。
兵士ダイスなら農民よりも戦闘ダイスの目にプラスの能力が付いていることが多く対処しやすいが,農民だけだと中盤以降はジリ貧になってしまうだろう。
ダイスの所持上限が12のなか,兵士をどれだけ入れるべきか……と,筆者はかなり悩んだのだが,実は画面下部の「ダイスをロールできる場所に入れられる上限が12」だと気が付いてから,攻略方法が大きく変わることになった。
所持上限の12個を上回るダイスが所持枠に入ってしまうと,数を合わせるために余剰分のダイスを選んで消さなければならないが,所持枠以外の場所,例えば調理場や家など,ダイスと資源の両方を置く施設に,ダイスだけを置いておけば,そのダイスは“所持上限に引っかからない”のである。この戦法を使い,余分に調理場を作って,そこに戦闘の出目の兵士ダイスを複数プールしておけば強敵にも対処しやすくなるというわけだ。
戦闘を終えたダイスは所持枠に戻ってしまうので,最大12の制限を守るダイス数の管理が必要になるものの,劇的にマップ攻略が楽になった。「強化チャンバー」という特殊な施設でダイスを強化するのが正攻法だとは思うが,中盤以降矢継ぎ早に敵が押し寄せてくる場面では,この作戦がかなり有用となる。覚えておいて損はないだろう。
以上が,βテスト版「Dice Legacy」の概要となる。ダイスを振って資源やユニットをヘックスに置く操作感は,アナログなボードゲームにも似た手触りになっている。季節によって変化するビジュアルやコロニーの中で息づく人々など,グラフィックスも総じて丁寧に作られているのも好感触だ。
ゲームシステムは従来のストラテジーゲームの基本を踏襲しつつも,斬新なアイデアが盛り込まれて,単純に熱中できるゲームになっている。やや説明不足なところもあって慣れるまで時間が掛かりそうだが,ダイス目のランダム性をリスク管理しながら立ち回ることができるようになってくると面白さが増す印象だ。
今回体験できたのはメインシナリオのみだったが,製品版ではバリエーションに富んだコンテンツで遊べるようになるとのこと。繰り返しプレイのモチベーションにつながるアンロック要素もあるようなので,気になる人は来るべきリリース日に本作をプレイしてみてほしい。
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Dice Legacy(C)2021 and developed by DESTINYbit S.r.l. Dice Legacy is a trademark of Amplifier Game Invest AB. All rights reserved. Published 2021 by Ravenscourt. Ravenscourt is a division of Koch Media GmbH, Austria. Ravenscourt and its respective logos are trademarks of Koch Media GmbH. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners. All rights reserved.
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