プレイレポート
Switch版「GetsuFumaDen: Undying Moon」をプレイ。PC版アーリーアクセスの成果により,“難しいが,間口は広く遊びやすい”ゲームに進化
本作は,同社が1987年にリリースしたファミリーコンピュータ用ソフト「月風魔伝」の世界観をベースとした,“浮世絵風ローグライク剣戟アクションゲーム”だ。
探索要素のあるステージを行き来し,強敵との戦いに挑む。敗れたら,一部の強化を引き継いだ状態で再度ステージへ向かう――この,“何度も倒れてはまた挑戦をする”を繰り返すことでキャラクターや“プレイヤー自身”が成長し,ゲームクリアに近づくというゲーム進行が特徴となっている。
2021年5月に始まったPC(Steam)版のアーリーアクセスでは,約1年の間,新プレイアブルキャラクターや新ステージの追加,難度や敵の動きの調整など,さまざまなアップデートが行われてきた。それらが反映され,まさに“満を持して”という言葉がふさわしい仕上がりとなっていたSwitch版のプレイレポートをお届けしよう。
「GetsuFumaDen: Undying Moon」公式サイト
舞台は地獄。魑魅魍魎のうごめく高難度のステージに繰り返し挑み,己を強化してその深部を目指す
本作でプレイヤーは,月氏一族の第27代当主である月風魔(げつふうま)を操り,魑魅魍魎どもを蹴散らしながら地獄の奥深くを目指すことになる。ゲームの舞台となる地獄は複数のステージで構成されており,各ステージの最後に待ち構えているボスを倒すことで,次のステージへと進んでいく。
ステージは,挑戦し直すたびに地形がランダムで生成され,敵や宝箱,ボスがいる場所に通じる鳥居などの配置,手に入る武具(武器)やアイテムが変化する。同じステージでも攻略方法や道筋が異なるため,挑むたびに新鮮な気持ちで探索や戦闘が楽しめるのだ。
道中で遭遇する敵を倒したり,宝箱を開けたりして武器や金子(きんす),強化素材を入手しながら,ボスが待ち構える場所へ行くための鳥居を見つけ出そう。
武器は「主武器」と「副装備」をそれぞれ2つずつ所持できる。所持数を超えたときは手持ちのものと見比べて使用する方を選び,使わない方をその場で解体して素材にしよう |
副装備は,苦無や弓矢,火縄銃といった遠隔攻撃が可能になるものがあり,近距離での斬り合いが難しい相手などに有効的だ。クールタイムがあるので,無駄撃ちには注意しよう |
敵との戦いでは,「回避」をうまく使いながら“いかにダメージを受けずに進むか”がポイントとなる。敵の攻撃タイミングを見切って前方に回避→敵の背後から攻撃するというのがコンボの基本となり,複雑な操作はない。どんな敵でも回避すべきタイミングがあり,何度も戦って“それがいつなのか”を体で覚えていくことで,強敵相手でも勝てるようになっていく。
ステージの途中にはショップに通じる鳥居もあり,それをくぐって移動することで手に入れた金子を使って買い物ができる。3種類の品がランダムで販売されているので,その中に使い慣れているお気に入りの武器があれば購入しておくといいだろう。敵のドロップや宝箱はランダム性が高く,ほしい武器をピンポイントで入手するのは難しいからだ。
また,ショップの店員(?)に話しかけると,武器の強さである「段位」を上げることもできる。段位が上がると攻撃力がアップし,その分戦闘もラクになるので,強化できる武器があるときは立ち寄っておこう。
強化に必要な素材がたくさん詰まった「素材袋」が売られていることも。こちらは値が張るがそのぶん貴重な一品となるので,店に並んでいたときは購入しておこう |
段位は,金子と「魂の記憶」を消費することで上げることができる。使用している武器の段位がアップ可能なときは,買い物をする予定がなくてもショップに寄っておきたい |
ステージをクリアすると,次のステージへ進むか,拠点となる「月氏の館」に帰還するかを選択できる。ステージ途中で倒れた場合,それまでに入手したアイテムや素材はロストしてしまうが,このタイミングでの帰還であればそれらを持ち帰ることができる。
つまり,次のステージへ進むのであれば,「次のステージのボスまで倒せるかどうか」を判断しなくてはいけない。回復薬は使い切って,生命力(HP)もそこそこ減っている……という状態であれば,帰還したほうが賢明だろう。
地獄の奥底まで進むうえで欠かせないのが,拠点の「月氏の館」や,ステージ間の“インターバル地点”となる「月氏の野営」で行う各要素の強化だ。「武具鋳造」でステージに新たな武器が登場するようになり,「技能解放」と「活性化」を実行すれば武器を強化してステージに挑める。
……技能解放と活性化は,最初“?”となると思うが,「技能解放」が武器種それぞれにあるスキルツリーの開放で,「活性化」はポイントを振ってそのスキルを有効化することとイメージしていただければ,どういった強化要素か理解できるはず。
月氏の野営では,各種強化の実行のほか,先のステージに進むか,それとも月氏の館に引き返すかを選択できる |
魂の記憶を消費して実行する「活性化」。月氏の館に戻るたびにリセットされるので,ステージに挑む際はそのとき使う武器などに合わせて活性化を行おう |
月風魔自身を強化する「鍛錬」や,回復薬の所持数上限アップなど,ゲームシステム面での強化を行う「秘伝」も月氏の館で行うことが可能だ。生命力アップや回復薬の所持数上限アップといった魅力たっぷりの項目揃いで,もちろん強化を実行するにはステージで入手できる素材が必要となる。ゲームを進めれば進めるほど,そして,強敵と対峙すれば対峙するほど,素材を持ち帰ることがいかに大事かが分かるだろう。
月氏の館で交代できる,もう一人のプレイアブルキャラクターである月蓮華(げつれんげ)も忘れてはならない。月風魔の6代前となる月氏21代目の女当主で,月風魔に比べて生命力の初期値と攻撃力は低いが,その攻撃速度と移動速度を活かした素早い戦い方で敵を翻弄できる。
月風魔と月蓮華で戦い方はだいぶ異なるので,気分で切り替えるもよし,得意なほうを使用するもよし。楽しみ方はプレイヤー次第だ。
約1年のPC版アーリーアクセス期間がもたらした進化
より間口が広がり,オススメしやすいゲームに
PC版のアーリーアクセスから本作を追いかけてきた者として,このSwitch版をプレイし,遊びやすさの部分の“進化”をあらためて感じた。
今思い返すと,アーリーアクセス開始当初は正直かなりの高難度で,その難度を少しずつ緩和していくための強化要素も,集める必要のあるアイテム数が多く,1つの項目を開放するだけでもかなりの時間を要した。そのあたりの強化要素は,必要なアイテム数が減り,「武具解体」が実装されたことでかなり遊びやすくなっている。
アーリーアクセス期間に追加された難度「修練者」も,遊びやすくなった要素の一つだ。これは通常難度である「凡人」の下位に位置する難度で,出現する敵の種類が減り,手に入る金子が3倍になるというもの。これによって,これから本作に挑む人に進めやすくなっただけではなく,素材集めをするための周回プレイもラクになったのが嬉しい。
PC版のプレイヤーであれば,Switch版の画質や操作感が気になると思うが,このあたりも心配無用だ。
グラフィックスは遜色はなく,PC版と変わらず独特の世界観に没入することができるし,TVモードはもちろん,携帯モードやテーブルモードでの動作も問題ない。なにより,「寝る前に,ちょろっとステージ1〜2だけクリアして帰還するかな……」と,気軽に布団に寝転びながら素材集めができるのは大きな利点だ。
また,ゲーム本編の話とは異なるが,「デジタルデラックスエディション」を購入するとプレイできるファミコン版「月風魔伝」も,本作で月風魔伝を知った人やオリジナルからのファンにオススメしたい。
クラシックゲームの復刻や移植に定評があるM2が制作を担当しているだけに間違いないクオリティで,さらに“見る角度によって,2種類のイラストが見える”というファミコン版パッケージの仕様まで再現されており,そのこだわりも嬉しい。
やり応えある高難度はそのままに,敵の強さはほどほどに,素材集めもしやすい低難度の追加によって,“難しいが,間口は広くて遊びやすいゲーム”へと進化した「GetsuFumaDen: Undying Moon」。面白さに疑いの余地はないものの,その高難度ゆえに薦めにくいところがあったが,アーリーアクセスの“成果”によってそれが解消されたのが,本作のプレイヤーとして嬉しいところ。
2月17日に正式リリースされるPC版では,今後もバトルアクションの調整,シナリオなどのコンテンツの拡充,やり込み要素の追加などのアップデートが計画されているとのことで,Switch版も同様の進化を果たすと思われる。リリース後も目が離せない本作で,現代に蘇った「月風魔伝」の世界を味わってみてほしい。
「GetsuFumaDen: Undying Moon」公式サイト
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(C)Konami Digital Entertainment
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