プレイレポート
「Apex Legends Mobile」先行インプレッションをお届け。これからは,いつでもどこでも“エペ”で遊べる
今回は,オンラインで行われたメディア/インフルエンサー向け先行体験会に参加する機会を得たので,インプレッションをお届けしたい。
筆者はPC版の「Apex Legends」をリリース初期からプレイし続けている。正直に言うが,モバイル版Apex Legendsが出るというニュースを初めて目にしたとき,「ちゃんとスマホでApex Legendsを楽しめるの?」という印象を抱いた。
だがプレイを終えた今,結論から述べるとするなら,この「Apex Legends Mobile」は予想以上の完成度だった。開発チームによる事前のプレゼンテーションから,実際に体験したゲームプレイまで記したので,ぜひ最後まで読み進めてもらえれば幸いだ。
「Apex Legends Mobile」とは?
「Apex Legends Mobile」(以下,Mobile)は「Apex Legends」のモバイル版にあたるタイトルだ。
「Apex Legends」がどのようなゲームなのかはもはや説明不要だが,それでも軽く触れておくと,2019年2月5日にゲームシーンへと颯爽と現れ,以降,リリースから3年が経過した現在も高い人気を誇るバトルロイヤルシューターである。とくに日本国内の人気は凄まじく,「FPSは分からないけど“エーペックス”は知っている」というような人も多い。そんな「Apex Legends」のモバイル版が出るというのだから,話題にならないわけがないだろう。
この記事の読者が,Mobileに期待していることはなんだろうか。“モバイルだけどしっかり再現されてる?”とか,“グラフィックスは汚くない?”とか,“進化してる部分はある?”など,さまざまだと思う。少なくとも,これらへの答えはすべてYESだ。もちろんモバイルで「Apex Legends」を再現するにあたり,妥協せざるを得なかった思われる部分はある。たとえば,グラフィックスの面でPC版やコンシューマ版と直接比較するのは間違いなく酷だろう。ただ,これらに関しては可能な限りの配慮がなされている。
ここからは,説明会の内容をお伝えしよう。
まず説明会冒頭で紹介されたのは「Apex Legends Mobile」のビジョンについてだ。本作は「Apex Legendsのエクスペリエンスとフィールをモバイルで届ける」という目標で開発されており,パフォーマンス,コンテンツともに,モバイル端末への最適化が行われている。
具体的には,モバイル向けに改善した各種操作性,従来の要素を引き継ぎつつ新鮮な体験を提供するプレイモード,独自の要素となるサードパーソン視点が上げられたが,これらは「Apex Legendsの体験をモバイルで再現するため」に重点的に取り組まれたものであるという。
次に紹介されたのが,ローンチ時にプレイできるレジェンドについてだ。バンガロール,ブラッドハウンド,コースティック,ジブラルタル,ライフライン,ミラージュ,オクタン,パスファインダー,レイスといった本家からの参戦のほか,詳細は後述するが,Mobile独自のレジェンドとして「フェード」が実装される。
このほかにもさまざまな独自の要素があるが,これらは実際のプレイと合わせて記事の後半で紹介していこう。ひとまず,説明会終盤に設けられた参加メディアによる合同Q&Aの一部を抜粋してお届けする。
──フェードは本作(モバイル版)限定のレジェンドでしょうか。また,フェードに限らず本作限定のレジェンドはこれから登場しますか。
開発チーム:
この事項については開発段階から議論されてきた課題です。現状,フェードはひとまず本作のみの実装ですが,コミュニティの反応次第では,今後「Apex Legends」に実装することも考えるかもしれません。
そして今後についてですが,本作は独立したスタンドアロンのタイトルであり,開発チームとして「Apex Legends Mobile」と「Apex Legends」にどの程度の関係性を持たせるべきかを議論しました。そして,この議論はまだ終わっていません。それぞれ独自のコンテンツを実装する可能性もありますし,相互で可能になるコンテンツも十分に考えられます。
──本作と「Apex Legends」,それぞれの開発チームはどのように連携しましたか。
開発チーム:
デザインやゲームとしてのブランディングなど,さまざまな面で密に連携を取っています。どちらのゲームでも共通となるパーツがあるので,それらの一貫性を保ちつつ,最適化したコンテンツによって最高の体験を提供することが目標です。すでに成功を収めている「Apex Legends」開発チームから学ぶことも多いですが,今までにない新しい体験を提供することも目標となっているので,多様な取り組みを行っています。
──本作独自のマップはありますか。
開発チーム:
将来的にモバイル限定のマップをサポートする予定です。既存マップもモバイルユーザーに向けた改善を行うことを考えていますし,可能な限り最高の体験を皆さんにお届けしていきます。
──武器に関してはどのような調整を行っていますか。
開発チーム:
モバイル端末ということで操作性も変わりますし,標準的なTTKも増加しています。そのため,PCやコンソールでのプレイフィールを維持しつつ,バランス調整を行っています。
──ローンチ後,ランクマッチはすぐにプレイできますか。
開発チーム:
すぐにプレイできますが,一定のプレイヤーレベルに達しないと参加資格が得られません(他のモードで経験値を獲得し,既定のレベルにあげる必要がある)。そのため,恐らく数時間を経てから,皆さんはランクマッチのプレイを始めるでしょう。
──ユーザーによるカスタムゲームは行えますか。
開発チーム:
現在は対応していませんが,取り組んでいる事項の1つです。
──eスポーツの計画はありますか。
開発チーム:
eスポーツがコミュニティにとって正しい選択肢であれば検討しますが,今のところは何も決まっていません。まずは目の前の目標に取り組んでいます。
しっかり“エペ”している「Apex Legends Mobile」
さて,ここまでで本作がどのようなビジョンで開発され,提供されようとしているかをお分かりいただけたと思う。いよいよ,ここからは実際のゲームプレイに入ろう。
本作は「Apex Legends」のモバイル版であり,その再現度は高い。本作のゲーム性を紹介することは,即ち「Apex Legends」の紹介をしているといっても過言ではないほどだ。既知の人も多いと思うので,今回は本作独自の要素について重点的に触れていきたい。
まず,レジェンドについてだが,本作はキャラクターロードアウトの概念が導入された。それぞれのキャラクターによって効果は異なるが,「パーク」,「フィニッシャー」,「アビリティ」のそれぞれのスロットに1つの能力をセットし,戦闘を有利に進めることができる。これは特定のレジェンドでプレイすることにより経験値を得て,その経験値を消費して能力を開放するシステムになっているようなので,お気に入りのレジェンドを優先的に使用することで,育成もはかどるだろう。
またゲームモードも大幅に増加している。バトルロイヤル(ランクマッチ,カジュアルマッチ),アリーナ(現段階ではカジュアルマッチのみ)の他にも,2種類のチームデスマッチ,バトルロイヤルイベント(危険武装,クイックバトル,フラッシュポイント)などでバトルを楽しめる(すべてのゲームモードにFPP視点とTPP視点が用意され,マッチメイキングも分けられている)。
射撃訓練場もアップデートされており,PC版よりも実戦的なチュートリアルであり,基本操作を重点的に練習できるアドバンストレーニングモード,クリア時のスコアによってリワードを獲得できるウィークリーチャレンジなどが用意されていた。初めて触れるプレイヤーにも優しい設計となっているのは,大いに歓迎したい部分だ。
それでは気になっている人も多いであろう「フェード」を紹介していこう。
・パッシブアビリティ「スリップストリーム」
スライディング終了時,一時的に移動速度が上昇する。効果としては極めて単純なものだが,戦闘に慣れたプレイヤーが扱うと化けそうという印象を受けた。表示はされないが内部にクールダウンが設定されているようで,スライディングを連続で繰り返して無限に加速し続ける……というようなことは出来ない。
・戦術アビリティ「フラッシュバック」(クールダウン20秒)
虚空から少し前にいた位置に戻る。これだけだとやや分かりにくいが,使用すると虚空状態(無敵状態)になりつつ,移動してきた経路を逆に辿って移動し,虚空状態が解除されるというものだ。“逆虚空”とでも呼称すべきだろうか。非常にトリッキーなアビリティなので,扱いには慣れが求められるだろう。
・アルティメット「フェーズチェンバー」(クールダウン90秒)
フェーズケージを投擲し,着地した地点から範囲内のレジェンド全員を,一定時間虚空に送り込む。ケージの投擲距離はそれなりに広く,乱戦中のパーティ同士であればすっぽり納められる程度の効果範囲も持ち合わせている。相手からすれば,突然「ディメンションリフト」に放り込まれるようなものであり,不意に使用されると厄介そうだ。
実際に使用してみるとなかなか楽しいレジェンドであり,パッシブによる機動力と,アビリティによる“嫌らしい”戦い方が新鮮だった。アルティメットのクールダウンが90秒というのもポイントで,気楽にポイポイ放り投げて敵を虚空送りにできる。特定のチャレンジをクリアすることでプレイできるようになっていたので,気になる人は,ぜひ挑戦してもらいたい。
このほかにも独自のコスメティックアイテムが用意されていたり,調整が施されいたりして筆者的には“確かに「Apex Legends」だけど,どこか新しい”と感じた。“Apexをプレイするのは本作が初めて”というプレイヤーにもすぐ慣れてもらえると思うし,すでに「Apex Legends」をプレイしている人には新鮮な体験を味わわせつつも,すんなりと受け入れられる,実にいいバランスで攻めてきた印象である。そして「Apex Legends」独特のスピード感があり,状況が一瞬で変わる戦闘がモバイルでもしっかりと再現されているのは非常に好印象だ。
本当にどこでも遊べる「Apex Legends Mobile」
すでに他のプラットフォームで展開されており,その後にモバイル版が提供されるようなタイトルで,サービス開始時にこぞって使われるキーワードが“いつでも,どこでもプレイできる”というようなもの。端末があり,キャリア回線やネットワーク環境もあって,なおかつプレイしても大丈夫な社会的な環境であれば,確かに“いつでも,どこでもプレイできる”のは間違いない。筆者は,普段あまりモバイルシューターをプレイすることはないのだが,このような機会なので“外出先で遊んでみたい”という思いが湧いた。
そこで,唐突だが山に登ってみた。無事に頂上まで到達。自然の中でプレイする「Apex Legends Mobile」は,どこか新たな時代の幕開けを感じさせた。今までなら基本的にプレイするのは自宅だけだったが,これからは一定の環境さえあれば,いつでも“エペる”ことが出来るわけだ。
今まで「Apex Legends」をプレイするにはコンシューマ機かPCが必須であった。そんな中,より多くのユーザーがプレイを体験できるという点について,モバイルというプラットフォームは非常に魅力的な存在といえる。本作をプレイした後,コンシューマ機やPCに移行したいと考えるユーザーもいるだろうし,すでにプレイしているユーザーも本作は十分に楽しむことができる。
終盤はやや話が脱線してしまったが,モバイル版として世に送り出される本作がしっかりと「Apex Legends」を再現しており,同時に「Apex Legends Mobile」でもあるということをお分かりいただけたかと思う。すでに人気が確立している「Apex Legends」が本作のリリースによってどのような発展を遂げていくのかも気になるところだが,そこは今後のお楽しみということにしておこう。
実質的にはシリーズ最新作とも言える「Apex Legends Mobile」。その看板に恥じぬ,本気の仕上がりに期待していい。
「Apex Legends Mobile」公式サイト
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(C)2022 Electronic Arts Inc.
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