プレイレポート
[プレイレポ]敵は自動人形だけではない? 謎が謎を呼ぶ「Lies of P」のストーリー。3章以降は複雑な構造のステージもプレイヤーを苦しめる
本作の舞台となるのは,フランスのベル・エポック時代にインスパイアされた都市「クラット」だ。かつて美しく華やかだった都市クラットは,機械仕掛けの自動人形達の暴走や,蔓延する伝染病によって,人間性を失った地獄のような場所に変わり果てている。
プレイヤーが操作する主人公のP(ピノッキオ)は,天才技術者ゼペットが作り上げた自動人形の最高傑作だ。謎の女性ソフィアに「クラットを救ってほしい」と依頼されたPは,彼女やゼペットらの協力のもと,暴走した自動人形などのエネミーを撃破しつつ,背後に隠された謎に迫っていく。
今回,PS5版の製品版をプレイできたので,さっそくプレイレポートをお届けしよう。
「Lies of P」公式サイト
自動人形との戦いだけでは終わらない……元人間らしき異形のクリーチャーも襲い来る
本作は章仕立てとなっており,6月に配信が開始された体験版では第2章までプレイできた。その中では,街中を徘徊する自動人形との死闘や,自動人形を毛嫌いする人々によって結成された自警団との遭遇,各章の最後に待ち受ける「パレードマスター」や「スクラップ警備員」といった大型自動人形を相手にしたボスバトルが体験可能となっていた。
[プレイレポ]ソウルライク「Lies of P」の体験版を先行プレイ。高難度なだけではなく,作りこまれた世界観やストーリーも魅力となりそうだ
NEOWIZは本日(6月9日),9月19日に発売されるアクションRPG「Lies of P」の体験版の配信を開始した。体験版は,ゲームの始まりとなる第1章と第2章がプレイできるもので,ソウルライクとしての手ごたえはもちろん,本作の世界観や主要キャラの立ち位置などが理解できる内容となっている。
続く第3章も基本的には第2章からの延長線だが,物語は第4章で大きく動き出す。というのも,街外れの大聖堂に向かう道中,自動人形だけではなく,元人間らしきクリーチャーがPに向かって次々に襲いかかってくるのだ。なぜこんなことになっているのか。クラットを取り巻く謎がどんどんと深まっていく。
マップ構成も第2章までは比較的シンプルだが,章を進めていくと複雑な構造になっていく。筆者は,第3章のマップで迷いまくって結構な時間をロスしたし,第4章では立体的なマップ構造とエネミーの絶妙な配置の組み合わせに苦しめられた。
またマップのショートカットの開き方も,第2章までの「扉のスイッチを押してロックを外す」「梯子を下ろす」だけではなく,パターン(ネタバレを避けるために明言は避ける)が増えていく。プレイしている中で,「ここにショートカットほしいよなー」と思ったところには,だいたいショートカットを開くポイントが隠されているので,積極的に探すことをオススメする。
そうやって苦戦しつつマップを隅々まで探索していくと,きちんと見返りが用意されているところが本作の嬉しいポイントである。代表的な見返りは,やはり宝箱や特定の強敵から得られる武器だろう。筆者はこれまでに5種類の武器を探索によって獲得したので,ゲームの最初に選択した武器1種類と,経験値であり通貨でもある「エルゴ」で購入した武器3種類,そしてボスがドロップする特殊なエルゴと交換して得た武器1種類と合わせて,計10種類の武器をそろえられた。
「ブレード」と「柄」を組み替えてさまざまな武器を作り出す「武器調合」
武器がある程度そろったところで試してみたのが「武器調合」だ。この要素は,本作の開発総括ディレクターを務めるNEOWIZのチェ・ジウォン氏が,先日開催されたオフラインイベント「Lies of P JAPAN PREMIUM」で,バトルシステムの大きな特徴の1つとして挙げていた。
ソウルライクアクションRPG「Lies of P」のオフラインイベントをレポート。開発者自らが見どころやこだわりを紹介
NEOWIZは9月2日,アクションRPG「Lies of P」のオフラインイベント「Lies of P JAPAN PREMIUM」をユナイテッド・シネマ豊洲で開催した。開発者が登壇し,本作のプレゼンテーションを行ったほか,ゲストが本作の体験版にチャレンジするコーナーなどが設けられたイベントの模様をレポートしよう。
実のところ武器調合については,これまでのプレイレポートでも言及してはいるが,そのときに獲得できた武器の種類が少なすぎて,どれだけ有用なものなのか,筆者は今ひとつ実感できていなかった。そこで今回,あらためてこのシステムについて判明したことを紹介する。
まず武器は,解体できるものとできないものがある。解体できないものは,特殊なエルゴと交換して獲得する武器などで,武器調合をすることは不可能だ。
解体できる武器は,「ブレード」と「柄」で構成されている。ブレードには「剣」「短剣」「大剣」「鈍器」「大型鈍器」といったタイプがあり,それぞれ攻撃タイプや重量,リーチ,Pのパラメータによる能力補正,属性攻撃力などが設定されている。
一方,柄には「片手」「両手」「ポール」といったタイプがあり,それぞれに攻撃タイプや重量,Pのパラメータに応じた能力補正,そしてモーションが設定されている。
そしてブレードも柄も,それぞれ「フェーブルアーツ」が設定されている。フェーブルアーツは,武器でエネミーを攻撃するとチャージされる「フェーブルスロット」を消費して発動する,いわゆる必殺技や属性攻撃力などをアップするバフスキルを発動させるもので,ブレードや柄の種類によってその内容が異なっている。
要約すると武器調合とは,異なる能力値,フェーブルアーツ,モーションを持ったブレードと柄を組み合わせ,プレイヤーにとって扱いやすく武器を作り変えたり,あるいはボス戦などの重要な局面で有効な武器にしたりするシステムというわけだ。
例えば筆者が好んで使ったのは,炎属性をもつ「サラマンダーの短剣ブレード」と「ブースターグレイブの柄」の組み合わせだ。理由はエネミーを炎上状態にするとスリップダメージを与えられること,そしてポールタイプのモーションがカッコよかったからである。
今回のプレイで試した範囲では,基本的にブレードと柄の組み合わせに制限はない模様だ。ただ,ブレードも柄も,種類に応じて「斬り」か「突き」のどちらか,または両方が攻撃タイプに設定されている。攻撃タイプが異なる組み合わせだと柄が優先され,ブレードの能力を十分に発揮できないというデメリットが生ずる可能性もある。
「ソウルライクアクションRPGの魅力とは何なのか」をしっかり踏まえたタイトル
本作をプレイするにあたり,言及しておきたいのが「ガードの重要性」だ。本作ではエネミーの攻撃をガードするとPのスタミナだけでなくHPまで削られること,そして何より本作の舞台や登場キャラクターなどが「Bloodborne」を彷彿とさせることから,当初,筆者は「バトルでは,ガードよりステップ回避が重要」と思っていたのだが,それは大間違いだった。
むしろマップ探索中のバトルでは,エネミーの一撃目をガードでしっかり受け止め,一定時間内に反撃することでHPを回復する「ガードリゲイン」を狙うほうが安定した戦い方ができる。もちろん,HPを削られることのない「ジャストガード」を狙うのが理想だが,失敗して大きなダメージを負うリスクもあるため,安定するかというと難しいところだ。
一方,ボスバトルは,攻撃の予備動作や隙をある程度把握していることが前提ではあるが,多少ダメージを受けることを踏まえて積極的に攻めていったほうが,安定して討伐が成功するバランスに仕上がっているように感じた。もっとも,執筆時点でまだ4体のボスにしかチャレンジできていないのだが……。
ともあれ本作は,フロム・ソフトウェアのアクションRPGシリーズや,数々のソウルライクアクションを徹底的に研究して作り上げられていると感じる。それら一連のゲームタイトルにおける,「倒されるのは,何か理由がある」という決して理不尽ではないバトルバランスやマップ探索の楽しさ,あるいは曖昧だが意味深なNPCのセリフ,エネミーの変化などによるストーリーテリングといった各要素が,本作には極めてバランスよくゲームに落とし込まれていると言えるだろう。本稿で何かピンと来るものがあるというソウルライクアクションRPGファンは,ぜひチェックしてほしい一作だ。
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