ニュース
CC2の“復讐三部作”第1弾「戦場のフーガ」インプレッション。過酷な運命に抗うケモノ少年少女達を描く,リトルテイルブロンクスシリーズの最新作
サイバーコネクトツーの設立25周年記念タイトルであり,また初の自社パブリッシング作品でもある本作は,「テイルコンチェルト」や「Solatorobo それからCODAへ」に連なる“リトルテイルブロンクス”シリーズの最新作だ。
“戦争×復讐×ケモノ”がテーマという今作では,一体どんな展開が待ち受けているのか。じっくり紹介していこう。
※本稿は開発版を元にしているため,製品版とは内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
「戦場のフーガ」公式サイト
絵柄は可愛らしいが展開はハード。後戻りできない戦場に向かう子供達
本作の舞台は,イヌヒト・ネコヒトが暮らす平和な浮遊大陸“ガスコ”だ。物語はその辺境に位置する“プチ・モナ村”が,突如北東の“ベルマン帝国”の侵攻を受けることから始まる。逃げ延びた子ども達は,村外れの洞窟に眠る古代戦車“タラニス”に乗り込み,囚われた家族を取り戻すために立ち上がるのだ。
物語は,そんなキャラクター達が囚われた家族の行方を追い,ガスコ各地を転戦する中で進行していく。チャプターごとに市街での探索パートがあり,その後に戦闘ステージで複数の戦闘をこなし,最後にチャプターのボスに挑むこととなる。
1章あたりのボリュームは平均して2時間程度だが,中間地点やボス戦前には休憩パートの「インターミッション」が挟まり,途中でのセーブも可能なので困ることはないはずだ。
なおステージは基本的に一方通行なので後戻りはできない。進路上のアイコンの位置で戦闘やアイテム収集などのイベントが発生し,それと共にストーリーが進行していく。セーブは中断とオートセーブのみで,経験値稼ぎのためのフリーバトルなどもないので,戦闘は一回一回がとても重要だ。受けたダメージは持ち越され,回復のチャンスも少ないため,リソース管理がかなりシビアなのだ。それゆえ相手が強敵でなかっとしても,自然と緊張感に溢れたものになる。
シンプルながら魅力的な戦闘システム
さて,ここからは本作のキモである戦闘システムについて紹介しよう。
本作のバトルシステムは,いわゆるターン制が取られている。古代戦車タラニスに搭載された3つの砲座に配置されたキャラクター(砲座1つにつきアタッカーとサポートの2人)が,それぞれの“素早さ”によって行動するシステムだ。
アタッカーはキャラクターごとに使用できる武器の種別――手数の多さと防御力低下デバフが魅力のマシンガン,デバフや回復が得意なバランス型のグレネード,足は遅いが火力重視のキャノン――が決まっており,これによって攻撃の属性や攻撃力が決定される。
一方のサポートは,「サポート効果」と呼ばれる特殊効果がキャラクターごとに用意されているほか,後述の「絆イベント」をこなすことで使用可能になる“協力必殺技”もサポートによって変化する仕組みだ。後者はもちろん前者もかなり重要で,筆者の場合,とくに通常攻撃時にHPを追加回復できる“ハンナ”や,キャノンの命中率を補うカイルのサポート効果には,中盤以降かなりお世話になったほどだ。
つまり,このパーティ編成を敵に合わせて切り換えて戦うのが,本作においてはとくに重要になってくる。
パーティ編成は「戦術モード」で戦闘中に変更できるが,一度編成を変えると3ターンは再変更できない(戦術モードにアクセスできなくなる)点には注意が必要だ。さらに戦闘終了時の編成は次の戦闘にも引き継がれるので,先を見越して考える必要がある。
目の前の敵に戦力を集中するか,次回を見越して編成を整えるか,といったジレンマが,戦闘に緊張感をもたらすのだ。
プレイヤーに究極の選択を迫る,忌まわしき最終兵器「ソウルキャノン」
そうしてパーティ編成に血道を上げて戦ったとしても,各章のボス戦ではかなりの苦戦を強いられることになるだろう。道中でキャラクターやタラニスの能力をできる限り強化しても,HP/SPが万全な状態でボス戦を迎えるのは困難で,繊細なプレイの積み重ねが求められる。なんとかボスに勝利できたとしても,もうSPは枯渇寸前というのは序盤からままあることで,戦闘が苛烈になってくる後半になると,余裕で敗北できる難度である。
しかしタラニスには,そうした苦難を一発で解決できる最終兵器がある。それが「ソウルキャノン」だ。“一人の子どもの覚悟によってすべての敵をせん滅する”というこの武器は,子供達に決して癒えることのない傷を与えることとなるだろう。
料理に釣りに農業,遺跡探索,子供達の暮らしが描かれる「インターミッション」
ステージの要所に挟まるインターミッションでは,タラニスの強化や施設の拡充ができるほか,キャラクター同士の交流が行える。暖かな空気が流れるこのパートでは,プレイヤーも一時の平和に心を休められるだろう。
また会話によって経験値や親愛度が得られるので,編成の都合で活躍の機会が少なかったキャラクターのフォローアップも可能だ。
周回プレイでリトルテイルブロンクス世界の謎に迫る
難度の面でもストーリーの面でも,かなりの歯ごたえを感じる本作だが,クリア後はプレイデータを持ち越してのプレイも可能になっている。悔いが残った戦いをやり直す意味でも周回プレイに臨む動機としては十分だが,どうやら本作には,1周プレイしただけでは解き明かすことのできない謎が,いくつも用意されているようだ。
超兵器であるタラニスは,いったいどんな意図で生み出されたのか。ときおり挿入されるナレーションは誰が語っているのか。ゲームオーバーのたび,「今度は〜」「次に〜」と意味ありげに表示されるメッセージの真意は。各章冒頭に表示されるマップの既視感は。どうやら周回プレイが可能なこと自体にも何やら意味があるようで,筆者は2周目をプレイしている途中だが,まだまだ興味は尽きない。
一つだけ改善してほしい点を上げるなら,ユーザーインタフェースはもうちょっとだけフレンドリーであってほしいと思う点がいくつかあったことだろうか。キャラクターのレベルや経験値の一覧表示が出来なかったり,キャラクターの切り替えなどで,左端と右端でループしなかったりと,細かな点ではあるがストレスがあった。序盤のチュートリアルが親切な作りなだけに,アップデートなどで改善されるとありがたいところだ。
ハードなストーリーにハードな難度と,人を選ぶタイトルであるのは確かだが,その分だけ強敵を倒せたときの達成感は大きく,エンディングを迎えたときの感動と壮快感はひとしおな本作。徐々に世界の謎に迫っていくメタゲームが仕込まれているところも,考察好きのゲーマーにはウケそうな予感がする。
本稿で引っかかる部分を感じた読者は,大団円を目指して周回を重ねてみてほしい。その価値は,きっとあるはずだ。
「戦場のフーガ」公式サイト
キーワード
(C)CyberConnect2 Co., Ltd.
(C)CyberConnect2 Co., Ltd.
(C)CyberConnect2 Co., Ltd.
(C)CyberConnect2 Co., Ltd.
(C)CyberConnect2 Co., Ltd.
(C)CyberConnect2 Co., Ltd.