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「Psychonauts 2」インプレッション。人の心にダイブし,精神世界を探索するサイキックアクションは丁寧な作りが光る
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印刷2021/07/22 00:00

プレイレポート

「Psychonauts 2」インプレッション。人の心にダイブし,精神世界を探索するサイキックアクションは丁寧な作りが光る

 Double Fine Productionsは2021年8月25日,アクションアドベンチャー「Psychonauts 2」PC / Xbox Series X / PS4 / Xbox One)の発売を予定している。本作は,2005年にリリースされた「Psychonauts」の16年ぶりのナンバリング続編だ。

 “Psychonauts”とは超能力者を集めた組織のこと。資質のある子どもたちを集めて,能力開花のためのサマーキャンプなどを開催し,将来の人材育成を行っている。前作では主人公のRaz(ラズ)が,サマーキャンプに潜り込むところから物語が始まった。

Xbox版の前作「Psychonauts」(日本語は未対応)。後方互換機能によって,Xbox OneやXbox Series X|Sでも購入・プレイが可能だ。左の画像はイベントシーンなので画質が若干落ちているが,ゲーム画面は右の画像のように初代Xboxのゲームとは思えないような高画質に。ちなみにXbox Game passにも対応している
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 「Psychonauts 2」では,Psychonautsという組織が抱えるトラブルを解決していくことになるようだ。今回,序盤のステージをプレイする機会を得たのでインプレッションをお届けしてみたい。
なお,試遊したバージョンはゲーム序盤のステージをいくつかプレイできるものだったため,本稿では最初のステージを通じて得られたプレイフィールをお伝えする。

今回,筆者がプレイしたのはXbox Series X版。なお,日本語には未対応だった
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一度見たら忘れられない,強烈なキャラクターデザイン


 オープニングでは,前作までの話を紙芝居風にダイジェストで語ってくれる。これにより,前作を遊んでいなくても話についていけるというわけだ。

前述のサマーキャンプの様子なども語られる。英語なので,完全な把握は困難だったが……
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 そして舞台はオフィスのような場所へ。Psychonautsのオフィスだろうか……と思いつつプレイしていたのだが,なにぶん英語なので大まかな雰囲気しかつかめない。どうやら,Loboto(ロボト)という人物が表彰されているようだ。

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表彰されるロボトと,“your boss”にサインをもらうように促し,その名前を書類に書かせようとするMilla(ミラ)。ミラはPsychonautsのエージェントであり,ラズの先輩。冒頭の紙芝居でも紹介されている
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 スクリーンショットを見てのとおり,「Psychonauts 2」のキャラクターデザインは強烈だ(前作もそうだが)。目の大きさや顔の幅などが極端にデフォルメされたデザインなので,最初は面食らう人もいるだろう。しかし,一見すると奇妙なキャラクターも,だんだんと可愛らしく見えてくるのだ。

主人公のラズが想いを寄せるLili(リリ)。前作ではごく普通の少女の格好・髪型だったが,このオフィスレディ姿も様になっている
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 表彰の内容は「年間最優秀社員賞」のようなものらしく,トロピカルなバケーションが贈られるが,「書類にあなたのボスのサインがないと行けませんよ」といったことのようだ。「または,あなたのボスが誰であるかを言ってくれるだけで,あとは手続きできますが……」とミラが続けるものの,ロボトの返事は「No!」。それでも説得に説得を重ねると,ロボトは腑に落ちない感じで「Okay...」と言い,その場を去ってしまう。
 すると,「準備はいいか?」というかんじでラズに声をかける,もう1人の先輩エージェントであるサーシャ。ここからはラズを操作して,ロボトを尾行していくことになる。

尾行しながら基本操作が学べるようになっており,没入感を損なわないチュートリアルに成功している
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 どうやら先ほどの表彰はフェイクだったようだ。Psychonautsの面々はロボトから“your boss”の名前を聞き出そうとしていたが,それを察したロボトはラズの尾行にも勘づいて,怒りをあらわにする。しかし,急に廊下が伸びたり,俯瞰視点のオフィスを上方向に登っていくアクションが始まったりして,予備知識ナシで始めた筆者は「ロボトは幻術使いなの!?」と焦ってしまった。

走っても走ってもロボトに追いつかず,しまいには廊下がグーンと伸びて遥か彼方に……
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二段ジャンプや,縁につかまってのジャンプ,壁をずり落ちながら向かいの壁に飛ぶウォールジャンプなどの新アクションがどんどん登場するが,できることはあくまで少しずつ増えていくので,戸惑うことはないだろう
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 追跡の舞台はオフィスの中から,次第に歯や口の中をイメージしたステージへと移行していく。超能力「テレキネシス」のアクションも加わり,「Figments」と呼ばれる収集要素も登場。ラズを攻撃してくる敵や新たな超能力……といった要素がテンポよく,少しずつ登場し,それらが決してややこしすぎない。サクサクと進められるため,とても小気味いい。

近くに広がっていた巨大な歯をテレキネシスで持ってきたり……
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これがFigments。ステージの各所に配置されており,中には「どうやって取るんだろう?」と頭を悩ませるものもある
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ハンコで押し潰すような攻撃をしてくる敵。ここでは通常攻撃とDODGE(回避)も合わせて登場し,だんだんとアクションゲームらしくなってくる
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遠隔超能力攻撃の「PSI Blast」。飛んでいる敵に有効だ
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 オフィスの中の尾行劇から,気づけば奇妙な世界を飛んだり跳ねたり,アクションを彩る超能力も登場して……という一連の流れは「見事」の一言だ。ストーリーがしっかり把握できていないため,なんとなく操作していた筆者だが,行き詰まる場面は一切なかった。たまに操作説明が表示されるが,それすら読まなくても,直感的に進められるのだ。

歯が足場になっていたり,歯の矯正具がつかまるところになっていたりして,奇妙なビジュアルなのに違和感はない。なんとも形容しがたいゲーム体験を味わえる
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 そんな奇妙な世界でロボトを追い詰めると,飛行している乗り物の中に場面転換。リリやサーシャ,ミラの格好が変わっているところを見るに,今までの出来事は“ロボトの精神世界”にダイブしていたということのようだ。

 プレイヤーとしての自分と言えば,ゲーム開始からよく分からないまま彷徨っていたこともあり,夢の世界からようやく現実に戻ってきたかのような感覚があった。そのため,サイコ・ダイブから帰還したラズとの間に妙な一体感を覚え,非常に優れたゲームデザインだと感じたのだ。実のところ,Figmentsの説明文に「mental world」という単語があったので,これまでの場所がロボトの精神世界であることに気づけたかもしれないが……。

現実世界への帰還。そういや皆,急に出てきたり,どこかへ消えたりしていたなぁ……
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 飛行機は「マザーローブ」に着陸。ここはPsychonautsの本部ともいうべき場所で,ゲームとしてはここからが本番となるようだ。

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マザーローブは脳みそを模した形の建物。中にはさまざまな施設がある
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メニュー画面が開放に。さまざまなカテゴリのスキルも各種用意されているようだ
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マザーローブ内を隅々まで調べると,PSITANIUMと呼ばれるものが見つかることがある。買い物に使える……?
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 ロボトの追跡はプロローグに相当するパートなのだと思うが,物語の導入と,ひととおりの操作をマスターするチュートリアルの役割を同時に果たしており,この独特な世界への没入は実に自然だった。マザーローブに到着したときのワクワク感も高く,初めてマザーローブに入って感嘆の声を漏らすラズには,ここでも共感を覚えた。ゲームのプロローグとしては,トップクラスのデキだと思う。


とてつもなく丁寧な作りのアクションゲーム。難点は“日本語化されていない”こと


 アクションゲームとして何か斬新なことをしているという印象は受けないのだが,「この世界で動き回れること」「この世界に合ったアクションができる楽しさ」というものが確実にある。ゲームにおけるキャラクター性と世界設定の重要性,そして何より「各要素を丁寧に作ること」の大切さをあらためて認識させられた思いだ。また,ロード時間も極めて短い。
 前作と同様,Xbox Game Passに対応しているので,サービスに加入しているPCゲーマー,Xbox OneやXbox Series X|Sのユーザーは気軽に試せる点も嬉しい。

 魅力あるキャラクターたちと,徐々に引き込まれる独特の世界観。途中で脱落する人は出ないのでは,と思えるほどに親切で丁寧な作り。序盤のステージをプレイしただけでも,素晴らしいゲームであることが伝わってきた。こうなると日本語に対応していないことが残念だ。現時点で日本語対応に関するアナウンスはないが,これを機に「Psychonauts」シリーズの本格的な国内向け展開を期待したい。

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