プレイレポート
[プレイレポ]命中常時100%! 移動距離無制限! 戦略性と爽快感を見事に融合させた「マーベル ミッドナイト・サンズ」のシステムとは
開発を担当するのは,地球侵略を企むエイリアンと戦う戦略シミュレーション「XCOM」シリーズを手掛けるFiraxis Games。プレイヤーは古代から蘇った伝説のヒーローとなり,現代を生きるスーパーヒーローたちを指揮して戦うことになる。
これまでに発表された情報によると,本作には命中率やスクエア(マス目)の概念がそもそも存在せず,カードシステムが導入されるなど,これまでの戦略シムとは大きく異なることが分かっている。今回は,2Kにコードを提供いただいたので,ゲームの概要を紹介するとともに,そうしたシステムの特徴にも触れていくプレイレポートをお届けする。
[インタビュー]ヒーローは攻撃を外さない! XCOMチームが手掛ける「マーベル ミッドナイト・サンズ」にカードが採用された理由とは
2Kが2022年12月2日に発売を予定している「マーベル ミッドナイト・サンズ」は,マーベル作品のヒーローたちが集結するストラテジーゲームだ。本稿では,「良い戦闘システムの条件とカードを採用した理由」をテーマとする開発者インタビューの模様をお届けしていく。
「マーベル ミッドナイト・サンズ」公式サイト
プレイヤーは伝説のスーパーヒーロー仲間と共に悪魔の女王リリスを討て!
物語のベースになっているのは,1990年代に発売されたコミック「Rise of the Midnight Sons」。ゴーストライダーやブレイドといったヒーローたちが,復活した悪魔の母“リリス”との戦いに挑むという物語が描かれる。超自然的存在がテーマになった,いわゆるスーパーナチュラル系の作品だ。
登場キャラクターやシナリオは原作から大幅に変化しており,ヴィラン(悪役)がリリスであること以外に大きな共通点はない。英題も微妙に異なり,タイトルの“Sons”(子供たち)が“Suns”(太陽)に置き換えられていることからも,その違いを感じ取れる。
「マーベル ミッドナイト・サンズ」のストーリーは,封印されたリリスの存在を知ったヒドラの残党が,魔術の儀式を介してリリスを復活させたという筋書きになっている。ちなみに,ヒドラはお馴染みキャプテン・アメリカの敵対組織。いかにも破滅的な悪魔の復活に手を貸しそうな連中だ。
リリスの封印を担っていたブラッド族の生き残りであるケアテイカーは,リリスに対抗するために各地でヒーローを説得し,ヒーローチーム「ミッドナイト・サンズ」を結成。異変を察知したアイアンマンやドクター・ストレンジといったヒーローを集めていくことになる。
しかし,何百年も眠っていたリリスについての知識を持つ者は少ない。そこで呼び出されたのが,300年前にリリスを封印したという伝説の戦士“ハンター”だ。ハンターは外見をカスタマイズ可能な本作のオリジナルヒーローで,登場してからはプレイヤーの分身となる。
なかなか面白いのは,ハンターという存在がしっかり世界に根付いているということ。かつて行われたリリスとの戦いは,“おとぎ話”として語られているようで,多くのヒーローたちが伝説の英雄としてハンターを知っている。
その勇名は相当なもので,高慢な態度でお馴染みのドクター・ストレンジですら,ハンターには敬意を払うほど。「XCOM」シリーズにおいて,コマンダー(プレイヤー)が超人的な精神力を持つ指揮官として描かれていたのに近い感覚だ。それほどの存在でなければ,ヒーローチームのリーダーは務まらないということだろう。
ヒーローたちの会話はなにげに凝っており,相当な分量が用意されている。世間話が始まったら,立ち止まって耳をすませてみよう |
「スーパーリンク」と呼ばれるスーパーヒーロー専用のSNSも用意されている。共同生活をしているチームならではの,とりとめもない生活感のある会話が楽しめる |
戦いの拠点になるのは,リリスの手が届かない隔絶された世界に建設された大聖院。リリスから逃れて大聖院にやってきたスーパーヒーローたちは,ここで作戦を練り,修練を重ね,ポータルを通じてリリスとの戦いに出撃していくのだ。
ゲームは大まかに3つのフェイズで構成されており,拠点で戦闘の準備をする「昼」,出撃するミッションを選んで戦いを繰り広げる「戦闘」,ヒーローたちとコミュニケーションを取れる「夜」の繰り返しで進行していく。
ミッションには,経験値やアイテムを手に入れるのが目的になる「通常ミッション」と,シナリオが進行する「ストーリーミッション」があり,一定数の通常ミッションをこなせばストーリーミッションに挑めるようになる。
ヒーロー性と戦略性を見事に両立させたカードを用いた独自のバトルシステム
敵との戦闘シーンでは,「XCOM」シリーズでも馴染み深いターン制で展開される。パッと見では一般的な戦略シミュレーション風の画面だが,そのシステムは非常にユニークだ。
ターンが始まるとデッキからアビリティカード(以下,カード)が5枚使用でき,プレイヤーはこのカードを使ってユニットに指示を与えていく。たとえば,スパイダーマンの「ウェブボール」のカードを使えば,チームのスパイダーマンが指示した敵をクモの糸で拘束してくれる。
そして,カード効果には命中率の概念は存在せず,発動すれば自動的に対象に近寄ってくれるので,ユニット間の距離も気にする必要がない。さすがはスーパーヒーローと言うべきか,彼らにとって「やる」と「できる」はイコールなのだ。
かといって,ユニット同士の位置関係に意味がないわけではない。敵ユニットをノックバックさせて,別ユニットやオブジェクトに衝突させれば大ダメージを狙うこともできる。ターン中に1回だけユニットを任意の位置に移動させられるほか,カードを使った後の移動先もしっかりと表示されるので,それらを活用して有利な立ち位置を作っていこう。
カードは1ターンに2回だけ「引き直し」を行える。カードを選択して引き直しを実行すると,指定したカードが捨て札となり,新たなカードをデッキから1枚使用できる |
戦闘に参加できるヒーローは3人で,各ヒーローは8枚のカードを持っている。それらを混ぜた24枚がデッキになる |
ただし,ユニットに個別に指示を与えることはできない。アイアンマンがチームにいても,手札がスパイダーマンのカードでいっぱいなら,手持ちのカードで状況を切り抜ける必要がある。
カードの枚数には制限があり,1枚使うごとに“カードプレイ”を消費する。カードプレイはターンごとに3まで回復するので,基本的に1ターンに使えるカードは3枚までだ。この制限の中で,いかに敵を効率よく排除するかを考えるのが,戦略のキモの部分となる。
この戦略をさらに奥深くしているのが,カードのコストに関するシステムだ。各種アビリティカードには,ノーコストで使用できるアタックカード,特殊効果を発揮するスキルカードに加えて,“ヒロイズム”と呼ばれるリソースを消費して強力な技を発動できる「ヒロイックカード」が存在する。
ヒロイズムはアタックカード,スキルカードを使うと増加していくので,カードを使う順番も大事だ。ヒロイズムの使い道はカードばかりではなく,ステージギミックを使って敵を攻撃する際にも必要になるので,その点も加味して行動を決めなくてはならない。
ステージギミックによる攻撃ではカードプレイを消費しないので,ヒロイズムを使えば効率的に敵の数を減らせるが,強力なヒロイックカードを使うためには温存する必要がある。さっさとヒロイズムを使って早く敵の数を減らすべきか,以降のターンのためにヒロイズム稼ぎをしておくべきか……。シンプルながらも,なかなかに悩ましい決断を迫られる。
プレイしていて驚いたのは,そうしたシステムの中で見事にヒーローたちの個性的な能力を表現していることだ。本作に登場するヒーローは(発表されているものは)ハンター含めて12名と,戦略シムとしては多い方ではないが,各ヒーローの個性はそれを補って余りある。
たとえば,ドクター・ストレンジは戦況を有利にするスキルカードを多く持ち,中には「カードを2枚ドロー」「使用したカードを強化する」「次ターンのカードプレイを4にする」という3つの効果を1枚で発動できるカードも存在する。いきなり手札が増えて強くなり,しかも行動回数が増えるわけで,敵からすればインチキそのものだろう。
ほかには,ギミックを起動するヒロイズムコストを無視してステージを飛び回るスパイダーマンや,攻撃するだけでどんどんシールドが増えていく難攻不落のキャプテン・マーベルなど,どのヒーローもイメージ通りの活躍をしてくれる。移動とアクションが分割されていないのでテンポもよく,爽快感ある戦いを味わえるのだ。
もちろん,敵も暴れまわるヒーローを黙って見ているわけではない。敵同士でバフを与えあったり,ショックを与えて一時的に行動不能(対象ヒーローのカードが使えなくなる)を付与してきたりと,多彩な攻撃を繰り出してくる。
ヒーローの攻撃は必ずヒットするが,これらのルールは敵ユニットにも適用されるので,しっかり対策を立てなければピンチに陥ることも少なくない。
時にはリリスによって洗脳されたヴィランも出現し,彼らはヒーローたちにも引けを取らない実力を備えている。ヴィランは1ターンに複数回行動し,さらに独自の強力な能力を所持しているので,それぞれの個性を見極めたチームで対応する必要がある。
通常ミッションでも,まれにヴィランが襲撃してくることがある。「XCOM」シリーズで“支配種”や“選ばれし者”が飛び込んできた瞬間のような緊張感を味わえるシステムだ |
HPが0になって倒れたヒーローは,1回の戦闘で2度まで戦線に復帰できる。倒れても当然ロストはしないが,戦闘終了後に負傷のデバフを受ける可能性があるので,ダメージが集中するのは避けたいところ |
ユニットやカード同士の組み合わせを考えてデッキを組み,実行していく感覚は,「Slay the Spire」をはじめとするデッキ構築型のゲームに近い。そこにユニットの位置関係の概念を組み込み,戦略シムらしい悩ましさを取り入れることで,カードゲームのテンポの良さを損なうことなく,単なるカードゲームでは終わらない独自の戦略性を生み出している。
ミッションにはさまざまな攻略目標があり,単に敵を倒し尽くせば勝利というわけではない。目標によって適切なヒーローの構成が変わるのも面白いポイントだ |
名前を持たない敵兵の中にも,強力なスキルを持つものが存在する。何度も行動されると厄介なので,発見したら早く処理しておきたい |
ヒーローたちとの交流で戦いを有利に濃密なアドベンチャーパートにも注目
戦いを終えたヒーローたちは大聖院へと帰っていく。大聖院で行える活動は昼と夜で異なり,昼には各種施設を活用したデッキの強化やカスタマイズが可能で,夜にはヒーローたちとのコミュニケーションを楽しめる。
「煉魔炉」では戦闘で入手した宝箱(正式名称はガンマコイル,アーティファクトなど)を開封して新たなカードやアイテムを入手し,さまざまな技術研究を進められる。訓練施設の「庭園」を使えば,カードをアップグレードしたり,ヒーローと組手をして能力を向上させることも可能だ。
釜の奥底に悪魔が潜むという煉魔炉では,トニー・スタークとドクター・ストレンジが応対してくれる。「XCOM」における研究者たちのポジションだが,それにしても豪華な受付である |
研究が進めば,報酬から得られるカードの枚数が増えたり,特定のカードを直接作成することも可能になる |
大聖院の周辺には自然が広がっており,ハンターはマップを自由に探索できる。実際に歩き回ってみると分かるが,外のマップは想像以上に広い。謎の遺跡や開かずの扉,鍵を要求される宝箱などもあり,探索の報酬もしっかりと用意されているので,なんとなく歩き回ってしまう。
重要なのは,こういった探索は必須ではないということ。戦闘シーンで有利になるアイテムや,ヒーローとの交流をより深く楽しめる要素が登場するが,あくまで“補助”の域は出ていない。個人的には探索要素も楽しめたが,ストイックに戦闘をしたい人は,探索を気にしなくてもいいのだ。
戦いを終えて夜になると,ヒーローたちは各々にくつろぎ始める。ここでは特別な会話が発生することがあり,交流を重ねることで「友情XP」が増加していく。友情XPが溜まると「友情レベル」が増加し,一定以上に達するとスキンや特殊能力を得ることもできる。
夜の大聖院は落ち着いた雰囲気に変化。暖炉にあたって本を読んだり,仲の良いヒーローとテレビゲームを遊んだり,バーでお酒を飲んだりと,それぞれに休息を楽しむ姿を見ることができる |
友情レベルはヒーロー個別に管理されるものと同時に,チーム全体の友情レベルも存在する。いろいろなヒーローと仲良くなれば,チームの友情レベルも上がりやすくなるようだ |
会話の中では選択肢が出現することもあり,ヒーローに気に入られる選択をすれば友情XPが増加する。「ストレンジは直球に褒めてもそのまま受け取るだろう」「マジックは軟弱な受け答えを嫌うに違いない」など,それぞれの性格を考慮して選択肢を考える感覚は,まんま恋愛アドベンチャーのそれだ。
ただし,選択肢によっては友情XPだけではなく,ハンターのステータス“バランス”が変化することも多い。ハンターのアビリティには「光」「力(中間)」「闇」の3種類が存在し,バランスはハンターが光と闇のどちらに傾いているかを示している。
バランスがいずれかに傾いていると,対応する強力なアビリティやパッシブ能力を獲得できる。たとえば,ハンターのバランスを闇に傾けたい場合は,応対するヒーローの好みとは反対の選択をする必要もあるだろう。アドベンチャー部分とバトル部分を乖離させず,しっかりと重要な意思決定の1つに据えられているのも,本作の興味深いポイントだ。
個性的なヒーローたちの特徴を最大限活かした戦闘システムに加えて,充実したアドベンチャーパートが用意された本作は,見事に“緻密な戦略シム”と“キャラゲー”のいいとこ取りに成功した,非常にバランスが取れた作品だ。
敗北しても当然キャラロストなどはせず,メインストーリーの進行に詰まったら自由に育成ができるなど,とにかく遊んでいて不自由を感じる瞬間がほとんどない。ミスで報酬が減ったり,ヒーローが負傷することはあるが,何があっても致命的な制限が課されることがまずないので,のびのびと遊べるのも本作の良いところだろう。
キリキリとした緊張感とは無縁だが,カードゲームらしいパズルを組み立てるような戦略性と,爽快感あふれるヒーローたちのアクションを両立させた本作には,ここでしか味わえない体験がある。しっかりと頭を使いつつ,ヒーローの格好良さを感じたいゲームファンにとっては,間違いなく“買い”の1本だ。
先に発表されている通り,今後はデッドプール,ヴェノム,モービウス,ストームといったDLCキャラクターが登場するとのことで,今から楽しみでならない。公式サイトやYouTubeチャンネルには,本作の登場キャラクターを紹介するムービーなども多数用意されているので,気になっている人はそれらも合わせてチェックしてみてほしい。
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2Kが2022年12月2日に発売を予定している「マーベル ミッドナイト・サンズ」は,マーベル作品のヒーローたちが集結するストラテジーゲームだ。本稿では,「良い戦闘システムの条件とカードを採用した理由」をテーマとする開発者インタビューの模様をお届けしていく。
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