［TGS 2021］新作アクションRPG「ファントムブレイド：断罪者」は，独自の世界観「影境」をベースにした武挟×ダークファンタジー

　北京に拠点を置く独立系デベロッパであるS-Gamesは，東京ゲームショウ2021 オンラインにて，新作アクションRPG「ファントムブレイド：断罪者」（iOS / Android）を発表した。2022年前半にリリース予定どのことだ。配信番組では開発者たちが，本作をどのようにして作ったのかを語ったので，紹介しよう。




　「ファントムブレイド：断罪者」は，S-Gamesがこれまでに作り上げてきた作品群と共通する世界観である「影境」（かげさかい）ユニバースの最新作だ。
　「影境」ユニバースは，武挟にダークファンタジーとスチームパンク的な要素を融合させた世界観で，「魂」（コン）と「左傷」（サショウ）の2人の主人公による対立関係が描かれる。

　「影境」ユニバースの最初の作品は2010年にリリースされたRPG「レインブラッド：死の街」から始まり，2011年にはその続編である「レインブラッド：炎の都」がリリースされた。ちなみにデベロッパであるS-Gamesは「レインブラッド：死の街」のリリース後である2011年に設立され，「レインブラッド：炎の都」は，S-Gamesの最初の作品となる。
　3作目となる「レインブラッド外伝：蜃気楼」ではアクションゲームとなり，これまで表現できていなかった部分も描けるようになったという。また，魂と左傷の設定も重厚になり，「影境」ユニバースの作品群の方向性を決定づけるタイトルとなった。

　2014年に「影境」ユニバースの4作目となる「影の刃」がスマートフォンアプリとしてリリースされた。また，2016年には日本風のセルアニメ画法を取り入れて表現の幅が広がった続編「影の刃2」がリリースされている。
　そうして作り上げられていった「影境」ユニバースの最新作が2022年前半にリリース予定の「ファントムブレイド：断罪者」だ。

　開発者のSoulframE氏は「影境」ユニバースの世界観を“カンフーパンク”と説明する。中国語にもない言葉だが，文化と文化の間，あるいはスタイリッシュな現代文化が融合したスペシャルな存在なのだという。中国の古典的なジャンルである武挟を独自の解釈で昇華させたというわけだ。


　「ファントムブレイド：断罪者」の主人公も，これまでの作品同様，魂と左傷となる。ゲームでは彼らに“クラス”が与えられ，それによってアクションも変化していくようだ。
　例えば「絶影の使者」というクラスであれば，素早さに特化したアクションとなり，「赫灼の剣士」というクラスになれば，重い一撃を与えるアクションになる。
　これらのアクションは1人のキャラクターにつき30種類というスキルという形で描かれている。戦闘では6つのスキルを組み合わせた連係技として2つセットでき，ひとつのボタンを押していくだけで簡単にコンボを繰り出していく爽快感を生み出しているとのことだ。6つのスキルをどう組み合わせるかという戦略性も備えているという。


　また，本作は「影境」ユニバースをベースにし，主人公も共通ではあるが，過去作とは独立した物語が描かれるという。あいまいな善と悪，失われた仁義がテーマとなり，登場人物それぞれの葛藤や苦難が，ダークに描かれ，それがストーリーとして収束していく。SoulframE氏曰く「村の少年が勇者となって魔王を倒す」というセオリーから外れた物語とのことだ。


　ビジュアル面でもこだわりが見られ，“水墨絵テイスト”と“リアルテイスト”の2つの表現が使われている。オープニングアニメで魂と左傷の戦いを描くシーンでは雨が降っているが，屋根の上から下たる雨の一粒一粒，地面に跳ね返る雨も手描きだそうだ。このシーンの制作には長い時間をかけたという。


　音楽面では民族楽器をベースにした新しい試みが見られ，武挟作品では採用されないデスメタル的な表現も使われている。また，音楽が作り出す臨場感にもこだわっており，例えば尺八の収録時には，奏者の息遣いや手が尺八に触れたときの雑音など，普通はクリアにするディテールをあえて残すことで，プレイヤーに臨場感を与えているという。

　S-Gamesが渾身の力を込めて開発している「ファントムブレイド：断罪者」は，2022年前半にリリース予定だ。対応プラットフォームはiOS / Androidとのこと。
　キャラクターボイスには櫻井孝宏さん，津田健次郎さん，石川由依さん，能登麻美子さん，伊藤 静さんらを起用している。S-Gamesが贈る「影境」ユニバースがどのように描かれるのか楽しみだ。

「ファントムブレイド：断罪者」公式サイト

4Gamer「東京ゲームショウ2021 オンライン」特設サイト