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「ゲームマーケット2021秋」の新作をピックアップで紹介。「テインテッド・グレイル」「タイガー&ドラゴン」など,大手製品が続々登場
なお4Gamerでは,会場全体の雰囲気をお伝えする全体レポート記事も掲載している。そちらでも触れたとおり,最盛期の盛り上がりと比べるとまだもう一歩に感じた今回のゲームマーケートだが,気を吐いた出展を行っていたブースも少なくなく,取材に応じてくれた関係者の顔はどれも明るいものだったことを付け加えておく。
取り上げたタイトルはあくまで筆者の目に留まったものに限られるが,年末年始に遊ぶゲームを物色しておく人は,ぜひ参考にしてもらえたら幸いだ。
「ゲームマーケット2021秋」の新作をピックアップで紹介。一般ブースで見つけた気になるインディーズ作品は?
2021年11月20日と21日に開催された「ゲームマーケット2021秋」から,一般ブースで見つけたインディーズゲームをいくつか紹介してみたい。今回のゲームマーケットは参加を見送ったという人も,熱気あふれる会場の様子を感じ取ってもらえたら幸いだ。
アナログゲームの祭典「ゲームマーケット2021秋」全体レポート。“わざわざ行こう!”をスローガンに1万8000人が会場を賑わす
2021年11月20日と21日の2日間,アークライトの主催によるアナログゲームの祭典「ゲームマーケット2021秋」が,東京ビッグサイトで開催された。2日間で1万8000人の来場者が集い,さまざまなアナログゲームの展示や販売,頒布が行われたこのイベントをレポートする。
- キーワード:
- ANALOG
- ライター:マシュー
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- アークライトゲームズ
「ゲームマーケット」公式サイト
圧倒的な存在感の「テインテッド・グレイル:アヴァロンの崩壊」
なかなか大がかりなチャレンジは難しい状況からか,2人用など少人数向けのタイトルが目立つ印象だった今回のゲームマーケットだが,イベント運営母体でもあるアークライトのブースでは,とくに存在感の大きいタイトルが目立っていた。
ラインナップとしてもオインクゲームズとのコラボレーション作品である「タイガー&ドラゴン」(会場価格:税込3500円)を皮切りに,会場価格にして2万円(税込)という大型ボードゲーム「テインテッド・グレイル:アヴァロンの崩壊」,2020年に発売された超大作「グルームヘイヴン」の拡張セット「グルームヘイヴン 解明篇 忘れられし輪」(会場価格:6500円)など多数の新製品が並び,先行販売を行っていた。
中でも「テインテッド・グレイル:アヴァロンの崩壊」は,Kickstaterで約500万ユーロ(6億5000万円)の資金調達に成功したことでも知られるモンスターゲームで,海外での評価も非常に高いタイトルだ。日本のボードゲームファンからの注目も厚く,豪華なコンポーネントが並べられた展示スペースには,多くの来場者が足を止めていた。
同作はアーサー王伝説とケルト神話をベースとしたダークファンタジーな世界観で冒険を繰り広げる,1〜4人用の協力プレイ型のボードゲームだ。
物語の舞台となるのは,謎の霧が立ちこめ,人間が安心して住めなくなってしまったアヴァロン島。プレイヤー達は迫り来る赤死病の脅威,そして勢いを増した“あやかし”の力に対抗するために,探索の旅を開始することとなる。
攻略のポイントとなるのは,メンヒルと呼ばれる守護石像だ。メンヒルに火が灯っていれば,その力を及ぶ周囲9マスは自由に探索できる仕組みで,プレイヤー達は,このために体力や魔力,お金などのリソースを費やし,新たな土地を開拓。メンヒルを建てながら,探索範囲を広げていくことに。
しかしメンヒルの火は時間と共に火勢が衰えてしまう。消えてしまったら再点火に戻らねばならず……というように制限時間に追われながら島中を巡り,発生するイベントで戦闘や交渉をこなしていくのが,本作の基本的なゲームサイクルだ。
こうしてプレイヤー達は何度も失敗(=死亡)を繰り返しながらも,徐々に明かされていくアヴァロンの謎に迫っていくのである。
全15章から成るシナリオは,1章あたりのプレイ時間が約2時間という大ボリュームで,単純計算で30時間はかかる想定となっている。当然ながら分岐も発生するので,選択したルートによってエンディングは変化する。そのため別ルートを見るために再プレイするということも可能とのことだった。
なおアークライトの特設ページでは,体験版やPDFによる設定資料も公開されているので,気になる人はこちらも要チェックだ。
アークライト内赤竜亭特設ページ
“1000回遊べる”牌ゲーム「タイガー&ドラゴン」
スタイリッシュなパッケージと,キャッチーなゲームデザインで知られるオインクゲームズのブースでは,「すりかえダイヤ」(会場価格:2000円),「サンリオキャラクターズ スピードウルフ」(会場価格:2500円),「ナインタイル ポケモンドコダ!」(会場価格:2500円)といった新製品の先行販売が行われていた。
さらに,先にも触れたアークライトとのコラボレーションによるタイトル「タイガー&ドラゴン」では,一部アークライトとの合体ブースになっていて,人気を博していた。
“1000回遊べる”牌ゲームというキャッチコピーの「タイガー&ドラゴン」は,石川県発祥の伝統ゲーム「ごいた」を現代風にアレンジしたタイトルだ。テーマは究極のカンフー対決。相手の「攻め牌」に対して同じ牌――「受け牌」を出すことで攻守が逆転し,「攻め」と「受け」を繰り返しながら手牌を出し切ることを目指す。
ほかのプレイヤーに受けられないような攻め牌を繰り出せるかが勝負のポイントで, また戦場によって牌の強弱が入れ替わり,それによって変化する戦略が,ゲームに奥深さを加える。プレイ人数は2〜5人で,さらに個人戦かチーム戦かの違いもあるので,ゲームごとに新鮮なプレイフィールで楽しめるタイトルといえるだろう。
取材に応じてくれたオインクゲームズ代表の佐々木隼氏によれば,初プレイ時は「何もしないうちにゲームが終わってしまう」印象を持つかもしれないが,盤面の情報をよく見ることで手筋が見えてくるとのこと。
また些細な情報からほかのプレイヤーの狙いを読んだり,条件次第で一発逆転できる要素もあって,ライトなゲームながらコアなボードゲーマーも楽しめるタイトルに仕上がっているという。
なお会場での先行販売では早々に完売してしまった「タイガー&ドラゴン」だが,Oink Gamesの公式Twitterによれば,1〜2週間後には店頭に並ぶ予定とのことだ。手に入れられなかった人は,楽しみにしておこう。
「タイガー&ドラゴン」公式サイト
インディーズから商業へ。「セカンドベスト」と「TWO ROOMS」
全国に10店舗以上を展開するボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE」のブースでは,さまざまなタイトルの試遊や販売,ゲストを招いてのイベントなどが行われていた。中でも注目は,2つの新作「セカンドベスト」(会場価格:4000円)と「TWO ROOMS」(会場価格:税込2000円)だろう。いずれも一般販売は12月3日の予定で,この日は特別価格での先行販売が行われていた。
「セカンドベスト」は,先読み力が問われる2人用の対戦型アブストラクトゲームだ。元はゲームマーケット2019秋でQliosから発表されたインディーズゲームで,JELLY JELLY GAMESがリメイクしたタイトルとなっている。
ルールはいたってシンプルで,ボード上にコマを交互に置くかもしくは移動させ,自分のコマを連続して4マス置くか,同じマスに重ねて3個置けば勝ちとなる。
しかしコマを置くとき,相手に「セカンドベスト!」と言われてしまったら,その手は使えなくなる。言うなれば,将棋でいうところの「待った」がルールで認められており,しかも「待った」は毎ターンできるのだ。
そうなると先に二番目候補の手を指し,あえてセカンドベストを使わせたうえで最善手を打てばいい……と思うかもしれないが,それが察知されたら相手はセカンドベストを宣言しないだろう。シンプルながらも,煮詰まっていく思考と駆け引きが楽しめるゲームとなっている。
「セカンドベスト」公式サイト
もう一方の「TWO ROOMS」もまた,ゲームマーケット2020秋でインディーズゲームとして発表された2人用の協力プレイゲームだ。デザイナーはゲームデザインチームのYUTRIOで,「アークライト・ゲーム賞2021」にて佳作を受賞し,JELLY JELLY GAMESによるリメイクが決定した。
吸血鬼の住まう館から,さらわれた少女の救出と脱出を目指す同作だが,その最大の特徴は,自分の手番が回ってくるまでは目を閉じていなければならないという独自のルールにある。
プレイ手順として,手番時に引いたカードをタイトルどおり二つある部屋(カードの山)のどちらかに加え,部屋にあるカードの効果をプレイ(適用)していく流れだが,カードには主人公である「少年たち」と「吸血鬼(とその眷属)」の2種類があって,入れる部屋や順番を間違えると襲われてしまう。またカードの効果によって部屋の中のカードが移動したりもするので,手番の度に部屋のカードは刻一刻と変化していくのだ。
相手の手番で何が起こったのかは目をつぶっているので推測するしかなく,協力して脱出するためには,カードが今どこにあるかを状況から推理しなくてはならない。暗闇の中,館を探索するドキドキ感と,推理がうまく当たったときの達成感がマッチした,楽しいゲームといえる。
「TWO ROOMS」公式サイト
- 関連タイトル:
テインテッド・グレイル 完全日本語版
- 関連タイトル:
レッツプレイ!オインクゲームズ
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