インタビュー
[インタビュー]「ソニックフロンティア」ストーリー担当は筋金入りのソニックマニア。“夢の仕事”だったシナリオ制作やその手法を聞いた
フリン氏はコミック,ゲーム,テレビ,ストリーミングメディアなどで執筆活動を行うフリーランスのライターで,「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズに関する執筆では15年以上のキャリアを持つ。自他共に認めるソニックマニアであり,Sega Genesis(メガドライブ)の時代から現在まで,ずっと変わらずソニックに情熱を傾けているそうだ。
そんな筋金入りのファンがこだわる,ソニックシリーズ最新作のシナリオ制作のポイントやその手法などを明かしてもらった。なお,インタビューは時間の関係上,5メディアが2つずつの質問を投げ,それに対してフリン氏が回答するという形だ。
[インタビュー]「ソニックフロンティア」,総合プロデューサーの飯塚 隆氏に聞く。シリーズが“第3の進化”を遂げた背景,そして今後の展望
2022年11月8日の発売が目前に迫った「ソニックフロンティア」について,ソニックシリーズの総合プロデューサーを務める飯塚 隆氏へのインタビューをお伝えしよう。今回は長時間の試遊を経たうえで,より深いゲームの内容に迫ると共に,今後の展望も聞いてみた。
「ソニックフロンティア」公式サイト
――「ソニックフロンティア」はプレイヤーが自由に遊び方を選べる「オープンゾーン」が特徴で,遊び方によって体験も異なります。ストーリーを執筆するときに,その部分は意識しましたか。
イアン・フリン氏(以下,フリン氏):
「ソニックフロンティア」のゲームデザインは,おそらく誰もが違う体験をする,とても挑戦的な内容なので,ストーリー構築は本当に大変でした。自由に島を走り回っても,ストーリーに集中しても,どちらの場合でも破綻しないバランスに調整しなければならないからです。
例えばゲーム中,ソニックが閉じ込められたエミーに「すぐ戻るよ」と言ってしまうと,その後,プレイヤーが何時間も探索した場合,ゲームプレイとセリフがマッチせず,違和感を覚えてしまいます。
それを踏まえたうえで,芯となるストーリーを構築しなければならないので,岸本さん(ディレクターの岸本守央氏)や開発チームとは密に調整を重ねて執筆しました。
――ストーリーについて,現在まで「古代文明が眠る未知の“スターフォール諸島”を探険する」という以外の情報がありません。ソニックの過去シリーズとのつながりはあるんでしょうか。
フリン氏:
答えは「Yes」と「No」の両方です。本作のストーリーは,ソニックと仲間達の新章として描いているので,彼らの関係は過去のストーリーに基づいたものになっています。これが「Yes」の部分です。
一方,「No」の部分は,本作だけで完結するように作っているので,そういう意味で過去の作品と直接のつながりはなく,一つの独立した物語になっています。
――開発中のチームとのやりとりで印象的だったエピソードはありますか。
フリン氏:
ソニックの大ファンである私にとって,「ソニックフロンティア」のストーリー執筆というオーダーは,ある意味「夢の仕事」の実現で,とてもこだわりを持っていました。それに対し,開発チームが我慢強く対応してくれたことが印象的でした。
私が出したアイデアの中から飯塚さん(シリーズ総合プロデューサーの飯塚 隆氏)がいくつかチョイスして,こんなディテールを加えたらどうか,キャラクターをこんなふうに活躍させたらどうか,という調整を何度も繰り返しました。
――ゲームのシナリオは,普段手がけているコミックなどのそれと比較して,どのような違いがありますか。
フリン氏:
コミックは私がシナリオを売り込んで,それが通れば脚本に起こして編集者とアーティストに渡るという手順です。私が関与することはほとんどありません。
ゲームの場合は,作品の内容に基づいてシナリオを作っていくので,開発チームと何度もやりとりして調整しながら作ります。ストーリー自体の構成を作品に合わせて変更することもあるところは,コミックとまったく違いますね。
――ストーリーを構築するうえで,影響を受けた過去のソニックシリーズのタイトルはありますか。
フリン氏:
飯塚さんや岸本さんからの最初のオーダーは「これまでのシリーズよりも,シリアスかつミステリアスな雰囲気を出したい」というものでした。そこで私は,「ソニックアドベンチャー」や「ソニックアドベンチャー2」のようなストーリー展開を多少意識しました。
その中でそれぞれのキャラクターが際立つ瞬間を作ることは常に考えていて,誰もが興味を惹くような物語を作るよう心がけました。
――ソニックのファン層は幅広いですが,今回の「ソニックフロンティア」のストーリーはどのようなファンを意識して書いたのでしょうか。
フリン氏:
ソニックシリーズのほとんどは,どんな人でも楽しめるものだと考えています。しっかりした内容のものを作ることで,自然に誰でも楽しめるものができるんです。
逆に,特定のターゲットを追いかけると視野が狭くなってしまう恐れがあります。いい物語や魅力的なキャラクターを作れば,コアファンだけではなく,多くのプレイヤーを惹きつけられるのではないでしょうか。
40代の私が,8歳の私の子どもと同じように,毎回ソニックを楽しみにしているのがその理由ですね(笑)。
――日本向けのシナリオは岸本さんがセリフなどを手直ししたそうですが,その点についてどう思いましたか。
フリン氏:
岸本さんは私のシナリオを尊重しつつ,日本のプレイヤー向けにしっかり調整をしてくれると全面的に信頼しています。今はネットで簡単に共有や比較ができるので,その違いをファンの皆さんがどう受け止めるのかは気になるところです。
――ソニックシリーズの大ファンとして,その対象となるキャラクターのストーリーを書くうえで必ず守っていることはありますか。また,自身が考えるソニック像も教えてください。
フリン氏:
すべてのキャラクターに対してイメージを壊さないように,魅力的な部分を引き立たせて,それが作り手やプレイヤーにしっかり伝わるように書くことを心がけています。例えば,ソニックなら彼のヒロイズムをできる限り強調し,エッグマンなら意地が悪い特徴をコミカルに伝えられるように,といった感じですね。
私のイメージするソニックは,クールかつ親しみやすいヒーロー。その一方,いたずら好きでふざけるところもあって,私が彼を描くときは,そこも強調して他のヒーローとは違う魅力を出したいと考えています。
――ソニックの出会い,好きになった理由,また,好きなキャラクターや作品について教えてください。
フリン氏:
最初の出会いは,Sega Genssisと「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」がバンドルされたセットを父が買ってきたことです。その頃,すでにたくさんのコミックやアニメが出ていて,それをきっかけにファンとなるのは私の運命でした(笑)。
好きなキャラクターはナックルズなんですが,Dr.エッグマンも大好きです。私にとっては正義の味方のような存在で,今回セリフを書くのが本当に楽しかったです。あとはビーン・ザ・ダイナマイト(アーケードゲーム「ソニック・ザ・ファイターズ」より)ですね。彼にはいつか復活してほしいな……(笑)。
ソニック関連の作品は,すべて好きと答えるしかありません。ソニック達を他のクリエイターがどう描くのか,彼らがいったいどんな冒険をするのか。毎回楽しくて,一つには決められないです。すべての作品が素晴らしいので,これからももっと体験したいですね。
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