プレイレポート
「夜廻三」体験版プレイレポート。これまで以上に恐ろしく,ドラマチックな夜の冒険が始まる
前作「深夜廻(しんよまわり)」から5年の歳月を経て発売される「夜廻(よまわり)」シリーズ最新作で,過去作のゲームシステムを受け継ぎ,夜の町を舞台に新たな物語が描かれる。この体験版では、学校が舞台の体験版オリジナルストーリーを楽しめる。本稿ではPS4版の体験版のプレイレポートをお届けしよう。
「夜道探索アクション」と謳われたシリーズ第1作「夜廻」は,2015年にPS Vitaでリリースされた。主人公の少女が闇夜に消えてしまった愛犬と姉を探すために,不気味なお化け達がうごめく夜の町へと歩みを進めていく,見下ろし型の2Dアクションアドベンチャーだ。子どもである主人公のキャラクター性を生かし,お化けと遭遇したときは逃げるしかないゲームデザインとなっていた。
子どもの頃に味わったことのある“夜の暗闇の恐怖”を巧みに演出し,ビックリ箱的な驚かせる恐怖と,じわじわと追い詰められる恐怖の両方を味わえ,可愛いキャラクターが悲惨な目に遭う,日本一ソフトウェアらしい内容も際立つタイトルである。
シリーズ3作目となる本作は,「夜廻」のゲームシステムは継承しつつ,これまでとは違う町での物語となっている。「まぶたの裏で,君が死ぬ」という,心がチクっとするようなキャッチコピーが掲げられた本作では,主人公が自身にかけられた呪いを解くために,忘れてしまった思い出を辿っていく。公式サイトやPVには「思い出の中の少女」なる,大きなカメラを提げたキャラクターが登場していて,主人公とどんな関係なのか気になるところだが,体験版のプレイ範囲では分からなかった。
体験版では,夜の学校を舞台とした物語が繰り広げられる。主人公と2人の友達は,学校に流れるウワサを調べるために,夜の学校へと忍び込もうとしているようだ。セリフや書き文字のフォントなどから,主人公は過去2作よりも少し上の世代だと予想できる。また,これまでのシリーズ作品では主人公の見た目が固定されていたが,本作では性別や髪型,服装,アクセサリー,鞄などを自由に設定できるようになった。
友達と共に学校に忍び込むことに成功した主人公だったが,ついてきてしまった飼い猫を追いかけているうちに,友達とはぐれてしまう。そこに現れる正体不明の巨大なお化け。体験版はそんな流れで始まる。
基本となるゲームシステムはこれまでと同様で,手持ちの懐中電灯の明かりを頼りに,夜の闇の中を探索していくスタイルだ。1人になってからは校内にお化け達が無数に現れ,行く手を阻んでくる。
お化けは,規定の場所を徘徊しているものや主人公を見つけると追いかけてくるもの,単に驚かすだけのもの,懐中電灯の明かりで照らすと姿が見えるものなど,いろいろなタイプが存在している。
主人公はお化けに近づくと心臓の鼓動が早くなり,このときにダッシュ移動するとスタミナが大きく減る。お化けを攻撃する手段は存在せず,基本は逃げるのみなので,スタミナをうまく調整しながらダッシュして,距離を離していくことがポイントだ。
システム的に大きく変わったのは,主人公に「目を閉じる」というアクションが加わったこと。前作までは,茂みや看板などの物陰に隠れることで追ってくるお化けを回避できたが,本作では目を閉じて気配を消すことでも回避できるようになった。
目を閉じているときは視界が極端に狭くなるが,お化けの気配は画面に赤く視覚化され,周囲の状況はなんとなく掴める。さらに,速度は遅いものの移動が可能で,少しずつお化けから離れることもできる。ただ,目を閉じてお化けを回避できるかは種類により,例えば本編で何度も遭遇することになるであろう「顔のない大男」には通用する気配がなかった。また,目を閉じているときだけ動くお化けもいるので,その駆け引きはこれまで以上に面白いものとなりそうだ。
「夜廻」シリーズといえば,子どもの頃に「夜に行くと怖い」と思った場所が巧みに配置された,迷路のような夜の町が特徴だが,本作でもそれは変わっていない。今回プレイできたのは学校だけだが,ここはまさに「夜に行くと怖い場所」の定番であり,中は想像以上に広く複雑な構造をしている。
ゲームはアドベンチャー要素が強く含まれているが,ヒントや会話はほとんどなく,特定の場所に行くことでイベントが発生し,先に進めるようになる仕組みだ。この学校もある印象的な場所がゴールとなっていて,そこから製品版へとつながるようだ。
PVを見る限り,主人公が訪れるシチュエーションは多数あるようで,しかも「朝が来るまでに」というワードがあることから,これらの物語が一晩のうちに繰り広げられる内容ということも考えられる。そのあたりの詳細は,製品版発売までのお楽しみとなった。
「夜廻」シリーズは音にも力が入っていて,夜の静寂の中に聞こえてくる効果音のわびしさは本作でも健在だ。画面に映っているのは小さなキャラクターだが,歩く場所によって足音が変わるなど,演出も凝っている。突然聞こえる物音や心臓の鼓動など,怖さを煽るのにも効果音はうまく使われていて,恐怖も込みで楽しみたいのなら,ヘッドフォンやイヤフォンを使ってのプレイを推奨する。
PVで聴けるが,重要なシーンで流れる音楽もまた素晴らしい。
今回の体験版で楽しめるのはほんのわずかな範囲で,プレイも30〜40分程度で終えられるものだ。公式サイトで紹介されている「人面鳥」らしきものも現れておらず,さらに怖い体験は本編で味わうこととなるはず。
今回プレイしたのはPS4版だが,Switchでは前2作を収録した「夜廻と深夜廻」が発売中で,さらに両者はPCやスマートフォンでも配信中(別売り)だ。「夜廻三」はシリーズを通してプレイしていなくても楽しめる最新作だが,製品版の発売までまだ少しあるので,体験版でその雰囲気を気に入ったという人は,過去シリーズを触ってみるのもいいかもしれない。
「夜廻三」公式サイト
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