プレイレポート
「太閤立志伝V DX」プレイレポート。戦乱の世を生きた有名・無名の人物たちになり,自分だけの歴史を作り出そう
シリーズの歴史は長く,1992年に初代「太閤立志伝」が発売されてから,本シリーズは今年で30周年となる。
同社は本シリーズを,シミュレーションとRPGを融合した「リコエイションゲーム」と称している。と言っても,シミュレーションRPGとはまた違っていて,とにかく独特で,自由度の高いタイトルだ。
プレイヤーは,戦国時代を舞台に立身出世のストーリーを体験していく。タイトルにも冠されている「太閤」は豊臣秀吉のことで,彼の人生をモチーフに,主君から命じられる「主命」を達成しながら成果を上げて出世し,ゆくゆくは天下統一を目指す……というのが基本的な流れだ。ただし,これは本作における“選択可能なひとつのルート”でしかない。
ベースとなっているストーリーこそ豊臣秀吉(木下藤吉郎)の歴史が軸だが,武将として生きるだけでなく,商人や鍛冶屋,茶人など戦とは無縁の職業で名を馳せたり,剣豪となって剣の道に生きたり,海賊や人斬りとして名を轟かせることだってできるのだ。
しかも豊臣秀吉だけでなく,ゲーム内に登場する総勢960名もの人物が主人公として使用可能であり,どんな人物で,どんな職業で,どんな人生を歩むのかはまさにプレイヤー次第。
この圧倒的なボリュームとやりごたえが本作の醍醐味で,遊べば遊ぶほど楽しみ方が広がっていく。
いざ,戦乱の世へ!
自由な生き方で日本一を目指せ!
本作はいろいろな遊び方ができるが,ここでは木下藤吉郎での「武士プレイ」をベースにゲームの簡単な流れも含めて紹介していこう。
ゲームを最初からスタートすると,まずはシナリオ選択になる。と言っても選択可能なシナリオは,初回プレイでは「1560年 日輪の章」しか表示されず,本作で追加された「1584年 浪華の章」を含むほかのシナリオは,決められた条件をクリアすることで追加されていく。
シナリオ選択後は主人公を選択する。初回プレイでは表示される人物の中から選択してプレイすることとなり,「日輪の章」では木下藤吉郎のほか,服部半蔵,柳生宗厳,九鬼嘉隆,納谷助左衛門から選べる。服部半蔵なら忍者,柳生宗厳なら剣豪と,それぞれの主人公でプレイの方向性が異なるため,この時点ですでにプレイの幅が広いことを理解してもらえるだろう。もちろん,方向性を無視したプレイもできる。
そのうえ,本作にはオリジナル武将を作成して主人公として使用できるほか,ノンプレイアブルキャラとしてゲーム内に登場させ,配下として加えることも可能だ。
オリジナル武将作成
オリジナル武将作成はゲームを進めることで開放され,見た目や性格,出自などをある程度自由に変更して作成できる。男性,女性どちらも作成可能で,女性の場合は妻になったときの性格も設定可能だ。本作では新パーツが7点追加され,計190以上ものパーツでオリジナル武将が作成できる。
主人公を選んだら,いよいよ戦国時代を生きる生活がスタートする。木下藤吉郎の場合は武士のため,出世して城主・国主の身分になるまでは,奇数月1日〜5日の間に行われる評定で主君が候補として挙げる主命の中からひとつを選択し,その主命を達成するために動いていく。
選択した主命によって達成方法はさまざまだが,結果的にその主命を達成できていれば基本的に方法は問わない。例えば,資金を3000稼ぐといった主命であれば,町で仕事を請けてもいいし,賭博で稼いでもいいし,交易品などを転売して儲けてもいい。お金の稼ぎ方ひとつとっても,手段は複数あるのだ。
酒場で受けられる商人の護衛は,報酬がほかより高い代わりに道中で賊などと戦う可能性もある |
指定された人物から借金を取り立てる仕事や,宝物を指定の人物に届ける仕事などもある |
また,主命を達成できていれば,評定に出席する以外は何をしても自由。それこそ自分で使用する資金を稼いだり,さまざまな技能を身につけるために時間を使ったり,はたまたいろいろな名所を巡る旅をしたりしてもいい。
とはいえ,技能を身につけるにしろ日本中を旅するにしろゲーム序盤は資金が少ないため,資金作りが最初の課題となる。
上げられる技能には多くの種類があるが,上げたい技能によって学ぶべき場所が異なる。それらの場所はチュートリアルで説明されるが,町によって存在する施設が異なっているので,場所自体は実際にプレイしながら覚えていくしかないだろう。
技能はミニゲームをプレイし,その結果の積み重ねによって上昇していく。どのミニゲームもシンプルで分かりやすく,説明も見られるのですぐに理解できるが,技能ごとに存在するため種類が多い。
ミニゲームでいい結果を残せば,技能の上昇は速いが,多少ミスがあっても,その分多く回数をこなせばしっかりと上昇はしていく。
ミニゲームの中でも,いろいろな場面でプレイする機会があるのが「個人戦」と呼ばれるバトルだ。「個人戦」は「道場」で「武芸」の技能を上げるときはもちろん,ほかの人物との「手合わせ」や賊との戦い,さらには「辻斬り」でも利用される。
移動先を決めたら,移動後の向きを決める。使用する武器によって赤く表示される攻撃可能範囲が異なるが,基本的に正面方向に向かって扇状に攻撃可能範囲は広がっていく |
移動後の向きまで決定すると,敵対する相手全員と同時に行動を行う。その結果,攻撃範囲範囲に相手が入ると自動的に攻撃する。という具合だ |
攻撃は,相手の側面や背面からの方が命中率が高く,武具などを装備していれば能力もアップする。「秘技」は武芸の流派に入門して教わったり,忍びの里で修行したり,一部の名所(滝,山神社など)で開眼することもあるので,より強さを求める場合はそうした場所も利用できる。
さて,主命を達成する傍らで技能を上げたりお金を稼いだりしていると,主君の命によって合戦を行うことになる。合戦は先述した「個人戦」のバトルとは大きくことなり,「攻城戦」と「野戦」の2種類が存在する。
「野戦」は出陣した軍団が移動中(攻撃目標の拠点までの道のり)や,拠点攻撃時に敵軍の援軍が到着したときなどに行うもので,ターン制の戦略シミュレーション形式になっている。ユニットを移動させながら敵の軍団長を壊滅,または退却させると勝利だ。
「攻城戦」は攻撃目標となる拠点を攻撃するときに行い,敵軍団長の壊滅・退却,もしくは本丸の城門を破壊(攻撃時の場合)すると勝利となる。ただ戦うだけでなく,敵軍との「交渉」によって戦いを終わらせることもできる。
「個人戦」と同様に「合戦」でもさまざまな「特技」が用意されており,本作ではさらに「個人戦」「合戦」合わせて21種の「特技」が追加されている。これにより全160種以上となった「特技」を活用して,戦を有利に進めていく。
「野戦」「攻城戦」ともに,開始から終了までやや時間がかかり,敵の行動なども一部極端だったりするので冗長な部分はあるが,バトルシステムはシンプルで分かりやすい。
主命達成,合戦,そして自己研鑽といった行動を軸としてゲームを進めて勲功を獲得していくと,出世して身分が上がっていく。その結果城主に抜擢されると,それまでとはできることに変化が生じる。具体的には,自分でいつでも評定が主催できることを始め,内政や外交,徴兵や訓練のほか,人物の勧誘や引き抜きなどだ。城主として資金繰りから軍備,配下の武将もしっかり管理していかなければならないのである。
こうして,以降の武士プレイは一国一城の主として天下統一を目指し,ゲームを進めていくことになる。最終的に目標を達成したり,寿命をまっとうしたりするとひとまずの幕引きだ。しかし,どちらにしても1プレイをエンディングまで進めるとかなり長く遊べるので,満足感は大きい。
正直,筆者は戦国時代にはそれほど明るくはないが,それでも本作はプレイを始めると,軽く数時間が経過してしまう。とにかくできることが多いので,時間を忘れてプレイしてしまうのだ。
一点,気になるのが操作性だ。筆者は今回,PC版をプレイしたのだが,どうやら今回のリマスターはSwitch版がベースになっているようで,あまりPC側に最適化されていない。マウスとゲームパッドの操作は選択可能なのだが,キーボードの操作に対応している部分が少なかったり,一部ミニゲームはゲームパッドのほうが遊びやすかったりと,不便に感じることもあった。とくに本作は,もともとがPCゲームなので,UIはリマスター前のほうが良かったという人もいるだろう。
とはいえ,ゲーム自体の面白さは確かなものだ。戦国時代の総合エンターテイメントといった感じで,ぜひ皆さんも自分だけの戦乱の世での生き様を貫いてほしい。
願わくば,このリマスターで久しぶりに復活したことをきっかけに,新作も出てほしいものである。
「太閤立志伝V DX」公式サイト
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