プレイレポート
[プレイレポ]都市建設シム「Synergy」(シナジー)は独特なグラフィックスが魅力。植物を分析して環境に優しい街を作り,未知の惑星で生き残る
サバイバル風味の都市開発シム「Synergy」,アーリーアクセス版の配信をSteamで開始。奇妙な世界を生きる人々の存続を目指す
H2 INTERACTIVEは本日,PC向けSLG「Synergy(シナジー)」のアーリーアクセス版の配信を,Steamで開始した。本作は,奇妙で過酷な世界を生きる人々の存続を目指す,都市開発シムだ。また,本作のサウンド18曲と,独特のアートワークも楽しめる映像が公開されている。
未知の惑星にたどり着いた集団が探索や研究,分析などを行い,サバイバルを続けていく本作は,周囲の環境を大きく改変していくのではなく,環境を学び,適応しながら街を作っていく,新たな切り口の都市建設シミュレーションゲームだ。
本作の特徴を簡単に紹介していこう。
植物を調査して特性を掴み,未知の惑星で生き残ろう
多くのサバイバル系都市建設シムと同じく,「Synergy」でもゲーム開始直後に取りかかるべきは,水と食料,そして住居の確保となる。
舞台となる惑星の自然環境は極めて過酷であり,定期的にやってくる乾季には気温が70度を超え,水は干上がり,植物は枯れてしまう。住民の生命を守るためにも,乾季が来る前に急いで生活の基盤を整えてあげる必要がある。
だが街を建設するのは,我々が知る地球とは異なる未知の惑星であり,マップ上で利用できる資源も異質なものばかりだ。
水を確保しようにも,周囲の水辺は有害な「毒水」になっており,直接利用することはできない。飲料水を入手するためには,水辺に建造した「浮桟橋」で毒水を採取し,これを「浄水池」に運んで「澄んだ水」に変えなければならない。
水と同じく食料も,簡単には入手できない。食料源となるのは多種多様な植物だが,プレイヤーはもちろん,ゲーム内の住民たちも,マップ上の植物が食用なのか,どんな特性を持っているのかはまったく分かっていない。
そのため,それぞれの植物の用途を詳しく知るには,「野外研究所」を建造して調査を行う必要がある。
ここで注意してほしいのは,1回の調査ですべての特性が分かるわけではなく,街の発展に応じて繰り返し調査を行う必要があることだ。
最初の調査で分かるのは,最も原始的な資源獲得の方法である「抜く」を選んだときの効果のみ。その後,「採集係の小屋」を建造してから再び同じ植物を調べると,この施設のアクションである「採取」によって得られる効果が分かる,といったように段階的に知識が増えていく。
特定の施設を建造しないと,新たな調査結果が得られない点を覚えておこう。筆者は当初,このルールが分からず,植物を繰り返し調査すれば全情報が明らかになると勘違いした結果,街の成長が大きく遅れてしまった。
周囲に生えた未知の植物を調査し,そこで得られる資源を使って街を発展させていく。このようなゲームシステムは,本作の最大の特徴と言えるだろう。というのも,食料を確保するだけでなく,施設を建造するうえでも,植物の調査は極めて重要になるからだ。
例えば,プレイヤーが最初に利用できる「石の家」を建てるには,周辺を採掘して獲得できる資源のカンタイイワが大量に必要だ。簡単に手に入ると思われそうだが,カンタイイワを掘りつくしてしまうと,その後はなかなか再出現しないうえに,技術開発における重要アイテムの道具を生産するためにも必要なので,実は需要が高い資源である。
つまり,住居を建てるためであっても,決して浪費は許されないという落とし穴が待っている。
だが,石の家にはカンタイイワのみを資材とするタイプのほかにも,植物の採集によって入手できる樹皮や木の幹などを部分的に利用して建造できるタイプが存在する。あらかじめ調査を行い,それらの資材を入手できる植物が近くにあることが分かっていれば,リソースの消費バランスを調整しながら街を発展させられるのだ。
ここまで紹介してきたように,本作では水や食料,住居を確保するにもそれぞれクセがある。とはいえ,周囲の植生などの環境に適応するようなゲームプレイを心がければ,サバイバルの難度はぐっと下がるはず。読者の皆さんも,ぜひ最適解を追い求めてほしい。
街の住民と一緒に手探りしながら,都市開発を進めていこう
生存に必要な資源の調達方法だけを見ても,従来のサバイバル系都市建設シムとはひと味違うことが分かる「Synergy」だが,街をさらに発展させていくには新たな挑戦が待っている。
その1つが人口の増加だ。各周期の開始時にランダムで子どもが生まれ,その子どもが次の周期に大人に成長することで人口は増加していくが,住民の満足度が低い序盤は増加のペースが極めてゆるやかになっている。
本作では大人の数がそのまま労働者の数となるため,生活必需品の確保と新しい施設の建造・運用とのバランスにはプレイヤーの戦略眼が問われる。
技術と文化の開発も興味深い要素だ。「研究センター」では技術,「叡智の殿堂」では文化を研究し,やがて新たな施設を建てられるようになるが,それぞれの開発項目のアンロック条件はなかなか厳しい。必要な資源やステータスをいかにして獲得するか,常に頭を悩ませることになるだろう。
とくに,街の文明水準を大きく向上できる中ランク以上の技術を研究するには,街に一定以上の文化度が必要だが,これは単に住居を建てていくだけではなかなか増加しない。そんなときは文化施設を建てて,住民の幸福度を高めていくと,技術開発に必要な文化度の条件をクリアできるだろう。
このように,技術と文化の開発は相互にリンクしているので,いわば「急がば回れ」的な研究計画を立てることが大事だ。
各施設の配置場所にも頭を使う。プレイスコアとなる「町の繁栄」度を高めるには,さまざまな広場を建造して専門地区を設定し,その地区内に関連施設を多く建てる必要があるため,最初は1か所に密集していた施設をいずれは各地区に再配置することになるだろう。
ちなみに施設を解体した場合,建造に使った資材は100%戻ってくるので安心してほしい。
なお,本作にはサバイバル系シミュレーションに付き物である,街の外部を探検する要素も存在する。「調査隊の小屋」を建造し,街の周辺に調査隊を派遣すると,新たな住民や資源が手に入ったり,逆に謎の怪物に襲われて仲間を失ったりと,さまざまなイベントが発生する。
筆者がアーリーアクセス版を遊んだ限りでは,「Synergy」は未知の惑星という舞台設定を存分に活かした都市建設シムと言える。ゲーム内の住民と同じく,プレイヤー自身も(とりわけ初回プレイでは)謎の植物を前に「これは何に使えるのだろう?」と首をかしげたり,施設を建てたはいいが,そこで生産するための資源がまったくなくて途方に暮れたりするといった状況に陥るかもしれない。
だが,ゲームプレイを進めて周囲の環境をどう活かせばよいかが分かってくると,それに比例して街を発展させることも楽しくなっていくはずだ。
そうした都市開発の楽しさに一役買っているのが,本作ならではの独特のアートスタイルである。ゲーム内に登場する施設は原始的にも文明的にも見えるのだが,このようなデザインはフランスを中心とするコミックアート「バンドデシネ」を牽引した作家・メビウス(ジャン・ジロー)にインスパイアされているそうだ。
惑星を開拓し,自分なりの街を作る際にはビジュアルの魅力にも注目してほしい。
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