スクエニの“生活シミュレーションRPG”「ハーヴェステラ」プレイレポート。スローライフよりも，ストーリーの続きが気になってしまうかも？

　スクウェア・エニックスは，新作RPG「ハーヴェステラ」を2022年11月4日（PC版は5日）に発売する。本作は，ファンタジー世界を舞台に冒険だけでなく農業や料理，牧畜といったスローライフも楽しめる“生活シミュレーションRPG”だ。今回4Gamerでは，本作をゲームスタートから1時間半ほど体験する機会を得たので，プレイレポートをお届けしていこう。


　先に断っておくと，1時間半ほどのプレイでは本作のスローライフ部分はほとんど触れていない。というのも，本作はストーリー面にも力を入れているようで，そちらを進めていたところ，ちょうどできることが広がるタイミングあたりでプレイ終了となってしまったのだ。
　今回は，主に世界観や冒頭のストーリーを紹介していくので，（すでに情報公開されている程度の）ネタバレはご容赦いただきたい。

　さて，本作の舞台となるのは，「シーズライト」と呼ばれる巨大な結晶体が存在する世界だ。4つ存在するシーズライトは，それぞれが四季をつかさどっており，この世界に生きる者はその恩恵を授かっていた。
　しかし，いつしかシーズライトに異変が生じ，季節の変わり目に「死季」という文字通り死の季節が発生するようになってしまう。死季が来るとシーズライトは異常発光し，大気には生命を脅かす光の塵が舞う。人々は，死季が終わるのを家の中でじっと待つしかない……。

輝く巨大な結晶体がシーズライト

　主人公は，そんな死季の中で，なぜか村の外で行き倒れていた旅人だ。死季のせいなのか記憶を失った主人公は，秋のシーズライト近郊にあるレーテの村に拾われる。

主人公は，性別に関わらず男性っぽいモデルも女性っぽいモデルも選べる

主人公を助けてくれるレーテの村の医者，クレス。この手のスローライフRPGのお約束というか，行く当てのない主人公の面倒を見てくれるめちゃくちゃいい人だ

　なるほど，ハーヴェステラはこの美しくも暗い部分のある世界を舞台にスローライフを楽しむRPGで，ここから自由な生活が始まるのね……と思うのはまだ早い。筆者もプレイ前まではそういうゲームだと思っていたのだが，実はなかなかクセのある世界なのだ。

　事件は，主人公が拾われた日の夜に起きる。レーテの村の北に隕石のようなものが落下するのだが，なぜかその物体には入口のようなものが。中に入ってみると未来的な内装の廊下と扉があり，何者かが倒れているではないか。甲冑と未来的なスーツを足して2で割ったような，赤い鎧に身を包んだその人物を，村の人たちは「魔族」と呼び，毛嫌いしている様子。しかし，負傷しているのに放ってはおけないということで，ひとまず主人公が住むことになった空き家に預けられることになる。


　そして翌日，寝たきりだった人物の赤い鎧が光り出し，「生命維持装置に，異常検知」などと合成音声が流れだす。合成音声が何なのか理解できない主人公は混乱するが，そうこうしているうちに，どうやっても外せなかった赤い鎧が勝手にパージされてしまった。そして，中からは女の子が。村人たちは，魔族の中から人間が出てきたという事態に驚くが，女の子は村人たちの話を聞いて，「自分は未来から来た」と，さらに驚くことを言い出した……。


　と，ここまで書けばお分かりだろう。本作はスクウェア・エニックスらしい，結晶体の存在を前提とした世界のファンタジーRPGだが，そこにSF要素も加わっているようだ。シーズライトや死季だけでなく，どう見ても未来技術な隕石や鎧（防護服らしい）がなぜあるのか，そもそも魔族とは何なのかといった謎が，初っ端からドカドカと投入され，先の展開が気になってしまう。


　プレイできた範囲でシステム面にも触れておくと，農作業はオーソドックスな感じだ。畑をクワで耕して，種をまいて，毎日ジョウロで水をやる。収穫したら出荷してお金に変えて，新たな種を購入というサイクルとなる。
　もちろん，収穫できた作物は料理に使うことも可能で，HPや農作業などで減ったスタミナが回復できる。とくにスタミナは，何かを食べて胃袋ゲージを満たせば自動回復する仕組みなので，できるだけ食事を取ったほうがよく，自分で育てた作物で何を作るのか考えるのも楽しそうだ。

畑を塞ぐ邪魔な石は，ハンマーを作って破壊できる

　本作の戦闘は，非常にシンプルだ。リアルタイムでの戦闘ではあるのだが，アクション性は薄い。と言うのも，回避のアクションが存在しないので，敵と殴り合いになるのだ。ジョブごとにさまざまなスキルは用意されており，通常攻撃以外の攻撃手段も存在はするのだが，クールダウン制で連発ができず，少なくとも序盤の範囲では，戦闘中に取れる選択肢は少ない。そのぶん，被弾が避けられないので，回復アイテムをしっかり準備するなど，リソース管理は必要になるだろう。
　裏を返せばプレイヤーのプレイスキルに依存しないため，レベルや属性を把握すれば誰でも進められそうだ。ダンジョンには素材収集で何度も潜るため，アクション性は薄くしているのかもしれない。

初期のジョブはファイターだが，この画面を見るにジョブの種類は多そうだ。ジョブごとのアンロック画面でも，けっこうな数のスキルが用意されていたので，戦い方も変わってくるのかもしれない

パーティでの戦闘も用意されている。最初に仲間になるのが中身の分からない魔族でちょっとびっくり

　今回の試遊を通して，本作の作りとしては，「スローライフのついでにストーリーを進める」というよりは，「ストーリーが軸に合って，合間にスローライフが楽しめる」ような印象だ。ストーリーをメインに進めたため，1時間半遊んでもスローライフ要素があまり出てこないのに加えて，戦闘もシンプルで，かなり割り切った仕様に感じられる。
　一方で，ストーリー部分は「掴みはOK」という感じで，どのような展開が待ち受けているのかとても気になる。“生活シミュレーションRPG”なのに，生活よりも早く先が見たいということになりそうだ。
　今回プレイをした範囲が遊べ，製品版にセーブデータを引き継げる体験版がニンテンドーeショップにて配信中なので，興味が出たら触ってみよう。

「ハーヴェステラ」公式サイト

「ハーヴェステラ」体験版