［インタビュー］TGSで国内初の試遊機会！　新作RPG「イザリア: Reスタート」のプロデューサーに聞く

　XDは，開発中の新作「イザリア: Reスタート」を，2024年9月26日に開幕する東京ゲームショウ2024にプレイアブル出展する。


　本作は，近未来の仮想都市「イザリア」を舞台にしたRPG。主人公はイザリアへの移動能力を持った「ハイパーリンカー」と呼ばれる存在で，イザリアのデータから生まれた生命体「異格者（アニマス）」とともに，この世界を侵食する「ジェネシス」との戦いを繰り広げる。ターン制のバトルを採用しながら，アクション要素を取り入れているというシステムも特徴となりそうだ。

　2022年に発表されたものの，国内向けの試遊機会は今回が初で，まだ詳細が明かされていない部分も多い本作。気になるところをプロデューサーであるジャック・シュウ氏にメールで聞いた。


4Gamer：
　今回の東京ゲームショウが日本での初試遊出展ですが，2022年の発表から2年が経過していますし，個人的にはその間，あまり情報も出ていなかったように感じます。開発の方向転換などがあったのでしょうか。

ジャック・シュウ氏（以下，シュウ氏）：
　開発の方向は，イザリアが立ち上げられたころから一度も変わっていません。私たちは，戦略ターン制RPGというカテゴリでプレイヤーの皆様に独特で素晴らしいゲーム体験を提供することに尽力しています。

　中国本土では，3回めのβテストを行う予定です。そこではキャラクターやボス，シェルなどのコンテンツを充実させるだけでなく，多くのストーリーチャプターが追加となり，メインストーリーには中国語と日本語の両方のボイスを実装します。
　また，今回のテストでは新しいPvEチャレンジが追加されます。さらに，リアルタイムのPvPモードも今回のテストで初公開致します。

　豊富で高品質なゲームコンテンツとゲーム体験を作り出すためには，このような時間と労力を投入する価値があると考えています。プロジェクトが進行するにつれて，私たちは継続的に開発チームの人員を拡充し，チームの生産力とバージョンの品質を向上させていきたいと思っております。

4Gamer：
　本作の舞台として，ファンタジーやSF世界ではなく，仮想世界を選んだ理由を教えてください。

シュウ氏：
　プレイヤーに親しみやすく，新鮮さにあふれる体験をしてもらいたいからです。仮想世界は現実世界と密接につながりながらも，独自のルールや挑戦があるので，プレイヤーの没入感が高まり，異なる世界での冒険の興奮と楽しさが生まれると考えています。
　また，仮想世界は私たち開発者に多くの創作の余地を提供してくれるので，より豊かで多様な物語やキャラクターを展開できます。


4Gamer：
　世界設定には「イザリアに移住する」という表現があります。イザリアへの移住には「霊子化」という技術が必要になるようですが，仮に現実世界が崩壊しても人々が生き延びられるような世界なのでしょうか。

シュウ氏：
　人間はイザリアへの霊子化移住後，異格者と共にイザリアの世界で生活できます。
　一方で，現実世界では人類の文明が巨大な危機に直面しています。生存が不可能というわけではありませんが，「極雪」「昏睡病」などの脅威が存在しており，生存環境は非常に厳しいものとなっています。

　人間は驚異的な生命力と適応力を持っているので，そんな現実世界でも生き延びられますが，全体として見れば，イザリアのほうが人類に比較的安全で安定した生存環境を提供しています。
　現実世界の危機が解決できるかどうかについては不確かな部分が多く，まだ分かりません。物語の展開に注目してほしいです。


4Gamer：
　現時点で分かっている情報からは，現実世界と仮想世界であるイザリアの両方が危機に瀕する中，主人公がイザリアを守るために戦うことが分かりますが，現実世界でのほうでも何らかのミッションのようなものがあるのでしょうか。

シュウ氏：
　作品のほとんどのイベントはイザリアの世界で起こりますが，主人公は霊子化されていない人類であるため，普段は現実世界で生活しています。現実世界の危機を解決するミッションが登場するかどうかは，今後のお楽しみですね。

4Gamer：
　イザリアの脅威となるジェネシスはウィルス的な存在のようですが，主人公たちが実際に戦うのはジェネシスそのものなのでしょうか。それとも，ジェネシスに感染したイザリアの住人なのでしょうか。

シュウ氏：
　イザリアで主人公が直面する脅威は，ジェネシス自体だけでなく，ジェネシスに感染したイザリアの住民，緊急遮断空間，改造された異格者，その他の勢力など，複雑なものになっています。
　緊急遮断は，仮想政府のデータ空間に対する一種の保護メカニズムです。空間内に異常が発生すると，ハイパーリンカーは強制的に転移させられて，異格者は空間内に閉じ込められてしまいます。そして遮断された空間は低級異格者に大きな影響を与え，モンスターに変えてしまいます。そしてモンスターはシステムに「除去」されます。ジェネシスはデータ活動を促進させ，空間内の建物や地形を混乱させます。


4Gamer：
　アニメテイストのグラフィックスを採用し，キャラクターの魅力を前面に押し出すタイトルは最近の流行でもありますが，「イザリア」のキャラの魅力はどのあたりにあるとお考えですか。

シュウ氏：
　「イザリア」のキャラクターの魅力は，その多様性と深さです。各キャラクターは独自の性格，バックグラウンド，物語を持っていて，ゲームを通して彼らの内面世界を深く理解できます。アニメテイストのアートデザインはキャラクターをより魅力的で愛らしく表現し，魅力を最大限に引き出してくれます。
　さらに，多様なキャラクターは，ゲームに豊富な戦略的組み合わせの可能性を提供してくれるので，プレイヤーのみなさんはその奥深さを体験できると思います。

4Gamer：
　東京ゲームショウのブースでは「ドキ」「シャダ」「ドロシー」「朧」「練」のコスプレイヤーが来場者を出迎えてくれるようですが，この5人を選んだ理由を教えてください。

シュウ氏：
　彼女たちが代表的なキャラクターであり，人気も高いからです。練は信頼の代名詞であり，豊かな実戦経験と鋭い洞察力を持っています。シャダはDOKIエンターテイメントのトップスター的存在で，魅力に溢れています。ドロシーは無邪気で元気な異格者少女で，朧は冷静で優秀なリーダーです。ドキはデータ生命体で実体を持ちませんが，欲望の炎を胸に秘めています。
　彼女たちの特徴や物語を通して，プレイヤーの皆様にキャラクターの多様性を感じていただきたいです。それは戦略ターン制ゲームの魅力にもつながると思っています。

4Gamer：
　本作のバトルにターン制を採用したのはなぜでしょうか。

シュウ氏：
　ターン制戦闘は，プレイヤーに戦略を考える十分な時間を与えてくれますから。開発チームにもターン制ゲームのファンがたくさんいます。
　「イザリア」のプレイヤーは，キャラクターの特性やスキル属性，戦場の状況などを総合的に考慮して意思決定を行いますが，このような戦略的思考の深さが，ゲームをより挑戦的で楽しいものにしてくれます。
　また，本作には豊富なキャラクター育成システムと独自のスキルギミックがありますが，ターン制はこれらの要素を強調するので，戦闘中にも育成成果を存分に感じてもらうことができると思います。

4Gamer：
　基本はターン制RPGでありつつ，アクション要素もあるとのことですが，具体的にはどのような部分にアクション性があるのでしょうか。

シュウ氏：
　アクション要素は，主に箱庭探検で楽しめるもので，登る，隠れるなどに加えて，フックなどのさまざまなものがあります。
　メインストーリーの進行において，没入感は非常に重要になるため，3Dの箱庭でのアクション要素で没入感を高め，さらにはキャラクターにも強い印象を持てるように工夫しております。


4Gamer：
　主人公（ハイパーリンカー）と異格者には，バトルにおいてできること/できないことに違いなどがあるのでしょうか。

シュウ氏：
　戦闘では，プレイヤーのみなさんはハイパーリンカーとして戦略を立てます。
　ハイパーリンカーは，ハイパーリンク能力を利用してイザリア世界の危機を解決し，異格者と人類をジェネシスから保護する者です。異格者は，人類を超えた特別な能力を持っており，強力な攻撃力や特殊なスキルを持っています。 各異格者は，独自の能力を用いて，戦闘中にさまざまな役割を果たします。

4Gamer：
　それぞれの異格者には，サポート役の「シェル」を付けられるようですが，組み合わせは自由にできるのでしょうか。また，相性のよさなどはあるでしょうか。

シュウ氏：
　異格者とシェルは自由に組み合わせられます。組み合わせによって，戦闘中に発動する効果が変わりますが，最適解はありません。PvE，PvP，ボス戦などによって組み合わせは変わってくるでしょう。
　ゲームの戦闘状況はさまざまなので，それに応じた調整を行うことが，最大の戦闘力を発揮することにつながります。

4Gamer：
　現在のところ，現実世界でのバトルが存在するという情報はありませんが，仮にあるとしたら，設定上，異格者の助けは借りず主人公だけで戦うことになるのでしょうか。

シュウ氏：
　現実世界で戦闘が発生するストーリーやプレイはまだ存在していません。ただ，現実世界は終わりを迎えているので，主人公はイザリアの世界の危機を解決して現実世界の補給品（食料や水など）を得る必要があります。それ自体が挑戦だと思っています。

4Gamer：
　PvEとPvPでは戦略も異なってくるとのことですが，具体的にはどのような違いが出てくるでしょうか。

シュウ氏：
　PvEでは，ステージの特性や敵の属性に応じた戦略が必要になります。プレイヤーはキャラクターの育成と組み合わせに重点を置くことができ，自分の実力を向上させてより高い難度のステージに挑戦していくことになるでしょう。


　一方PvPでは，ほかのプレイヤーと対戦するため，相手の戦略やキャラの組み合わせが予測しづらいものになります。そのため，戦略を柔軟に調整し，状況に応じた編成をしなければなりません。また，制限時間内に的確なBan/Pickを行うことも必要になります。

4Gamer：
　東京ゲームショウに来場する人たちには，試遊版のどのあたりに注目してもらいたいですか。

シュウ氏：
　1つめは戦闘システムです。ターン制戦闘とアクション要素の組み合わせを体験し，戦略思考と緊張感を楽しんでください。
　2つ目はキャラクター育成システムです。ご自身のお気に入りのキャラクターをどのように育成し，戦闘力を上げるのかを実際に体験してみてください。
　3つ目はストーリーと世界観です。近未来の仮想，現実世界を行き来し，ゲームの世界に没頭していただきたいです。
　最後はグラフィックスとサウンドです。コンシューマゲームのクオリティに劣らない体験をしていただきたいですね。

4Gamer：
　今回，ゲームショウ会場に足を運べない人たちも含めて，本作を待ちわびている人へのメッセージをお願いします。

シュウ氏：
　本作を心待ちにしているみなさんのご支援とご期待にとても感謝しております。私たちは常に高品質のゲームを作ることを目標に掲げつつ，できるだけ早く，みなさんに新しいゲーム体験をお届けして，本作の魅力を味わっていただきたいと思っています。
　この仮想都市で，私たちと共に，素晴らしい冒険の旅を始めましょう。