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  • 発売日:2022/12/08
  • 価格:3200円(税別)
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印刷2022/12/20 14:07

プレイレポート

[プレイレポ]17年の時を経て蘇った通好みの対戦格闘ゲーム「ザ・ランブルフィッシュ2」,その魅力と追加要素をチェック

 2022年12月8日,3gooから発売された「ザ・ランブルフィッシュ2」PC/PS5/Xbox Series X|S/Switch/PS4/Xbox One)は,2005年にアーケードに登場した対戦格闘ゲームだ。本稿では,独自性の高いシステムを中心に高い評価を得ていた本作の概要や,PC&家庭用ハードに移植されるにあたって追加された機能を紹介する。なお,本稿ではPS4版を使用して撮影を行っている。

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2つのゲージを使用した攻防が随所で発生する独自性の高い対戦


 「ザ・ランブルフィッシュ2」は,2004年にサミー(当時)よりリリースされたアーケード向け2D対戦格闘ゲーム「ザ・ランブルフィッシュ」の続編として誕生したタイトルだ。
 稼働がスタートした2005年は,採用された基板(ATOMISWAVE)の出回りの悪さ,ライバルタイトルの隆盛(当時のゲームセンターでは格闘ゲームはもちろん,アーケードカードゲームなどのジャンルの人気作も多数稼働していた)といった要因が重なり,残念ながら大ヒット……とはいかなかった。

 しかし個性の強いキャラクター,独自性の高いバトルシステムから,対人戦の評価は高く,2012年にはタイトーのネットワーク対応基板,NESiCAxLiveでの配信が始まった。今もなお,有志による大会が開催されるなど,支持され続けている。

アーケード版の稼働当時,S.M.A.(Smooth Model Animation)と名付けられたキャラクターのモーションも「ザ・ランブルフィッシュ」シリーズの特徴
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ビジュアル面の演出としては,S.M.A.以外にも試合の展開(どの部位に多く攻撃がヒットしたか)によって,衣装が破れたり顔が腫れ上がったりする演出も取り入れられていた
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 そんな根強いファンを抱えている「ザ・ランブルフィッシュ」シリーズのバトルシステムは,いまでも“古さ”を感じさせることはなく,逆に斬新にさえ見える点も多い。
 本作には試合中の行動で溜まるゲージが2本(オフェンスゲージ,ディフェンスゲージ)存在し,ゲージを消費して実行できる特殊行動やアーツ(超必殺技的な存在)が非常に豊富だ。ガード不能かつ当たれば空中に浮いた相手に追撃ができる「ジョルトアタック」,ほとんどの技からキャンセルして攻めを継続,もしくはコンボにつなげていける「アドバンスドアタック」など,特にオフェンスゲージを使うと発動できる行動は強力。本作はガードクラッシュが起こりやすいため,技を出して攻めることに「強い」「気持ちいい」と感じやすい作りになっている。

オフェンスゲージを消費して実行できる行動が豊富で強力。画像はガード不能技かつ空中コンボ始動技のジョルトアタック
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ガード耐久値はどのキャラクターも低め。ジャンプ攻撃から地上技をガードさせたり,アドバンスドアタックで攻め続けたりすると容易にガードクラッシュが起こせる
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 攻めが強烈な一方で,ダッジボタンを使った「グラウンドダッジ」「エリアルダッジ」「ハイエアーダッジ」といった攻撃回避を兼ねた移動や,「インパクトブレイク」といったゲージを消費する防御手段を成功させると攻守が逆転するのも面白い。
 特に攻撃後の硬直が大きい技にインパクトブレイクを合わせると,反撃でそのままコンボに移行できるケースも少なくないため,熟練者同士の対戦では単調な攻めが許されない。すると今度は通常技における連係の自由度が高いラッシュコンボの存在や,“通常技をキャンセルする受け付け時間が長い”という本作特有の仕様が“インパクトブレイクつぶし”として機能してくる。
 技の振り方や連係にも駆け引きが生まれ,相手の行動を読み合うポイントが多い。それが「ランブルフィッシュ」の大きな魅力と言えるだろう。

単調なタイミングでくり出される連係には,インパクトブレイクを合わせることで反撃が可能。攻める側はラッシュコンボのルートを変えたり,ディレイをかけたりして対抗する必要がある
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相手の攻めを切り返す性能が備わっていることが多いゲージ消費技や,ディフェンシブアーツでの割り込みやぶっ放しも実戦では有効
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 各種ゲージの使い方や技の振り方,試合中の読みなど,システムを活用することでプレイヤーの個性が出しやすい「ザ・ランブルフィッシュ」シリーズだが,プレイアブルキャラクターの個性(性能)も負けず劣らず際立っている。

 とっつきやすいビジュアル&性能を持ったカヤとアラン,投げキャラであるオービル,スピードキャラのタイフォン,飛び道具が強いグリードなど,格闘ゲームにいてほしいタイプのキャラクターを押さえたうえで,クセの強いキャラクターも揃っている。
 特に「ザ・ランブルフィッシュ2」から参戦したキャラには,キャラクター固有のゲージや構え,トリッキーな設置技が備わっており,それぞれの強みを押し出した尖った戦いが可能だ。

ガードクラッシュがかなり発生するため,打撃でラッシュをかけられるキャラはシステムの恩恵を感じやすい
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設置技が強力なシェリルと,ヒートゲージと呼ばれる固有ゲージを持つラッド。「ザ・ランブルフィッシュ2」の追加されたキャラクターは特に個性的だ
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「ザ・ランブルフィッシュ2」から導入されたゲージ消費技,ブーストダイブ。発動すると背景が変化し,キャラクター固有の特殊能力が付与される
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ゲーム内で足りない情報は有志の研究に感謝しながら補い,対戦やトレモを楽しむ


 今回発売となったPC&コンシューマ機版には,アーケード版にはなかった要素が搭載されている。
 アーケード版をプレイしたことがある人ならすでにお気づきかもしれないが,移植版は画面比率が4:3から16:9に変化している。その結果,アーケード版よりステージが広くなり,画面端に追いつめられるまでの猶予がある,画面端から跳ね返ってきた相手への追撃が入りにくい,といった変化が起きているようだ。アーケード版をただ移植したのではなく,現代向けにアレンジされた“新バージョン”の「ザ・ランブルフィッシュ2」と評したほうがいいかもしれない。

キャラクターの技性能やシステムの仕様などは,2012年稼働のNESiCAxLive版がベースになっている模様。一部キャラクターに技の追加や,2005年のATOMISWAVE版よりも上位キャラと下位キャラの性能差が縮まるような調整が施されている
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 なお,筆者は画面比率の変更がゲームそのものの魅力を損ねているとはまったく思わないが,“2022年に発売された対戦格闘ゲーム”として見ると,オンライン対戦にランクマッチや再戦機能が存在しない,トレーニングモードの設定項目がややさびしい,といったゲームモードの仕様には物足りなさがある。ちなみにオンライン対戦そのものはロールバックシステムを採用しているおかげか,非常に快適だ。

 そして,NESiCAxLive版から約10年ぶりに「ザ・ランブルフィッシュ」シリーズと再会した筆者のようなプレイヤーにとっては,独自性が高いバトルシステムや,キャラクターの基本性能とコンボに関するチュートリアルがない点にもハードルの高さを感じる。
 ただ,このうちシステム面については公式サイトの“遊び方”のページ(外部リンク)や,開発元のディンプスのスタッフが語る解説動画でかなりディープに掘り下げられており,こちらに目を通すことで当時の雰囲気を思い出せた。復帰勢はもちろん,今回の移植を機に初めて触れる人にとってもゲームシステムを理解するための大きな助けになるはずだ。


 キャラクターの動かし方やコンボに関しては,現役勢の有志がまとめたと思われるインターネット上の攻略情報をもとに,トレーニングモードで基本コンボを練習すれば,対CPU戦もオンライン対戦も楽しめるようになるだろう。

 今回の移植版に用意された要素が,現代のフルプライスの格闘ゲームと比べると見劣りするのは事実だ。しかし,シリーズのファンが残してきた情報を能動的に吸収しようとすれば,「ザ・ランブルフィッシュ2」が持つ対戦の魅力を体感できるはずだ。

アーケードモードをクリアするとアンロックされるギャラリーモードなど,シリーズのファンに向けた要素は充実している
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 独自性の高いシステムと尖った個性のあるキャラクター,そこから生まれる駆け引きは現在でも十分刺激的に感じられる。若干不便なオンライン対戦の仕様は今後のアップデートで改善されるようなので,かつての「ランブルフィッシュ」勢は言わずもがな,17年を経て蘇った移植版の発売で興味を持った人は,ぜひプレイしてみてほしい。

「ザ・ランブルフィッシュ 2」公式サイト

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