企画記事
ゲーム会社がカレー屋さんを……? 埼玉・伊奈町の本格インドカレー店「カレーライス&ばる しえすた」の“ポークビンダルー”に夏の衝撃
原作・藤川よつ葉氏と作画・あづま笙子氏による,大学生の黒部ちな(18歳)が女子寮のカレー好き女子大生とワチャワチャあって関東を中心にカレーの名店をめぐる華麗(かれえ)なるキャンパスライフがはじまる竹書房のマンガ「今日もカレーですか?」第5巻は面白いなあ。
などと,飽くなきマンガ研究に従事しているとき作中で。
「ゲーム会社さんがつくったカレー屋さんなのであります!」
「ゲーム!?」※同マンガ第5巻 139項のセリフを引用
という流れから,埼玉の「カレーライス&ばる しえすた」なるお店が紹介された。そこには,おいしそうなカレーが描かれていた。
ゲーム会社がカレー屋を? しかも見るからに本格系?
ネットで検索してみると,店舗の公式サイトやTwitterが表示された。でも関連性についてはあまり紹介されていない。これいかに。
というわけで,今回はアイデアをくれた「今日もカレーですか?」に最大限の敬意を示しつつ,ゲーム開発会社のロケットエンジンが運営する,「カレーライス&ばる しえすた」を取材してきた。
はてさて,ゲーム畑の人がどうしてカレー屋をやることに?
そこにはまろやかで深いコクがあった。
「カレーライス&ばる しえすた」公式Twitter
ゲーム30年。カレー12年。
4Gamer:
なぜ,ゲーム屋さんがカレー屋さんをやってるのでしょう。
加藤 清氏(以下,加藤氏):
深夜に作ったポークビンダルーがすっごくおいしかったからです。
4Gamer:
なるほど。
加藤氏:
まずは企業面を説明させていただきますと,このお店は株式会社ロケットエンジンの事業における一部署となります。
ロケットエンジンは2012年に代表の西澤と近藤が立ちあげたゲーム開発会社ですが,実は「Studio SiestA(スタジオ シエスタ)」という前身の同人ゲームサークルがありまして(現在は同社のゲームブランド化),この「カレーライス&ばる しえすた」もその名前にちなんで2018年12月に,ここ埼玉県の伊奈町にオープンしました。
ついでに会社もスタジオもすぐ近所です。みんな地元なので。
※主なアクセス:埼玉新都市交通(ニューシャトル)「羽貫」から徒歩。湘南新宿ライン「上尾」「北上尾」からバス。駐車場もアリ
4Gamer:
そういう。どんないきさつがあって,このようなことに。
加藤氏:
カレーに目覚めたのは,まだロケットエンジンになる前の話になります。きっかけは2011年の東京ゲームショウで,知り合いの会社さんに招待されて,Studio SiestAのメンバーが何人かで行ったときこと。その帰り際に,カレーの匂いがしたんですよね。
幕張メッセ内のレストランって言えば,分かります?
4Gamer:
そりゃもう。あの時期,我々は何度もホールを行き来しつつ上り下りするので。「ワールドキッチンズ」も「ロイヤルガーデンコート」も目に焼き付いているレベルで思い描けます。入ったことないですが。
加藤氏:
そうでしたか(笑)。それで,みんなでお腹を空かせていた帰り道に,お店から漂ってくるカレーのイイ匂いにあてられたんです。
けれど,その時間帯は満席で,とてもじゃないですが入れる状況じゃありませんでした。でも私たちの頭はカレーカレーカレーになってしまい,「事務所に帰ったらカレー作ろう!」となったんですよね。
4Gamer:
そして,そのときに作ったのが。
加藤氏:
ジャワカレーです。ご家庭でよく食べる日本人らしいカレーです。
4Gamer:
ポークビンダルーじゃない。私もジャワ派ですが。
加藤氏:
あれがたぶん,スタジオ内で初めて本気でカレー作りに挑んだ瞬間でした。Studio SiestAは当時,ゲーム関連のお仕事を多数請け負いつつ,加えて内製のゲームも作っていたため,作業時間が深夜どころか徹夜に及ぶことも多かったです。そして,そんな時間に食事ができるお店が周囲になかったので,自炊によるまかない作りが習慣化していました。
そういったこともあり,料理にはもともと慣れていまして,当時も非常にこだわって作っていた記憶があります。
4Gamer:
まかない第2弾もカレーで?
加藤氏:
はい。もうすっかりカレーの魅力に憑りつかれてしまって,どんどん本格的なインドカレーを作るようになって,気付けばスパイスを大量に仕入れるようになりました。そんななか「ポークビンダルー」というカレーに出会ったのですが,これが衝撃的においしかったため,それがそのまま今のウチの看板メニューになっています。
ポークビンダルーの特徴は“お酢”を使っていることで,後味に酸味があるんですよ。私は当初「カレーにお酢を……?」と懐疑的だったのですが,一口食べたら,これがもう,すっごくおいしくて。
みんなして「こんなのありなんだ!」と虜になりましたね。
4Gamer:
カレーにお酢……んぅ,餃子や油そばにもお酢をかけない派としては,んんんーー……(数十分後の実食で即落ち)。
加藤氏:
これがまたビックリするくらい合うんですよ(笑)。
それから私たちは,ひたすらポークビンダルーを作りました。いろいろな資料を読んで,それぞれの好みの味に整えつつ,その一方でスパイスを入れすぎて失敗したり,隠し味をやりすぎたりしながら,多いときは週5でポークビンダルーを作っていましたね。
もちろん,当時はただのまかないです。ポークビンダルー以外のさまざまなカレーにも挑戦しはじめましたが,「いつか脱サラして,のんびりカレー屋さんやりたいね」という軽口も冗談半分だったくらいです。
4Gamer:
しかし,冗談では終わらなかったようで。
加藤氏:
そうした日々がすぎていき,しばらくしてからです。
ロケットエンジン経由の知り合いでもあった,とあるお店のオーナーさんから「この場所のお店を閉める」という話を耳にしたんです。
4Gamer:
物語が動きましたね。
加藤氏:
そのとき,フワフワと考えてはいたカレー屋の企画書を気合入れて作って,オーナーさんにもポークビンダルーを試食してもらいました。そしたら「これは珍しくておいしい。これならお店もいけるかもね」とお墨付きをいただけて,この場所を取り計らってもらえることになりました。
そして私はゲーム作りの現場から離れて,ロケットエンジンの社員として,この店の店長になることを決心したんです。
4Gamer:
カレー作りから数えると約7年。店舗経営だと約5年。
カレーの探求は,ゲームクリエイターの気質に合うんですかね。
加藤氏:
周りのゲームクリエイターたちも,一度ハマると「あれ入れたらいいんじゃないか」「こうしたらいいんじゃないか」と飽くなき追求にのめり込んでいったので,性に合うのかもしれませんね。
4Gamer:
カレー性の違いでケンカになったりは?
加藤氏:
トライ&エラーと紆余曲折は多々ありました。
でも,ケンカとかはなかったです(笑)。
4Gamer:
会社自体は,それ以前から多角経営をしていたんですか。
加藤氏:
いえ,ゲーム以外はまったくの素人集団でした。
私も私で「おいしく作るにはおいしい食材を使う」という思想が強く,飲食店としては原価がちょっと高いような気がしています。利益は計算していますが,普通ならかけるべきではないコストになっていそうで。
それでもやっぱり,味に迷ったときに思いきっていい食材を使うと,それだけでピッタリとまとまることが多いんです。
4Gamer:
しかも,お安いですし(看板のポークビンダルーは790円)。
例えば自炊の味とお店の味って,うま味調味料の差とも言われがちですが,飲食を生業にするうえで意識した作り方とかはありましたか。
加藤氏:
それで言うと「味の安定化」が大変でした。自炊だと多少いつもと違っても「これでいっか」で済ませますが,お客さんに出すとなると,いつでも同じ味で提供できるようにするのが本当に大事だなって。
4Gamer:
それは,分量をキチンと守るとかの話で?
加藤氏:
食材の分量や調理時間はもちろんなのですが,夏場や冬場の気温差や,ガスの出方でも微妙に味が違っちゃったりするんですよね。
4Gamer:
あー。それはさすがに自炊じゃ気にしないやつ。
加藤氏:
お店を開く前は,プロの方々が「湿度でも味が変わる」と言っていたのを話半分に聞いていたんですが……確かに,火の出方や通り方などが変化するんですよ。そのへんはお店を持ってから気付きました。味の均一化のためには,常に味見を欠かせません。
料理自体は昔から好きでしたが,飲食業については甘く見ていたところもありますので。昔も今も,反省と反映の繰り返しです。
4Gamer:
もう完全にプロの料理人なんですね。
今はゲームを作ったりはしないんでしょうか。
加藤氏:
ゲーム自体は作っていないです。ただ会社の仕事として,動画制作をちょこちょこやっています。昔取ったきねづかということで。
直近だと,最近発売されたX68000 Zで,リモテクスさんのX68000用ソフト「SHOOTING68K Z-EDITION」などのPVを制作しました。
おじさんの○○○の香り……?
4Gamer:
あらためて。カレー屋としてのコンセプトはなんですか。
加藤氏:
“伝統的なインドカレー”です。
盛り付けなどは,最近のトレンドであるスパイスカレーに寄せていますが,基本は現地の伝統的なレシピを大切にしています。
昨今はありがたいことに,インドの方々がYouTubeでレシピを公開してくれていたりするので,よく参考にさせてもらっています。
4Gamer:
インドカレーの特徴ってなんなんでしょう? さすがに食べたことはあるものの,聞かれても答えられないくらいの知識でして。
加藤氏:
日本や欧米では主に,バターと小麦粉を炒めてルーを作りますが,インドカレーは小麦粉を使わず,炒めた玉ねぎをベースにします。
あと,火入れのときに煮込まないってのも重要です。
4Gamer:
カレーなのに煮込まない? 煮込み信仰が強くて想像できず……。
加藤氏:
いろんな考え方や,モノにもよるのですが,スパイスって火を通すほど食材となじむものの,煮込みすぎると香りが薄くなっていくというか,飛んでしまうと私たちは考えています。なので多彩な香辛料の香りを楽しむインドカレーでは,火入れの時間もしっかりと計算して,煮込まないように仕上げるのがとても大事なことかと思っています。
そのぶん,仕込みにはものすっごく時間をかけますけどね。
4Gamer:
はえー。食材はどうですか。日本で手に入らないものがあったりは。
加藤氏:
ウチは現地で使われている食材を最優先に確保しています。
例えば,期間限定で「チェティナードカレー」(南インドのスパイシーなチキン系)を作っていたときは,マラシモグ(インディアンケッパー)やカルパシ(ストーンフラワー)を輸入していました。
このカルパシっていうのは「おじさんのオーデコロンみたいな香りがする」と言われる,なかなかに強烈なスパイスでして。
4Gamer:
おじさんのオーデコロンの香り……まるで想像できない。
加藤氏:
いい香りなんですけど,ほんとすごいんですよ。遠くから香ると「これおじさんだ!」って感じで(笑)。
そうした現地の食材をなるべく使っていますが,やはり日本ナイズは必須なので使用量は調整します。カルパシの場合,カレー15人前に対して,小指の爪の先っぽくらいの量を入れるだけで十分に香りますね。
4Gamer:
そうしたカレーは,何種類くらい提供しているのでしょう。
加藤氏:
今は豚肉の「ポークビンダルー」。鶏肉の「タンドリーチキン」。それと「今日もカレーですか?」に登場した,埼玉県北本市のB級グルメをアレンジした「芳醇!北本トマトカレー」の3種類です。
このほか,季節限定カレーを約1週間,約1か月などのスパンで用意しているので,常時4〜5種類ぐらいは出せるようにしています。
あとはサイドメニューだったり,自分のお酒好きが高じたアルコール類だったりで,夜の部はバーとしても運営しています。
4Gamer:
ウイスキーのワンショット300円。これまたお安い。
限定カレーのほうはどんな感じですか。
加藤氏:
タイカレーやスリランカカレー,あとは羊肉を使った「マトンローガンジョシュ」など,そのときの仕入れ次第ですね。
以前はビーフもマトンもレギュラーメニューでしたが,最近の食材価格の高騰もあって出しづらくなってしまって。いい出物を見つけたときに買い込んで,短期間だけ復活させるスタイルになっています。
ちなみに先週は,ほうれん草ベースの「サグカレー」でした。
4Gamer:
あっ,一番好きなやつです。優しい味わいが好き……。
加藤氏:
ウチのは基本,どれもスパイス濃いめでカラいですけどね(笑)。
■ナスカレー(提供写真) |
■サグチキンカレー(提供写真) |
■北本トマトカレー(提供写真) |
■マトンローガンジョシュ(提供写真) |
■ポークビンダルーカレーパン(提供写真) |
■カードチリ(提供写真) |
4Gamer:
最近のカレー業界では,スパイスカレーが評判でしたけど。
インドカレーとスパイスカレーは,また違うものなんですか?
加藤氏:
伝統的なカレーのセオリーにとらわれず,いろんな香辛料を組み合わせて作るのがスパイスカレーだと考えています。日本では大阪方面を中心に発展してきて,出汁に鶏ガラやブイヨンではなく,鰹だしを使うなど,日本独自の食文化をベースに考案されたものも多いように感じます。
そのうえで,今はさらに進化して“型にとらわれずに作るカレー”になってきました。要は,好きなものを組み合わせるって方向性です。
4Gamer:
スパイスありきではなく,創作カレー的な?
加藤氏:
そうです。スパイスは多種多様に使っているんですが,それ以外は自由にやろうってスタンス。だから,お店によっては鯛だしを使い,鯛のお刺身まで乗せるなど,オリジナリティで勝負していますね。
4Gamer:
一昔前のラーメン戦争を,カレーでやってる感じなんですね。
しかし,だし入りと聞くと,そば屋のカレーを思い出すような。
加藤氏:
私も最初はそのイメージでした。でも,大阪の有名店では風味の柔らなマナガツオをだしに使ったりしているようで,いわゆるそば屋のカレーのような力強い和風系とはまた違うんですよ。
スパイスは人を選ぶかもしれませんが,こうした味の調整が日本人にマッチしたことで,今の流行につながったんでしょうね。
4Gamer:
ちなみにそろそろ夏ですが。カレー屋って夏はどうなんですか。
加藤氏:
夏はカラいものが好まれる傾向にありますね。それでいろいろと食べ歩きして研究してきた結果,「今年はこれだ!」とどハマりしてしまったのが,上野の名店で考案された「カシミールカレー」でした。
4Gamer:
あっ,セブン-イレブンのカレーフェアで見たけど,感想が「からい」「カラい」「辛い」だったので怖くて食べなかったやつ。
加藤氏:
そう。カシミールは口当たりがよいサラサラ系のカレーなんですが,めちゃくちゃカラいんです。カラいんですが,カラいだけじゃなくて,謎のうま味による中毒性がすごい激辛系なんです。
ホントめちゃくちゃカラくて,食べた直後は「しばらくいらない……」と思うけど,時間が経つとまた食べたくなる。最近のイチオシです。
4Gamer:
ラーメン界でもよく聞く感想ですね。こうしたカレー業界に身を置いてからそろそろ5年とのことですが,ほかに課題はありましたか。
加藤氏:
やっぱりというか,物を売るのって難しいですよね。ゲームにしろ,面白いものを作る自負があっても,売るための手法もいろいろ知らないといけません。とくに自分はパブリッシングは門外漢でしたし。
お客さんにできる最大限のサービスは,今も考えっぱなしです。
4Gamer:
お店のメイン層はやはり,周辺地域の方々ですかね。
加藤氏:
はい。ご家族でいらっしゃる方々,近くの学校の運動部所属の子たち,それとありがたいことに,隣町から来ていただけるお客さんもいらっしゃいます。ただ,お店の外観については悩みどころでして。
4Gamer:
というと。
加藤氏:
外装の木の板は,前のオーナーさんが自前で設置したもので,あちこちガタがきておりまして。ペンキもはげ気味で,単純に入りづらい雰囲気みたいなんですよ。牧歌的な伊奈町にあるカレー屋としては。
4Gamer:
あー……たしかに。ちょっとぶっきらぼうな見た目ですし。
警戒して保守的になりそうかもとは。
加藤氏:
キャラクターのウケはとてもいいんですけどね。内観もゲーム業界の色を抑えるつもりはありませんが,外観のほうは,もうちょっと気楽な装いは必要かもと思うので,早期に塗り直したいなと……(笑)。
それとさっき言ったように,ウチのカレーは“コンセプトを尖らせた濃いめのカレー”なので,都会とは言いがたい埼玉の片隅で,地元の方々に親しまれようと思うのなら,王道で普遍的なカレーのほうが正解なんだろうなあとか……バランスの悩みは消えませんねえ。
ついでに,今は土日祝日がお休みなので,平日はなかなか来られないなどのご意見もいただいています。そこはなんとかしたいのですが。
4Gamer:
土日祝ですか。飲食業やサービス業なら主戦場な気が。
加藤氏:
そうなんですよね。もっと人がいれば土日も営業するんですが,今はスタッフが私だけでして。一週間通しはどうにも厳しくて。
4Gamer:
えっ。ワンオペなんですか。
加藤氏:
アルバイト募集中です。なかなか集まりません。
4Gamer:
それは昔からではなく,最近の話で?
加藤氏:
お店の開店当初は,Studio SiestAのメンバーが手伝ってくれていました。でも,彼らの本業はやはりゲーム業界でのお仕事なので,そこは部署としてきっちり切り分けるべきだとなり,アルバイトを雇う方針に切り替えました。このあたりは学校も多いですし。
ただ,学生バイトの方々って,それぞれの人生のタイミングがあるじゃないですか? 直近で働いてくれていた2名も,進学や就職でお見送りしまして。時期的にワンオペレーションになっているんです。
退職したバイトの子とかはポークビンダルーが好きすぎて,今でも「毎日食べます!」と冷凍6食分を買いにきてくれますが(笑)。
4Gamer:
まるで図らずでしたが,募集の一助になれていたら幸いです。
40半ばからの新たなチャレンジ
4Gamer:
そういえば,ゲーム業界の人たちも来店するんですかね。
加藤氏:
そうですね。ご縁のあるなしに関わらず,いろいろなクリエイターの方々に来店していただいております。
4Gamer:
さかのぼると,加藤さんはいつごろからゲーム業界に。
加藤氏:
きっかけは,アモルファスという会社が1991年に,X68000向けシューティングゲームコンストラクションツール「シューティング68K」を発売されまして。それで作ったシューティングゲームが,「シューティング68Kオリジナル・ゲーム・コンテスト」で最優秀賞を取ったのです。
あれは当時学生だったStudio SiestAのメンバーが,高校3年生の夏休みに作ったもので,私も協力させてもらったんです。それがご縁で,そのままアモルファスに入社させていただきました。
4Gamer:
いわば“ツクール”的なやつですね。
「X68000 Z」向けコンストラクションソフト「SHOOTING68K Z-EDITION」の予約受付が本日スタート。「ヴァリスト・レスナルト」のデータをフルスペックで収録し,改造も自由
リモテクスは本日,瑞起が開発した小型ゲーム機「X68000 Z」向けのコンストラクションキット,「SHOOTING68K Z-EDITION」の予約受付を開始すると発表した。プログラムの必要なく縦スクロール型シューティングゲームの制作ができるソフトで,発売は2023年3月31日が予定されている。
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- HARDWARE:X68000 Z
- HARDWARE
- 瑞起
- ニュース
- 編集部:松本隆一
加藤氏:
そうですそうです。そのコンテストで僕らが作ったのが,この「ヴァリスト・レスナルト」でした。これで最優秀賞をいただいたんです。
さらにその後,「シャープ芸術祭首都圏大会」というイベントでも特別賞をいただけました。みんなで壇上で,古代祐三さんや山下 章さんなどとお会いすることができたのは,今でもいい思い出です。
そんな感じでゲーム業界入りし,アモルファスでシューティングゲームのデータなどを制作していましたが,それからちょっとしたご縁があり,メンバー全員でデータウエストに入社したんです。
4Gamer:
シューティングがメインだったんですね。
加藤氏:
そうですね。まあ,今もずっとですが(笑)。
それから僕らみんな,なんだかんだいろんなお仕事をさせていただき,ゲーム業界を一通り経験させてもらったかなと思います。それぞれデータウエストを退職後は,フリーランスとしてゲームの仕事を続けていましたが,あるとき同人サークルのStudio SiestAが設立されました。
私は設立当初はスポット的に手伝っていただけで,本格的に合流したのはロケットエンジンの設立後でした。でも当時,Keyさんの「AIR」の二次創作STG「AIRRADE -AIR-」を作ってすごい評判になり,大きな会場でシャッター前の壁サークルを体験させてもらったりしましたね。
4Gamer:
そろそろAIRっぽい季節に。
私はセガサターンあたりだと「ダライアス外伝」「蒼穹紅蓮隊」,プレイステーションなら「アインハンダー」「オメガブースト」,彩京でも「ソルディバイド」「ドラゴンブレイズ」といった世代のため,訳知りの業界とは言いづらいですが。STGもほんと時代変わりましたよね。
加藤氏:
そうですね。ハードの性能やソフトウェア技術が向上して,ゲームジャンルそのものが多様化しましたし,STG以外にも面白いゲームがたくさんありますから。でも,そこからまた時代が回って,現代ではレトロゲームというくくりも一大ジャンルになったように思います。
1983年の「ゼビウス」あたりから「スターフォース」「グラディウス」「R-Type」「ダライアス」など,偉大なSTGの発展と隆盛をゲームセンターで直に体験してきた私たちにとっては,うれしい限りです。
4Gamer:
確認なんですが,加藤さんとStudio SiestA,ならびにロケットエンジンの代表者らは,古なじみの面子と思っていいんですか?
加藤氏:
同級生ですね。一部の面々は学生時代からの顔なじみです。
私と近藤 勇(ロケットエンジン 代表取締役)は小学校から,辻本 清吾(ロケットエンジン プロデューサー兼ディレクター)は中学から,凄腕ドット絵師のS君(グラフィッカー)とは高校から一緒です。
腐れ縁というか,むしろ謎の縁です(笑)。
4Gamer:
皆さん,地元もこのあたりなんですよね?
加藤氏:
そうです。私と近藤と辻元は伊奈町です。S君は市外でしたが。
4Gamer:
ほかの社員も当然いるものとしても,同級生4人組で会社を運営するなどしてきて,変な話,イザコザが起きたことなどは。
加藤氏:
みんな職人気質で,仕事にはいつも本気なので,おじさんになった今でも意見の相違で激論を交わすなんてことはしょっちゅうです。
でも,ひととおり揉めて決着がついたらちゃんとゲームオーバー。仕切り直しできています。「仕事は毎日機嫌よく!」がルールですので。険悪になっていいことなんてないですし,誰かが引くのが一番です。
4Gamer:
ほんとそのとおりで(笑)。
加藤氏:
昔の学生気分が抜けていないころは,みんな「自分はなんでもできる」みたいな無敵感があり,そこから意地を張り合うことがありましたけど。そういうのは絶対ダメだって,歳を重ねて分かりました。
そうやって互いが互いを尊重できるようになったというか,各々が自分のすべきことを理解できたというか。変更や修正などの立ち戻り作業があっても自然と受け入れられるようになりましたし,だからこそ,こんなにも長いこと一緒に仕事をしていられるのだと思います。
それに私も今は1人,ゲームの現場から離れてカレー屋ですし。
4Gamer:
いいですね。「スタンド・バイ・ミー」から,まっすぐ大人同士になったみたいな(店内上部にビッシリと貼られた,1980年代へのリスペクトを込めたオールドムービーのポスター群を眺めつつ)。
振り返ると,18歳からの30年超のゲーム業界人生はどうでしたか。
加藤氏:
楽しかったですよね。ツラいこともイヤなこともいっぱいありましたけど,ゲームが完成するとやっぱりうれしいんですよ。
それは今も変わらずで,みんなをはたから見ていても楽しいです。
4Gamer:
そして,ご年齢40半ばにしてカレー屋への転身。
新しいチャレンジには,今も後悔はありませんか。
加藤氏:
ないですね。自分の作ったもので,お客さんに喜んでもらえるというのは,ゲームも飲食もすこし形が違うだけです。目指すところはまるまる一緒。それに反応だけなら,ゲームより早いですから。
4Gamer:
お,そういう見方が。たしかにゲームの提供→遊ぶ→感想と比べると,食事への感想のスピード感はさらに速そうですもんね。
加藤氏:
バージョン2.0へのアップデートも早いですよ。ヘタすれば,次の日には「今度からこうしよう」って調理方法を変えられますので。
ゲームよりも高速なこの感じは,また違った楽しさがあります。
4Gamer:
なら,今後もずっとカレー作りですか。
加藤氏:
ずっと続けていきたいです。ただ,早くアルバイトの方々にお手伝いしてもらえるようになって,もうちょっとレシピ研究などを深められる環境にしていきたいところではあります(笑)。
それと一応の宣伝として,Studio SiestAは7月6日,STGシリーズ最新作「トラブル☆ウィッチーズ ふぁいなる! 〜アマルガムの娘たち〜」を発売しました。この新作にちなんだコラボカレーも構想中ですので,今夏はゲームでもカレーでも業界をにぎやかしていきたいです。
4Gamer:
もう夏ですもんね。
加藤氏:
ええ。夏もひたすらがんばります。
■カレーレポ&店舗情報(※2023年8月21日時点)
○「ポークビンダルー」790円(税込)
編集者の感想
ビックリした。お酢ってこういうことかとビックリした。後味にスッキリ攻めてくる。おいしい。味濃いし深いしお肉ホロホロだし。人生で初めて嫌いなものに認めたパクチーが,スパイスに合いすぎてこんなにもパクパクしたくなることにもビックリした。唐辛子をなんやかんやしたというカードチリもヤバかった。なんかもうずっとおいしかった。これで790円はおかわり。
○「(選べる)合盛りカレープレート」990円(税込)
カメラマンの感想
・タンドリーチキンカレー
チキンカレーともバターチキンとも違う味わいのチキン。噛むほどに鶏肉からスパイスを感じる,これからの暑い季節にぴったりのカレー!
・芳醇!北本トマトカレー
「北本トマトカレーの会」認定。スパイスを感じさせつつ,フレッシュなトマトによるマイルドさは,毎日でも食べられそうなおいしさ!
・付け合わせは玉ねぎの「アチャール」はもちろん,オクラのポリヤル(?)などの付け合わせもカレーとの相性抜群。
○店舗情報
「埼玉県伊奈町にあるカレーライス屋&バルです!」
店舗名:カレーライス&ばる しえすた
所在地:埼玉県北足立郡伊奈町寿2-132
定休日:土曜・日曜・祝日
営業時間:12:00-22:00(8月現在,テイクアウト専門)
駐車場:2台
アクセス:
http://studio-siesta.mails.ne.jp/curry_bar/access.html
「カレーライス&ばる しえすた」公式Twitter
「カレーライス&ばる しえすた」公式サイト
「Studio SiestA」公式サイト
「トラブル☆ウィッチーズ ふぁいなる!」公式サイト
- 関連タイトル:
トラブル☆ウィッチーズ ふぁいなる!
- 関連タイトル:
トラブル☆ウィッチーズ ふぁいなる!
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(C)Rocket-Engine Co., Ltd. Studio SiestA 2016 2023(C)Adventure Planning Service.
cRocket-Engine Co., Ltd. Studio SiestA 2016 2023 cAdventure Planning Service.
- SW版 トラブル ウィッチーズ ふぁいなる! 〜Episode 01 アマルガムの娘たち〜 【メーカー特典あり】 初回限定特典『Petra's Encyclopedia of Witches The Grimoire of Indigo トラブル☆ウィッチーズ ふぁいなる! データブック』 付き
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