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NFTゲームの世界:第2回は「キャプテン翼 -RIVALS-」を紹介。シンプルなカードバトルと,奥深い育成要素が組み合わさった“GameFi”タイトル
連載「NFTゲームの世界」第2回は,BLOCKSMITH&Co.(KLabの子会社)とThirdverseが共同で開発し,2023年1月12日にリリースしたブロックチェーンゲーム「キャプテン翼 -RIVALS-」を取り扱う。
人気サッカー漫画「キャプテン翼」のキャラクターがNFTとなって登場するPC/スマホ向けブラウザゲームで,原作のライバルたちと対決するPvEの「ライバルモード」,3月31日のアップデートで新たに追加された「PvPモード」という2つのゲームモードが用意されている。
メインコンテンツとなるライバルモード
ライバルモードは,プレイするために選手NFT(市場価格:約2万円〜)が1つ必要となり,各選手は数値の付いたカードを6枚持っている。
ターン開始時に目標となるポイントが開示され,プレイヤーは好きな枚数のカードを選択,数値の合計が目標を上回れば勝利となり,これを3ターン繰り返す。1度使ったカードは,その対戦中は使用できない。
1回のプレイ時間は約1分で,1日に数回(所持NFT数により変動)しかプレイできないシステムなので,1日のプレイ時間は数分だ。
対戦が終わると,勝利した回数に基づいた「TSUBASA Utillity Token」を獲得でき,このトークンはゲーム内で選手の育成などに使えるほか,暗号資産の取引所を通じて日本円に換金することもできる。
さらに,勝利時には「熟練度」も手に入り,これを使って「力」「速」「技」というパラメータを強化すると,選手が所持しているカードの数値を上げられる。プレイヤーの中には,各ライバルが対戦で出してくるポイントのパターンを記録して,どのパターンでも上回れるようにカードの数値を調整する人もいる。
育てた選手で戦うPvPモード。シーズン1では課題も
つい先日,3月31日のアップデートで登場したPvPモードについても紹介しておこう。4月10日8:59まで開催中のシーズン1は,3つの選手NFTとキーパー(無料レンタル有り)で構成された4人チームで参加する。
このモードでは,6種類の「ライバルピース」を賭けて戦い,全種類を1つずつ集めると選手NFTなどのランダムな報酬がもらえる。
対戦は双方向ではなく,守備側のプレイヤーにとっては事前に設定した守備チームが知らないうちに戦っている,スマホゲーにおける“アリーナ“のような仕組みだ。能動的にプレイを始める場合は攻撃側となり,対戦リストに表示されたプレイヤーから好きな相手を選んで対戦できる。
守備側はこの画面で選択したチームが,プレイヤーの知らないうちに戦う |
攻撃側は対戦相手を選択でき,高レアリティ・高レベルのチームを避けられる |
詳細なルールは,ホワイトペーパー※(外部リンク)を参照してほしいが,PvPモードも3ターンのカードバトルで,本質的なゲーム性はライバルモードと違いがないように思えた。カードの名称が「ドリブル」「シュート」などと変わっていたり,スタジアムや選手の相性による補正があったり,ゲージを使用する必殺技があったりするものの,プレイヤーのできることは基本的に最も数字の大きいカードを選ぶだけという印象だ。
※ホワイトペーパーとは,プロジェクトのロードマップや仕様を説明する文書であり,多くのNFTゲームで公開されている
また,前述したように好きな相手を選んで対戦できるシステムなので,選手のレアリティやレベルを確認して,できるだけ弱そうな対戦相手を狙う“弱い者いじめ”が横行していたのは残念だった。「プロデューサーレター vol.10」(外部リンク)によると,シーズン2ではマッチング時に「レアリティ」「レベル」「ニックネーム」が非表示になる改善が行われるようなので,今後の展開に期待したい。
本作の魅力は育成要素にあり
本作は2022年に流行した「STEPN」と似たシステムを採用しており,選手NFTはトークンの獲得効率に関わる「Efficiency」,フィジカルコンディションの低下を防止する「Resilience」,宝箱のドロップ率に影響する「Luck」というパラメータを持っている。
ゲーム性はシンプルなものの,こうしたパラメータの調整や,熟練度の割り振り,PvP用スキルの習得などを工夫して,より多くのトークンを獲得する方法を考えることが本作の醍醐味となっている。「プロデューサーレター vol.5」(外部リンク)によると,プレイヤーが試行錯誤やディスカッションで,プレイを最適化していくことを意図しているようだ。
従来のゲームとは一味違ったGameFiタイトル
本作は,1日のプレイ時間が数分と短く,ゲーム性もシンプルなので,「これはゲームではない」と言いたくなるゲーマーも多いだろう。しかし,暗号資産への投資を目的としている人にとっては,毎日ゲームをやり込まなければならないものよりも,本作のようなもののほうが手を出しやすいように思える。このようなタイトルを指すのが,ゲームと金融(Finance)を組み合わせた「GameFi」という言葉なのかもしれない。
本連載ではNFTゲームを,ゲーム性およびファイナンスの観点から,それぞれ★(最大5個)で評価している。現時点で,本作のゲーム度は「★★」,ファイナンス度は「★★★★」とする。また,キャプテン翼のキャラクターは世界中で知られており,ゲームの広がりに大きな影響を与えているので,キャラクター知名度に「★★★★★」をあげたい。
なお,本記事は紹介を目的としたものであり,これらNFTの購入を推奨するものではない。投資にはリスクが伴うので,十分に調べたうえ各自で判断してほしい。
※文中における暗号資産のレートは,2023年4月6日18:00時点のものです
キャプテン翼 -RIVALS- | |
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ジャンル | カードバトル,育成 |
プラットフォーム | ブラウザ(PC/スマートフォン) |
リリース日 | 2023年1月12日 |
初期費用 | 約2万円〜 |
ゲーム度 | ★★ |
ファイナンス度 | ★★★★ |
キャラクター知名度 | ★★★★★ |
開発 | BLOCKSMITH&Co.,Thirdverse |
公式サイト | https://tsubasa-rivals.com/ja/ |
公式Twitter | https://twitter.com/TsubasaRivalsJA |
ホワイトペーパー | https://captain-tsubasa-rivals.gitbook.io/ja/ |
ブロックチェーン | Polygon(MATIC) |
ガバナンストークン | TSUBASA Governance Token(TSUGT) |
ユーティリティトークン | TSUBASA Utillity Token(TSUBASAUT) |
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