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[インタビュー]ドラゴンに立ち向かう一振りの剣。3DアクションRPG「Dragon Sword」の意気込みは“トップガン”にあり
本作は王道ファンタジー路線の3DアクションRPGで,プレイヤーは“さまざまな乗り物”に乗って世界を旅する。ゲーム内容はストーリーを楽しむ1人用のほか,オンラインマルチプレイも搭載されるという。
詳しい概要は,下記のプレイレポートでご確認を。
ドラゴンが主題の王道ファンタジーで勝負。竜に乗って飛べるオープンワールドRPG「Dragon Sword」に触れた[G-STAR 2024]
G-STAR 2024で,WebzenのオープンワールドアクションRPG「Dragon Sword」(ドラゴンソード)をプレイした。本作は「ハンドレッドソウル」などで3Dアクションゲーム作りに定評があるHOUND13の新作で,雰囲気からして渾身の1作だ。
G-STAR会場で話を聞かせてもらったのは,スマホゲーム「ハンドレッドソウル」(以下,ハンソル)で名を上げたHOUND13の代表取締役,ならびにDragon Swordの総括ディレクターを務めるパク・ジョンシク氏と,クリエイティブディレクターのクァク・ノチャン氏の2名だ。
タイトル名の由来は“トップガン”にあり?
ドラゴンと対峙する王道ファンタジー
4Gamer:
インタビューの連続で恐縮ですが,まずは自己紹介をお願いします。
※この場はタイトル発表会→韓国メディアの質疑応答→4Gamerの単独インタビューの流れだった。以降の「先ほど言いましたが〜」の由縁
パク・ジョンシク氏(以下,パク氏):
「Dragon Sword」総括ディレクターのパク・ジョンシクです。
クァク・ノチャン氏(以下,クァク氏):
同じくクリエイティブディレクターのクァク・ノチャンです。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします
あらためて,本作のコンセプトから教えてください。
クァク氏:
Dragon Swordで重視していることは3点です。1つ目はHOUND13のウリである「アクション」。2つ目は童話的な感性で描く「アート」。そして3つ目は,深度のある「ストーリー」です。
G-STARの試遊版では魅力のすべてをお見せすることはできませんでしたが,いずれもリリースに向けて念入りに準備しています。
4Gamer:
パクさんは以前,PCオンラインゲーム「ドラゴンネスト」の元開発統括者だったことから,発表から「ドラネスの精神的後継作か?」といったうわさがささやかれています。実際のところはどうなんでしょう。
パク氏:
そこは権利的に敏感な部分ですので,最初にお伝えしておきますが,ドラネスの続編や後継作といった意図はありません。
ただ,私たちHOUND13はアクションゲームを長らく制作してきたノウハウがあり,本作では過去に培ってきた技術の組み合わせも見られるかと思います。そのうえで,アクション性に関しては本質的に“ハンドレッドソウルの延長線上”で構築してきたものと言えます。
世界観や物語は新しく仕立てているので,私たちのこれまでの技術と,新しい挑戦を融合した新作と見てもらえるとうれしいです。
4Gamer:
分かりました。
それでは,本作を制作するに至った経緯を教えてください。
クァク氏:
弊社の前作ハンソルは,アクションを基盤としたゲームを作りたいと思って開発しました。内容もハードな方向性にすべく,グラフィックスもリアル寄りにして,アジア圏で多くの人に遊んでもらえました。
一方,昨今のキャラクターデザインはアニメ調がトレンドです。だから次の作品ではアートワークを現代風に寄せることで,より幅広いユーザーに遊んでもらえるのではないかと考えました。
そのため最初にお伝えしたとおり,アクション性にはこれまでの技術を結集し,新たな感性で描くアートをのせたストーリーゲームを提供してみたかった。これがDragon Sword開発のきっかけです。
4Gamer:
コンセプトと背景が合致して,よく理解できました。
ゲーム内容については,本作は1人用RPGとオンラインマルチプレイのバランス感を,どのような想定で提供するのでしょう。
クァク氏:
基本はシングルプレイでストーリーを追ったり,ワールドを探索してもらったりして,遊びのアクセントやエンドコンテンツとしてマルチプレイを楽しんでもらおうと思っています。
ただ,マルチで遊びきったら終わりとはせず,シングルとマルチがうまく循環するようなゲームデザインを目標としています。
4Gamer:
マルチプレイにはどのような遊びがありますか。
クァク氏:
まず「ユーザーが集まる拠点」を用意します。そこではオンラインゲームらしく,他者とのコミュニケーションを楽しめます。そしてゲーム進行に応じて,「ダンジョン」「レイド」「PvP」などのコンテンツが開放されていき,マッチングすることで多人数で遊べます。
基本的にはPvEの遊びを中心としているので,PvP要素に関してはあくまでサブコンテンツ的なものだと思ってください。
4Gamer:
なんとなくイメージできました。
次に,ストーリーはどのような方向性でしょう。
クァク氏:
ストーリーは日本の少年漫画のように,主人公リュートが冒険を繰り広げて,成長を遂げていく姿を見せていきたいと思っています。
4Gamer:
試遊版では,巻き込まれ系な少年「リュート」,強気なエルフ耳の女性「カステラ」,陽気な兄貴分の傭兵団長「ジョニー」の3人が,なかなかコミカルな出会いと事故を巻き起こしていました。
しかし,プロローグでは未来の一幕であろうシリアスな結末も見られてと。物語にはいろいろと緩急をつける感じでしょうか。
クァク氏:
おっしゃるとおり,プロローグでは危機感を煽る結末をあらかじめ見せますが,本編は彼らの出会いからはじまります。そこからは親近感を持ってもらいやすいよう,カジュアルでコミカルな雰囲気が続きますが,この世界の核心に迫るほどに真剣な内容に変わっていきます。
皆さんにはその変化を楽しんでもらいたいです。
4Gamer:
それと本作では“ドラゴン”の存在が大きいようですね。
クァク氏:
タイトルにもつけているとおり,ドラゴンはこの世界で最も重要で,凶悪な存在です。物語の主軸は人と竜の対立ですが,ドラゴンたちはただの生物ではなく,なかには“人と同じ形をした知性のある者”もいて,ゆくゆくはそうした存在の真相に迫っていくことになります。
4Gamer:
スケールが大きそうですね。
クァク氏:
はい。すごくスケールの大きな物語となります。
4Gamer:
あと試遊版では未実装でしたが,本作はトレイラーで「ドラゴンに乗って大空を飛べる様子」を見せていますよね?
ここが刺さった人も多いかと思うのですが,ゲーム内においてドラゴンなどに騎乗するのはどのような意味があるのでしょう。
単なるマウント要素なのか,進行上の必須要素なのか,などで。
クァク氏:
ひと言で言って,PVで大々的に見せるくらい重要な要素です。
リュートたちキャラクターも走る・飛ぶ,崖を登る,水中を泳ぐなどの多彩なアクションが可能ですが,ファミリー(乗り物)はそれよりも高速で快適に動くため,ワールド探索において欠かせない存在です。
また,ワールド内には“ファミリーがいるから行ける場所”も多く用意するつもりです。彼らは単なる乗り物ではなく,ストーリーと同様に,このゲームにおける大事な存在として扱っていきます。
4Gamer:
騎乗できるファミリーの種類は多いんですか。
クァク氏:
実際のゲームでは,最初の町に到着したときにオトモが仲間になります。普段は小さなペットのように追従してきますが,マウントするときに巨大化します。きっと愛着を持ってもらえるはずです。
また竜以外にも獣や昆虫,機械や植物に水生生物など種類はさまざまで,地走型・飛行型・水中型などの特性もさまざまです。
これらは“キャラクター1体につき相棒が1匹”用意され,そのほかの個体もゲームプレイなどを通じて獲得できる仕組みにします。
4Gamer:
ちなみに,この「ドラゴンに乗って飛ぶ」というアクションを最初に思いついたロマンティストは誰なのでしょう?
クァク氏:
(隣のパク氏を指さし)
パク氏:
(苦笑しながら)私は日本の「ゼルダの伝説」シリーズが大好きで,あのゲームのような自由な移動方法にずっと興味がありました。
そして私たちが作るゲームで導入するならば,アクションやスケールをさらに大きくしたいと考え,本作でも騎乗中はただ飛行するだけではなく,いろいろな動きを盛り込むことにしました。
4Gamer:
(上記の)映像のおかげで,訪韓前もとくに注目していました。
お次はアクション性についてです。今回のG-STARでも「アニメ調の大型3D RPG」「3人パーティ」「キャラクター交代システム」「必殺技で派手なカットイン」を基本装備としたAAAタイトルが散見されましたが,本作はそれらとどのような差別化を図っているのでしょう。
パク氏:
先ほども韓国メディア向けに説明しましたが,私たちの場合はハンソルで3人パーティのバトルシステムを採用していました。
厳密にはメイン1人にサブ2人という構成でしたが,これに関してはほかの出展社の作品や昨今のトレンドとは別に,私たちなりに追求してきた戦略的バトルの形であり,それを突き詰めた結果の選択と言えます。
4Gamer:
ハンソルと言えば「デバフを緻密にかけていき,それをトリガーに火力を爆発させる」というロジカルなアクションが特徴でしたが,今回のバトルや操作の難度はどうでしょうか。
パク氏:
まさに,ハンソルはかなりハードコアなアクションゲームでした。通常攻撃でもさまざまなデバフを敵に与え,最終的に「このボスは,デバフを何種類かけて,何秒間で倒す」といった計算が求められる作りです。そこがコアなファンの方々に愛された反面,ライトなユーザーにとってはすごい難しいゲームだったでしょう。
一方,Dragon Swordもアクションに応じてデバフが飛び交いますが,そのあとは難しいことを考えることなく,爽快感重視で戦ってもらえるように仕立てています。もちろん戦略性を追求してもらう楽しみはありますが,基本は誰でも簡単に楽しめる作りを目指しています。
4Gamer:
そのデバフに着目したところが,HOUND13ならではのシステムになっていて,自然と差別化につながっている印象はあります。
あと,今どきの3DアクションRPGでよくあるのは「必殺技使用時に派手なカットインが挿入される」ものですが,本作の場合,デバフをトリガーとしたキャラクター交代で発生する「タグスキル」の発動時にカットインが入りますよね? キャラ交代によるシナジーの生み方も独自ですし,この一連の流れが重要だと強調しているのかなって。
パク氏:
そう思ってもらえるよう考えた構成ではありますが,正直なところ,当初はカットイン自体を入れる計画ではなかったんです。
私はアクティブでスピーディなアクションゲームが好きなのですが,スキルカットインがあるとプレイの快適性や連続性が失われて,戦闘時間も増えてしまうと懸念していました。けれど,最近のトレンドで考えると「カットインの派手さ」は強力なアピールポイントになりますよね。いろいろと試行錯誤した結果が,今の試遊版の状態なんです。
4Gamer:
トレンド研究を欠かしていないわけですね。
あらためてですが,今回はなぜWebzenと組んだのでしょう。
パク氏:
Webzenの方々が,Dragon Swordに大変興味を持ってくれたからです。それから担当者と話し合ったところ,最近のWebzenさんはグローバル進出や新たなIP創出に積極的に力を入れていらっしゃるようでしたので,彼らにならパブリッシングを預けられると信じられました。
4Gamer:
なら,グローバル展開は前提と考えても?
パク氏:
はい。グローバル配信を予定しています。
ただし,全世界同時リリースはいろいろと課題があるため,各地域でのスタート時期に関しては来年以降に考えていく予定です。
4Gamer:
現状,ゲームの完成度はどうでしょう。
パク氏:
近々でリリースするのは難しいですが,2025年にはβテスト,それができずとも「なんらかの形で世に出す」ことを目指しています。
また,運営型ゲームでは継続的なアップデートが大切なため,ローンチ時点で“完成品と思ってもらえるコンテンツ内容”にはしますが,アップデートコンテンツの計画も並行して進めていきます。
4Gamer:
盤石な計画でやっていくんですね。それでは最後の質問です。
本作のタイトル名は,「ドラゴン」と「ソード」でDragon Sword。いずれもゲーム業界においてはものすごくポピュラーなワードで,世界中のあらゆる作品につけられてきた2語かと思います。
それも分かったうえで,この名称にされたはずですが,本作は「それだけ王道路線な意思表示で勝つ」といった意気込みなのでしょうか。
パク氏:
そうです。市場での狙いとしては,名前は覚えてもらうことが最も重要なので,誰でも認知しやすいタイトル名にしようと考えました。
候補はいろいろありましたし,語が一般的すぎることにも悩みはしましたが,世の中には“実際に体験すると,さまざまな意図が読み取れる作品名”がたくさんあります。ですから,まずはパッと名前を覚えてもらう。それから内容で違いを感じてもらうという狙いがあります。
あと,私は映画「トップガン(Top Gun)」の,この作品名がとてもおもしろいと思っているんですよね。
4Gamer:
「トップガン マーヴェリック」も見ましたが,その心は?
パク氏:
この名は,戦闘機やパイロットを直接指す言葉ではないのに,(知名度の影響もあれど)みんなが戦闘機映画だと分かります。
それに「ガン(GUN)」という銃を想像させる語で,戦闘機ともパイロットとも関係ないのに,登場人物たちが銃弾のように速いエースパイロット的な存在であることをイメージさせてくれます。
私はこの命名がとても好きです。だからDragon Swordもまた,リュートたち登場人物が“ドラゴンに立ち向かう一振りの剣”であるというストーリーへの思いを込めて,このタイトルにしました。
4Gamer:
なるほど。わかりやすいですし,カッコいいですね。
パク氏:
ありがとうございます(笑)。
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