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互いのエゴを喰らい合って這い上がる「舞台『ブルーロック』2nd STAGE」京都公演ゲネプロをレポート
昨年5月に上演された第1弾では,主人公の潔 世一(演:竹中凌平)が挫折から這い上がり,ブルーロックのなかでも最下位のメンバーが集まった“チームZ”の仲間とともに,一次セレクションをクリアする姿が描かれました。
いま最もエゴいステージがキックオフ! 「舞台『ブルーロック』」のゲネプロをレポート
サッカーの攻撃的ポジションであるFWだけを集めたFW育成寮“青い監獄”で,少年たちが世界一のストライカーを目指し,激しく競い合う「ブルーロック」の舞台が,東京・サンシャイン劇場で公演中だ。本稿では,東京公演前に行われた10日のゲネプロ公演の模様をお伝えする。
第2弾では,新たなステージである二次セレクションに挑む姿が描かれます。二次セレクションは,5点先取のミニゲームで勝ったチームが,負けたチームから1人ずつ引き抜いてチームメイトを増やし,上のステージを目指すというもので,一人ひとりが持つエゴやプレイがより重要視されるように! 才能がありながらも,覚醒していかなければすぐに脱落してしまう,過酷なサバイバルが始まります。
今回は東京ゲネプロ公演が中止となったため,京都で行われたゲネプロ公演の映像をもとにお届けします。ネタバレを含むため気になる人は注意してください。
個の力が勝利に大きく影響する
二次セレクション
5チームによる総当たりのリーグ戦が行われた一次セレクションでは,11人のチームで戦ってきましたが,今回の二次セレクションでは少人数でのミニゲームバトル。映像出演の絵心甚八(演:横井翔二郎)から3人1組のチームを作れと言われた潔は,一次セレクションをともに駆け抜けた相棒的存在の蜂楽 廻(演:佐藤信長)とチームを組みます。
最後の1人をどうするか考えていたところ,前作のゲームでバチバチにやり合った凪 誠士郎(演:佐藤たかみち)と御影玲王(演:菊池修司)が登場。凪は潔を自分たちのチームに誘いますが断られたため,「じゃあ,俺が潔のチームに入る」と,潔,蜂楽,凪のチームが誕生します!
しかし,凪の選択にショックを受けたのが凪の相棒である玲王。裏切りと感じた玲王は潔の元チームメイトである國神錬介(演:織部典成)や千切豹馬(演:佐伯 亮)とチームを組み,打倒・潔チームを掲げます。
この「誰を選んで,誰を選ばないのか」という選択は,二次セレクションのいたるところで行われ,そのたびにいろいろな人間ドラマを生み出していきます。とくに選ばれなかったプレイヤーが抱く,怒り,妬み,劣等感,無力感などの激重感情は,観客の胸も激しく揺さぶってくるので,覚悟して受け止めましょう。
3人チームを組んだ潔たちは,さっそく試合を始めるのですが,その相手は糸師 凛(演:長田光平),蟻生十兵衛(演:磯野 大),時光青志(演:中林登生(ENJIN))の3人が組んだ,ランク1〜3のトップチーム。
蟻生は,つねにオシャ(オシャレ)にこだわり,彼がファインプレイや決めポーズを取ると,「オゥシャ〜♪」と効果音が鳴ります。ネガティブ発言ばかりの時光は自信がないのに,いざ試合となると筋肉ダルマと言われるほどのフィジカルを発揮。そして,日本代表選手である兄,糸師 冴を倒すこと以外は興味がない凛は,対抗意識を燃やす潔たちを歯牙にもかけず,絶対的な才能を見せつけます。
相互理解もあり,連携プレイも問題ない潔チームでしたが,凛チームの圧倒的な個人技を前に5-2の結果で敗北。蜂楽が凛チームに取られ,敗者となった潔と凪は,脱落一歩手前の2対2のゲームステージへと進むのでした。
敗北から何を学ぶのか。
心が痛む敗者の叫び
蜂楽が奪われ,プレイでも完全に凛に上を行かれてしまった潔は「俺一人でも戦えることを証明する」という強い思いを抱きながら,敗者が集まるステージへ。一次セレクションでチームメイトだった成早朝日(演:伊崎龍次郎)と,ライバルチームで登場し,自身を「王様(キング)」と称する自信家の馬狼照英(演:井澤勇貴)ペアと出会います。
パートナーである凪や馬狼ほどの才能はなく,自分のことを凡人だと感じている潔と成早。2人は次に負けたら,選ばれずに脱落するのは自分だと自覚しながら試合へと挑みます。
ゲームのなかで進化し,鋭いゴールを次々と打っていく凪と馬狼。彼らのプレイはほぼ互角なため,潔と成早の勝負がチームの勝利につながることに。このときの2人の焦燥感は見ているこちらにも伝わってきます。短い時間のなかで頭をフル回転させ,覚醒を図ろうとする2人の行動にアドレナリンがドバドバ出てしまいます!
しかし,覚醒できたのは潔のみ。成早が得意とするステップワークを自分のものにして,5点目のゴールをもぎ取るのでした。
ここでグッときたのは,負けた成早が慟哭しながらも潔に対して「お前は適応能力の天才だ」と伝えてくれるところ。ブルーロックの失格者は日本代表入りの資格を永久に失うという条件があるため,家族のためにプロ入りを目指していた成早はたった今絶望のさなかにいるはず。
しかし,きちんと敗北に向き合い,勝者を送り出してくれるフェア精神がかっこよくもあり,悲しくも感じます。暗いステージのなかで,去っていく3人を見送る成早の姿は,勝負の残酷さがとてもよく伝わるシーンでした。
そして,続いて戦うことになった國神,千切,玲王のチームとの試合では,「俺のシュートのために動け」というスタンスを崩さなかった馬狼の敗北が物語のキーに!
序盤,玲王の活躍によって,非常にバランスの取れたチームになった國神たちに苦戦を強いられる潔たち。そこで馬狼に協力を求めますが,馬狼はワンマンなプレイを続行します。ここで潔のエゴが爆発! 馬狼を生かすのではなく,馬狼を喰うことを決めた潔は馬狼を囮にしつつ,凪との連携プレイで敵チームに追いつきます。
ちょっと前のシーンまで好意的な雰囲気で馬狼に接していた潔ですが,ここからは冷徹な雰囲気に一変! 馬狼を「へたくそ」と切り捨て,彼の心を折っていく潔はエゴイスティックさ全開です!
逆にフィールドのキングだったはずの馬狼は,どんどんと弱々しい声に……。しかし,味方からの敗北を受け入れた馬狼は最後の最後で自分のエゴをつかみ取り,「光を喰らう悪役にでもなってやる!」と大逆転! この弱者から強者,強者から弱者という2人のギャップの演技は,とても印象に残るシーンでした。
最終試合は凛チームへのリベンジ!
勝利した潔たちは千切をチームに加え,最終試合へと向かいます。試合前には,ブルーロックに来る前,自分のなかにいる“かいぶつ”としかサッカーができなかった蜂楽の回想シーンが挟まります。蜂楽は自分のサッカーを理解してくれる潔との試合を待ち望んでいました。そんな願いが届いたのか,潔チームと凛チームのラストゲームが始まります。
相変わらず凛のプレイに目を奪われるものの,喰らいつけない距離ではなく,確かな手ごたえを感じる潔。敗北をしっかりと自分の糧にしている潔が頼もしいです! また,ほかのプレイヤーたちもセンスのいい蜂楽のパスに刺激を受けて,凪が進化したり,凛と潔の思考バトルに馬狼が突撃してきたりと,敵,味方を超えて,ストライカーたちが刺激し合います。
エゴイストがぶつかって生み出す化学反応は,結果的に誰かの刺激になり,誰かの覚醒を促す助けになる。ブルーロックでは,そんな不思議なチームワークができつつあるようです。
1月31日に行われた東京千穐楽公演は,2月7日23:50までAbemaTVにて見逃し配信が実施されています。チケット販売期間は2月7日21:00までなので,2チームの勝負がどうなるのか気になる人は,ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。6月26日にはBlu-rayが発売予定です。
次のステージでは,世界トッププレイヤーとの強化試合が行われる模様。再び会える彼らの行く末に期待です。
「舞台『ブルーロック』2nd STAGE」公式サイト内のSTREAMINGページ
「舞台『ブルーロック』2nd STAGE」公式サイト
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(C)金城宗幸・ノ村優介・講談社/舞台『ブルーロック』2nd STAGE製作委員会