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カナイセイジ氏の新作カードゲーム「ウィザーズカップ」をプレイ。事前に組み上げた戦略をぶつけ合う,超シンプルで熱い読み合いが楽しめる
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印刷2023/12/18 17:30

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カナイセイジ氏の新作カードゲーム「ウィザーズカップ」をプレイ。事前に組み上げた戦略をぶつけ合う,超シンプルで熱い読み合いが楽しめる

 カナイセイジ氏(以下,カナイ氏)といえば,日本を代表するアナログゲームのゲームデザイナーの一人だ。2023年12月9日と10日に開催された「ゲームマーケット2023秋」では,そんなカナイ氏の新作が,さまざまな場所で出展されていた。
 スクウェア・エニックスブースでは,全カードが伊藤龍馬氏による描きおろしとなる新作カードゲームが発表され,JELLY JELLY GAMESブースでは新作タイトル「ウィザーズカップ」がイベント合わせで発売。カナイ氏自身も自らブース出展し,新作のプロトタイプを頒布するなど,複数のブースに跨がって,八面六臂の大活躍だ。

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 本稿では,その中からJELLY JELLY GAMESブースで試遊できたウィザーズカップのプレイレポートをお届けする。

「ゲームマーケット」公式サイト



使うカードはわずか6枚。勝ち抜きバトルを制するチームを組み上げろ


 ウィザーズカップは,2勢力に分かれた魔術師達による勝ち抜きバトルをテーマにした1対1の対戦カードゲームだ。各プレイヤーは6枚で構成されるデッキを組み上げ,それを使ってBO3(2本先取)のバトルに挑む。

各プレイヤーが使用するカードはカードバックの色が異なる。また,カード同士の相性を示すサマリーカードも用意されていた
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 バトルシステムは非常に単純で,デッキの上から順に1枚ずつカードをめくり,「属性」「魔力」を参照して勝敗を決めるだけ。属性の相性が良ければ問答無用で勝利となり,決着がつかなかった場合は魔力で優越している側が勝利となる。ここで勝利したカードは場に残り,敗北したプレイヤーは新たなカードをデッキからめくって場に出さなければいけない。そうした流れを繰り返し,相手のカードをすべて撃破したら1ラウンド取得だ。

 完成したデッキは“並び順”まで含めてプレイヤーが決定できるので,相手の思考以外にランダム要素は存在しない。むしろ,バトルが始まってしまえばプレイヤーが干渉できる要素すらほとんどないので,デッキ構築と並びの決定が本作のキモと言える。
 ただし,デッキ構築は完全に自由ではない。各プレイヤーには同一のカードセットが用意されるが,ゲーム開始時に,その中から「必ず採用しなければいけないカード」が1枚公開される仕組みだ。そのため毎回同じ戦略を採用することはできない。
 加えて,6枚のうち1枚は「サブカード」としてデッキから外す必要があるので,1回のバトルに参加できるカードは5枚まで。決定した6枚はゲームの決着がつくまで変更できないので,この少ない枚数の中で,可能な限り多くの状況に対応できるデッキを考える必要があるわけだ。

同じ属性がぶつかりあった場合や,相性が設定されていない属性同士のバトルでは,魔力が高いほうが勝利となる
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 基本システムだけを聞くと,プレイヤーが干渉できる要素が少なすぎて窮屈に思えるかもしれないが,実際はプレイヤーの判断が勝敗に及ぼす影響はかなり大きい。本作のバトルにはダメージの概念が存在せず,カードの相性や魔力で勝ってさえいれば,1枚のカードで複数の相手を撃破できてしまうので,きちんと考えてデッキを組まなければ,勝つのが難しいからだ。
 例えば自分が「火属性/魔力8」のカードを出した場合,それを突破できるのは「水属性」あるいは「魔力9以上」のカードということになる。もし「火属性/魔力8」を採用するなら,同時に(水属性を倒せる)「草属性」もしくは「魔力10以上」のカードもデッキに加えておかないと,そのまま敗北が決定してしまいかねない。

 また多くのカードには固有の能力があり,「魔力が同値であっても勝利する」といった勝利に直接結びつくものから,「このカードが捨て札の一番上にあるなら,場のカードの魔力を強化する」といった間接的なものまで,効果はさまざまだ。単に属性や魔力で対策する以外にも,こうした能力を使ってメタを取る方法もある。

魔力が低いカードや,属性で不利を背負いやすいカードには,強力な固有能力が設定されていることが多い。故に素の相性と魔力以外の部分で勝敗が変わることも少なくない
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 そんなこんなで,筆者はウィザーズカップのことを,属性相性を中心に考える“じゃんけんゲー”かと思っていたが,実際にプレイしてみると考えるべきことが多く,なかなかに複雑だ。18種類のカードのうち,実は8枚が「無属性カード」というのもポイントで,実際は魔力の数値もかなり重要になる。こうした要素も相まって,互いの手の内がある程度知れた2戦目以降には,かなりアツい読み合いを楽しめる。

 デッキを組み上げたら,あとは順番に処理するだけ,というシステムからは先行作品である「チャレンジャーズ!」に近いものがあるが,前述のとおり本作の構築・戦略には運要素がほぼないので,プレイフィールはまったく異なっている。

自身のブースでインタビューに答えてくれたカナイ氏。氏によれば,採用しなければならないカードが最初に決められるルールは,JELLY JELLY GAMESが開発に関わったことで追加された要素だという。カナイ氏もこのルールは気に入っているそうだ
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 現地にいたカナイ氏に話を聞いたところ,本作のベースとなったゲームは,かなり以前に“お蔵入り”した未発表作品であり,発想自体は「チャレンジャーズ!」以前からあったものだという。
 ウィザーズカップは,氏が2022年秋に発表した「ローレルクラウン:デュエル」の商用版にあたるが,このアイデアのさらに元になったのは,かつて雑誌などで人気を博していた読者参加型ゲーム(おそらくコンプティーク誌に掲載された「ロボクラッシュ」)だったそうだ。これは読者がカスタムしたロボのデータをハガキで編集部に送り,ほかの読者のロボと対戦させて競わせるといった内容で,事前に組み上げたデッキを半自動で戦わせる本作とも,確かに似た部分がある。

 ちなみに「ローレルクラウン:デュエル」の前作にあたる「ローレルクラウン」は,アートスタイルこそ共通しているがシステムがまったく異なるので,ゲームデザイン的には本作とあまり関連がないとのことだった。

カナイ製作所のブースでは,プロトタイプとして2人用のワードゲームが頒布されていた。互いが浮かべているキーワードに対するヒントを出し合い,連想し合うゲームになるようだ
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「ウィザーズカップ」製品ページ



“七並べ”ベースの協力型ゲーム「神椿市建設中。REGENERATE THE BOARD GAME」


 と,カナイ氏への取材はここで終える予定だったのだが,先日発表された新作ボードゲーム「神椿市建設中。REGENERATE THE BOARD GAME」(以下,神椿市ボードゲーム)を制作しているバトンの田村和也氏が,カナイ氏のブースに居合わせたので,こちらの話も合わせて聞いてみることにした。同作もまた,カナイ氏がゲームデザインを担当しているタイトルである。

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「神椿市建設中。REGENERATE THE BOARD GAME」が2024年1月13日に発売。カナイセイジ氏がデザインを手がける協力型ボードゲーム

「神椿市建設中。REGENERATE THE BOARD GAME」が2024年1月13日に発売。カナイセイジ氏がデザインを手がける協力型ボードゲーム

 KAMITSUBAKI STUDIOは,新作ボードゲーム「神椿市建設中。REGENERATE THE BOARD GAME」を発表。2024年1月13日と14日に開催されるライブイベント「神椿代々木決戦二〇二四」の会場で,先行販売を行うと発表した。

[2023/12/06 19:02]

 神椿市ボードゲームは,原作のキャラクターや設定を活かした協力型ゲームになるとのこと。トランプの「七並べ」に近いメカニクスを採用しており,設定された条件に合わせてカードをプレイして,神椿市の復興を目指していく。
 カードを出せない場合はパスを宣言できるが,パスをすると“滅び”と呼ばれるトークンが溜まってゲームオーバーが近付いてしまう。プレイヤーがそれぞれ受け持つキャラクターの能力を駆使して,互いの手札状況を察し合いながら,滅びが最大値に達する前にクリア条件を達成するのが,ゲームの目的というわけだ。

 本作は,2024年1月13日と14日に開催されるライブイベント「神椿代々木決戦二〇二四」の会場で先行販売が行われる予定だ。一般販売などの情報が気になる人は,X(旧Twitter)アカウントをフォローしつつ動向をチェックしておこう。

バトンの営業部でバイヤーマネージャーを務める田村和也氏(左)と,カナイセイジ氏(右)
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KAMITSUBAKI STUDIO 公式サイト

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