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[インタビュー]ドイツのゲーマーの91%がその出来に満足した「ダークアンドダーカーモバイル」は,戦闘と脱出の一辺倒ではなく,生活型コンテンツも多数。誰にでも楽しめるものを目指す
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印刷2024/10/18 12:00

インタビュー

[インタビュー]ドイツのゲーマーの91%がその出来に満足した「ダークアンドダーカーモバイル」は,戦闘と脱出の一辺倒ではなく,生活型コンテンツも多数。誰にでも楽しめるものを目指す

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 4Gamerの読者であれば,遊んだことはなくても「PUBG」という名前くらいは聞いたことがあると思うが,そのPUBGを手掛けている会社が,韓国のKRAFTONだ。
 日本のプレイヤーから見ると「KRAFTONは“株式会社PUBG”なのかな?」と思うくらいにはPUBGのカラーが強いわけだが(MMORPG「TERA」の開発もここだ),そのKRAFTONから,久々にダークでハードコアなゲームがやってくる。それがこの「ダークアンドダーカーモバイル」だ。

 「ダークアンドダーカーモバイル」iOS / Android)はその名のとおり,狭きダンジョンからの脱出を舞台にPvPvEを楽しむDark and Darkerをスマホ向けに再開発したタイトルだ。
 昨年のG-STARで遊ばせてもらったときは,暗くて(ダンジョンだし),狭くて(ダンジョンだし),地味で(Meleeを選んだので),最序盤の雑魚敵にすら普通に殺されるという,緊張感のある楽しいゲームだなぁ……と思ったものだ。なんとなくWizardryぽいというか。

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 PUBGといえばKRAFTON,KRAFTONといえばPUBG。それくらい強いイメージでPUBGと結びついていたKRAFTONだが,今年のG-STARを見る限りは,ついにそこから拡大していくようだ。このあと何をしようとしているのか,ちょっとだけ聞いてみよう。

[2023/12/07 12:00]

 その後なんやかんやあって,ご縁あって,東京ゲームショウ2024では4Gamerのブースで展示してもらったわけだが,そのときもかなりの盛況。
 たぶん数字は書いちゃいけないので書かないが,TGSが開いている時間と,1人あたりのテストプレイの時間(ゲームの性質上,1プレイの時間がなんとなく決まりやすい)を考えて計算すると,「あれ? ほとんど列が途切れてないということですか?」というくらいには遊ばれていた。

 そのまんまの勢いで,「ダークアンドダーカーモバイル」のプロデューサーであるAhn Joonseok(アン・ジュンソク)氏にメールインタビューを申し込んでみたところ,あっさり受けてもらえたので,ここにその全文を記そう。

「ダークアンドダーカーモバイル」プロデューサー
Ahn Joonseok(アン・ジュンソク)氏
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 見かけは「見たまんまに」地味だし(これでもダンジョン内部は明るくなったのだ),とくに最新のテクノロジーや,目新しいゲームシステムがあるわけでもない。
 しかし,既存のゲーム要素を組み合わせるだけで,これほど緊張感のある,ハードコアなゲームがスマホでも楽しめるのか,という新たな感動もある。死にゲーはちょっとさすがにつらいけど,歯ごたえのあるゲームがやりたいなぁ,と思っている人は,ぜひその名を覚えておきつつ公式サイトから事前登録を。

「ダークアンドダーカーモバイル」公式サイト

「ダークアンドダーカーモバイル」ダウンロードページ

「ダークアンドダーカーモバイル」ダウンロードページ



――まず今回の東京ゲームショウ 2024(TGS)において,4Gamerブースで「ダークアンドダーカーモバイル」を展示していただけたこと,ありがとうございます。展示の結果はどうお考えで,ユーザーさんからの評価はどういうものでしたか?

 「ダークアンドダーカーモバイル」は先のTGSで,4GamerやGoogle Play,SteelSeriesのブースを通じてゲームの試遊台を設置しました。
 幕張メッセを訪れた多くの来場者が「ダークアンドダーカーモバイル」の試遊に参加し,「ゲームが面白い」「正式にリリースされたらまたプレイしたい」という感想をいただきました。

――アン・ジュンソクPDは,いままでどういう作品を作ってきた(またはゲーム開発でどんな役割を果たしてきた)方なのでしょうか。

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 現在,私はBluehole Studio(編注:KRAFTONの子会社の開発会社「Bluehole」の中にある開発スタジオ)。で「ダークアンドダーカーモバイル」の開発を総括するPD兼制作本部長を務めています。KRAFTONに合流する前は,Netmarble Nexusで「Seven Knights Revolution」(邦題:セブンナイツ レボリューション)のPD,Smilegate RPGでモバイルR&D室長,Nexonで「Mabinogi Heroes」のプログラマー,WebzenでPC MMORPG「MU」のサーバー開発チームリーダーを歴任してきました。

――夏に行われたグローバルベータテストの結果はどうでしたか。記事として公開しても良い数字があればぜひ教えていただきたく,また国ごとに何か特徴などがあったら,それもお聞きしたいです。

 「ダークアンドダーカーモバイル」は,2024年8月1日から12日まで,日本をはじめ米国,韓国,トルコなどの主要国で,初のグローバルベータテストを実施しました。テスト期間中は,各地域の参加者から爆発的な反応をいただき,総プレイ時間は約1260万分(21万時間),最も長くダンジョンを探索したプレイヤーのプレイ時間は5463分(約91時間)に達し,主要国のプレイヤーから熱い支持を確認できました。

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 地域別に見てみると,韓国では特に協力プレイやPvP要素への関心が高く,日本ではゲームのアート的要素やストーリーラインに関するフィードバックが多く寄せられました。米国のプレイヤーは,ゲームの戦略的要素や戦闘システムを高く評価し,トルコのユーザーはローカライズとアクセシビリティに対して肯定的な反応を示しました。
 またダンジョン脱出回数については,ソロダンジョン「ゴブリンの洞窟」が約52万回,3人パーティプレイのダンジョン「忘却の城」で約35万回を記録しました。ボスが倒された回数は,トロールが1万7300回,リッチが3206回,ゴーストキングが2062回となり,最もプレイされたクラスは,1位がローグ,ファイターとバーバリアンがそれぞれ2位と3位を記録するなど,グローバルベータテストを通じて,多くの有意義なデータを得ることができました。

ソロダンジョン「ゴブリンの洞窟」
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パーティダンジョン「忘却の城」
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――世間一般では,例えばハイパーカジュアルっぽいゲームデザインや,またはもっと二次元風味が強めのアジアぽいゲームが好まれると思うのですが,わざわざこの雰囲気で,このコアなゲームを,しかもスマホで出す,その意図や狙いについて教えてください。

 KRAFTONは,「PUBG」というIPをPC,コンソール,そしてモバイルプラットフォームで成功裏にサービスした経験を持っています。この経験を基に考え,PCゲームである「Dark and Darker」の原作がモバイルプラットフォームでもゲームユーザーにアピールできる可能性を見出しました。
 また,競争要素があるゲームである点,直接プレイするだけでなく,他の人のプレイを観戦する楽しさもあるという点が,PUBGの成功経験とも共通する部分があると考えています。
 さらに,原作の「Dark and Darker」が持つ中世ロー・ファンタジーの世界観とそのヘリテージも,多くのゲームユーザーにとって魅力的に映ると感じました。これらの要素がうまく融合してモバイルプラットフォームに広げることができれば,より多くのプレイヤーに愛されるゲームになると思います。

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――直前の質問とカブってしまうかもしれませんが,コアなゲーム性と,スマホというプラットフォームの特徴から来るライトなゲームユーザーとは,あまり相容れない部分もあると思います。
 キャラが死ぬと全て失うなど,2000年前後のMMORPGみたいで私は大好きですが,果たしてこれは世に受け入れられるものなのでしょうか。そういう部分については,どのようにお考えですか。


 この質問は,「ダークアンドダーカーモバイル」の開発過程で私たちが直面した最も大きな課題に関連しています。エクストラクションジャンルは,非常にハードコアなゲーム性を持っています。このハードコアさは,脱出に失敗してダンジョン内で死んだ場合,全ての持ち物を失うという特徴から来ており,ユーザーに大きな喪失感を与える可能性があります。
 このようなエクストラクションジャンルの高い難度やリスクについても十分に理解していますが,100人中最後の1人だけが勝者となるルールの「PUBG:BATTLEGROUND」を成功に収めたこと,そして日本市場においてこのようなバトルロイヤルジャンルのゲームが人気を博している点を考慮すると,十分に需要があると考えました。
 そこで「ダークアンドダーカーモバイル」の開発者たちは,一般的なゲームユーザーでも楽しめるようにするため,多くの試行錯誤と努力を重ねています。

 例えばプレイヤーが脱出に失敗した際,再び挑戦しやすいようにサポートする方向性で開発を進めています。その一環として導入したコンテンツの一つが「支援者システム」です。脱出に失敗してすべてを失った場合,基本的な装備やアイテムをキャラクターの成長段階に応じて提供し,すぐに冒険に出発できるようプレイヤーをサポートするシステムです。
 このようなシステムを通じて,プレイヤーが感じる喪失感を軽減する努力をしています。また,協力プレイをより楽しめるように協力型のコンテンツを拡張しており,村のようなコミュニティスペースも作っています。メインゲームとは違う,緊張感の低い生活型コンテンツも導入し,モバイルプレイ環境に適したエリアも作り上げています。

キャンプ場
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――……と,ここまでは私の見解でしかないわけですが,いままでのグローバルベータテストや,TGSでの試遊体験などで,プレイヤーからもらった肯定意見と否定意見の両方を教えてもらえると嬉しいです。そして否定意見のほうは,解決についてなんらか考えているかどうかも教えていただけると。

「gamescom 2024」での出展の様子
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 「ダークアンドダーカーモバイル」は,8月にドイツで開催されたgamescom 2024に出展し,モバイルゲームの中で最も大規模な試遊スペースを設け,ヨーロッパ圏のプレイヤーから大きな反響を得ました。
 開幕3日目で試遊参加者数が1万人を突破しましたが,その熱気は閉幕まで続き,PCやコンソールプラットフォームのゲームを好む現地で,モバイルゲームとしては異例の反応を得ることができました。
 特に,gamescom会場での試遊参加者を対象に行ったアンケート調査では,91%のユーザーがゲームに満足していると回答し,83%が周りの人にゲームを勧めたいと答えました。また,80%以上のユーザーが「正式リリース後もゲームをプレイする予定」だと述べています。

 一方で,遡ること4月には韓国で最初の大規模ベータテストを実施しましたが,その際にプレイヤーから寄せられた様々な改善点に関するフィードバックを反映して,ゲームプレイ体験やバランスを改善しています。
 例えば,各クラス別のチュートリアルを提供することで,プレイヤーがより簡単にゲームを習得できるようにし,モバイル環境でやや複雑に感じられる可能性のある遠距離攻撃クラスのレンジャーの操作を改善しました。また一部のアイテム,例えば「火炎瓶」などのバランスを調整し,より快適なゲームプレイが可能になるよう努めています。
 「ダークアンドダーカーモバイル」は,プレイヤーとの活発なコミュニケーションを大切にし,様々な意見を真摯に受け止めて,今後も反映していく予定です。

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 先ごろ韓国でクローズドテストが行われた「Dark and Darker Mobile」は,ユーザーにはどんな風に受け入れられたのだろうか。エクストラクションRPGとして期待されている同作の,テストの様子をちょっとのぞいてみよう。

[2024/05/10 12:00]

――スマホというプラットフォームである以上,スマホの特徴に合致したプレイスタイルを想定して開発すると思うのですが,本作におけるプレイスタイルの標準的なものは,どういうものになるとお考えですか? 普通のスマホゲーみたいに「ログインして,デイリークエストやって,スタミナがある限りマップに行って……」みたいな感じではなさそうだな,と思いまして。

 「ダークアンドダーカーモバイル」は,中世ロー・ファンタジーの世界観からインスピレーションを受けた暗いダンジョンを探索し,戦利品を持って無事に脱出することを基本的なゲームの目標としています。
 ダンジョン内では,多様なモンスターや罠,進行に伴って徐々に安全区域を狭めてくる「ダークスワーム」(Darkswarm),そしてほかのプレイヤー達との戦闘などに遭遇し,生き残って脱出しないと所持品を全て失います。したがって,脱出のための戦略を立て,ダンジョン内で遭遇する様々な“変数”に備えることが重要です。
 プレイヤーは,強力な武器や防具を装備して戦闘の効率性を高めることができ,ゲームを続けながらキャラクターを成長させることができます。クラスごとに様々なアクティブおよびパッシブスキルを選択して活用し,自分独自のプレイスタイルを構築することも可能です。

不意に壁の中から出てきて突き刺す罠も
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安全区域を狭めてくる「ダークスワーム」
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 現在「ダークアンドダーカーモバイル」では,1人用ダンジョン「ゴブリンの洞窟」と,3人用ダンジョン「忘却の城」がプレイ可能で,各ダンジョンはノーマル,ハード,ナイトメア,ヘルの4つの難易度で構成されています。難度が上がるにつれて,より高ランクのアイテムを入手できますが,代わりに,より強力で多様な行動パターンを持つ敵に遭遇し,新しいボスも登場します。自分の装備ランクとプレイレベルに合った難易度を適切に選ぶ必要があります。

 プレイヤーはほかのプレイヤーとパーティを組み,役割を分担して共にダンジョンを攻略することができます。各クラスは独自の能力に基づいてパーティ内での役割を果たすため,綿密な協力と戦略的な計画が必要です。
 もちろん,傭兵システムを利用して1人でゲームをプレイするプレイヤーも,傭兵とパーティを組んでパーティコンテンツを楽しむことができます。また村システムを通じて,様々な便利機能や釣り,料理などの生活型コンテンツを,他のプレイヤーと一緒に楽しむこともできます。

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――本作にはいくつもの特徴がありますが,なかでも傭兵システムが,ゲームシステムとも合致していてかなりのウリだと思っています。しかし,このコアなゲーム性で「傭兵のAI」とプレイヤーの行動とのアンマッチが頻繁に起きると,逆にそれは莫大なストレスにしかならないと思います。その部分の解決について,何か手段は講じていますか?

 「ダークアンドダーカーモバイル」の傭兵システムは,ユーザーがほかのプレイヤー以外だけでなく「傭兵」を仲間に加えてパーティを編成し,ダンジョンを共に探索できるようにするコンテンツです。傭兵は,基本的な動作や戦闘スキルだけでなく,倒れたキャラクターを復活させる機能や,クラスに応じた遠距離または近距離攻撃に集中する高度な戦術を持っています。
 現在,傭兵システムにはAI技術を導入し,各クラスやランクに応じて状況別に適切な行動を取るように開発を進めています。これにより,プレイヤーが傭兵を使ってパーティプレイをする際,より没入感のあるゲーム体験ができるように準備しています。
 もちろん傭兵AIは引き続き改善しており,最新のAI技術を活用して,より自然で効率的なプレイを提供するよう努めています。さらに,ラジオ式のダイヤルを使って傭兵に直接指示を出すことで,プレイヤーの行動と食い違う部分を補完するシステムも開発中です。

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――現時点でのビジネスモデルはどういうものを想定していますか? また,KRAFTONといえばPUBGで,PUBGといえばコラボです。この作品でもPUBGのようにコラボを考えていますか?

 「ダークアンドダーカーモバイル」は,プレイヤーが楽しさを感じる瞬間をより楽しめるようにすることをモットーに,課金していただく方針を設計しています。モバイルゲームユーザーのニーズに合った課金モデルを作る予定で,シーズンパスや装飾アイテムが含まれる可能性があります。
 しかし,ゲームの公平性を損なわないよう,慎重に設計する予定です。

――いまから正式ローンチまでに,追加されそうな機能やマップ,クラスなどがあったら教えてください。

 今後のアップデート予定のコンテンツとしては,ギルドシステム,コミュニティ活動,そしてプレイヤーが互いに交流して協力できる様々な機能を追加する予定です。また,プレイヤーが村で自分のスペースを所有し,個別にカスタマイズできる機能も検討中です。

 原作に登場する,楽器を武器として使用するクラスも準備中であり,さらに原作には登場しない新しいダンジョンやコンセプトも計画しています。定期的なアップデートを通じて,プレイヤーに新たな楽しみを提供し,常に新鮮なゲーム体験を維持していく予定です。
 「ダークアンドダーカーモバイル」が,日本のプレイヤーの皆様に広く愛されることを期待しています。

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――――2024年10月14日
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