プレイレポート
[プレイレポ]PS5「サイレントヒル:ザ ショートメッセージ」無料配信開始。シリーズの特徴を継承しながら現代の社会問題を盛り込む
今回,配信開始に先がけて本作をプレイする機会を得たので,インプレッションを交えて概要を紹介する。
※作品の性質上,本稿はセンシティブな内容を含みます。
「SILENT HILL: The Short Message」,PS5で無料配信を本日開始。現代を舞台にしたサイコロジカルホラー
本日配信された情報番組「State of Play」で,KONAMIの「SILENT HILL: The Short Message」が発表された。現代を舞台にしたサイコロジカルホラーで,本日からPS5に無料配信される。
「SILENT HILL: The Short Message」公式サイト
「SILENT HILL」シリーズ公式サイト
本作の舞台となるのは,投身自殺が多いことで知られる廃墟マンション。主人公のアニタは,友人であるグラフィティ・アーティストのマヤからメッセージングアプリで「見てもらいたいものがある」と呼び出されていた。
廃墟の中には,無数のグラフィティが描かれており,その中にはマヤのアーティストネーム(Cherry Blossom)を示す“C.B.”のサインもいくつか存在する。マヤのグラフィティはモデルになった少女達が内に秘めたまま発散できずにいる衝動や欲求を表現しており,それに多大な共感を覚える青少年の熱狂的な支持を集めていた。
マヤについて思いを馳せたり,幼なじみのアメリとメッセージを交わしたりしながら,廃墟を探索していくアニタ。すると,突如として罵詈雑言の記された無数の付箋がそこら中にビッシリ貼られた“死の空間”に迷い込み,そこには背の高い案山子のような桜のクリーチャーが徘徊していた。
クリーチャーに捕まったアニタは殺されてしまう。しかし,死んだはずのアニタは再び死の空間で目を覚ます。それはアニタが死の空間を逃げ回り,出口にたどり着くまで何度でも繰り返される。
果たして,この怪奇現象は何なのか。そして,アニタを呼び出したマヤはどこにいるのか……。これが本作の序盤の展開だ。
ゲームの流れとしては,アニタが廃墟でマヤの手がかりを「探索」するパートと,その道中で襲いかかってくるクリーチャーから「逃走」するパートを交互に繰り返す。
探索パートはエリア内に存在する手がかりなどをすべてチェックすると,次のエリアに進めるようになっている。一方,逃走パートではダンジョンと化した死の空間を,クリーチャーに捕まらないように進みながら出口を探していく。
なお,クリーチャーを倒す手段は存在せず,アニタはひたすら逃げるしかない。逃走パートは回数を重ねるにつれてギミックが増え,攻略の難度が上がっていく。
また,一人称視点ということもあり,暗がりの行き止まりに追い詰められた結果,筆者はどの方向を向いているのか分からなくなってパニックに陥ることもたびたびあった。
前述のとおり,本作は一人称視点を採用しているため,「SILENT HILL」シリーズの新作として新鮮な印象を受ける。しかし,物語が進むと隠された真相が次第に明らかにされ,そこに登場人物達のさまざまな感情が見え隠れするようになると,「なるほど,これは『SILENT HILL』だ」と実感できたのも確かだ。
従来の「SILENT HILL」シリーズには,いじめや児童虐待などに起因するトラウマ,あるいは主人公が持つ(持たされる)罪悪感といった要素を物語に散りばめていたが,本作ではプレイヤーがより当事者意識を抱くような内容になっている。「サイコロジカルホラー」を謳っているとおり,人間関係から生じるコンプレックスや嫉妬,焦りなどにも焦点を当てて,思春期の青少年が抱く負の潜在意識や心の弱さといった精神面の描写が強調されている。
ゲーマーとして古参の部類に入る筆者には「なるほどね……」と思わされるテーマではあるが,思春期やそれに近い年齢のプレイヤーの琴線に触れるところがかなり多いに違いない。本作はエンディングを迎えるまで約2〜3時間というボリュームに加え,何より無料でダウンロードできるので,ホラーゲームファンはぜひプレイしてみてほしい。
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SILENT HILL: The Short Message
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