プレイレポート
[プレイレポ]みんなで考えて助け合うドタバタパズル。動物たちのブロックを操作する協力マルチゲーム「オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ」を紹介
会場ではPS5を用いてのプレイを楽しめた。本稿では,そのプレイレポートとディレクターの木村直博氏へのミニインタビューをお届けしよう。
「オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ」は,プレイヤー4人での協力型のマルチゲームだ。プレイヤーはそれぞれ形の異なるブロックを操作し,ステージ上のゴールを目指していく。
ゴール地点には,白い枠でかたどられたパズルが用意されており,これは4人のプレイヤーのブロックをうまく配置することによってピッタリとハマるようになっている。このパズルを解くとステージクリアとなるわけだ。
パズルを解くには,4つのブロックを回転させてピッタリと枠にハマるように試行錯誤する必要がある。しかし,本作では落ち物パズルのようにボタン1つでブロックを回転させるような手段がない。ほかのプレイヤーとぶつかったり,ステージの柵などに引っかけたりしてブロックを回転させるのだ。
自分1人でパズルを解くことが困難なため,「ちょっと私のブロックの端に当たって!」とか「○○さんは右上のピースだよ」という風に自然と会話が生まれるようになっており,ほのぼのとした協力プレイを楽しめる。
ステージ上には,プレイヤーの行く手を阻む仕掛けが待ち受ける。岩を転がして大穴をふさいで道を作るギミックや,1枚の板がプロペラのように回転して邪魔する仕掛けなどその種類はさまざまだ。
岩を転がすステージでは,棒状のブロックを操作しているプレイヤーが岩を落とさないよう壁役になり,小さいブロックのプレイヤーが岩を押す役になるなど,割り当てられた形によって,役割が生まれるのも面白い。ステージとブロックの割り当ては遊ぶたびにランダムに決まるため,遊ぶたびに新鮮な気持ちで楽しめるだろう。
協力プレイのほかにも2対2に分かれて対戦するスペシャルステージもあるほか,プレイして手に入れたコインを使って自分のブロックの見た目をカスタマイズする要素なども確認できた。
総じて肩の力を抜いてゆるく楽しめるタイトルで,ゲームに慣れている人もそうでない人も一緒になって楽しめるパーティーゲームと言えるだろう。「オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ」は2024年秋の発売を予定されており,公式サイトではゲームプレイの様子を収録した含んだトレイラーも確認できるので,興味のある人はチェックしてみよう。
最後に,本作のディレクターを務める木村直博氏へのミニインタビューをお届けしよう。開発がスタートした経緯や本作におけるこだわりなどを聞いている。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まず,本作の開発がスタートした経緯を教えてください。
木村直博氏(以下,木村氏):
「オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ」は,社内で行われたゲームジャムから開発がスタートしています。ゲームジャムは30人くらいのメンバーの中からチームを作って行うものだったんですが,その中で「助け合い」をテーマにしたゲームを作ろうとなり誕生しました。
4Gamer:
「助け合い」をテーマに決めた理由は何だったのでしょうか。
木村氏:
私の家庭で見ていた子どもの喧嘩がきっかけですね。私には子どもが2人いるんですが,対戦ゲームをプレイするとよく喧嘩をしてしまうんですが,その様子を目にしていたんです。
私は喧嘩する姿を見たくないので,「助け合い」をテーマにみんなで協力し合うゲームを作ろうと思いました。
4Gamer:
本作は操作するブロックの形がプレイヤーごとに異なることから生じる非対称なゲームプレイが特徴だと思いますが,このゲーム性は最初から構想にあったのでしょうか。
木村氏:
プレイヤー同士それぞれに役割があるゲーム性というのは,最初からテーマとしてありました。ブロックを組み合わせるゲームはゲームジャムを進めていくうちに基礎ができあがっていった形になりますね。
4Gamer:
先ほど触らせてもらったのですが,ローカルマルチと非常に相性が良いゲームだと感じました。自然と声が漏れたり,プレイヤー同士が顔を突き合わせて遊ぶことが想定されているように感じたのですが,ゲームジャムでもそこは考えて作っていたのでしょうか。
木村氏:
そうですね。ゲームジャムでは,家族で集まって遊ぶような環境を想定して作っていました。製品化するにあたって,最初はローカルのみですべて完結する形も考えたのですが,最終的にはローカルマルチとオンラインマルチでの4人プレイという仕様になりました。
4Gamer:
ローカルのみの仕様を諦めたのはどのような要因があったのでしょうか。
木村氏:
このゲームは4人で遊ぶことがマストなゲームだったからですね。
ローカルで4人集めるというのはさすがにハードルが高いので,1人用のプレイモードや2人用のマルチモードを検討したのですが,思った以上に“ハプニング”が起きないんですよ。
4Gamer:
ハプニングですか。
木村氏:
パーティーゲームは想定外のことが起きるから盛り上れるという側面があると思うんですが,1人や2人だと意思の疎通が取れすぎてしまって,こういったハプニングが起きづらい。結果,4人で遊ぶことは本作においてマストだと感じたので,オンラインに対応したという形になりますね。
4Gamer:
なるほど。
木村氏:
ただ,ローカルプレイでの遊びやすさにはこだわっています。例えば,コントローラを4つ持っている家庭ってそんなにないと思うので,1つのコントローラで2つのキャラクターを操作できるようにしています。コントローラの左半分と右半分をそれぞれのプレイヤーが持って操作するようなイメージですね。
4Gamer:
試遊では森のステージが遊べましたが,そのほかのステージにはどのような種類があるのでしょうか。
木村氏:
ステージは大きく分けて,森と雪山と岩山の3テーマがあり,プレイをしてスタンプを集めていくと新たなステージが開放されていきます。各テーマに5つのギミックを用意されており,違ったプレイフィールが楽しめるようになっています。
4Gamer:
ギミックにはどのようなものがあるのでしょうか。
木村氏:
例えば,雪山では雪玉をステージ上の穴に入れて道を作るというギミックがあります。これだけだと森のステージにある岩山を転がすギミックと同じなのですが,雪玉は転がすたびに大きくなっていくという特性があり,ピッタリ穴に入らなくなってしまいます。
その場合は雪を溶かすカイロのギミックがあるので,それを持って雪玉を溶かして調節する必要があります。ほかには,雪を溶かしながらゴール地点を探すようなステージも存在します。
4Gamer:
協力プレイのほかに2対2の対戦ステージもありますが,こちらはどんなものがあるのでしょうか。
木村氏:
対戦ステージには,2人で協力して板を操作してボールを弾きあうものなどいくつかバリエーションがあります。ただ,対戦はあくまでスパイスとして用意したもので,メインは協力プレイになりますね。
4Gamer:
プレイするステージが完全ランダムで決まるという仕様がかなり珍しいと思ったのですが,任意で選択できなくしたのは何か理由があるのでしょうか。
木村氏:
マッチングのしやすさを重視した結果です。ステージ選択式だとプレイヤーの習熟度によって遊びたいものに差が出て偏りが出てしまうため,マッチングに時間がかかってしまう可能性あります。ランダムにすることでこれらの差を埋めつつマッチングのスピードを上げています。
4Gamer:
マッチングは1ステージごとに行われるのでしょうか。
木村氏:
いえ,マッチングすると最初はロビーに招待されます。誰かが抜けた場合は穴を埋める形でほかのプレイヤーがマッチングされるようになっています。最初は1ステージごとのマッチングも考えたのですが,キャラクターのカスタマイズやエモートでのやり取りといったロビーでの遊びも入れたかったので,今の形になっています。
4Gamer:
発売後にもステージは追加される予定でしょうか。
木村氏:
各テーマごとにステージを追加する無料アップデートと有料ダウンロードコンテンツの販売を予定しています。本編とリリース後のアップデートを含めると,全体で150ものステージを楽しめるので,発売後も楽しんでいただけると思います。
4Gamer:
冒頭で家族で集まって遊ぶような環境を想定して作られたとおっしゃっていましたが,全体的な難度は低めなのでしょうか。
木村氏:
難度に関しては全体的には難しくし過ぎないようにしていますが,プレイヤーの練度によって難しさが変わってくる部分もあります。ただ,簡単にし過ぎるとすぐに飽きられてしまう恐れもありますので,そこは現在もテストを繰り返しながら調整しているところになります。
4Gamer:
最後に読者へメッセージをお願いします。
木村氏:
「オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ」のルールは単純明快なので,遊ぶとすぐにゲームの楽しさが分かっていただけると思います。ゲームに慣れている方からゲームをあまり遊ばない方まで幅広い方にプレイしていただければと思います。
「オール・ユー・ニード・イズ・ヘルプ せーのでもふくるポン!」公式サイト
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