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西川善司の3DGE:「Nintendo Switch」のプレゼンテーションと体験会で分かったこと,まとめ
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印刷2017/01/15 00:00

連載

西川善司の3DGE:「Nintendo Switch」のプレゼンテーションと体験会で分かったこと,まとめ

プレゼンテーションでSwitchの発売日と価格を明らかにした,任天堂の君島達己代表取締役社長
画像集 No.002のサムネイル画像 / 西川善司の3DGE:「Nintendo Switch」のプレゼンテーションと体験会で分かったこと,まとめ
 2017年1月13日,任天堂は,新型ゲーム機「Nintendo Switch」(以下,Switch)を3月3日に2万9980円(税別,単純計算した税込価格は3万2378円)で発売すると発表。併せて,同時開催となる体験会に,対応タイトルなどを出展した。

 筆者もこのイベントへ参加したので,実機に触れ,また会場にいた関係者に話を聞いて分かったことを,筆者なりにまとめてみたいと思う。

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中身は秘密ながら,“外身”は明らかになったSwitch


この状態で公称本体サイズは239(W)×102(D)×13.928.4(H)mm,公称重量は約398g
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 というわけで,まずは本体とドック部から。
 最初にお断りしておくと,今回のイベントで任天堂は「プロセッサの理論演算性能が○GFLOPS」とか,「搭載するカスタムTegraで採用するプロセス技術は○nm」といった話を行わなかった。なので筆者は,Switch向けのタイトルを開発中,もしくは開発を検討中のゲーム開発者複数名に聞いて回ったのだが,それによると,

  • グラフィックス表現世代はPS4やXbox Oneと同じ
  • ただし,PS4やXbox Oneのゲームタイトルをそのままの品質で持ってくることは難しい

とのことである。まあ,このあたりに驚きはないだろう。
 そもそも任天堂は,「ニンテンドー ゲームキューブ」を最後に,ゲーム機における「性能競争」から下りてしまったし,公知の事実としてNVIDIAの組み込み機器向けSoC(System-on-a-Chip)「Tegra」をプロセッサとして採用した以上,「絶対性能」ではなく「消費電力対性能比」を重視したことは明かだからだ。

プレゼンテーション中に公開となったティザー映像より。Unreal Engine 4の採用が明らかとなっている
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 なので結局,半導体レベルの具体的な性能指標は分からずじまいだったわけだが,13日のプレゼンテーションでその存在が明らかとなった真・女神転生シリーズ最新作が,そのティザームービー中で「Unreal Engine 4」のロゴを出していたので,「Unreal Engine 4で開発して動かせるくらいの性能がある」ことだけは間違いない。


 さて,筆者は,かつて「NX」という開発コードネームで呼ばれていたハードウェアにSwitchという名が与えられたときに,「ドック合体時と携帯モード時とで性能が変わるのではないか」と予測したが,それは,「ほぼ」的中した。
 ただ,プレゼンテーションの内容を踏まえるに,「ドック合体時」というのは正確ではない。「『TVモード』では」と表現したほうがより正確だろう。

 おさらいしておくと,Switchには,

  • 専用のワイヤレスゲームパッド「Joy-Con」を本体の左右に取り付けて,モバイルゲーム機のように使う「携帯モード」(Handheld Mode)
  • 本体のみを机上に置いて,「Joy-Con」をワイヤレスコントローラとして使う「テーブルモード」(Tabletop Mode)
  • 本体を専用ドック「Nintendo Switch Dock」にセットのうえでテレビなど接続し,別途,製品ボックスに付属の「Joy-Conグリップ」にJoy-Conを取り付けた状態で操作する「TVモード」(TV Mode)

と,3つの動作モードがある。

携帯モード(左下)とテーブルモード(右下),TVモード(上)のイメージ
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ドック側の接続インタフェースを見たカット
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 そしてここで重要なのは,専用ドック側に,追加のプロセッサや追加の冷却システムはないということだ。ドック部は機能を拡張できるクレードル――拡張性に乏しいノートPCに,USBやThunderbolt接続でビデオ出力や有線LANなどの機能を追加する外部アダプターをイメージすると分かりやすいだろう――であって,接続端子を追加するインタフェースボックス以外のナニモノでもなかった。
 言い換えると,ドック合体時と単体動作時で,Switch本体のハードウェア構成が大きく変わったりはしないのである。

任天堂が公開した,ドック正面側の概要
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 しかし,Switch本体側の液晶パネルに映像を表示させる携帯モードおよびテーブルモードと,テレビなどのディスプレイデバイスと接続したTVモードとでは,ゲームの動作モードが若干変わる。
 たとえば,「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(以下,ゼルダ)の場合,携帯&テーブルモードだとゲームの解像度は1280×720ピクセルのフレームレート30fpsが,TVモードだと1600×900ピクセルのフレームレート30fpsになる。

携帯モードのゼルダは1280×720ピクセル解像度表示となる
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 これはもちろん,Switch本体側にある6.2インチ液晶パネルの解像度が1280×720ドットだからなのだが,ただ,筆者の取材によれば,携帯モードおよびテーブルモード時は,プロセッサの動作クロックが下がるとのことである。

 つまりSwitchは,3つあるどの動作モードでも,ゼルダを1600×900ピクセルの30fpsで動かせるだけの性能を持っていることになるが,ではなぜ,6.2インチ液晶パネルの解像度をもう少し高くしなかったのか。

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 単純に考えれば,より高い解像度のものよりも,1280×720ドットに留めたほうが製造コストが下がる。もちろんこれも理由の1つだと思われるが,Switch向けタイトルの開発に関わるゲーム開発者によると,「携帯&テーブルモード時のバッテリー駆動時間に配慮したことも大きい」そうだ。
 確かに,携帯ゲーム機と据え置き型ゲーム機の二面性を持つSwitchで,携帯ゲーム機としてプレイできる時間が短すぎると,そちら側の魅力が低下してしまう。その意味で1280×720ドットの液晶パネルというのは,いい落としどころだったのかもしれない。

バッテリー駆動時間は2.5〜6.5時間。充電用インタフェースはUSB Type-Cなので,市販のモバイルバッテリーと組み合わせて利用できそうだ
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 発熱の問題は? と思うかもしれないが,Switchの場合,本体側にファンを搭載しており,熱が問題となることはない。

 そう,Switchは家庭用携帯ゲーム機として史上初となる,アクティブクーリング機構搭載機なのである(編注:家庭用を抜きにすれば「SHIELD Portable」がある)。まあ,「Switchは携帯(専用)ゲーム機ではない」ので,「家庭用携帯ゲーム機史上」という表現にはケチが付きそうだが。

本体は携帯モードで持ったときの底面,というか本体背面下側から給気し,上側から排気する冷却機構を搭載している。上から覗き込めば銅製ヒートスプレッダの存在も確認可能だ
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 ドック側にあるHDMI出力端子はフルHDの1920×1080ドット,60Hz(60fps)にまで対応。1600×900ピクセルの30fps描画となるゼルダのようなタイトルだと,フルHDへのアップスケールを経て出力することになる。
 ネットワーク機能としては,本体側でIEEE 802.11acに対応し,2.4GHz帯(11n相当まで)と5GHz帯の両方を利用できる。有線LAN接続には標準では未対応だが,USB接続タイプの有線LANアダプターは利用できるとのこと。具体的に何が使えるのか聞いてみたところ,「動作保証外だが,Wii Uで使えたものは基本的には使えるはず」とのことだった。Wii Uで使っているものは取っておいたほうがいいだろう。

ドック背面側の概要。カバーを外すと,USB Type-A端子と,HDMI Type A端子にアクセスできるようになっている
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 ドック部にはUSB端子が側面に2つ,背面にHDMI端子と列ぶ形で合計3つあるのだが,背面側にあるUSB端子のみがUSB 3.0に対応するとのこと。ここには外付けストレージデバイスの接続を想定しているようだ。
 側面側のUSB端子はUSB 2.0仕様で,当面は各種コントローラの充電もしくはUSB接続型LANアダプター用ということになるが,アーケードスティックやジョイスティックといった特殊コントローラが出てきた場合は,ここへつなぐことになると思われる。「Joy-Conや『Proコントローラー』は充電時にケーブルをつなぐことになるが,そのときもSwitchとの接続はワイヤレスか」と尋ねたところ,展示会場の説明員からは「そのとおり。基本的にUSBケーブルは充電用と聞いている」という返答が得られたこともお伝えしておきたい。

携帯モードにおける本体上面側。向かって左端に電源ボタンと出力音量調整用シーソーボタン,向かって右端にゲームカード用スロット(のカバー)と4極&3極両対応の3.5mmミニピンサウンド端子がある
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 音周りの話をすると,Switch本体は本体側に2chステレオスピーカーを搭載し,別途,4極&3極両対応型3.5mmミニピン接続のヘッドフォン・マイク・ヘッドセット接続端子も備えている。
 ドック側を利用したデジタルサウンド出力はHDMI経由のみで,光角形などの専用端子は持たない。

 スロット関連だと,携帯モードで持ったときの本体上部右側にゲームカードスロットがあり,底面下部右側にはmicroSDXC対応のカードスロットがある。本体内蔵のストレージ容量は32GBで,ここに入らないユーザーデータを保存するためのスロットという使い方になるそうだ。
 SIMスロットは持たないため,初期型PlayStation Vitaのような,携帯電話網を使ったインターネット接続には対応しない(※無線LAN経由ではもちろん対応する)。

任天堂が明らかにしたSwitch本体の概要
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コントローラにも秘密が満載!?


 標準の入力インタフェースであるJoy-Conについては,今回,詳しい機能性が明らかになった。

Joy-Conを取り付けた状態のJoy-Conグリップを掲げる,Switch総合プロデューサーの小泉歓晃氏
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 Switch本体から取り外した状態のJoy-Conは,前述のとおり,Joy-Conグリップへ取り付けることで通常サイズのゲームパッドとして利用できるが,テーブルモードでは,2個の異なるゲームパッドとしても利用できる。さらに,それぞれが加速度センサーとジャイロセンサーを搭載し,「Wiiリモコン」的なモーションコントローラとしても利用できるようになっているのだ。

左はJoy-Con。本体に付属するJoy-Conグリップの単体展示はなかったので,形状はJoy-Conグリップと基本的に同じながら,Joy-Con充電アダプターとしても機能する「Joy-Con充電グリップ」の写真を示す。Joy-Con充電グリップは2480円(税別)で別売りだ
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Joy-Conの入力系を確認するためのカット。側面ボタンがかなり小さい
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Joy-Conストラップ。標準で付属するのはブラックで,この写真に写っているグレーとネオンレッド,ネオンブルーの3色は580円(税別)の別売りとなる
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 ゲームプレイ時におけるコントローラの使い勝手にこだわりを見せる任天堂らしく,細かなサポートアイテムの存在も光る。左右のコントローラを縦持ちにしてモーションコントローラとして使用するときに「手から離れて飛んで行ってしまう」問題を避けるため,「Joy-Conストラップ」を標準で1セット同梱。使ってみると分かるのだが,このJoy-Conストラップ,握ってトリガーボタンを操作するにはやや小さすぎる嫌いもあるJoy-Con側面のボタンを,押しやすいレベルにまで大きくしてくれるのが偉い。

Nintendo Switch プレゼンテーション 2017配信映像より。Joy-Conストラップを付けると,側面ボタンが大きくなる
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左側コントローラの写真一番下に見えるのが[キャプチャー]ボタンだ
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 ちなみにJoy-Con,テーブルモードで2人同時プレイできるようになっているため,基本的な機能は同じなのだが,あえて変えてある部分もある。
 左側コントローラだけが搭載するものは[キャプチャー]ボタンだ。これはプレイ中のゲーム画面を静止画,もしくは将来的に動画で保存できるようにするための機能ボタンで,簡単に言えば,PlayStation 4の純正ゲームパッド「DUALSHOCK 4」における[シェア]ボタンに相当するものである。

 現在のところ,Switchが搭載するTegraの世代は前述のとおり明らかになっていないが,最低でも第2世代Maxwellを統合する「Tegra X1」のはずだ。それを踏まえてNVIDIAが提供するLinux系ドライバリスト(※リンクをクリックすると,pdfファイルのダウンロードが始まります)をチェックする限り,H.265のエンコードとデコードが行えそうである。
 性能面でPlayStation 4やXbox Oneに遅れを取るSwitchだが,ゲーム画面録画ではもしかすると初のH.265採用があるかもしれない。少なくとも,競合と同じH.264対応は確実だろう。

Nintendo Switch プレゼンテーション 2017配信映像より,右側コントローラにamiiboをかざすデモ
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 一方,右側コントローラだけが搭載する機能としては,NFCとモーションIR機能が挙げられる。
 NFC機能は,アナログスティックの周辺あたりにあり,Wii U時代に普及が進んだフィギュア型データストレージ「amiibo」に対応している。

 モーションIRカメラは,動きを検出したり,対象までの距離を測定できたりするだけでなく,コントローラの前に出したじゃんけんのグー・チョキ・パーの判別まで行えるという,なかなかに高度なものだ。

Nintendo Switch プレゼンテーション 2017配信映像より。モーションIRカメラは,対象までの距離やその動き,対象の形状を認識できるという
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 例によって任天堂はカメラの解像度など,詳細を明らかにしていないが,見る限りこのモーションIRカメラは,Microsoftの「Kinect」に似た,3D深度センサーになっているようだ。
 この3D深度センサーがパターン照射型か,Time of Flight(以下,ToF)型かは不明。一般に「パターン照射型は安価,ToF型は高価」と言われるが,低解像度で照射範囲が狭く,かつ測定距離が短いものであればToF型でもそれほど高価ではない。実際,Kinectの登場以降,3D深度に対応したToF深度センサーの需要は高まっており,Xbox 360の時代にパターン照射型だったKinectのセンサーは,Xbox OneだとToF型になっている。

モーションIRカメラに寄ったカット
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 会場で,モーションIRカメラ部に寄って,注意深く中を観察すると,内部に仕切り板が2枚あり,3つの小部屋に分かれた構造になっていることを確認できた。もしかすると,パターン照射型でもToF型でもない,赤外光照射と二眼式赤外光カメラを使ったステレオ画像処理型の可能性もある。

 Joy-Conの左右両方で搭載するユニークな機能としては,「HD振動」も挙げられよう。
 HD振動の「HD」は「High Definition」の略で,要するに高解像度ということだ。なのでHD振動は,高解像度な振動という意味になる。

Nintendo Switch プレゼンテーション 2017配信映像より,氷の入ったグラスに水を注いでいることを,Joy-Conなら感じられるというデモ
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 ゲームパッドが振動するのは今や当たり前の機能になっているが,Switchの振動機能はよりきめ細やかな表現ができるようになっており,任天堂は「振動というより,もはや触感表現」という表現を行っている。Joy-Conを「氷が入ったグラス」に見立てた場合,「そこに飲み物を注ぐと,氷と氷がぶつかり合い,そして液体がグラスを満たしていく感触」すら味わえるという。

CEATEC 2016におけるアルプス電気ブース
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 この説明を受けて筆者の頭に浮かんだのは,アルプス電気の「ハプティックリアクタ」だ。
 4GamerのCEATEC 2016レポートでも紹介しているとおり,アルプス電気は,いくつかのデモを行っていたのだが,そのうちの1つが,まさに任天堂がJoy-ConのHD振動例として紹介した,グラスに液体を注ぐデモだったのである。

コップに見立てたコントローラに対し,仮想的に「液体を注ぐ」デモ。液体がコップの中で揺れながら満ちていく様子を体感できる
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 ハプティックリアクタ自体は振動生成デバイスで,前後振動を発生させる,いわゆるリニアモータ系のものである。振動生成デバイスとしては比較的周波数が高い,最大1kHzの振動が可能で,しかも1デバイスで複数の周波数を合成したような振動表現が行えるというのが大きな特徴だ。
 たとえば,160Hzと320Hzの振動が同時に発生したような振動表現を行おうとする場合,錘(おもり)を付けた回転モーターで実装するには,錘の大きさを変えた回転モーター振動子を複数用いる必要がある。Xbox One用のコントローラは周波数の異なる振動表現が可能だったが,まさにこの実装だった。
 その点,ハプティックリアクタであれば,1個の振動生成デバイスで複数の周波数の振動を操れる。その点で画期的なのである。

CEATEC 2016においてアルプス電気は,ハプティックリアクタ応用先の1つとしてゲームパッドを挙げていた
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 ちなみにアルプス電気は任天堂との関係が深いことで有名で,ゲームコントローラ関連で言えば,ニンテンドー64時代の「振動パック」時代から,振動素子の提供メーカーとして知られている。CEATEC 2016の展示で,スペースを割いて大々的に展示を行い,用途の1つとして「ゲームパッド」も挙げていたので,不思議に思っていたのだが,もしかするとJoy-ConにおけるHD振動の正体は……?

任天堂が示している,Joy-Conの概要
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Switchのちょっと未来を今から予測してみる


Nintendo Switch プレゼンテーション 2017配信映像より。任天堂はプレゼンテーションのかなり早い段階で,リージョンロックを行わないと明言した
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 カスタムTegraの詳細やメインメモリ周りといった情報は出てこなかった一方,今回は「ゲームのリージョンロックがない」といった通好みの情報は出たりと,情報はかなりまとまった実感がある。
 今回明らかにならなかった情報も,いずれ取材を進めていくことで分かってくるはずだ。

 価格は2万9980円(税別)だが,これは2012年に発売されたWii Uのストレージ容量32GBモデルとほぼ同じ。競合だと,PlayStation 4が内蔵HDD容量500GBモデルでその価格である。
 Wii Uのときはストレージ容量8GBの廉価モデルがあったので,今回もそういったモデルがあればよかったかもしれない。SwitchはmicroSDカードに対応するため,内蔵ストレージの容量が少なくてもそれほどは困らないからだ。

 さて,最後の最後に,発売前から今後の展開を予測する,定番の「アレ」もやっておくとしよう(笑)。

 中長期的な展開予測は,連載のバックナンバー「次世代機『Nintendo Switch』についての答え合わせをしつつ,追加でいろいろ想像してみる」でやっているから,本稿では比較的近未来を予測してみたい。

TVモードでは必須の周辺機器となりそうなワイヤレスゲームパッド「Nintendo Switch Proコントローラー」。価格は6980円(税別)となっている
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 プロセッサの製造プロセスルールが微細化し,プロセッサの「電力消費対性能」が向上すると,携帯&テーブルモードとTVモードとでゲームの仕様が若干異なるという制限が取り払われる可能性はある。つまり,本体組み付けの6.2インチ液晶パネルがフルHD解像度になって,3つの動作モードでまったく同じプレイ体験が得られるようになるということだ。
 また,携帯&テーブルモードで,TVモードと同等のグラフィックス表現を行っても,十分なバッテリー駆動時間が得られるようになるというのも,夢物語ではない。

 また,ドックを持たない携帯モード専用Switch,液晶パネルを持たないTVモード専用Switchといった,安価なバリエーションモデルが設定される可能性もゼロではないだろう。
 「本家のコンセプトを否定するモデルが出るはずないでしょ」という指摘はごもっともだが,携帯ゲーム機の世界では「オリジナルのコンセプトを否定するバリエーションモデル」は結構出ているので,でたらめな予測とは言えまい。携帯ゲーム機から携帯機能を省いた「PlayStation Vita TV」や,3D立体視対応ゲーム機から3D立体視を省いた「Nintendo 2DS」が出てくる世界なのだから。

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任天堂のSwitch公式情報ページ


(撮影:佐々山薫郁)
  • 関連タイトル:

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