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[GDC 2017]VRハードウェアの進化は止まらない。8K解像度のVR HMD「IDEALENS M8K」を体験してみた
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印刷2017/03/07 15:33

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[GDC 2017]VRハードウェアの進化は止まらない。8K解像度のVR HMD「IDEALENS M8K」を体験してみた

 2016年はSony Interactive Entertainmentの「PlayStation VR」,Oculus VRの「Rift」,HTCの「Vive」という“三大VR HMD”が発売となり,「VR元年」などともてはやされたが,明けて2017年,業界はVR対応のソフトウェアやコンテンツの成熟に向かって動き出している。

 その大きな現れが,主要なゲームエンジンのVR対応だ。GDC 2017会期中には,業界団体であるKhronos GroupがクロスプラットフォームVR開発規格「OpenXR」を発表した。Open“VR”ではなく,「XR」となったのは,VRとAR,MRのすべてを取り込もうとしているからというわけである。

Khronos GroupがVRとMR,AR開発向け共通API規格「OpenXR」を発表
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 このあたりについては機会があれば回を改めて解説したいと考えているが,そのようにコンテンツ制作の環境整備が加速する一方で,VRハードウェアの進化もまだまだ止まらない。

 現在のVR HMDは,1枚ないしは2枚の直視型ディスプレイパネルに,拡大光学系の接眼レンズが組み合わせた構成になっている。そのため,そのどちらかの工夫によって進化モデルや性能強化モデルを開発することは(理屈のうえでは)容易である。
 CES 2017では,パナソニックが1600×1440ドット解像度の液晶パネル4枚に,特殊な接眼レンズを組み合わせることで,6K(6400×1440ドット,片目あたり3200×1440ドット)解像度,水平画角220度の試作VR HMDを発表し,注目を集めたことが記憶に新しい。

パナソニックがCES 2017で発表した液晶パネル4枚,超広角接眼レンズ搭載のVR HMD試作機。水平画角は220度
画像集 No.001のサムネイル画像 / [GDC 2017]VRハードウェアの進化は止まらない。8K解像度のVR HMD「IDEALENS M8K」を体験してみた 画像集 No.002のサムネイル画像 / [GDC 2017]VRハードウェアの進化は止まらない。8K解像度のVR HMD「IDEALENS M8K」を体験してみた

 GDC 2017のExpo会場でも,このような高解像度(+広視野角)をアピールするVR HMDの展示が見受けられたので,レポートしよう。


8K解像度のVR HMD「IDEALENS M8K」登場


 Idealens Technologyは,8K解像度のVR体験を提供すると謳うVR HMD「IDEALENS M8K」を発表し,ブースで展示していた。Idealens Technologyは,カスタムAndroidベースのスマート端末を内蔵し,単体稼働可能なVR HMD「IDEALENS K2」をリリースしている中国企業。IDEALENS K2は日本国内のVR関連イベントで採用事例が増えてきている。

 ブースにいた担当者によれば,新型機の開発コードネームは「IDEALENS Monster」だそうだ。ちなみに同社のWebサイトでは「M1000 VR」という名称となっていて,少々ややこしいが,とにかく片目あたり4K(3840×2160ドット)解像度のVR体験の提供を可能とするスペックなのは間違いないようである。

 IEDEALENS 8Kは前出のIDEALENS K2と異なり,現状は単体稼動ではなく,WindowsベースのPCと接続して利用するものになっていた。
 ブースでは,「GeForce GTX 1080」を搭載したアタッシュケース型のホストPCを使って,8Kのパノラマ映像を再生するデモを体験できた。現在の試作機はα版という位置づけでヘッドトラッキング機能はなく,「片目あたり4Kの映像ビューア」という状態だ。

アタッシュケースに収まったGeForce GTX 1080搭載のPC。8Kともなると,1フレームあたり3200万ピクセルということになり,実写映像の矩形フレームをパノラマビュー変換,レンズ歪曲吸収変形して再生するだけでもそれなりの負荷がかかる
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 ただ,再生映像は確かに「片目あたり4K」レベルの超高解像感だった。画素の粒状感がほぼなく,オブジェクトの輪郭にもジャギー感やピンぼけ感がない。「将来,VR HMDがこの解像度になったらいいな」という未来像のようなものは実感できた。

IDEALENS M8Kを体験中の筆者
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 画角は水平180度,垂直170度とのことだが,視界の外側になると見え方の品質が下がるのが気になった。しかも中央と外の間に明確なシーム(区切り)が見えてしまっている。担当者によれば「これは光学設計を工夫することで隠蔽できる」と述べていたが,冒頭で紹介した,パナソニックの広視野角VR HMDにも視界外周の見え方に似たような違和感があったので,もしかするとこれは「広視野角VR HMDに共通する課題」なのかもしれない。

メインの拡大系レンズの回りに,さらに湾曲したフレネルレンズの様なものが組み合わされた独特な接眼部
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 IDEALENS M8Kの価格や発売時期などは未定だが,前出の担当者は,今回の展示における来場者の反応を見て,仕様の改善や開発の方向性を決めたいと述べていた。


VR HMDの高解像度化に明るい未来が見えてきた


 auekiがレビュー済みの「Pimax 4K VR」を開発したPimax Technologyもブース出展しており,Pimax 4K VRを来場者に開放していたほか,次世代機「Pimax 8K VR」試作機の展示を行っていた。

 しかし,残念ながら筆者がブースを来訪したときはPimax 8K VRの姿を見つけられず,担当者に聞いてみたところ,「テレビ番組での撮影のために出払っていて今日はもう戻ってこない」とのことだった。

 やむなくPimax 4K VRを体験したが,IDEALENS M8Kにこそ劣るものの,RiftやViveより解像度が高いのは実感できた。RiftやViveの片目あたりの解像度は1080×1200ピクセルで,Pimax 4K VRは片目あたり1920×2160ピクセルなので,解像度が1.6倍になっている計算だが,たしかに実感としても「そんな感じ」といったところであった。

 GDC 2017では,NVIDIAが「GeForce GTX 1080Ti」関連記事),AMDが「Radeon RX Vega」を発表(関連記事)するなど,GPUの性能はまだまだ強化されそうで,また,遡って1月には8K,120Hz出力対応のHDMI 2.1も発表されている。高解像度映像パネルに対するハイフレームレート伝送に明るい未来が見え,今後もVR HMDの高解像度化は賑わいを見せることだろう。大いに期待したい。

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お目当てのPimax 8K VRがブースになかったので,リリースされたばかりのPimax 4K VRを体験。IDEALENS M8Kとは違い,こちらはちゃんとヘッドトラッキングにも対応したデモになっていた。VR HMDは今年以降,4K,8Kがホットなキーワードとなるかもしれない
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Idealens公式サイト

  • 関連タイトル:

    OpenXR

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