レビュー
高さ調整可能な電動式スタンディングデスクは組み立ても簡単
Fleximounts FlexiSpot E3
座って仕事をするよりも,立ったままのほうが健康によく,集中力も高まるということで,海外のIT企業などを中心にスタンディングデスクを導入しているところも増えてきたそうだ。ゲームでもゲームセンターにおけるアップライト筐体のように,立ってプレイするスタイルを好むゲーマーもいるかもしれない。
しかし,スタンディングデスクは椅子で高さを調整できないので,身長に応じて天板の高さを変えないと,快適に利用できないという制約がある。そこで最近人気を集めているのが,電動モーターで天板の高さを自由に変えられる「電動式スタンディングデスク」だ。作業によっては座ってやりたいという場合にも簡単に対応でき,電動式スタンディングデスクなら立った姿勢用と座った姿勢用を切り替えることで,作業による疲労をより低減できて生活習慣病の予防にもつながるという理屈である。
筆者も,電動式スタンディスクに興味を持っていたのだが,今回,品質とコストパフォーマンスの高さで評判の電動式スタンディングデスクFlexiSpot E3シリーズを長期試用する機会を得たので,紹介していきたい。
FlexiSpot E3シリーズは,スタンディングデスクやモニターアーム,エアロバイクなどを手がけている企業Loctekのブランド「Fleximounts」の製品だ。CES 2018においては,同社の「デスクバイク」がCES Innovation Awardsを受賞するなど,ユニークかつ先進的な製品作りで評価の高いメーカーである。今回評価したFlexiSpot E3シリーズは,同社のスタンディングデスクの中でも,とくに売れ筋の製品である。
FlexiSpot E3は,基本的に天板が別売りの製品で,ホワイト,シルバー,ブラックという脚の色違いにより製品名が異なる。今回筆者が試用したのは,ホワイトモデルの「FlexiSpot E3W」だ。天板の高さは,600〜1230mmの間で自由に調整できる。背が高い人から低い人,小学生の子どもまでさまざまな身長の人に対応できることも見どころとなりそうだ。
一方の天板は,サイズと色でいくつかバリエーションがあり,サイズは幅120cmと140cm,140cmで天板手前がカーブしたデザインの計3種類,色はメープル,ブラック,ホワイト,ディープウォールナットの4種類がラインナップされている。脚と天板がセットになった製品もラインナップされているようだ。
今回筆者が試用した天板は,140(W)×70(D)cmのメープルで,一般的なビジネス用デスクよりも横幅,奥行きともに大きいものだった。天板の厚みは25mm,耐荷重も80kgあるため,大型ディスプレイなどを置いても安心だ。デザイン的にもシンプルで,色の選択肢も多いため,どのような部屋にもマッチするだろう。質感や剛性感も満足できる。ちなみに,価格は1万3900円(税込)だ。
6つのステップで,素人でも簡単に組み立てられる
FlexiSpot E3シリーズは,ユーザーが組み立てるタイプの製品である。図が多用された組み立てマニュアルが付属しているので,組み立ては難しいものではない。
今回,筆者宅でFlexiSpot E3Wを組み立てたのは,主に中学2年生の娘である。天板のように重さがあるものについては私も手伝った程度で,組み立てには1時間程度しかかからなかった。ただ,組み立て作業は1人でも十分できるが,天板を載せる場合などは,2人でやったほうが楽である。
ステップ2では,天板を載せるビームを昇降ユニットに取り付ける。
天板を載せるビームは,あらかじめ組み立てられていた。ただ,天板の幅に応じて長さを調整できるので,天板のサイズにあわせて裏面のボルトを緩めて,適当な長さになるよう調整する必要がある。
ステップ3は短く,天板を支えるサポートプレートをボルトでビームに取り付けるだけだ。
ステップ4はビームの下からケーブルカバーの板を取り付ける。下から取り付けたうえで,いったんネジを緩めてスライドさせ,適当な位置に調整したら,またネジを固定すればいい。
ステップ5は,コントローラに各種ケーブルを接続する。取り付けるのは,操作パネルとなる「コントロールパネル」とコントローラをつなぐケーブル,左右の昇降ユニットとコントローラをつなぐケーブル,そして電源ケーブルの4本だ。
スペーサーにはあらかじめ両面テープが貼られているので,ビームの幅に合わせて適当な数を貼り付ければいい。
スペーサーを貼り付けたら,いよいよ天板と脚を合体させる。天板は相応に重くてサイズも大きいので,この作業は2人でやったほうが楽だ。
高さ変更は滑らかで騒音も気にならない
完成したFlexiSpot E3Wだが,筆者の第一印象は「想像していたよりもしっかりしたいい製品だな」ということであった。脚が重いので,机の重心があまり高くならず,高さを電動で操作しているときの騒音もかなり静かであった。これなら,夜中に上げ下げしても,問題はないだろう。
FlexiSpot E3シリーズのコントロールパネルには,高さを示すLEDインジケータと7つのボタンが並ぶ。高さを変更するときは,LEDインジケータに現在の高さが表示されるので,決められた高さに設定するのも簡単だ。上ボタンや下ボタンは,押し続けることで連続動作をする。
昇降の様子を動画で撮影してみた。動作音にも注目しながら見てほしい。
FlexiSpot E3シリーズは,手動で上げ下げするだけでなく,よく使う高さを3種類まで保存しておき,ワンボタンでその位置まで調整する「メモリー機能」を備えており,これがなかなか便利である。
高さの記録は簡単だ。保存したい高さに手動で調節したうえで,コントロールパネルのメモリーボタンを押してから,高さを保存したいメモリーボタン1/2/3を押すだけ,これで最後に押したメモリーボタン1/2/3にその高さが記憶される。あとは該当のメモリーボタン1/2/3を1回押すだけで,どんな高さからでも一発でその高さに変わるという仕組みだ。
生活習慣病を防ぐには,同じ姿勢で長時間作業を行わないことが重要だが,FlexiSpot E3シリーズでは,長時間天板を同じ高さに設定していると,アラームを鳴らして警告するアラーム機能を備えている。アラームが鳴るまでの時間も自由に設定できるので,健康が気になる人にもお勧めしたい。
立ってゲームをしたり,座ってプラモを組み立てたりと自由自在
中学2年生の娘は身長153cm,小学5年生の息子は身長140cmである。まず,娘に宿題のポスターを描かせてみた。「天板の高さは自分が使いやすいように調整して」と伝えたところ,娘が立って絵を描く場合,73.6cmがちょうどいいとのことであった。
使った画用紙のサイズは「四つ切」と呼ばれる382×542mmものだが,今回,FlexiSpot E3Wに組み合わせた天板の奥行きは700mmとかなり大きいので,四つ切画用紙を縦に使って描く場合でも,まだまだ余裕があるのもポイントだ。
続いて,息子にも同じように絵を描かせてみたところ,「立って描くなら68.1cmがちょうどいい」とのこと。ただ,息子は立って描くより座って描くほうが楽だそうで,翌日は,天板を一番下まで下げて椅子に座って続きを描いていた。息子の感想は,「机が広くて嬉しい」というものであった。
次に,娘が大好きなプラモデル――幼稚園の頃からガンプラばかり作っている――の組み立てをさせてみた。今回組み立てたのは「1/100ダブルオーガンダム」である。今回は椅子に座っての作業となったが,娘が着座した状態でプラモデルを組み立てる場合,天板の高さは68.8cmがちょうどいいそうだった。
もちろん,ゲーム用途の机としてもFlexiSpot E3シリーズはお勧めできる。
娘が座ってPCゲームをプレイする場合,最適な天板の高さは65.4cmで,立ってプレイする場合は94.9cmがちょうどいいとのこと。FlexiSpot E3シリーズを使えば,キーボードやマウスの高さ,ディスプレイと目の位置関係を自由に調整できるので,不自然に画面を見下ろしたり見上げたりしない自然な姿勢でプレイできる。娘曰く,「マウス操作もやりやすくなって,長時間プレイしても疲れが少ない気がした」とのことだ。
息子の場合,座ってプレイする場合の最適な高さは71.0cmで,立ってプレイする場合は81.1cmが楽なようだ。息子にとってストリートファイターVは,座ってプレイするよりも立ってプレイするほうが身体を自由に動かせて楽しいらしい(エモートのつもりなのか,ラウンドの合間に踊ったりしている)。
ここで面白いのは,息子のほうが娘よりも身長は10cm以上低いのに,座ってのプレイ時における天板の高さは,逆に息子のほうが高いことだ。これは,ゲームに利用する入力デバイスの違いによるのであろう。娘がプレイしていたPC版「Rez Infinite」は,マウスでプレイするため,天板は低いほうがプレイしやすいようだが,息子のようにアーケードスティックでストリートファイターVをプレイする場合は,天板と肩の高さがもう少し近いほうが操作しやすいようだ。両者の写真を見比べても,その違いが分かると思う。
このように,マウスとキーボードを使うゲームとアーケードスティックを使うゲームでは,当然使いやすい机の高さは変わってくるが,FlexiSpot E3シリーズであれば,入力デバイスやプレイスタイル,ゲームタイトルに応じて,天板を最適な高さに調整できる。これは通常の机ではできない魅力だ。
FlexiSpot E3シリーズは,ゲーム用途はもちろん,工作やデスクワークなど,さまざまな用途に対応できる電動式スタンディングデスクである。それでいて,この種の製品としては価格が安い部類であることもポイントだ。脚などの剛性感も高く,天板の高さの調整も滑らか。メモリ機能やアラーム機能も便利である。完成度とコストパフォーマンスの高い電動式スタンディングデスクとして,お勧めしたい製品だ。
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FleximountsのFlexiSpot E3シリーズ製品情報ページ
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