テストレポート
レースゲームを遊ぶときだけ設置して,快適なドライブ環境を実現するステアリングスタンド「Wheel Stand Pro」を紹介
市販車やレーシングカーの挙動特性をリアルに再現するシミュレーション系のレースゲームは,ゲームパッドよりもステアリングコントローラを使ったほうが,直観的かつ正確に車をコントロールできるし,なにより没入感が高くなるのは当然のことだ。
ステアリングコントローラを使うときに,テーブルや机に設置している人もいると思うが,いわゆるマニアな人になると,実車のドライビングポジションに近い環境でプレイできるようにパイプフレームなどで組んだ「コクピット」を使っている人もいる。本格的なコクピットになると,レーシングカーが装備しているようなバケットシートを組み込んだ大がかりなシステムとなるが,そうなると使うたびに片付けることは困難で,常設が必要になるものがほとんだ。そのため,コクピットの導入には,設置スペースや金銭的な問題,そして家族の目など,さまざまな課題をクリアする必要がある。
そんな悩めるレースゲームファンの間で,コクピットに近いプレイ環境が構築できるうえ,本格的なコクピットに比べて設置スペースも少なく,使いたいときに設置できる手軽さを兼ね備え,しかも比較的安価に購入できる「ステアリングスタンド」の人気が高まっている。各社からさまざまなステアリングスタンドが発売されているが,今回は,クロワッサン・ソリューションが販売する「Wheel Stand Pro」(ホイールスタンドプロ)を取り上げてみたい。
Wheel Stand Proは,クロワッサン・ソリューションの公式Webサイト,またはAmazon.co.jpで販売中だ。以下に示す各社のステアリングコントローラに合わせたセットが購入できる。
- Logitech G G25/G27/G29/G920専用:1万9980円
- Thrustmaster T500RS/TS-PC/T-GTほか用:2万2800円
- Thrustmaster T300RS/TX/TMX/T150ほか用:2万2500円
- Thrustmaster F458 Spider/T80/T100ほか用(赤/黒):1万9200円/1万9900円
- GT/PRO/EX/FXほか用:1万9300円 (※リンクはAmazonアソシエイト,価格はいずれも税込で2020年11月27日現在)
それぞれのセットは,ベースとなるステアリングスタンド本体のほかに,ステアリングコントローラのペダルユニットを固定するために必要なプレート,および単体で動作するシフター(シフトレバーユニット)をステアリングの横に取り付けるためのギアシフタープレートの有無といった違いがある。
実勢価格はセットごとに異なるが,1万9200円から2万2800円(※2020年11月27日現在)なので,ステアリングスタンドの中でも比較的チャレンジしやすい価格と言えるだろう。また,Wheel Stand Proのオプションとして,シフターを使いやすい位置に配置できる「シフター拡張用RGSキット」(実勢価格1万3500円,以下 RGSキット) なども用意されている。
今回,Wheel Stand ProとRGSキットをセットで試すことができたので,組み立て方法や準備と片付け,そして使い勝手など気になる部分をレポートしよう。
Wheel Stand Proの本体は組立済
ステアリングコントローラを取り付ければ使用可能
まずは,Wheel Stand Proの製品構成をみていこう。今回用意したWheel Stand Proは「T300RS/TX/TMX/T150ほか汎用版」(以下,汎用版)で,構成は以下のとおりだ。
- パイプフレームで組まれたWheel Stand Pro本体(以下,スタンド本体)
- ステアリングコントローラのペダルユニットを固定するプレート2種類(ネジ止め用1枚,挟み込み用2枚+緩衝材)
- ステアリングコントローラのシフターを固定するギアシフタープレート1枚
- 各種ボルト類
- 結束バンド 2本
- 工具(六角レンチ(大,小),スパナ)
- 日本語と英語の組立説明書
また,RGSキットの構成は下記のとおりだ。
- RGSキット
- 各種ボルト
- ゴム材
- 結束バンド 1本
- 日本語の組立説明書(Wheel Stand Proと同じ物)
今回,用意したステアリングコントローラは「G29 Driving Force Racing Wheel」(国内製品名:G29 ドライビングフォース,以下 G29)と,別売りの6速シフトレバー「Driving Force Shifter」(国内製品名:ドライビングフォース シフター)だ。
前述のとおり,Wheel Stand Proには,G29対応の「G25/G27/G29/G920専用」がラインナップされているのだが,汎用版にもG29のペダルユニットを固定するプレートと同じものが付属しているので,問題なく固定は可能だ。しかし,汎用版にはギアシフタープレートが付属しないので,今回はオプションのRGSキット側にシフターを取り付けることにした。
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ステアリングコントローラの取り付け工程だが,ステアリングホイールユニットにペダルユニットやシフターからの接続ケーブルを取り付けることを考慮して,組立説明書の手順を見習って,以下の順番で進めた。
- ペダルユニットの取り付け
- RGSキットとシフターの取り付け
- ステアリングホイールユニットの取り付け
なお,組立説明書は,日本語と英語のものがあり,日本語説明書は組み立て工程が図示されていて分かりやすいが,どの長さのボルトをどこに使うかなどの記述がない。一方の英語説明書は,工程の図示はないので分かりにくいのだが,使用するボルトの長さを明記しているので,両方を見比べながら作業するのがいいだろう。
YouTubeにある公式組み立て動画を掲載しておくので,参考にしてほしい。
さて,メインとなるスタンド本体は,太さの異なる丸パイプで構成されており,大きさは400(W)×660(D)×60(H)mmある。パイプのうち,2本の長い銀色のフレームは「両脇ポール」(太さ35mm)で,その中央にある黒色のT字型フレームは「ホイールポール」(太さ40mm),「wheel stand pro」の文字がプリントされている太いパイプが「ペダルポール」(太さ60mm)となっている。ホイールポールには,ステアリングコントローラのステアリング本体を載せるための「ホイールプレート」が取り付けられた状態で梱包されていた。
なお,スタンド本体の重さは約8kgとなっており,約12〜15kgほどあるほかのステアリングスタンドと比べるとかなり軽い。ここにステアリングコントローラの重量が加わるため,ステアリングスタンド自体の重量はできるだけ軽いほうが片付けなどで移動させる場合に重要になる。
続いて,ステアリングコントローラの取り付け工程を見ていこう。
●ペダルユニットの取り付け
スタンド本体の両脇ポール上にペダルユニットを載せて,スタンド本体下側から両脇ポールをペダルユニット裏面とプレートで挟み,ペダルユニット裏面にあるネジ穴を使用して,プレートをボルト1本で締め付けて固定する。ボルトが少し入ったところで,ペダルユニット裏面とプレートのスペースにステアリングコントローラのAC電源ユニットを差し込んだうえで,再びボルトを締め込んでいくと,プレートがたわんでAC電源ユニットが固定される仕組みだ。
ボルトで締め付けていくときに,両脇ポールに4つある両脇ポール用クッションがペダルユニット裏面の接触面に当たっているか,ペダルユニット後端がペダルポールクッションに密着しているか,AC電源アダプタが破損しそうなほど強く締め付けられていないかなどを確認しながら,慎重に作業を進めていこう。
●シフターの取り付け
シフターをギアシフタープレートに取り付ける場合は,ホイールプレートの指定された位置にギアシフタープレートをボルトで固定したうえで,ギアシフタープレート上にシフターを取り付ける。
一方,今回のようにRGSキットを使う場合は,ホイールポールの端に付いているゴム製ペダルポール滑り止めを外して,そこにRGSキットを差し込む。そのうえで,RGSキットにあるギアシフタープレートに,シフターを取り付ける。
なお,ギアシフタープレートとRGSキットともに,スタンド本体の左右どちらにも取り付け可能だ。
また,ギアシフタープレート,RGSキットのどちらの場合も,シフターはギアシフタープレートの裏側からボルト2本で固定するのだが,今回,取り付けたDriving Force Shifterの場合は,標準装備の固定器具を取り外す必要がある。
なお,RGSキットのギアシフタープレートの角度は,ボルトとナットを付属の六角レンチ(大)とスパナを使って任意の角度に調節できる。
RGSキットでは,ホイールポールと同様にクイックリリースレバーにより任意の角度で固定でき,約50mmほどの範囲で横にスライドできるので,ステアリングホイールからシフターを離して設置することもできる。
参考までに,RGSキットを取り付けた場合,Wheel Stand Proの全幅は最短で約620mmで,ホイールポールからRGSキットのポール間は最短で約300mmだった。
●ステアリングホイールユニットの取り付け
続いて,各ケーブルをステアリングホイールユニットに接続してから,スタンド本体のホイールプレート裏側からボルト2本で固定する。ボルト止めなので,ステアリングホイールユニット標準の固定器具は使用しない。
ギアシフタープレートと同様に,ホイールプレートの角度も六角レンチ(大)とスパナを使って任意の角度に調節できる。
これで,スタンド本体へのステアリングコントローラの取り付け作業は完了だ。
あとは,各ケーブルをスタンド本体のポールに結束バンドで止めることになるが,ケーブルの長さや取り回しなどもあるので,自分の使いやすいポジションが決定してからケーブルを止めたほうがいいだろう。また,付属する結束バンドはWheel Stand Proに2本,RGSキットに1本と少ないので,別途用意したほうがケーブルを綺麗に処理できると思う。
クイックリリースレバーで手軽に片付けや設置できるのが大きな魅力
ステアリングスタンドは,使わないときは折りたたむなどして片付けておき,使いたい時にサッと準備して使えるのが最大の魅力だ。
Wheel Stand Proでは,ホイールポールもRGSキットもクイックリリースレバーによりワンタッチで倒したり起こしたりできるので,片付けや使うときの準備が手軽にできる。工具を使ってネジを回すといった作業感を感じる工程がないためか,筆者はWheel Stand Proの片付けや準備が面倒とすら感じなかった。
今回はRGSキットを装着しているので,セット全体の全幅は広くなっているが,RGSキットを付けなければ設置面積はおよそ660×400mm程度なので,ほかのステアリングスタンドと比べても占有スペースは少ない。
また,使用しているステアリングコントローラのペダルユニットにもよるが,ホイールポールを倒したときに,ペダルユニットのペダルとペダルの間にホイールポールが来るように調整できれば,数cm程度だが高さが抑えられる。なお,G29のアクセルペダルとブレーキペダルの間にホイールポールが入るようにしたかったが,ペダルユニットを固定するプレートの長さの関係で,使用中に両脇ポールからペダルユニットが脱落してしまいそうだったため諦めた。
ステアリングコントローラのホイールを180度逆向き(下向き)にすると若干だが高さは抑えられ,圧迫感は多少軽減される印象だ |
アクセルペダルとブレーキペダルの間にホイールポールを入れたかったが無理だった。2ペダルのペダルユニットならばできるかもしれない |
手軽に設置や収納ができて使い勝手もよく,コストパフォーマンスに優れたイチ押しのステアリングスタンド
では,Wheel Stand Proを使ってゲームをプレイした使用感をお伝えして締めくくりたい。
今回も以前にテストしたステアリングスタンド「AP2 Foldable Racing Wheel Stand」のときと同じ椅子を使用している。この椅子は,ホームセンターなどで入手できる折りたたみチェアで,幅が約400mm程度のコンパクトなタイプだ。座る位置は床から300mm程度となっている。
ステアリングスタンドでも,自分の使いやすい位置にステアリングホイールホイールやペダルユニット,シフターを配置できるかどうかは,重要なファクターとなる。その点,Wheel Stand Proは,やはりクイックリリースレバーの存在が大きく,椅子に座ったままでもステアリングホイールの角度や高さ,腕からの距離などをワンタッチで調整できるので,非常にやりやすかった。
ゲームによってステアリングの位置を変えたいときなど,その都度,使いたいポジションになるまで何度も椅子から降りて調整を繰り返したり,身体がつりそうな体制でネジを回したり,そういった面倒な作業から開放されるといってもいいだろう。
1回2時間程度プレイして約2か月ほど使っているが,やはり面倒になりがちな準備と片付けが楽にできるところはポイントが高い。これまでいくつかのステアリングスタンドを試しているが,準備や片付けが面倒でゲームパッドで遊んでしまったり,結局プレイしなかったということもあった。その点,このWheel Stand Proではそういうことは一度もなく,むしろ積極的に使っている。
それでいて,剛性も高く,使い勝手もよく,さらに価格も単体で2万円前後で導入できるコストパフォーマンスに優れており,トータルバランスの取れたステアリングスタンドとしてお勧めできる製品だ。
とくに,初めてステアリングスタンドを導入する人や現在使用しているステアリングスタンドに不満を感じている人,そしてレースゲームをワンステップ上の環境で楽しみたいと思っている人は,ぜひ導入を検討してみてほしい。
クロワッサン・ソリューションの公式Webサイト
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