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スマートフォンゲームで隆盛を見せる中国市場の生々しい実態を知ることができた,D2CによるGMIC TOKYO 2014のパネルディスカッションをレポート
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印刷2014/07/14 20:45

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スマートフォンゲームで隆盛を見せる中国市場の生々しい実態を知ることができた,D2CによるGMIC TOKYO 2014のパネルディスカッションをレポート

画像集#004のサムネイル/スマートフォンゲームで隆盛を見せる中国市場の生々しい実態を知ることができた,D2CによるGMIC TOKYO 2014のパネルディスカッションをレポート
 2014年7月11日に開催されたイベント「Global Mobile Internet Conference Tokyo 2014」(GMIC TOKYO 2014)では,D2Cおよびグループ企業のキーパーソンが,スマートフォンゲームの中国市場の実態を赤裸々に語るパネルディスカッションが行われた。
 そのタイトルは,「日本&中国,現場しか知らない“生”の声から成功の秘訣を探る! 『日本人が直面する中国のゲーム開発現場の苦労とは? 外国企業が悩む,日本でのマーケティングの難題とは? 生々しい現場の実体験を基に成功へのヒントを紐解く日中共催パネルディスカッション!』」というものだ。
 本稿では,その内容をまとめてレポートしよう。

「GMIC TOKYO 2014」公式サイト

「D2C」公式サイト


 ステージに登壇したのは,D2C コンシューマー事業本部長の山口哲也氏,D2C R 取締役の竹林 拓氏,上海迪游信息科技有限公司 総経理の張 暁雷氏の3名だ。

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D2C コンシューマー事業本部長の山口哲也氏
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D2C R 取締役の竹林 拓氏
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上海迪游信息科技有限公司 総経理の張 暁雷氏

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 D2Cは,もともとモバイル向けの広告/マーケティングを行う企業だったが,2011年にコンシューマ事業に参入し,ゲームをはじめとした携帯電話向けのアプリ開発を行うようになった。そして,2012年に「海賊ファンタジア」Android/iOS)の中国語ローカライズ版をリリースしてヒットさせるなど,中国市場での成功を収めたのだという。そして,先日発表されたように,中国の大手メディアグループと合弁会社を設立し,今後はさらなる事業拡大を図っていくとのこと。

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 パネルディスカッションは,山口氏と竹林氏がテーマを挙げ,現地の事情に詳しい張氏がそれに答えるというスタイルで行われた。登壇者達は“居酒屋トーク”とたとえていたが,テーマはあったもののカッチリとした結論を導き出すようなものではなかったので,その点はあらかじめご了承を。

写真のように,多くのテーマが用意されていたものの,時間の都合で残念ながら一部のみ取り上げる形となっていた
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中国ゲーム市場の現状


 最初のトークは,中国ゲーム市場の現状について。
 張氏によれば,最近の中国では資本家による投資がブームで,不動産や石炭といった,ゲームと関係ない業界からの投資が増えてきているという。また,いいゲームを作ると「同じようなゲームを作ってくれ」といった形で,数十億の投資が入ってくることもあるのだとか。
 このような背景もあって,大手企業から独立して起業する人が多く,張氏は,ゲーム企業は3000〜5000社はあるのではないか,と推測する。

 また中国では,「ONE PIECE」「NARUTO−ナルト−」「進撃の巨人」といった日本の著名IPを求めたがる傾向にあるのだが,(日本企業もそうだが)中国企業がそれらのIPの使用権利を正規ルートで獲得するのは難しいと張氏は語る。
 張氏は,日本ではIPを海外に展開する際,そのコンテンツを愛してもらえるよう世界に広めていくことを考えるが,中国ではまず「どれだけ儲かるか」が先に立つため,そのギャップも影響しているのだろうと分析していた。

 なお,最近の中国ゲーム市場では,新しいゲームを作る際に必要なシナリオや世界観を準備するにあたり,中国のローカル小説(日本のライトノベルのようなもの)を使う傾向にあるという。有名な小説の場合,何百万元もの金額で版権が売買されることもあるのだとか。
 中国市場では海賊版の話は避けて通れないが,これについて張氏は,IPホルダーに許諾を得ていない“パクリゲーム”が多いのはもちろん,そのパクリゲームのパクリゲームまで多数存在するような状況だとコメント。とはいえ,そういったゲームは雨後の筍のように現れるため,儲からないケースのほうが多いとのこと。

 張氏は,中国で最近はやっているゲームとして例に挙げたのが,「スーパーヒーローズ」だ。このゲームの完成度は高いが,多数登場する日本やアメリカなどの著名キャラクターについて,版権の許諾を取っているようには見えないのだとか。
 これについて張氏は,中国のゲーム業界は成熟しておらず,まずは版権を無視してでも儲けることを重視する風潮にあり,問題を整理するのは儲かってから,という考えが影響しているのだろうと話す。

中国市場でヒットするためには


 次のテーマは,中国市場でヒットするゲームの傾向について。
 張氏によれば,最近はやり出したジャンルはDotA(MOBA)系で,もっとも人気のタイトルは、2月にリリースされてからナンバーワンをキープしているほどの人気だという。グラフィックスなども一線を画すほど進化しているため,このタイトルくらいまでのレベルに達していないと今後は売れないだろうと,ほかの企業は危機感を感じているほどだという。
 ただ,当然のようにどの中国企業もMOBA系タイトルを現在作っているため,これから作っても成功するのは難しいだろうと張氏はコメント。以前,「Clash of Clans」がヒットした時に,似たようなゲームが多数リリースされたが成功例はなく,Tencentくらいの規模の企業でなければ,そういったタイトルを成功につなげるのは難しいだろうと話していた。

 なお張氏は,2013年頃から日本と中国のゲームデザイン(とユーザーの嗜好性)が分かれてきていると述べた。日本では,「ブレイブ フロンティア」や「チェインクロニクル」のような方向性に進化しているが,中国では派手な必殺技で他プレイヤーを倒すバトルが好まれ,思考型のゲームはなかなかウケないのだという。
 張氏曰く,中国でゲームに課金するのは主に富裕層で,その人達の考えが行き着くところは,ゲームに課金して無敵になりたい,一番になって自慢したいといった考えなのだとか。そのため,日本で作っているゲームをそのまま中国に持っていっても成功できないだろうと張氏は話していた。

 そのほか,中国ゲーム業界での話題として挙がったのが,課金ユーザーを大事にするという傾向だ。たとえば,中国でヒットしたゲームは各主要都市を巡る全国ツアーをして,レストランを貸し切ってユーザーを招待するようなイベントを開催するという。
 ユーザーサポートに関しては,ユーザーが直接企業のオフィスを訪問することが多いため,大手企業ではサポート専用の応接スペースを用意しているとのこと。富裕層が主な顧客のためか,呼び出されたら社長であってもサポートの応対をするそうである。

Androidマーケットの主要プラットフォーマーは「360」と「百度」


 中国では公式のGoogle Playストアが存在しないため,Android向けアプリの場合,サードパーティのプラットフォームを通じてサービスする形になる。張氏曰く,以前は何百も存在したが,最近はある程度整理され,プラットフォーマーは15〜20程度になっているとのこと。
 その中でも主要といえるのが「360」と「百度」(Baidu)で,この2社でAndroid市場のシェアを50%ほど占めているのだとか。
 良いゲームであれば一生懸命マーケティングやPR活動を行ってくれるが,彼らはMAUやARPU/ARPPUなどのKPIを重視しており,これらの数字が落ちたらその週で終わり,なんてこともザラにあるようだ。
 また,プラットフォーマーの好みに合わせて内容を変えてほしいといった要求をされることもあり,複数のプラットフォーマーで異なる要求をされると,内容がかみ合わなくなるなど,困った状況に陥ることもあるので注意が必要とのこと。

 パネルディスカッションは以上で終了となり,最後に山口氏から,上海東方明珠文化発展有限公司(OPCD)との合併会社について説明が行われた。
 OPCDは,上海文化広播影視集団有限公司(SMG)傘下の子会社で,中国最大級のマスメディア及び総合文化産業グループである。D2Cでは,この合弁会社により,ローカライズや海賊版対策を含め,日本企業の中国進出のゲートウェイとして展開していくとのことだ。

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「GMIC TOKYO 2014」公式サイト

「D2C」公式サイト


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