●アガリのルール
ツモ牌を含めた6枚の手牌の中で「必須役」を2枚作り,その上でボーナス役などを含めた合計点数が5以上でなければアガリを宣言できない。ほかのプレイヤーが捨てた牌を使えるのは“その牌を使えばアガリになるとき”だけ。
●必須役:必ず2組作らなければいけない役
名前 |
役の作り方 |
点数 |
連番 |
3枚の牌が連番になっている |
1点 |
同じ |
同じ牌を3枚持っている |
2点 |
●ボーナス役:追加得点が得られる役
名前 |
役の作り方 |
点数 |
赤牌 |
赤牌を含む |
各1点 |
ドラ |
「宝牌」の表示牌を含む |
各1点 |
タンヤオ |
2〜8の牌だけで構成されている |
1点 |
チャンタ |
1,9,字牌が3枚セットの両方に含まれている |
2点 |
※役満と併用不可,同時に発生した場合は役満が優先される
●役満:条件が厳しい高得点役
名前 |
役の作り方 |
点数 |
オールグリーン |
緑色の牌だけで構成されている |
10点 |
チンヤオ |
1,9,字牌のみで構成されている |
15点 |
スーパーレッド |
赤牌だけで構成されている |
20点 |
※ボーナス役と併用不可,同時に発生した場合は役満が優先される
●特殊:親ボーナス +2点
親(最初に牌を引くプレイヤー)がアガリに成功した場合,ボーナス得点として2点が与えられる。この2点はアガリ後に計算されるため,アガリの条件である「5点以上」の計算に含むことができない。麻雀とは異なり,親ボーナスを得た場合も親は通常通り移動する
ゲーム開始前に,親を示すタイルの上にランダムな牌を1つ表示する。この牌は「ドラ」と呼ばれ,ドラのと同じ牌は1枚持っているだけで1点として計算され,画像の場合は「發」1枚ごとに1点となる
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注意点として,ほかのプレイヤーが捨てた牌を使えば役を完成させられる場合でも,その牌を自分が捨てていた場合はアガリを宣言できない。この点は通常の麻雀と同様だが,それ以上の制限は存在しないのでご安心を。
厳選された牌による見通しの良い情報と「アガリ5点以上縛り」が熱い読み合いを生み出す
本作のポスターに書かれた謳い文句“
説明5分”の通り,ほんの数分の説明ですぐに実プレイが始まった。正直なところ「これで麻雀が成立するのか」と思いながらのゲームスタートとなったわけだが,その考えはすぐに覆されることになる。
すべての牌は卓の中央で混ぜられ,そこから牌を引く形になる。整列させて山を作る必要はなく,どこから取ってもOKだ
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必須役の2セットはほんの数手番でパパッと完成するのだが,ここで
「役の合計点数が5以上」というアガリ条件が効いてくる。例えば,3枚の連番を2セット揃えたとしても,ボーナス役がなければ合計点数は2点なのでアガリを宣言できない。
すると,手近な基本役を切り崩してドラを探してみたり,赤牌を中心に牌の並びを変えてみたりと,いろいろと工夫をする必要が出てくる。そうこうしていると手番が進み,ほかのプレイヤーの動向が見えてくるのだ。
例えばこの写真の場合,手前の筆者は誰かが「2」の牌を捨てればアガリとなる。しかし,筆者は赤牌も含めて「9,6,5」の牌を捨てており,一度も捨てていない4以下の数字は周囲に警戒されてしまっている。この「あと一歩」が思うように進まないのだ
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また,2種類の字牌「中」と「發」もゲームに深みを与えている。字牌には数字が存在せず,同じ字牌を3つ揃えなければ基本役が完成しないのだが,これらの牌は役満につながるカギとして機能している。
序盤に字牌を捨てていない場合,中盤以降に字牌を捨てる緊張感は相当なものだ。単に高得点を狙うだけでなく,意図して字牌を手元に残すことで相手にプレッシャーをかけるなど,ピーキーながら使い道の多い牌と言えるだろう。
本作では使用する牌の種類が非常に少ないため,こうした“読み”の見通しが良くなるように設計されている。その結果として,序盤から熱い読み合いが展開されるのだ。
ゲーム全体のテンポも良く,勝とうが負けようがすぐ次が始まるのも嬉しいところ。残念ながら今回の体験プレイはゲーム中に時間切れとなってしまったが,時間があったら誰かが「もう1回やりましょう」と言い出していたに違いない。
要素が大幅に絞られている本作だが,麻雀で得られる面白い部分はキッチリと残されている。「麻雀を遊んでみたいけど難しそう」という人は,まず「すずめ雀」から挑戦してみよう。
実プレイの後には,丸田康司氏と篠崎高広氏による開発裏話も語られた。
丸田氏によると,2014年ごろに篠崎氏が索子(竹で数字を表す牌)に焦点をあてたカードゲーム
「SUPER ALL GREEN」をすごろくやに商材として持ち込み,改良を重ねて
「ALL GREEN」として発売したのが本作を制作するきっかけになったそうだ。
その後,丸田氏の提案によって“牌ベース版 ALL GREEN”の製作プロジェクトがスタートし,2年の歳月をかけて製作されたのが本作「すずめ雀」だという。
すごろくや代表取締役の丸田康司氏 |
ボードゲーム制作スタジオ「しのうじょう」の代表,篠崎高広氏 |
篠崎氏は以前にも,ヤオ九牌(1,9,字牌)のみで構成された麻雀カードゲーム「ヤオチュー!」や,ダイス麻雀ゲーム「菊花賽」など,麻雀をテーマにしたカードゲームを複数リリースしている
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開発の初期段階ではプレイヤーが持つ牌の数が現在より1枚少なく,必須役1組+アタマ(同じ牌2枚)の構成でアガリが可能になる仕組みだったほか,現在のようなアガリ条件(5点縛り)も存在せず,現在よりもシンプルな構造だったようだ。
丸田氏はこういった調整に関して「ゲームとしてのシンプルさと,麻雀としての読み合い要素のバランス取りは一番悩んだ部分です」とコメント。より複雑な要素の追加に関しては「夜通し遊べる考え甲斐のあるゲーム」として完成させるため,慎重に検討を重ねて取捨選択されたものだという。
手牌の数が増えた後は,色々な役の実装が検討されていたようだ
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トークに続いて,今後の展開についても少し語られた。本作は5月5日,6日に行われるアナログゲーム販売イベント
「ゲームマーケット2018春」にて販売が開始されるが,イベント販売時にはショッパーが数量限定でプレゼントされる。確実に手に入れたい人は,早めにブースに足を運ぼう。
それに加えて,カラーユニバーサルデザイン(色覚障害者向けカラー)を採用した「すずめ雀」用シールの発売情報も明らかにされた。ゲームプレイに必要な人はもちろん,ゲーム会に本作を持ち込む予定のある人は,こういった商品もチェックしておこう。
カラーユニバーサルデザインを採用した「すずめ雀」用シール
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ゲームマーケット2018春で配られる「すずめ雀」限定ショッパー
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本作の発売後には,日本各地のゲームショップやゲームカフェなどに試遊用のサンプル品が配布される。配布店舗は後日公開されるので,実際にプレイしてみてから購入を決めたい人は,こちらを活用するのがオススメだ。
さらに,今後は配布したゲームを活用した店舗大会や,各店舗の優勝者を集めた
「すずめ雀全国大会」なども実施予定とのこと。腕に覚えのある人は,
すごろくやの公式Twitterなどをチェックしつつ,今後の発表を待とう。