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SIEのロボットトイ「toio」が新展開。専用タイトル第4弾「トイオ・ドライブ」や技術仕様の公開がアナウンスされた発表会をレポ―ト
こちらの記事でも紹介したように,今回の発表会ではtoio専用タイトルの第4弾となる新作「トイオ・ドライブ」や,toioロボットコンテストの告知,toioの技術仕様の公開など,盛りだくさんの内容が発表された。
ワークショップやイベントでも大人気のtoio
発表会の冒頭では,toioの開発者であるSIEの田中章愛氏が登壇し,改めてtoioのコンセプトや機能などを紹介した。
toioは手のひらサイズの小さなキューブ型ロボットで,別売の専用タイトルを買って遊ぶことができるほか,プログラミングソフトでオリジナルの遊びを作りだすことが可能だ。
「つくって,あそんで,ひらめいて」というコンセプトの通り,レゴブロックを載せたり,紙工作でデコレーションしたりと,toioをアレンジできる自由度の高さが特徴だ。
2019年3月の発売以降,小学校やプログラミング教室,科学館などで体験会やワークショップが開催され,多くの親子がtoioを楽しんでいるという。実際に遊んだユーザーからは,「子どもが直感で遊ぶことができる」「発展性があり,長く遊べる」といった声が寄せられているそうだ。
AIと楽しむ新感覚のドライブゲーム「トイオ・ドライブ」
続いて,toioタイトルプロデューサーの小番芳範氏から,toio専用タイトル第4弾となる「トイオ・ドライブ」についての紹介が行われた。
コントローラである「toioリング」をクルマのハンドルにして遊びたいというアイデアから生まれたというこのタイトルは,「これまでの3タイトルよりも,エンターテインメント性を高めて,ゲームらしくした」という。ゲームモードには,AIの操作するクルマを相手に1人でも楽しめる「シティミッションモード」と,友達や家族と対戦したりオリジナルコースを作ったりできる「バラエティモード」が用意されている。
一見シンプルに思える「トイオ・ドライブ」だが,この小さなロボットとマップの中には最新の技術が詰め込まれている。例えば,1人で遊べる「シティミッションモード」では,プレイヤーが操作するクルマほかに,AIが操作するクルマがあり,プレイヤーから逃げ回ったり,時にはこちらの走行を邪魔したりしてくる。コアキューブの裏面にある「絶対位置センサー」で,専用プレイマットの絶対位置情報を読み取り,正確な動きを可能にしているのだ。
「トイオ・ドライブ」を開発するうえでもっとも苦労したのは,「画面の中だけで完結するこれまでのゲームと違い,本来想定していない物理的なリアルの動きに対しての調整」だったという。「子ども達はまったく予想もしない操作をするため,それらを想定し,予想外の動きに対してどう対応させるかをひとつひとつ検証していった」と開発者の小番氏は語る。例えば,コースから外れたり,toio リングをぐるぐる回すようなハンドル操作をしたりした場合,クルマはスピンするようにされており,体験を通して,子ども達に正しい操作を覚えてもらうようにしているのだ。
また,「トイオ・ドライブ」には,1回ミッションをこなしただけでは遊びきれない仕掛けがある。実は,ミッションごとにかかった時間などのクリア条件で3段階の評価があり,デフォルトで用意されたクルマでは一番高い評価をもらうのが難しい仕様になっているのだ。つまり,より迅速かつ確実にミッションをこなせるクルマの設計を自分自身で考えなければいけない。こうした部分にも,toioならではの遊び心があふれているのを感じる。やり込み甲斐のある,遊ぶのがとても楽しみなタイトルに仕上がりそうだ。
技術仕様の公開,ライブラリ開設で可能性が無限大に!
発表会では今後の3つの展開についても紹介された。
(1)「toio×ロボットコンテスト」の開催
東京おもちゃショー2019では,全国の体験会などで大好評だった「クラフトファイター」の選手権を6月15日と6月16日の一般公開日に開催する。
さらにプログラミングコンテストを今夏に行うなど,今後も大人から子供まで楽しめるイベントなどを定期的に行っていく予定だという。
(2)toioプログラミングソフトのWindows対応
toioは専用タイトル以外にも,無料のプログラミングソフト「ビジュアルプログラミング」を使って,コアキューブを使ったプログラミングを楽しめる。
「ビジュアルプログラミング」はScratch 3.0をベースにしたもので,小学生でも簡単にプログラミングできるのが特徴だが,これまではMacのみの対応だった。現在,要望の多かったWindows対応についても開発を進めており,今年中に公開される予定となっている。
(3)toio活用が広がる技術仕様の公開
上級者向けとして紹介されたのが,6月13日より公開を始めたtoioの開発環境に関する情報だ。現在GitHubではオープンソースとして,コアキューブのハードウェアや通信などの技術仕様,本格的なプログラムを作ることができるJavaScriptライブラリが公開されている。
田中氏は,「『toioで自由に作品を作りたい,研究開発に使いたい』といった声に応えた」と公開の理由を説明。田中氏自身も学生時代からロボットコンテストに出場し,ロボット研究を行ってきた1人として「色々と作ってみたい」と話した。何年もかけて作り上げてきた製品の仕様を公開するという姿勢に,プラットフォームとしてtoioを広げていきたいという,開発陣の本気度が伝わってくる。
SIEでは,toioを単なるロボットではなく「新しいプラットフォーム」と位置付けている。筆者もこれまでtoioのタイトルを遊んできたが,タイトルごとに驚かされるのが,toioのコアキューブがタイトルごとに役割を変えて見事に変身するということだ。
例えば,「トイオ・コレクション」では,コアキューブは自由に工作して戦うロボットになり,「工作生物 ゲズンロイド」は紙工作で不気味なめだま生物になったり,しゃくとり虫のような生物になったりする。さらに,コアキューブにパーツをつければ,オリジナルのプログラミングロボットに早変わりするなど,一見無機質に見える白いシンブルな形だからこそ,作るもの・使うものの想像力をかきたて,さまざまななものに変身するのだ。
「東京おもちゃショー2019」のtoioブースはここならではのお楽しみ要素が満載!
「東京おもちゃショー2019」のtoioブースでは,「トイオ・ドライブ」以外にも,toioの全タイトルが遊べる試遊台も用意されており,それぞれのタイトルを遊ぶと,特製のクリアファイルがプレゼントされる。
また,ブースではさまざまなtoioグッズも配布されており,toioの公式SNS(Twitter,Facebook)をフォローし,画面をスタッフに見せると,toioのコアキューブそっくりの消しゴムがもらえるほか,「トイオ・ドライブ」をプレーした人には,日産セレナのペーパークラフトがもらえる。
そのほかにも一般公開日の6月15日と6月16日には,「toioとレゴで親子クラフトファイター選手権」が開催される。クラフトファイターは,「トイオ・コレクション」に収録されているコンテンツのひとつで,レゴや身の回りのものを使ってtoioを自由に工作し,2台のtoioでバトルを行う。その創造性と対戦の楽しさで過去の体験会などでもダントツの人気を誇っており,ユーザーからの高い支持を受けて,今回の開催に至ったという。どんなロボットを作れば勝てるのか,試行錯誤をしながら作っていく過程も楽しめる。
東京おもちゃショー2019へ行く予定の人は,ぜひtoioブースに立ち寄ってみよう。小さなロボットが,タイトルによってあそびかたを変える楽しさを,ぜひ体験してみてほしい。
「toio」公式サイト
東京おもちゃショー2019公式サイト
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