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作曲もできる音楽ゲームやボードゲームがお披露目され,スマホアプリの配信も明らかに。ロボットトイ「toio」新タイトル発表会レポート
3月に発売されたtoioは,「toio コンソール」と,キューブ型の小さなロボット「コアキューブ」2個,リング型コントローラ「toio リング」で構成されており,コンソールに挿し込むカートリッジを変えることで,さまざまな遊びが楽しめる。
発表会では,初披露のタイトルに加え,今後の展開,toio専用スマホアプリなど,さまざまなトピックが明らかになった。中でも特に注目を集めたのは,2つの新タイトル,toioならではの音楽体験ができる「おんがくであそぼう ピコトンズ」と,ボードゲーム「大魔王の美術館と怪盗団」だ。
誰でも作曲家になれる「おんがくであそぼう ピコトンズ」
「おんがくであそぼう ピコトンズ」では,直感的な操作で音遊びから演奏,作曲までが楽しめる。toioのコアキューブを鍵盤や50音の日本語シートに置くだけで,さまざまなな音色を鳴らしたり,言葉を発音させたりできるのだ。
音楽監修を作曲家の島田春奈氏,さらに“プレイングアドバイザー”を,現役高校生にしてトラックメイカーとしても話題のSASUKE氏が務める。プレイングアドバイザーには,演奏の「プレイ」だけでなく,遊んで楽しんでもらう「プレイ」も含まれているという。
中山氏によると,「最初は子どもの好きな音などを鳴らして,音や音楽に興味を持ってもらい,最終的には作曲してもらうことが目標です。鍵盤と50音のシートは表裏になっていますが,親子や友だち同士で一緒に演奏できるよう,2枚同梱することも考えています」とのこと。好きな曲を演奏したり,即興でセッションをしたりと,さまざまな遊びができそうだ。発売予定は2020年夏となっている。
ボードゲームの新境地を開く「大魔王の美術館と怪盗団」
そして,大人のゲーマーをも魅了しそうなのが,ボードゲーム「大魔王の美術館と怪盗団」だ。アニメ「キャロル&チューズデイ」の世界観デザインをはじめとした多くの作品で知られるクリエイターのロマン・トマ氏が設立したSTUDIO NO BORDERが,プロデュースからゲームデザイン,キャラクターデザインまでを手がけている。
ゲームの舞台となるのは美術館。プレイヤーは盗賊団として美術館のお宝を集めていき,もっとも多くのお宝を集めた人が勝利となる。ただし,美術館の中には番人が動き回っていて,見つかると今まで集めたお宝を手放さなくてはいけない。罠などのアイテムを使いつつ,番人やほかのプレイヤーの動きを考えながらゲームを進めていく。
この番人を務めるのがtoioのコアキューブ。センサーやAIによってマップ上を自動で歩きまわる番人は,「大魔王の美術館と怪盗団」の大きな特徴となっている。アレクシー氏は「難しい部分は全部toioが担当してくれるので,番人やほかのプレイヤーとの駆け引きなど,ボードゲームならではの醍醐味だけ楽しめる」と話した。
また,もうひとつの特徴は,マップが細かいパーツに分かれており,毎回プレイヤーが自由に組み替えをして好きな形にできる点だ。小さい美術館にして短時間で遊ぶこともできるし,逆に大きくしてたっぷり遊ぶことも可能というわけだ。
ロマン・トマ氏は「これまでアニメやゲームの世界観を作ってきた経験や技術を生かして,セリフや背景にも非常に力を入れている。この世界への没入感を楽しんでもらえるようなゲームにしたい」と話した。発売は2020年秋とまだ先だが,完成度の高いタイトルに仕上がることを期待したい。
なお,「大魔王の美術館と怪盗団」についてのインタビューを追ってお届けする予定なので,興味がある人はぜひそちらも読んでほしい。
toio初のスマホアプリも無料配信
toioは基本的にタイトルのカートリッジを購入して遊ぶスタイルだが,発表会ではスマホアプリの無料配信も発表された。タイトルは「ウロチョロス」。独特のセンスが光るこのアプリを開発したのは,プレイステーション向けタイトル「がんばれ森川くん2号」などのゲームを世に送り出した森川幸人氏率いるモリカトロンだ。
森川氏はゲームAI研究開発の第一人者としても活躍していることもあり,「ウロチョロス」ではtoioの性能を最大限に生かしたAI体験を楽しめる。コアキューブが生き物のように意思をもって動き回ったり,歌ったりする様子は必見だ。
鬼ごっこで生きているかのように動き回るウロチョロスの紹介映像を見て,toioの開発者であるSIEの田中章愛氏は,「4台のキューブ同士がぶつからずに動くというのは,ロボット工学を学んでいる者からすると,本当にすごいことをやっているんです」と絶賛していた。
「ウロチョロス」のアプリは,11月下旬よりiOSとAndroid版が無料配信される。toioを持っている人はぜひダウンロードして,インタラクティブな体験を楽しんでほしい。
「トイオ・ドライブ」は11月14日発売。さらなる新作も
発表会では,11月14日に発売を控えた最新作「トイオ・ドライブ」の最新PVも紹介された。「トイオ・ドライブ」のプロデューサーを務めるSIEの小番芳範氏は「ボリュームたっぷりの遊び甲斐のあるゲーム」として,友だちや家族と対戦できる要素なども紹介した。
小番氏は続けて,「戦略バトル」ジャンルで新作の開発を進めていることを明らかにした。具体的なタイトル名や内容,ビジュアルはほとんど明かされず,唯一のヒントとして一枚のビジュアルのみ公開となった。
小番氏は「これまでtoioを体験したユーザーの方から多くの声をいただいたが,特に印象に残ったのが『自分で作った命令や動きのパターンで,思い通りに動かしてみたい』という意見でした。これは,toioの『つくって,あそんで,ひらめいて』というコンセプトとも合致し,エンタメ性のあるタイトルを作ることにしました」と,製作のきっかけを話した。
Windowsでビジュアルプログラミングが可能に
さらに今後の展開として,初となるシステムソフトウェアのアップデートや,ユーザーから要望が多かった「ビジュアルプログラミング」のWindows対応などが,田中氏より発表された。
田中氏は「我々の想像を超える専門家やクリエイターなど,多くの方にtoioのタイトルに関わっていただくことができ,充実したラインナップを展開できたことに感謝しています。toioは最新のロボット技術を使いながら,それを感じさせない自然さで楽しむことができます。ここまで楽しんでもらっている人,これから出会う人とともに,これからの時代だからこそできる遊びを提供していきたいと思います」と,発表会を締めくくった。
今回の発表会は,ラインナップの豊富さ,そして参加したクリエイターの幅の広さからも,toioへの本気度が伝わってきた。さらに,toioは2020年から始まる小学校でのプログラミング教育の教材としても注目されており,すでに熊本県人吉市では市内の全小学校において,toioを活用した授業も始まっている。
今年1月に行われた発売前のメディア体験会で「toioは新しいプラットフォーム」として紹介されたとおり,toioがプラットフォームとして確実に進んでいることを改めて感じた。
「toio」公式サイト
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