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CEDEC 2022の基調講演が発表に。山内一典氏が“「グランツーリスモ」の25年・その背景と哲学”と題し,シリーズの経緯や展開を語る
発表されたのは,「グランツーリスモ」シリーズを手掛けるポリフォニー・デジタルの代表取締役プレジデント,山内一典氏による「『グランツーリスモ』の25年・その背景と哲学」と,国立研究開発法人理化学研究所 計算科学研究センター長,松岡 聡氏による「ゲームはスパコンの夢を見るか,スパコンはゲームの夢を見るか」の2つだ。
基調講演は,受講登録者向けのオンラインライブ配信およびタイムシフト配信,YouTubeでの無料配信で視聴可能とのことだ。
下記リリース文にて講演の概要が紹介されているので,興味がある人はそちらもチェックしておこう。
「CEDEC」公式サイト
8月23日(火)9時45分〜山内一典氏(株式会社ポリフォニー・デジタル)
8月25日(木)9時45分〜松岡聡氏(国立研究開発法人理化学研究所計算科学研究センター)
日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けカンファレンス「CEDEC2022」(CEDEC=セデック:Computer Entertainment Developers Conference 主催:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会、略称CESA、[会期]8月23日(火)〜25日(木)※オンライン開催)は、基調講演の講演者および講演テーマを決定しました。
CEDEC2022は、2つの基調講演 を予定しています。
1つ目は、会期初日の8月23日(火)に“グランツーリスモ”シリーズの生みの 親である、株式会社 ポリフォニー・デジタルの山内一典氏が 登壇します。「『グランツーリスモ』の25年・その背景と哲学」と題し、グランツーリスモが制作されるに至った経緯と背景、その後の展開など
2つ目の基調講演は、会期最終日8月25日(木)に、国立研究開発法人理化学研究所計算科学研究センターセンター長の松岡聡氏が登壇します。講演タイトルは、「ゲームはスパコンの夢を 見るか、スパコンはゲーム の夢を見るか」で、かつては 圧倒的な能力差 があったテレビゲームとスパコンが、GPU技術などの台頭によりさまざまな面で互いに融合を見せていくなか、今後、エンタテインメントと科学技術はどのような道を辿っていくのかを科学技術の視点から考察します。なお、基調講演は、受講登録者向けのオンラインライブ配信およびタイムシフト配信(レギュラーパスのみ)、 ならびに 公式YouTubeでの 無料配信で視聴いただけます。
■基調講演概要
<講演者>山内一典(株式会社ポリフォニー・デジタル代表取締役プレジデント)
<タイトル>「グランツーリスモ」の25年・その背景と哲学
<概要>「世界の森羅万象を量子化し、計算可能な存在にする」
25年前に株式会社ポリフォニー・デジタルを設立する際のテーゼ は、そういうもので、それは今でも 変わっていません。
ビデオゲームは、それ自体、表現の一様式であり、アート でもあります。強調したいのは、ビデオゲームが、その出発点から、他の表現に対して突出して有利なことのひとつが、ある入力に対して、ある出力を返す「系」であることです。 コンピュータのハードウェアの発展スピードと、その物理的な計算パワーの上限による、ときどきの制約はあるだろう。でも、原理的には「世界そのものさえ」いずれ、作ることができるのではないか。
これは、いま、ご活躍中の多くのビデオゲームクリエーターが抱いた、最初の夢だったのではないでしょうか。個人で扱えるようなコンピュータの普及と文化が勃興したのは、およそ40年前のことですが、当時、その可能性に触れた多くの若者がビデオゲームの未来に託した夢とは、そういう夢ではなかったか。自然が 見せる、さまざまな表情、予測不可能なふるまい、それらを固唾を飲んで、目を見張って見つめていた子供の頃を思い出してください。世界はいつだって、不思議に満ちているし、それ自体が素敵なものです。それをコンピュータで扱うことができたら、どれだけ素敵だろう。
この セッションでは、「グランツーリスモ」が制作されるに至った経緯と背景、その後の展開、 ポリフォニー・デジタルという会社のエートス、そして、未来への展望を語りながら、本来、ぼくたちは、どこを目指していたのか、を改めて問い直します。
<講演者>松岡聡(国立研究開発法人理化学研究所計算科学研究センターセンター長)
<タイトル>「ゲームはスパコンの夢を見るか、スパコンはゲームの夢を見るか」
<概要> 1970年後半にテレビゲームが出現し、その後家庭用やPC上で広まったが、当時の最先端のスパコンと比較すると、その能力は何桁も違い、ハード・ソフトとも 別世界の技術だった。だが、2000年代になると、3次元グラフィックスがゲームに導入され、さまざまなシミュレーションがゲーム機で要求されるようになり、逆にスパコンもGPU技術などゲームグラフィックス技術が採用されはじめた。現在、ハイエンドのゲームは実写とみまごうグラフィックスと高度な物理エンジンがスパコンとほぼ同じ技術で駆動され、また、スパコン界でも世界トップクラスの多くはGPUを用い、高度なデジタルツインを実現している。
今後、ゲームとスパコンの技術は融合していくのだろうか、あるいは、エンタテインメントと科学技術という違いから、相互に影響しつつも似て非なるものになるのであろうか?その中で、GPUが起爆剤となったもう一つの 技術、深層学習ベースのAIはどのような役割を持つのだろうか?本講演では、スパコン「富岳」やTSUBAMEの経験をもとに、それらの現状と未来の可能性 に言及する。
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