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大手パブリッシャはブロックチェーンゲームをどう見ているか。セガ副社長とKONAMIのweb3事業部長が戦略を語ったIVS Cryptoのセッション
「山は動くか。国内最大手パブリッシャーが考える、Web3ゲームの現在」と題されたこのセッションは,ブロックチェーンゲームの普及におけるハードルについて,大手パブリッシャのキーマンである両名に聞くという趣向だ。モデレーターはYGG JapanのDefitter ジョン氏,インタビュアーは4Gamer編集長の岡田和久が務めた。
最初は,両社のWeb3領域への関わり方がテーマとなり,内海氏はライセンスアウトや開発会社への投資を挙げ,金友氏は専門の事業部で力を入れていることを説明した。
セガの動きが地味なのではという岡田の指摘に,内海氏は「Battle of Three Kingdoms」はライセンスアウトという形式ではあるものの,セガのクリエイターも関わりながらIPの世界観を保っていると説明。また,内製ではないものの,早いうちに複数のタイトルを発表することを仄めかした。
一方で,Web3人材の募集を始めているKONAMIの金友氏は,この分野のプロはまだ存在しないため,皆で勉強している最中だと語った。既存ビジネスとの兼ね合いもあり,人数を集めることは難しかったが,4年前から少しずつ進めてきたそうだ。
内海氏が,KONAMIのIPとWeb3領域との相性の良さに触れると,金友氏はそれに同意した。NFTはキャラクターの種類が豊富なコンテンツとの相性がよく,KONAMIにはそういうタイトルが多いとのこと。
金友氏は,ブロックチェーン技術がユーザー体験のアップデートにつながるかどうかがカギだとした。そこでジョン氏が,4Gamerから見たブロックチェーンゲームの新鮮さについて聞くと,岡田は「1年前から進歩が見られない」と手厳しい姿勢。
これに対して内海氏は,Web3領域で実現できることはかなりあると主張した。否定的な意見も多いPlay to Earnには楽しさもあることや,Verse内でタイトルを超えて使用できるNFTの価値を例示した。
ここで,そもそも「ゲームの楽しさ」とは何かという話題に。内海氏がソーシャルゲームがヒットした理由を金友氏に尋ねると,金友氏は,人が大人になると失いがちな成長感を,運営型のタイトルが満たしてくれるからと答えた。
内海氏は,「虚栄心を刺激すること」もゲームの語られにくい魅力だと指摘。また,Play to Earnの支持者ではないが,そういった要素を否定するわけでもないという。ただ,それと同時にブロックチェーンゲームの未来について,明確な答えが頭にあるわけではないとも語った。
そして岡田は,ブロックチェーンゲームで重要なのは資産性よりも,価値の流動性なのではと提起した。貨幣に換算したものではなく,そうではないものを動かしやすくできることが魅力だという主張だ。
内海氏は言葉遊びは意味がないと反論しつつも,どちらも起こりうるだろうと一定の理解を示した。金友氏はソウルバウンドトークン(譲渡不可のNFT)を例に挙げ,流動しないことでも価値が生まれるとした。
最後のテーマは,大企業ならではのWeb3ビジネスモデル。内海氏は,大きな会社だとさまざまな人といっぺんに付き合えるので,ボラティリティの高い(変動が大きい)事業において恵まれた立場だと語った。金友氏は各社の専門領域が出てきているため,大企業だからといって自社ですべてやるわけではないと,現在の状況を説明。プロジェクトごとに適宜判断していきたいと語った。
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