インディーズゲームの小部屋：Room＃672「Nox Archaist」

　オールドMacやMSX風のゲームには目がない筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第672回は，6502 Workshopの「Nox Archaist」を紹介する。本作は「Ultima」シリーズを始めとする1980年代の名作ゲームをモデルにした，新作ファンタジーRPGだ。色数の少ないドット絵を見ると，ゲームに夢中だった昔を思い出してワクワクしちゃう！


　本作の舞台となるのは，大小さまざまな島で構成されたウィンマー諸島。プレイヤーは女王の命を受けた冒険者となり，ここで怪しげな動きを見せているカルト教団を調査するため，仲間を集めながら世界を旅することになる。


　初期の「Ultima」シリーズを彷彿させるドット絵が大きな特徴だが，それもそのはず，本作はApple IIの実機で開発されており，PC版はApple IIのエミュレータ上で動作している。さらに念の入ったことに，Apple II用のハードディスクおよびフロッピーディスクのイメージファイルが同梱されており，その気になればApple IIで遊ぶこともできるという，正真正銘の8bitゲームだ。


　ゲームを開始したら，人間，ハーフリング，エルフ，ダークエルフ，ドワーフの5種族から好きなものを選んで，まずは自分の分身を作成することに。種族ごとにボーナスが付くスキルが異なるので，どんなキャラクターにしたいかをしっかり考えて決めよう。本作では，町やダンジョンで出会うNPCを仲間にして，最大6人のパーティを編成できる。

　本作には職業の概念はなく，レベルアップ時のポイントを振り分けて，自分好みのキャラクターを育成可能。また，一度仲間にしたNPCは宿屋で入れ替えられ，何なら自分自身を宿に預けて，NPCだけのパーティで旅を続けることもできる。ええ，そんなのアリなの……？


　基本的なゲームシステムは見た目に違わず実に1980年代的で，NPCに話しかけるときは“Talk”の「T」，扉を開けるときは“Open”の「O」といった具合に，それぞれに対応したキーを入力する方式。戦闘は敵シンボルと接触すると発生し，オートで結果だけを表示する「Quick」と，戦闘フィールドで手動でキャラクターに指示を出す「Tactical」の2つのモードを選択できる。


　ゲームバランスはよく練られており，遊び応えのあるゲームに仕上がっているが，今どきのゲームのように丁寧なガイドがあるわけではないので，慣れないうちはどうやって進めればいいのか分からないという人もいるかもしれない。そんな人に向けてのアドバイスは，序盤はとにかく仲間集めに専念するということ。大抵の町には1人か2人，仲間になってくれるNPCがいるので，町を巡って少しでも早く6人パーティを完成させたい。


　その後はレベル上げをしながら装備を整え，レベル3〜4になれば，序盤はだいぶ余裕を持って戦えるようになるだろう。本作については，まだまだ紹介しきれない要素が多いが，あとは実際にゲームをプレイして，少しずつ把握していってほしい。船を購入して大海原に漕ぎ出せるようになる頃には，この世界にどっぷりと浸かっているはずだ。


　そんな本作はSteamにて，2570円で発売中。残念ながら日本語化はされていないが，それほど難しい英語ではないので，青春時代を「Ultima」シリーズに捧げたという古参ゲーマーも，名前は知っているけど遊んだことはないという人も，この機会にぜひどうぞ。オススメです。

■「Nox Archaist」公式サイト

https://www.6502workshop.com/p/nox-archaist.html