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[E3 2018]「Fallout 76」について語ったトッド・ハワード氏のほぼすべての発言を翻訳。マルチプレイ対応のFalloutはどんなゲームなのか
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印刷2018/06/12 00:00

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[E3 2018]「Fallout 76」について語ったトッド・ハワード氏のほぼすべての発言を翻訳。マルチプレイ対応のFalloutはどんなゲームなのか

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 アメリカ時間の2018年6月10日,Los Angeles Convention Centerからほど近い複合施設,L.A. Live駐車場屋上の特設巨大テントにおいて,Bethesda SoftworksのE3ショウケースイベント「Bethesda E3 2018 Showcase」が開催された。

 このイベントでは,多くのゲーマーから注目を集めている「Fallout 76」PC / PlayStation 4 / Xbox One)がついにそのベールを脱いでいる。Fallout 76はすべてのシリーズ作品の前日譚であり,核戦争後のフォールアウト(死の灰)が降り注いだ後,初めて核シェルターの扉を開けて外に出た人類としてプレイすることになるという。
 プレイヤーが過酷な世界を生き抜くために“要塞作り”が楽しめるあたりは,「ARK: Survival Evolved」を連想させる。いわゆる“サバイバルアクションゲーム”のメカニクスになっているのだろう。

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 果たして,Fallout 76にはどんな世界が待っており,プレイヤーはどんなことができるのか。Bethesda Softworksのエグゼクティブプロデューサーを務めるTodd Howard(トッド・ハワード)氏が,E3ショウケースにて約20分にわたって解説してくれた内容を翻訳してみよう。
 なお,一言一句に至るまで完全に翻訳できたわけではないが,極力,語意は変えないようにしている。

「Fallout 76」公式サイト



1つのゲームをシェアするのは“数十人規模”の「ソフトコア・サバイバル」


Bethesda Softworksには25年間の勤続となるエグゼクティブプロデューサーのトッド・ハワード氏。「Fallout 4」と「Fallout Shelter」を発表した2015年のE3ショウケースから数えて,3年ぶりの登場となった
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ハワード氏:
 皆さんがこの会場に来てくれた理由をお話しましょう。もちろん,次のFalloutが目当てですね。Fallout 76はこれまでのシリーズ作品の前章にあたりますが,我々のゲームとしては過去最大の規模になります。マップのサイズは前作「Fallout 4」と比べて,4倍もの大きさです。
 ウェストヴァージニア州の丘陵地を舞台に,皆さんは核戦争後のウェイストランド(Wasteland)に初めて足を踏み出す人類となります。

〈ゲームの世界を紹介するデモ映像の上映〉

ハワード氏:
 核戦争後,最初に地上への扉を開けた核シェルターの1つが「Vault 76」であり,アメリカの建国300周年(Tricentennial)を祝して作られたものです。あなたはこの特別なシェルターに居住する栄誉を与えられた,一握りの人間。その扉が開く「再生の日」(Reclamation Day)を待ちながら,25年間の地下生活を続けてきました。

※ハワード氏が「今日,覚えて帰るべき言葉です」とジョークを飛ばしていたが,検索をかけてみても出てこなかった。事後の指摘で「tercentenary」であるようだということが判明した。

〈Vault 76内のデモ映像の上映〉
[監督官(Overseer)のナレーション]
 昨日のパーティの夜更かしで寝坊した人も,とっとと外に出なさい。あなたはこの国の最もすばらしく,最も頭の良い人で,そして私達の家族であることを忘れないように。

ハワード氏:
 我々(がゲームを作るとき)は,常にゲームの世界から始めます。Fallout 76では新しいレンダリングや照明効果,地形生成技術を採用しており,Fallout 4と比較して,16倍ものディテールを表現できるようになっています。遠くで変化していく気象を目視することさえ可能です。

 皆さんはウェストヴァージニア州についてそれほどご存じないかもしれませんが,美しい自然や町並み,そして政府のトップシークレットが詰まった場所です。現実の世界において,最も核兵器に関する秘密が隠されているのもウェストヴァージニア州です。
 監督官(Overseer)に指示される形となるクエストでは,環境やリスク,報酬が非常に異なる6つの地域に赴きます。Fallout 76の新要素として,ヴァージニア地域に根ざした民話をゲームのバックグラウンドに生かそうと思っています。

大幅に改良されたゲームエンジンにより,16倍ものディテールを表現できるようになったという。核戦争から25年目の世界にしては美しすぎるほどだ……
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 我々は常に「プレイヤーが『核シェルターから足を踏み出す,最初のキャラクター』をプレイするなら?」を実現したいと願ってきました。しかし,Fallout 76には大きな違いが1つあります。ゲームの世界に存在するキャラクター達は,実際の人間(プレイヤー)です。そう,なぜならFallout 76は完全なオンラインゲームだからです。

 (観衆に対して)分かっていますよ。今,皆さんは何千もの質問を持っているでしょう。ですから,それらを順番に説明したいと思います(会場笑)。まずは,いくつかの大きなポイントを明確にしておきますね。
 最初に伝えておきたいのは,もちろんソロでもプレイすることが可能だということです。クエストを選んで,ストーリーをじっくり体験して,自分のペースでレベルアップしていく。こうした従来のシリーズ作品にあった要素を消し去ろうとは思っていません。

デモ中に紹介されたマップ。試しに「Mothman Museum」を検索してみたら,本当に存在する施設だった
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 しかし,多くの皆さんはこう考えたことはないですか。「Bethesdaのゲームをマルチプレイヤーで体験したら,どんな雰囲気になるのだろう?」と。多くのゲーマーが(我々の)ゲームをプレイした体験を誰かに話したことがあるでしょう。しかし,その体験を実際にほかのプレイヤーと共有することはできませんでした。
 4年ほど前,Fallout 76のために考えたオープンワールド,サバイバル,登場キャラクターが人間であるといったシステムが,その答えになると思いました。そのアイデアを捨て去ることができず,我々なりに実現したいと切望していたのです。

 もちろん皆さんも,「サバイバルモード」をフィーチャーした作品をプレイしたことがあるでしょう。そして,「ひょっとしたら『Fallout 76』はハードコアなサバイバルゲームなのか」と考えていると思います。しかし,私は「ソフトコア・サバイバル」というカテゴリに属していると考えています。「ソフトコア・サバイバル」とはレーティングシステムの表記に使えそうですね(会場笑)。

 私が言いたいことは,プレイヤーキャラクターが死んでも,キャラクターの成長(プログレッション)がすべて失われたり,キャラクターそのものが消えたりはしないということです。あなたのキャラクターは1つのサーバーとリンクしており,プレイするたびにサーバーを意識することはありません。
 あなたは数ダース(dozens,一般的に100未満を指す)のプレイヤー達と世界を共有します。数百人,数千人というレベルではありません。思い出してください。核戦争後の世界は遊園地ではなく,そんなに人がいません(会場笑)。そしてどんなプレイをしても,その成長はプレイヤー自身の手元に留まることになります。

文明崩壊からそれほどの年月が経過していないからか,それなりの遺物は見つかりそうだ
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核ミサイル施設をアンロックする「コード」を探し回る


ハワード氏:
 我々がゲームをプレイするとき,そのゲームの世界,その選択,そしてそこから生み出される「誰かと共有したくなるストーリー」を意識するのではないでしょうか。Fallout 76ではルールを最小限まで削ることによって,我々が過去に手がけたどんなゲームより,プレイヤーの選択がすべてを決定し,プレイヤーがゲームの世界で何が起こるのかを決めることになっています。
 ヒーローになるのか,悪党になるのか,自分で決めるのです。つまり,Fallout 76は皆さんだけでなく,我々にとっても新しいタイプのゲームとなります。幸運なことに,Vault-Tec(シリーズ作品に登場する,核シェルターを開発した架空の企業)の友人達が,我々のために教養ビデオを残してくれたので紹介しましょう。

〈教養ビデオ#1〉
(ナレーション)
 新しいアメリカのフロンティアを探索するとき,ほかのサバイバーと遭遇することもあるでしょう。彼らは必ずしもフレンドリーであるとは限りません(※いきなりロケットランチャーで攻撃を受ける)。
 まあまあ,お静かに。すべての核シェルターの元住人が,攻撃的な性格ではありませんから,ほかのプレイヤーと一緒に新しい未知の世界へと足を踏み入れてください。ウェイストランドを1人で旅しようが,仲間と一緒に探索に出かけようが,あなたの1日は楽しいものになるはずです(※ミュータントとの戦い,砦や町の建設要素が紹介される)。

ハワード氏:
 従来のシリーズ作品のように,Fallout 76はソロでクエストをプレイすることができます。しかし,ウェイストランドで生存するために,最も簡単な方法はほかのプレイヤーとチームを組んで,要塞を築くことです。どこにでも砦を作れますし,引っ越ししたいときには(建物ごと)どこにでも移動できます。

ビッグなキルをしたときには,仲間達と記録を作成できるという
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〈教養ビデオ#2〉
(ナレーション)
 核戦争後,人間が生み出した高層ビルや工業施設は,もはや天国まで続いてはいないでしょう。しかし,人類を獣から切り離す最大の特徴は「建てることへの願望」です。
 最初は手を使ってモノづくりを始めますが,やがてツールを生み出し,未来の住みかを建設することでしょう。自分の安全性を保つことができれば,自然に存在する素材に手を加えていく余裕が生まれるはずです。我々が愛するアメリカの再建は,あなたとあなたの仲間達の腕にかかっています。

 しかし,自分達が生み出したものに,簡単には愛着を持つべきではありません。周囲で不自然なことが起きていないか,常にしっかりと注意しておく必要があります(※敵のクランが押し寄せて,交戦しているイメージが流れる)。
 自分達の夢を詰め込んだ住みかが,さまざまな苦難に遭うかもしれません。そのようなときには,仲間と協力して打ち勝ちましょう。核戦争が作り出したウェイストランドでは,独りよがりでは何もできないのです。
 自分が生み出したものの記録をしっかりと残してください。それが,新しいアメリカンドリームを紡いでいくことになります。あ,あの音は何でしょうか?(※ミサイルが飛んでくる音) ほら,あなたのご近所が消えちゃいましたよ。

もちろん,「Camden Park」も実在する遊園地
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ハワード氏:
 我々はダイナミックなゲームシステムを愛しています。そこで,我々はこう考えました。「核ミサイルの発射場を複数用意したらどうなるのか?」と。皆さんは発射場を好きにしてください。

〈教養ビデオ#3〉
(ナレーション)
 本日のエピソードは,平和の核について。あなたが安全な核シェルターから抜け出したとき,自分が見聞きしていた世界とはずいぶん違っていることに気づくでしょう。昔はフレンドリーだった,近所のジョニーを見てください。以前のように砂糖を借りに来るのでなく,あなたの命を奪いにやってきました。自分を守るための最大の手段,核の反撃を使うべきときが来たようです。
 そうです。アンクル・サムの恩恵により,原子力時代の大発明を裏庭で見つけられるかもしれません。しかし,「僕のような普通の人が,どうやって核兵器を入手できるのか?」と思っているでしょうね。最初に行うことはローカル達(※クリーチャーや盗賊か?)と協議して,優しく解決策を求めなければなりません。腕力を使って入手しなければならない場合もあるでしょう。
 自力で解決できなくても,あきらめることはありません。自分と同じく,核ミサイルを利用するためのコードを探している仲間と協力すれば,すべてを揃えることができるはずです。

 晴れて最終兵器を指一本で利用できるようになったら,使用のさいには責任を持ってターゲットを選びましょう。あなたの標的はライバルチームの要塞なのか,ただのよそ者なのか,それとも野生動物に対して?
 あなたが何を狙おうとも,それによって発生するフォールアウトを最大限に利用することを忘れてはいけません。フォールアウトは非常にレア,かつ価値の高い資源を生み出すこともあるのです。しかし,これらの報酬はリスクなしで得られるものではありません(※防護服が破れて命を落とすアニメーション)。新世界の運命はあなたの手と核の力にかかっているのです。

核攻撃後のフォールアウトにより,希少な鉱物が採取可能に。もちろん,プレイヤーへの危害も予想される
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「Fallout 76」は長く遊べるゲームになのか


ハワード氏:
 皆さんが我々のゲーム,それからほかのオンラインゲームをたくさん遊んでいることを理解しています。しかし,Fallout 76は非常にユニークな体験になるでしょう。
 我々は,完全に専用の(dedicated)サーバーによるプラットフォームを構築し,これから何年後もFallout 76をサポートしていく予定です。こうしたオンラインゲームを作るという試みは,我々にとっても尻込みしそうになるものですが,1つだけ言えることは皆さんの協力なくしては達成できないということです。
 そう,我々はβテストを実施します。Vault-Tecの協賛を得て,「B.E.T.A./Break-it Early Test Application」プログラムを近く開始します。過去の例から分かるとおり,オンラインゲームは常にバグや問題が発生するものです。インターネットで読んだところでは,我々の過去の作品にさえ,そうした事例があったらしいと書かれていました。どうやら間違いではないようです(会場笑)。何をやってもうまくいかないことだってあります(会場笑)。

売買やチーム編成,エモートなどは1つのダイヤル表示に統一されているようだ
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 それはともかく(会場笑),我々はFalloutシリーズを通じて,特別なものを作りあげてきました。「限定版」も作ってきましたが,それはFallout 76も例外ではありません。
 最初に,ゲームの世界地図を発表します。なんと,暗闇で光ります(会場笑)。この地図の上に置くフィギュアもご用意しています。Falloutシリーズのコレクターズアイテムとして,私自身が欲しいと思っていたものを作りました。

〈T-51b Power Armorのヘルメットを紹介する映像の上映〉


ハワード氏:
 はい。これが「Fallout 76 Power Armor Edition」です。ここまでの話を聞くと,Fallout 76がいつ発売されるのかを気にしているでしょうね。ここで,Fallout 76を今年発売することをアナウンスします(※2018年11月14日の発売日をアナウンスするスライドが表示される)。
 繰り返しになりますが,これまでのFalloutシリーズへのサポートに感謝しています。「Fallout 3」を作ってからもう10年になりますが,これまでの道のりは本当に驚くべきものでした。

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 以上がトッド・ハワード氏が語った内容だ。1億2000万アカウントを記録したモバイルゲーム「Fallout Shelter」をはじめ,このたび発表された「The Elder Scrolls: Blades」,さらにFallout 3で提供された複数のDLC戦略など,思えばBethesda Softworksはクラシカルなゲームプレイを重視しつつも,さまざまな試行錯誤を繰り返してきた。
 そして,Fallout 76ではソロプレイも用意しながら,「マルチプレイ対応のサバイバルアクションRPG」という,同社にとって新しいジャンルに挑戦している。それをファンはどのように評価することになるのだろうか。

E3に合わせて,Bethesda Softworksが広告を設置することが多いFigueroa Hotel。やはり,今年はFallout 76だった
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