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印刷2024/07/29 16:00

プレイレポート

[プレイレポ]完全新作MMORPG「スローン・アンド・リバティ」のOBTに参加。大規模PvPがウリだが,意外にもアクション要素が強かった

 Amazon Gamesは2024年9月18日,基本プレイ無料の完全新作MMORPG「スローン・アンド・リバティ」PC / PS5 / Xbox Series X|S)の正式サービス開始を予定している。
 本作は「リネージュ」「The Tower of AION」などで知られる韓国のNCSOFTが開発を担当する正統派ファンタジーRPGだ。タイトルから海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」を連想するかもしれないが,むしろ「指輪物語」や「ナルニア国物語」といった作品に東洋のエッセンスを加えた世界設定と言えるだろう。

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ストーリーは基本的にシリアスだが,お硬いノリばかりでもない
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 7月19日から25日にかけて,本作のオープンβテストが行われた。筆者は主に19日から22日まで,今回のテストに参加してみたのでプレイレポートをお届けしよう。
 なお,本題に入る前に大まかな感想をまとめておくと,本作はギルドを軸にする大規模PvPやPvEがメインの要素としてアナウンスされているが,実際にはソロや少人数で遊べるコンテンツもなかなか充実している印象だった。

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「スローン・アンド・リバティ」公式サイト



星の欠片を宿す「星の子」となり,広大な世界に旅立つ


 神話の時代。破壊の女神シラベスを封じた凶星が天で砕け,その欠片が地上に降り注いだ。以後,この世界では星の欠片を持った子どもが生まれるようになり,人は子どもたちを「星の子」と呼んだ。

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 そして時は流れ,世は戦乱の時を迎える。アーキウム軍を率いる将・カザールは,星の欠片や星の子を兵器として利用すべく動き出す。
 魔術師ヤン・ジュナスが星の子たちを匿っていたウィスプ島に,己が軍団と強大な魔力を持つ魔術師カランシアを送り込んだのだ。

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 ヤン・ジュナスらは抵抗したもの,奮闘虚しくウィスプ島はアーキウム軍の手に落ちる。だが,カザールが求めていた星の子たちの少なくない数は,ヤン・ジュナスの意思を継ぐ者に匿われていた。

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 ウィスプ島侵攻から10年。星の子たちは成長し,アーキウムに抵抗するレジスタンスの一員として戦いに身を投じる。本作の主人公もまた,そんな星の子の1人だった……。

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 このような冒険の背景を伝える映像から,本作の物語は幕を開ける。テキストだけでなく音声も日本語対応になっているので,ローカライズ面の注力ぶりも伝わってくる。

 導入パートが一段落すると,まずはプレイヤーキャラクター(以下,PC)の外見を作成することになる。さまざまなパーツを組み合わせて作ることもできるが,「デザイナープリセット」(数十種類の外見パターン)から選んでも構わない。ここから長い長い冒険を共にするので,なんにせよ納得のいくまで作りたいところだ。

筆者が作成した主人公のキャラクター。ゲーム中の見た目も,なかなかいい感じの仕上がり
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 キャラクターを作成したら,ウィスプ島を舞台にしたストーリー仕立てのチュートリアルが始まる。ここで基本的な操作方法や戦い方などを学び,本編の舞台である「大陸」に移動する流れだ。

 ちなみに,星の子であるPCは猛獣や鳥など,さまざまな姿に変身する能力があり,普通の人間よりも自由にこの世界を旅することができる。

猛獣・シャドウレオの姿。人間の姿の3割増くらいのスピードで走れる。……それほど速くはないが,モーフ(変身できる姿)を増やすと徐々にスピードやスタミナが向上するようだ
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鷹の姿。自在に飛ぶのではなく,グライダーのように滑空できる
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川や海ではカワウソとビーバーの中間のようなルトランと呼ばれる生物に変身。スイスイ泳げる
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 また,高所にある特定のポイントにインタラクトすると,チェーンを使って飛び移れる。フィールドの移動だけでなく,街やダンジョンの探索,バトル中のギミック操作などでもチェーンを使用することがある。

どこでも使えるわけではないが,段差を越えたいときはチェーンを使えるポイントを探すのが手っ取り早い
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 チェーンを活用するのは,ただの移動手段というわけではなく,戦闘や謎解きでアクションゲームのように使うこともある。また,クエストの中にはアクションアドベンチャー風の地形が現れ,アクションをしっかり使い分けて突破していく展開も待っている。

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 さらに本作は高所からの落下ダメージがシビアで,普通のゲームの感覚で移動しているとすぐに重傷を負いかねない。高さによっては死に至ることもあるので,いつでも鳥の姿になれるように意識しておくことが大切だ。
 チェーンを使ったジャンプも自動的に成功するわけではなく,距離や方向を適切に調整しないと,乗りたい場所に至らず落下しがち。平地なら失敗してもかすり傷で済むが,高所で失敗して鳥に変身するのが遅れるとほぼ死んでしまう。意外にも繰り返し操作して,指になじませる必要があるアクションだった。

ボス戦でチェーンジャンプが必要になり,失敗するとパーティ全体が壊滅する場面も……
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 キャラクターの操作感はアクションゲームの要素が強い一方,戦闘はターゲットを決めてオートアタックしたり,技や魔法(アクティブスキル)で敵を攻撃したりするRPGファンにはおなじみのスタイル。ただ,ある程度は敵の攻撃をかわせたり,相手の「憤怒攻撃」をタイミングよくガードして強力な反撃ができたりといったアクション要素も若干ある。

タイミングよくガードすると「Perfect」と表示されて,強力な反撃を繰り出せる(セットしているスキルによって変化する)
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 技にはベルト状やコーン状のエリアに対して効果があるものや,別の技で気絶させてから追い打ちに使うと威力が上がるものなどがあり,発動させるタイミングがなかなか重要だ。
 完璧に操作したい場合はキーボードを推奨するが,コントローラでもトリガーボタンを使うシフト操作により,常時12種類以上の技を使い分けることができた。これはこれでプレイしやすいと思ったが,個人差はあるだろう。

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 また,キャラクタークラス(職業)に相当するものがない点も本作の特徴だ。装備する武器や装備を変えることで,役割を自在に変えられる。敵のHPを削る戦士系や魔法系,パーティのHPを回復するヒーラー系,敵の攻撃を引き受けるタンク系。キャラを作り直すことなく,一通りの役割をこなせるのだ。
 こうした変幻自在ぶりも星の子らしさ……と評したいところだが,昨今のMMORPGではよく見られるものではある。

 もちろん装備の強化素材などの都合もあり,どの装備もスキルもまんべんなく育てることは現実的ではなさそうだが,メインの役割以外もそれなりに鍛えておくとゲームプレイの幅が広がる。とくに知り合ったばかりの人とパーティを組む際に重宝するはずだ。

装備やスキルの強化は,素材があればどこでも行えるのが便利だ
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大規模PvPとPvEがウリだが,ソロでも遊びごたえあり


 さて,各コンテンツを具体的に紹介していこう。
 まず,1人でもコツコツ進められる「チャプター」は,ストーリーを追いながらこの世界を知っていく1人プレイ用RPGに近い内容だ。重要人物から依頼されるクエストを達成したり,敵を狩って必要なアイテムを集めたりするベーシックなスタイルなので遊びやすい。

メイン級も脇役も魅力的なキャラクターたちが揃う
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回想パートもそれなりに多いが,Live2D的な動くイラストで描かれるため混乱しにくいはず
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知恵の輪のようなパズル要素「ミスティック・グローブ」
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 MMPRPGとしては類を見ないほどの美麗なグラフィックスも,本作の特徴だろう。大陸の各地にあるファストトラベル用の石碑を訪ねていくうちに,さまざまな絶景と出会うことになった。

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 なお,全体マップの北方にも細かい地形が描かれているが,テストの段階では足を踏み入れることがなかった。ここがアーキウムの国土なのだろうか。正解は正式サービスの開始後に明らかになるはずだ。

世界地図。西方の海に浮かぶ島は,冒険の始まりの地・ウィスプ島だ
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 クエストを進めていくうちに分かってきたのは,星の欠片を持っているのは星の子だけではないこと。各地に登場するボス級のモンスターも星の欠片を持っており,本質的には彼らも星の子と同族であり,アーキウムに運命を狂わされた存在……といったテーマの物語が展開するようだ。

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 また,強力な敵に勝ち抜いていく「タイダルの塔」と呼ばれるコンテンツもある。PCのレベルを上げると塔の上層階が開放されて,新たな敵がどんどん立ち塞がる。技や魔法,パーフェクトガードを駆使して討伐を目指そう。
 ほかのプレイヤーに気後れしがちな人は,まずは塔の攻略に挑んでみるといいかもしれない。

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 一方,MMORPGらしくほかのプレイヤーと一緒に楽しむコンテンツも多数存在する。
 まずは,フィールドに10分おきに出現する強敵を周囲のプレイヤー全員で倒す「ボスバトル」。出現の少し前に予告があるので,その場に居合わせたらなるべく参加しておくと,本格的にパーティで戦うときの練習になる。
 ただ,ボスバトルには「平和」と「紛争」の2種類あり,後者はライバルへの攻撃も認められるため,ボスを狩りにいったつもりが自分も狩られていたということが起こりがち。事前によく確認しておきたいところだ(多人数参加型MMORPGではよくあることだが)。

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 また,その地域のフレーバーを反映した「エリアイベント」も定期的に発生する。筆者が体験したものを挙げると,「オオカミを狩って尻尾を集める狩猟祭」「ゴブリンから星の粉を奪って,焚き火に投げ入れる星影の石碑の祭典」「アリの酸を使い,真紅キノコを集めるキノコ狩り」などだ。
 要するに戦闘や収集で入手したアイテムの納品数をライバルたちと競うもので,普段のゲームプレイにはない感覚が楽しい。とはいえ,レベルキャップのプレイヤーたちが圧倒的なスピードで納品していくので,いい順位を狙うのはなかなか大変だ。

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 ソロでもなかなかの遊びごたえがあるが,もちろんパーティプレイがほぼ必須となるコンテンツも充実している。その代表格と言えるのが,強力な敵が闊歩するダンジョンの攻略を目指す「次元陣」だ。
 ボスバトルはほかのプレイヤーと共通のワールドで発生するため,その場に高レベルのキャラクターがいれば達成は容易。だが,次元陣はインスタンス(ほかから独立した場所)で挑むことになるので,しっかりとパーティを組まなくてはならない。
 ダンジョンのラストに待つボスは討伐には手順を踏む必要があったりして,戦闘中に考えたり,仲間と相談したりすることが多かった。

攻略は大変だが,その代わり報酬は魅力的だった
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 なお次元陣に入ると,スマホゲームにおける“スタミナ”に相当する「次元」を消費する。無限に繰り返せる要素ではないので,事前の下調べや仲間探しは入念に行いたいところだ。
 マッチング機能や掲示板機能を使って仲間を集めることもでき,厳密に言えばソロプレイでも挑戦できないわけではない。

 そして,本作の大きなウリとなるのが,最大50人程度のPCが所属するギルド同士の「占領戦」。各地にある拠点の支配権を巡り,多数のPCが入り乱れて戦う。
 これはキャラクター個々の力だけでなく,ギルドメンバーの多くが同時にオンラインであるかどうかの「動員力」も問われる。アクティブに活動するギルドに所属するか,もしくはそんなギルドを新たに立ち上げることが,勝利を掴むためのポイントになる。
 ちなみに筆者が加入したギルドは占領戦に対してあまり熱心ではなく,ほかのギルドの戦闘を観戦してみたのだが,やはり数の力を覆すのは大変そうだった。

戦いは双方の陣営が睨み合い,“舌戦”から始まった(そういうシステムがあるのではなく,チャットによる挑発という意味)。筆者は日本向けのサーバーでプレイしていたが,海外のプレイヤーが集まるギルドが猛威を振るっていた
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 一応だが,相手より高い場所から攻撃すると命中率が上がるといった,周辺の地形を活用した戦術を考える余地はある。ただ,数でも優勢な陣営が高地を確保していると,これはなかなか覆せない。兵糧攻めのような手段があると,逆転の可能性が生まれてさらに面白くなりそうだが……。

ついに開戦。守備側の約30人に対して,攻撃側の約15人が低地から攻める形だったため,守備側は全力を出すまでもなく阻止することができたようだ
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 とはいえ,これだけのプレイヤーが集結して技や魔法を一斉に使っても,動作が極端に重くなったり,目立ったラグを感じたりしなかったのは特筆したい。ソフトウェアの設計や最適化,サーバーの処理能力が優れているのだろう。
 さらに大規模な戦い「王座争奪」もあるらしいが,筆者が参加しているときには確認できなかった。正式サービス時には定期的に行われるのだろうか。

 なお,ギルドに加入すると占領戦だけでなく,特定のターゲットを狩る,物資を納品するなどの依頼をこなして,ギルド全体に貢献する要素を楽しめる。ギルドが成長すればアイテムが手に入ったり,次元陣より手強いダンジョン「ギルドレイド」に参加できたりするなどの特典があるので,あまり身構えないで気軽に参加してみるといいだろう。もし雰囲気が合わなかったら,そのときは抜ければいいだけの話である。

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 「スローン・アンド・リバティ」はソロプレイやパーティプレイ,ギルド要素など,さまざまなプレイヤーが楽しめるコンテンツを備えている。アクション要素があることでソロでも遊びごたえがあり,マルチプレイではMMORPGの定番的な楽しさがあり,「手堅さ」を感じた。
 さらに,メインストーリーから多人数のゲームプレイへと誘導していく構成になっているので,初めてMMORPGを遊ぶ人も意識していることがうかがえる。

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 チャットには自動翻訳機能(オン/オフ選択可能)を搭載しているため,英語に苦手意識がある人でも遊べないことはないだろう。
 ただ,MMORPGの宿命ではあるのだが,気の合う仲間とゲームプレイのサイクルやペースが合わないと,次第に同じコンテンツで遊べにくくなることは理解しておきたい。実際,筆者はスタート直後に知り合ったメンツに大きく取り残されてしまった。とくにPvP要素を遊びたい人は「全力でプレイする」覚悟が必要だ。

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 そうは言っても,ソロプレイや小規模パーティ用の要素を中心に遊びながら,気が向いたらPvPに手を出してもいいし,それを想定しているからこそ1人でも遊べる要素がしっかり存在していると思われる。グラフィックスや世界観から興味を持った人も,今後の動向をチェックしておこう。

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