旧特集
Mythicの新作MMORPG「Warhammer Online」はどうなる?
先日4Gamerでは,本作の正式タイトルが「Warhammer Online: Age of Reckoning」に決定したことをお伝えしたが,ゲームの内容については未だ不明な点が多く,気になっている人も多いことだろう。そこで今回は,小耳に挟んだ情報などをもとに,Warhammer Onlineの姿を想像してみたい。
……とその前に,簡単にWarhammerシリーズについて紹介しておこう。「Warhammer」は元々,Games Workshopによってデザインされたボードゲームだ。本作は20年以上にわたって愛され続けており,欧米のファンタジーファンにとっては「Dungeons & Dragons」に比肩する人気を誇る名作中の名作となっている。
プレイにあたっては,自分でペイントしたフィギュアを動かし,定規などを用いて距離を測って戦うなど,そのユニークなスタイルは独特の魅力を放っている。拡張パックは当然のこと,コレクター要素のある多数のフィギュア,テーブルトークRPGルールブック,小説,カードゲーム,専門誌,さらにはそれらをサポートする専門店も世界各地に存在。日本にも,全国に41店舗以上の取扱店/通販専門店が存在している。
さて,MMORPG版に話を戻そう。当初Warhammer Onlineは,Games Workshop(以下,GW)とClimax Studiosによって開発が進められていた。2004年3月の段階では,数か月以内にβテストが開始との発表があり,順調に開発が進んでいるように見えたが,同年6月には資金面などの問題から開発中止に追い込まれる。こうして本作は,暗礁に乗り上げることになった。
だが,そのままでは終わらなかった。MythicのCEOであるMark Jacobs氏は,以前からテーブルトップのウォーゲームが大好きで,Warhammerの“War is Everywhere”という哲学に惚れ込んでいただけではなく,GWのスタッフと交流があった。その交流は結構深かったようで,GWから個人的にClimax版Warhammer Onlineについて意見を求められたこともあったそうだ。そうしたこともあって,お蔵入りになっていたWarhammer Onlineの計画が息を吹き返すまでに,さほど時間はかからなかった。
このようにして,急速にMythicとGWの距離が縮まり,Mark Jacobs氏とWarhammerの生みの親であるRick Priestly氏は,(Climax版Warhammer Onlineを引き継ぐのではなく)イチからWarhammer Onlineを作ることで合意したのである。これがMythicがWarhammer Onlineに着手することになったあらましである。
Warhammer Onlineについての情報は少なく,正式タイトルが決定したことと,どうやら対人戦に特化したMMORPGになることくらいしか,伝わってきていない。さすがにこれだけでどんなゲームになるかを予想しろというのは無茶な話だが,まったくヒントがないわけでもない。ボードゲーム版に着目するのはもちろん,これまでのメールマガジンの内容や,スタッフのコメントに注目することで,(直接的には分からずとも)彼らの目指すWarhammer Onlineの方向性が理解できるのではないだろうか。
■登場する種族は?
なおボードゲーム版では,数多くの勢力が登場し,戦いを繰り広げている。参考までに,その主な勢力を列挙してみよう。
エンパイア
オーク&ゴブリン
ドワーフ
ブレトニア
ヴァンパイア・カウント
スケイブン
ケイオス(モータル)
ケイオス(デーモン)
ケイオス(ビーストマン)
ハイエルフ
ダークエルフ
ウッドエルフ
リザードマン
トゥーム・キング
オウガ・キングダム
ファンタジーファンであれば,馴染みのある名前が多いに違いない。聞き慣れないものもいくつかあるが,ブレトニアは騎士国家,スケイブンはネズミの種族といったところ。公式発表はないものの,筆者が耳にしたところでは,Warhammer Onlineのプレイヤーキャラクターは,Empire Human/Dwarf/High Elf/Chaos Human/Green Skins(Orc/Goblin)/Dark Elfのいずれかに属して戦うことになりそうだ。
なお種族の次にはクラスが気になるところだが,こちらについての情報は皆無。続報を待つしかない。
■開発者コメント:対人戦MMOの新境地を目指し開発中
ここでは,これまでに公開された開発者のコメントやメールマガジンの内容から,興味深い部分を翻訳/抜粋してみたいと思う。これらを読むと,彼らが現状のMMORPGが抱える問題点をかなり研究していることが分かる。「Warhammer Onlineには新しい試みが多く盛り込まれそう」という期待も膨らむだろう。
まず,各キーマンが考える「現在のMMOが抱える問題で,Warhammerで改善したい点」について紹介してみよう。どこまでゲームに反映されるかは不明だが,どのキーマンのコメントもなかなか興味深い内容だ。
Mark Jacobs(President & CEO)
既存のMMOの問題は,私の大好物であるRoast Halflingの出前注文ができないことかな。残念ながらWarhammerでも実現する見込みはなく,まずは,ゲームから出前注文を受けてくれるフードチェーンを探さないとね(笑)。それが実現したら,MMOが抱えるダウンタイムの問題や繰り返し作業,飽きてしまうような内容,アイテムルートやファーミングなどの問題を解決していきたいね。
Matt Daniels(Lead Writer)
最近のMMOの一番の問題は,これらがWarhammerの世界観を持っていないことです! えへへ,いや,冗談ではないですよ。MMOは進化しないといけません。エピックスケール,PvP,私にとってはすべてが退屈です。それを解決するのが,Warhammer Onlineなのです。
Greg Grimsby(Art Director)
プレイヤーキャラが非常につまらないことが問題かな。どのキャラクターも似ていて,時には同じにさえ見えます。Warhammer Onlineには,個性的な鎧とキャラクターデザインがあります。ボードのWarhammerでフィギュアを楽しんでいる人なら,それが嘘でないことを知っているでしょう。
Steve Marvin(Lead Designer)
猿が少ないってことさ。まあ実際には,その問題は直せないだろうけどね(筆者注:彼は猿が大好きとのことで,彼の社内でのあだ名も猿にちなんだものらしい)。MMOでモンスターと戦闘していて思うのは,モンスターのAIが楽しみや戦い甲斐を与えてくれないということかな。また多くのMMOが,PvPやRvRを用意しないところも問題と感じる。モンスター相手に戦闘の練習をして,一定のレベルに達したら,ようやく専用の部屋で対人戦を体験できる……というゲームがときどきあるけど,それが問題だと思うんだ。Warhammer Onlineでは,その壁を乗り越えたいね。
Mark Davis(Deputy Content Director)
アクションさ! ゲームにログインして,何もすることが見つからないのが一番退屈だろう? Warhammerでは,常にやることがいっぱいだよ。クエストも常時用意されているし,戦わなければいけない敵やドラゴンもいる。遊び時間が10分だろうと10時間だろうと,Warhammerでは,やるべきアクションが常に君を待っているよ。
Colin Hicks(Deputy Producer)
ゲームに費やす時間に柔軟性が欲しいですね。何時間も費やさなくたって,ゲームをする価値があるようにしたい。限られた時間しかない人も,ゲームに費やす時間が多くある人も,両方が満足するような要素を取り入れたいと思います。
ほかにもいくつか面白いコメントを挙げておこう。
Chris Ondrus(Deputy Art Director)
現在新しいスペル効果システムに取り組んでいます。まるで,頭をガツンと殴りつけられたくらい衝撃的なスペル効果を目指していますよ。
Colin Hicks (Deputy Producer)
この世界は,とても深く,濃く,面白いコンテンツで溢れています。とくにWarhammer Onlineは英国的なユーモアに満ちているので,それをうまく再現したいと考えています。
なお,彼らキーマンについては,公式サイトの「こちら」でチェックできるので,ぜひとも読んでもらいたい。英語が苦手でも,キーマンの好きなゲームタイトルや,これまでに関わったタイトルくらいは読み取れるだろうし,興味があればぜひご一読を。
■さらなる詳細は,3月中に公開?
最後にもう一つ,最新情報をお伝えしておこう。本作が対人戦に特化した作りになることは周知のとおりだが,この対人戦には,複数のゲームモードがあるとの話がある。詳細は不明であるものの,これまでの対人戦特化型MMORPGとは異なる雰囲気を漂わせている点は大いに期待できるだろう。
本作の正式サービスは2007年が予定されており,2006年3月中には米国でメディア向けの発表会が開催される予定。近いうちに続報をお届けするので,ぜひとも期待してもらいたい。(Murayama)
- 関連タイトル:
Warhammer Online: Age of Reckoning
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