1998年にセンセーショナルにリリースされた「EverQuest」は,現在でも世界で40数万人のプレイ人口を抱える人気のMMORPGである。つい最近も,日本語版がリリースされたばかりだ。そんなEverQuestの世界観を利用することを考えたSony Online Entertainment社は,新興のRapid Eye Entertainment社に委託して制作しているリアルタイム戦略ゲームが,
「Lords of EverQuest」である。Rapid Eye Entertainment社は,元々はNew World Computing社で「Heroes of Might&Magic」シリーズを開発していたメンバーで構成されている。
さてLords of EverQuestは,EverQuestから1万年前のノーラスを舞台にしている。ゲームの背景となるストーリーは,戦いの神ラロス・ゼック(Rallos Zek)がおごり高ぶり,自分がほかの神たちよりも偉大であると信じ,全能の神であると思い込んでしまったことから始まる。
ラロス・ゼックは自分の支配化にあったオーガやトロールを使って各地に侵攻したが,そんなラロス・ゼックの行動をほかの神が許すはずはない。この頃のオーガやトロールは非常に有能な戦士であり,高等な魔法も使いこなす種族だったのだが,長い戦争の後にラロセックの乱を鎮圧した神々から,彼らは魔力を抜かれてノロノロとした下等な生物に成り果ててしまったのである。ただ最後のメージ・オーガが,地上の生物を神のステータスにまで昇天させる魔術を書いた本を残したため,オーガやトロールたちはその本を求めて再び戦いを挑んできたのである。
こうして,闇の軍団と光の軍団に分かれた戦いの火蓋が切って落とされ,プレイヤーはEverQuestにも登場したプレイヤーキャラクターやモンスターをユニットとして使い,ノーラスの大地で熱い戦いを繰り広げることになる。プレイヤーは最大で50体までのユニットでしか構成できず,戦闘は「WarcraftIII」のような中規模サイズになるようだ。しかし面白いのは,一つ一つのユニットが,EverQuestで活躍する個々のキャラクターとして扱われており,戦闘によってユニットのレベルが上がっていく。1人1人のユニットが,EverQuestのヒーローたちであるには変わりないのだ(ユニットがLvUpするときには,あの"Ding"音が鳴るのもご愛嬌)。
WarcraftIIIとの類似性が指摘されることが多いのは,WarcraftIIIのヒーローに相当する,ロードというリーダーユニットを最大で5人までチョイスできるからだろう。ロードのオーラ範囲内にいるユニットには,モラル向上など特殊能力の影響下に置かれるのも似ている。これらのロードには,
125種類のスペルと200種を超えるアイテムを装着することができ,成長するに従いどんどんとカスタマイズされるわけだ。
ロールプレイングの要素を強調するためか,プレイヤーはミッションからミッションへと複数のユニットを再利用することも可能になっている。次のミッションで使用できるユニットの数は,サイドクエストをこなすなどで得るポイント数で決定されるようだ。RTSではあるが資源や施設建設などの管理面は簡略されており,プラチナを集めることで施設やユニットを購入する資金源とする。現在のデモバージョンよりも,さらに多くのモンスターを配置した,激しいバトルシーンとなるようだ。
マルチプレイヤーモードは12人までをサポートし,マルチプレイヤー専用マップも12種類用意される予定だ。さらに開発者が明かしてくれたところによると,Sony Online Entertainmentはオンラインゲームサーバーの強化にも乗り気らしい。現在でもStation.comを運営しているが,
もっとBattle.netのようなPCゲームのラダーやマッチメイキングに特化した「Sony Online Realm Service」のサービス開始に着手しているらしい。もちろん, Lords of EverQuestが対応ソフト第1号になるだろう。 SonyのBattle.netへの対抗という構図も見えてくるのが面白い。(奥谷海人)
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