企画記事
この冬大きく変わる「メイプルストーリー」,安心キッズサポートとトウキョウエリアとは?
まず,安心キッズサポートとはどんなもので,どういう経緯で導入されたものなのだろうか?
最初にこの話を聞いたときには,最近韓国では深夜の青少年のオンラインゲームを制限する法案が通りそうだとか,なかなか剣呑な状況のようなので,その影響かとも思っていたのだが,これは完全に日本独自のものだという。
ネクソン第2事業室マーケティング1チーム島嵜直樹氏は,今回の導入にあたって,その背景には,世間一般でのオンラインゲームの認知度が上がってきたことや,「ゲーム脳」論議などに代表されるゲームの悪影響を云々する風潮が強くなったことなどを挙げていた。
賢明な読者の皆さんには,わざわざ説明するまでもないかもしれないが,ゲーム脳とは,以前は緊張したりイライラしている時に出るとされていたβ波を「認知症はβ波が少ない」という視点からのみ取り上げた論説で,ゲーム時にα波が増えてβ波が減ることを認知症と同一視したもの。α波は,この件以降は脳が停滞しているときに出る波にされてしまった(世間的には)。おそらく音楽を聴いてリラックスしたり,座禅を組んでいるとキレやすい子に育つということなのだろう。α波は,リラックスしているときに出ることと,極度に集中して作業しているときに出ることが知られており,ゲーム以外の集中作業でも多く発生する。むしろβ波優位の状態では,集中力に欠けるという研究もあるようだが。
実際,低年齢層のプレイヤーがどれくらいの割合でいるのか聞いてみたところ,メイプルストーリーでは,全体の75%以上が18歳未満ということであった。一般的なオンラインゲームと比べても,かなり低年齢な子供の割合が多いゲームといえるだろう。とくに,人気ゲームのメイプルストーリーでこのような動きが始まったというのは,業界的にも重要な出来事といえる。
では,具体的に安心キッズサポートとはどういうものなのだろうか。このシステムは,
・「安心タイマー」プレイ時間の制限
・「安心パスワード」の設定
といった二つの機能を持ったものとなっている。
安心パスワードは,ゲームを行う子供以外に,保護者もネクソンIDを取得し,子供のIDと紐付けることによって,保護者がパスワードを入れない限り,子供がゲームを起動できないようにする仕組みだ。ゲームの起動は,必ず保護者が行うようにすることで,保護者の望まないゲームのやり過ぎを防ぐことができる。
この二つの機能は同時に使うこともできれば,どちらかだけを使うこともできる。年齢に関わらず,ゲームアクセス時間を制限したい時には有効なものである。
いうまでもなく,これらはどちらも実際にゲームを行うプレイヤーの利便を図るものではなく,保護者の利便を図るシステムである。ビル・ゲイツですら,子供のPC利用時間を1日45分に制限したという話もあり,子供の行動を管理したいという保護者には歓迎されそうな機能である。どちらかといえば,Windowsに付けるべきじゃないかという気もするんだけど,ゲイツさん(え? 隠居済み?)。
また,メイプルストーリーほどではないにせよ,ネクソンがサービスしているタイトルで,未成年のプレイヤーが多いゲームはほかにも存在するわけだが,それらに対しても同様なシステムを導入していく方針なのかと聞いてみたところ,今回のメイプルストーリーでの状況を見てから決めたいとのことだった。メイプルストーリーにしても,今回の2種類のシステムで完璧だと思っているわけではなく,今後はこれ以外でもさまざまな対応を検討するとのことだった。
ちなみに,先ほど挙げたビル・ゲイツの娘ジェニファーちゃんのPC利用時間は平日が45分で週末が1時間とのこと。確かに,曜日ごとに事情は変わるので,別の設定ができるほうがよいかなとか,親の画面から子供のプレイ履歴が見えたほうがいいだろうなとか,まだまだ改良の余地はありそうだ。
もちろん,こういった制限を加えたとしてもネクソンIDもメイプルIDも取り放題なので,子供が制限されていないIDを使ってゲームしてしまうという可能性はないではない。この部分については,自分が育てて愛着のあるキャラクターに代わるものとならないので,実際にはあまり起きないのではないかというのが現場の意見のようだ。なるほど。
日本オリジナルマップ「トウキョウエリア」とは
久々に投入される日本オリジナルマップ「トウキョウエリア」は,ジパング地方に追加される新たなマップである。楓城が過去,月下竹林とショーワ,キノコ神社などが現代,そして今回のトウキョウは未来のジパングを表現したものとなる。これで日本オリジナルマップ3部作が完成するという。
新しく追加されるマップは,大きく分けて以下の4種類(+1種類)。
・お台場(2100年)
・公園(2095年)
・秋葉原(2102年)
・旗艦ファイア・オールドフォックス(2012年)
これら以外に,時空を超えた場所「カムナ」も追加される。
トウキョウの4エリアでは,それぞれにイベントマップが存在し,エリアボスが登場する。エリアボスを倒すことで,次のエリアへ移動することができるようになる。
とはいえ,これらのエリアには,レベル130〜160のモンスターが出現するので,そう簡単には攻略できないだろう。ネクソンにお邪魔して画面を見たときは,調整中ということだったが,かなり多くのモンスターが出てきており,ソロでの狩りは難しいだろうということだった。
アカシア・クロニクル第24章
このクエストの基本ストーリーは,運用1チーム/チームリーダー柳本隆氏が練り込んで作ったものということで,実はこれまでにもいろいろ伏線が張られていた模様だ。基本的には,「アカシア・クロニクル」,いわゆるアカシックレコードをテーマとしている。
アカシックレコード。つまり,この世の出来事は,すべて結果が決まっており,あらゆる事象はアカシックレコードという書物(?)に記載されているという仮説である。その世界内にいる限り,どんな行動を取ろうともアカシックレコードに書かれたとおりの結果となり,偶然や気まぐれに思われる事象も結果は最初から決まっていたとする宿命論的な説だ。
ここではジパングの歴史的な出来事すべてが記された書物として,アカシア・クロニクルというものが登場している。全24巻。そう,24巻でジパングの歴史は終わることになっている。ジパングの崩壊はアカシア・クロニクルに記載されているため,必ずそのとおりに歴史は動いていく。その時空の中にいる限り,アカシア・クロニクルの内容は絶対で,なにをしても改変はできない。これがアカシアの呪縛である。
ジパングの崩壊を防ぐため,アーシアは,アカシア・クロニクルを書き換えるため,歴史の要所要所に介入するべく戦士を集めた。トウキョウエリアでのクエストを進めていけば,ジパング崩壊の謎にも迫れるはずだ。
なお,プレイヤー自身はアカシアの呪縛から逃れられていないため。アカシア・クロニクルにアクセスすることはできないとされているのだが,アーシアから受けるクエストで時間を行き来しているのはプレイヤー自身であり,直接未来に影響を与えているようにも思われる。まあ,アーシアの判断で送り込まれた部分が歴史の外の出来事で,それ以降は書き換えられたアカシア・クロニクルで決まっていることに過ぎないという解釈かもしれないが。
新エリアの概要
きのこ神社の奥地に忘却の森というマップが追加され,そこから新しいトウキョウマップに移動できる。きのこ神社の奥地に迷い込んだプレイヤーが,偶然カムナに移動するという設定になっている。忘却の森にある大木の中に入るとカムナに移動可能だ。
カムナは,時間経過の概念がないエリアである。そこには,今回のアップデートの鍵となるNPCアーシアがいる。プレイヤーはアーシアからクエストをもらうことで,カムナにあるクリスタルから各年代の東京エリアに移動できる。クエストの種類によって,クリスタルで移動できる年代は変わってくる。
●お台場
まずは小手調べといった未来のお台場マップ。建築中の建物などに飛び乗って上下にも移動できる。ザコっぽい敵も全然ザコではなく,「100レベルくらいでは太刀打ちできません」とのこと。
●公園
ここは未来ではないトウキョウ。とある理由からここを訪れる必要が出てくるという。
●秋葉原
破壊された未来の秋葉原。ロボットなど強力な敵が徘徊している。詳しいことは自分で確認してほしいが,秋葉原でのレーザーはシビアなタイミングながらちゃんと避けられるとのこと。
●旗艦ファイア・オールドフォックス
ファイア・オールドフォックスというのは,トウキョウの上空に浮かんだ空中戦艦だ。なんでも「オールドフォックス」というのが狸のことだそうで,「火狸」を英語にしたものらしい。ただ,普通に狸を英語にするとたいていRaccoon dogになるはずなのだが,Old foxというのは,いわゆる「食えない人」的な意味合いの「狸」を英語で表したもののようだ。火狸は,これ以外にも秋葉原マップで名前が出てくるなど,なぜか大人気となっている。
上層部は普通の状態なのだが,下層部はなぜか,風がきつくてジャンプが低くなるという設定となっている。
各エリアとも,空中で全体攻撃ばかりしていれば,楽にモンスターを全滅できてしまうといった問題が発覚したため,空中でも安全地帯ができないように空中を飛ぶモンスターが加えられている。下手に全体攻撃などを行うと,たちまち空中モンスターに囲まれてボコボコにされてしまう。
また,エリアボスは各エリアに存在し,当然ながらとても強い。そして攻撃はかなり多彩。単にダメージを与えるだけではなく,キャラクターの操作が不能になってしまうような特殊な攻撃などもある。
今回のトウキョウマップでは,「高レベル帯のモンスターがほしい」というユーザーからの要望に応えるかたちでモンスターのレベルを上げているという。特にエリアボスは本当に強いらしく,十分に満足してもらえるはずだと,作った側も自信を持っているようだ。とにかく,それくらい強いので覚悟しておこう。
もちろん,単にモンスターが強くなっただけではない。そういったモンスターを倒すことで,強力な武器や防具などを手に入れることができる。代表的なものとして,エレメントピアスや魔の手裏剣,ビームセーバー,ジャッジメント(海賊用の銃)などがある。
武器の入手は? と聞くと,東京マップにいるモンスターからの超レアドロップとなっているという。ただ,本当に超レアなようで,普通の人は,合成用のアイテムから作ったほうが早いだろう。この素材も結構レアらしいが。また,合成なので失敗もある。新装備は,それなりにレアなものになると考えておこう。
合成素材はボスのほうが落としやすいという傾向はあるものの,一般のモンスターからも入手できる。また,素材でなく,武器そのものが一般のモンスターから出る可能性もあるという。
さて,トウキョウの未来ははたして?
難関マップが連続し,高レベルモンスターが目白押しの今回の拡張はかなり長く楽しめるマップとなりそうだが,ジパング崩壊を防ぐためのアーシアのクエストが終わるとどうなるのだろうか?
実は,今回の拡張は,アカシア・クロニクル関係の物語の前半に過ぎないのだという。来年の早い時期に後編が追加される予定だそうだ。
新エリアにはレベル100から侵入可能となっているというが,モンスターレベルが130からなので,レベル100で探険してみようと思っている人は,パーティを組んでくれぐれも気をつけて行動しよう。マップが厳しい分,経験値も相当おいしく設定してあるということなので,今後はアイテム収集とあわせて高レベルプレイヤーにはお馴染みのエリアになっていくのではないかと思われる。
今後のストーリー展開にも期待しつつ,まずは,トウキョウ攻略に向けて頑張ってみよう。
●各エリアのイメージムービー(実際のゲームとは異なります)
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