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「大航海時代 Online」の拡張パック「Lost Memories」では,かつての航海者が目指した伝承や伝説に挑む。リリース直前の運営インタビューを掲載
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印刷2018/08/25 00:00

インタビュー

「大航海時代 Online」の拡張パック「Lost Memories」では,かつての航海者が目指した伝承や伝説に挑む。リリース直前の運営インタビューを掲載

 コーエーテクモゲームスは,同社がサービス中の海洋冒険オンラインRPG「大航海時代 Online」の新拡張パック「Lost Memories(ロスト・メモリーズ)」PC / PS4)を2018年8月28日にリリースする。
 本拡張パックでは,失われた古代の遺跡や謎に包まれた多くの伝説,神話をテーマとしたエピソードやコンテンツが登場。またレベル上限の引き上げに伴い,新しい称号と職業も追加される。
 今回4Gamerでは,本作のプロデューサーを務めるコーエーテクモゲームスの竹田智一氏とディレクターの菊池翔太氏に,本拡張パックの概要および今後の展開について話を聞いた。

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「大航海時代 Online 〜Lost Memories〜」公式サイト

「大航海時代 Online」公式サイト



新エピソード「幻想探求編」は,伝説の島「アンティリア」をめぐる展開に


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。さっそくですが,新しい拡張パックの名称を「Lost Memories」とした意図を教えてください。

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竹田智一氏(以下,竹田氏):
 大航海時代には,まことしやかに語り継がれる“失われた伝承や伝説”が結構あります。すでに「大航海時代 Online」で取り上げているものもあるのですが,今回はそれらに,あらためてスポットを当てているんです。
 「Lost Memories」ではその取っ掛かりとして,古代からさまざまな伝承が語り継がれている地中海周辺をピックアップしています。

4Gamer:
 分かりました。では,拡張パックの概要を教えてください。

菊池翔太氏(以下,菊池氏):
 1つは,新エピソード「幻想探求編」です。各国で,アンティリアという伝説の島をめぐるストーリーが繰り広げられます。

竹田氏:
 アンティリアは伝説上の存在ですが,かつては本当にあったと信じられていたんです。

4Gamer:
 今回のストーリーは国家別に展開するそうですが,それはどの程度まで分かれているのでしょうか。例えば,序盤だけが国家ごとに異なっていて,最終的には1つの話に収束していったりとか。

竹田氏:
 大枠の話は1つです。それを各国の視点から描いていくんですよ。そのため,ストーリーは最初から最後まで国ごとに異なります。全部見たいという方は,亡命すれば実現可能ですね。

4Gamer:
 国家それぞれが異なる思惑を抱いて,アンティリアへ到達することを目指すと。

竹田氏:
 発端はそうです。ただ,ストーリーが展開する中で目的が変わるかもしれませんし,そもそもアンティリアへの到達で終わるかどうかも分かりません。今回は,あくまでも取っ掛かりですから。

4Gamer:
 どんな展開になるのか気になるところです。発表されている新NPCの“ミナ”が,このストーリーに関わってくるんですよね。

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竹田氏:
 はい。ミナは今回のテーマである伝承や伝説を収集している,神聖ローマ帝国出身の女性です。そして彼女が,各国でストーリーを回していくことになるんです。彼女は帝国の文献学者である兄に勧められて各地の伝説を追っているという設定で,各国に中立的な立場でアプローチしていきます。

菊池氏:
 ほかにも,これまでのエピソード本編で語られなかったことや,少し気になるところを補足している部分もあります。

4Gamer:
 ということは,過去のエピソードに登場したキャラクターが出てきたり?

竹田氏:
 ええ。出てきますので,お楽しみいただけると思いますよ。

菊池氏:
 今までに顔を合わせたことのないキャラクター同士が出会うこともありますし。

4Gamer:
 どのような会話になるのか,楽しみになりますね。

竹田氏:
 そうですよね。例えば,ポルトガルとイスパニアのキャラクターはこれまでにも交流がありましたが,今回はフランスとイスパニアのキャラクターが交流する,というようなイメージです。ずっと遊んでいただいている皆さんは,新鮮だと思います。

菊池氏:
 あとは今回,初めてオスマントルコにエピソードが追加されることになるんです。

4Gamer:
 そう言えば,これまで序章のみでしたか()。

※オスマントルコは上級者向けの国家という位置づけで,亡命するために厳しい条件と一定のペナルティがある。そのためか,ゲームスタート時に選択できる国家と異なり,オスマントルコに亡命した直後の序章以降,エピソードが登場していなかった。

菊池氏:
 ですから,オスマントルコのプレイヤーの皆さんは,ぜひご期待ください。

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4Gamer:
 このストーリーはここで完結ではなく,これまでと同様に,Chapterを重ねるごとに続きが追加されていくんですよね。

竹田氏:
 はい。今後も続いていきますよ。


伝説を追い求めた航海者達の探索を追体験する「伝承航路」


4Gamer:
 それでは新コンテンツの「伝承航路」について教えてください。

「大航海時代 Online」ディレクターの菊池氏
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菊池氏:
 古地図をキッカケに,かつての航海者達が結局たどり着けなかった遺物や遺跡の探索をプレイヤーが追体験するというコンテンツになります。

4Gamer:
 航路ということですが,ほかのプレイヤーもいる通常の海域を移動することになるのでしょうか。

菊池氏:
 いえ,特別な空間に転移して探索します。伝承航路は,海上で探索するダンジョンのようなものと考えるとイメージを捉えやすいかもしれません。

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4Gamer:
 ということは,インスタンスゾーンのようなものですか。

竹田氏:
 そうですね。古地図を使うことで,艦隊ごとに個別のインスタンスゾーンのような空間が作り出されるイメージです。

4Gamer:
 なるほど。

竹田氏:
 従来の「大航海時代 Online」からすると,かなり特異な存在です。これまでも,「失われた都にたどり着く」というような時間を遡るコンテンツはありましたが,それはせいぜい数百年単位のものでした。
 しかしこのコンテンツでは,紀元前まで遡ることもあります。例えば地中海世界で謂われていた「世界七不思議」は,今ではギザの大ピラミッドしか残っていません。では,残りの6つの不思議()を見つけてみよう,といった感じなんですよ。その過程で,かつての航海者の探索を追体験するわけです。

※世界七不思議の1つ,「バビロンの空中庭園」については別コンテンツで実装済みだ

菊池氏:
 それと伝承航路の中では水・食料が減りません。完全に空想の世界となっているんです。

4Gamer:
 もう現実からは離れた世界になっているんですね。では,この“特異”とまでおっしゃるコンテンツを,どのような意図で企画したのでしょうか。

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竹田氏:
 「大航海時代 Online」もサービスインから13年,史実上の出来事はかなり網羅しました。その一方で,繰り返しになりますが,大航海時代にはさまざまな伝承や伝説が信じられていましたし,実際にそれらの探索に乗り出して命を落とした航海者もたくさんいます。
 そこで「リアリティの観点からは,ゲーム本編の世界に出すにはちょっと……」という部分と,亡くなった航海者達の思念のようなものを合わせて表現できると面白くなるのではないかと考えたんです。ゲーム中に,すでに登場している伝承や伝説はありますが,このコンテンツではさらに大がかりなものを出していく予定です。

4Gamer:
 だからこその,現実とは切り離されたインスタンスゾーンになるわけですね。伝承航路をプレイするにはどうすればいいのでしょうか。

菊池氏:
 既存コンテンツの中でいくつか条件を満たすと,関連するイベントが発生します。中級程度のプレイヤーであれば,お楽しみいただけると思います。

4Gamer:
 そこまで条件は厳しくないんですね。ところで,コンテンツとしては探索をテーマにしていますが,伝承航路内で戦闘は発生するのでしょうか。

竹田氏:
 もちろんです。古代の航海者達の思念,というより怨念が残っているので,プレイヤーが襲われたりします。

菊池氏:
 艦隊でないとまともに戦えないくらいのバランス設定ですので,普段は回避したほうがいいかもしれません。

4Gamer:
 なるほど……。では,伝承航路の探索に制限時間のようなものはあるのでしょうか。何かしら制限がないと,どこまでも探索できてしまいそうですし。

竹田氏:
 まさしく,制限時間があります。伝承航路内で,プレイヤーは遺物や遺跡を探すことになりますが,ほかにも結構な数の宝が配置されています。これを一人で全部穫ろうとすると,時間内に発見物にたどり着けません。ですから艦隊のメンバーで手分けして,「オレは発見物を探すから,宝はよろしく」みたいなプレイも視野に入れたほうがいいでしょうね。

4Gamer:
 宝からはどんな物が入手できるんですか?

菊池氏:
 特別な装備品やさまざまなアイテムと交換できるアイテムや,ほかにはない船部品の素材などです。この素材を使って生産できる船部品は,最強クラスになっています。

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4Gamer:
 手に入る素材から新しい船は作れないのでしょうか。

竹田氏:
 「古代の知識ですごい船を作れる」となると,それはもうSFの世界になってしまいますからね(笑)。ですから,伝承航路で手に入れられるのは,あくまでも船部品の素材であり,大航海時代の人達がそれを使って船を強化するということにしました。
 ただ,このコンテンツとは無関係ですが,先に紹介しておくとスウェーデンの海事船「クロナン」,イスパニアの交易船「サン・ホセ」,イギリスの冒険船「マーチャントローヤル」の3隻を新たに実装します。いずれもトップクラスの性能を誇ります。

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海事船「クロナン」
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交易船「サン・ホセ」
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冒険船「マーチャントローヤル」

4Gamer:
 分かりました。もう一方,特別な装備品というのはどんなものでしょう。

竹田氏:
 例えば,交換アイテムを鑑定すると月の形をかたどった鉞(まさかり)が一定確率で入手できます。

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菊池氏:
 こうした宝の位置もそうですが,ゴールとなる発見物は伝承航路のマップに表示されます。ただしマップ自体は,ダンジョンのように少々複雑な構造になっています。

4Gamer:
 1つの伝承航路で,発見物はいくつあるのでしょうか。

菊池氏:
 発見物は1つですね。それらを発見できるのは1回のみですが,伝承航路には繰り返し入って探索できます。

4Gamer:
 あとから宝を探しに行くこともできるわけですね。

菊池氏:
 伝承航路は入るたびに地形が異なりますから,何度も繰り返し入って探索をお楽しみいただけると思います。

4Gamer:
 気になるのが,今回は地中海をテーマにした伝承航路になるわけですが,今後,世界全体の遺物や遺跡も対象になっていくのでしょうか。

菊池氏:
 そうなっていく予定です。これら伝承航路は,きちんと元ネタのある伝承や伝説を取り上げていきます。

竹田氏:
 今回は探索や冒険が中心ですが,今後は戦闘メインの伝承航路も用意して,さまざまな職業のプレイヤーが楽しめるようにしていきたいです。伝承や伝説の中には怪物も出てきますし,いろいろなことにチャレンジできる地盤を作れたと思っているんです。いつ,何をやるかはまったく決まっていませんが,私自身,そういった怪物と戦いたいという願望があるんですよ(笑)。


伝承や伝説を取り上げることで,より大航海時代らしい表現が可能に


4Gamer:
 そのほか,今回の拡張パックについて,いくつか教えてください。発表では,プレイヤーの冒険,交易,戦闘の各レベル上限が,これまでの85から87に引き上げられるということですが。

菊池氏:
 レベル上限の引き上げにより,新職業も追加されます。今回の新職業は,レベル86で転職可能となります。また称号も新たに追加されますが,レベル87でそれらの専用装備を着用できるようになります。ほかにも,レベルを上げると作れるようになる船などがありますね。

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4Gamer:
 新職業についても教えてください。

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竹田氏:
 冒険,交易,戦闘それぞれに 1つずつ追加します。いずれも既存職業から,一部の優遇スキルを変更したバリエーション職業となります。
 
菊池氏:
 冒険系の「ハイシーカー」は,「大冒険家」のバリエーションで,優遇スキルの[生物学]が[調教]に,[美術]が[天文学]に変わっています。
 同様に,交易系の「ミリオネア」は,「大富豪」の[社交]を[商品知識]に,[工芸品取引]を[錬金術]に変えた職業,戦闘系の「ハイコマンダ」は「大提督」の[突撃]を[応用剣術]に,[統率]を[回避]に,[戦術]を[速射]に変えた職業となっています。

4Gamer:
 転職の条件は厳しいのでしょうか。
 
菊池氏:
 レベル86に到達したプレイヤーであれば,とくに難しくはないはずです。クエストを受けられる場所も,ヨーロッパやカリブなどですし。

4Gamer:
 もう1つ,今回の拡張パックで副官を陸地に連れて行けるそうですね。

菊池氏:
 はい。副官が陸地やダンジョンでプレイヤーを追従しサポートしてくれるようになります。
 戦闘中は,副官がAIで自動的に行動するのですが,交易系は回復スキルを,探険系は敵を妨害するスキルといったように,副官の系統によって優先される行動が決まっています。それに伴い,副官の使用スキルをたくさん追加しています。

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4Gamer:
 そうなると,どの副官を雇用するのかが重要になりそうです。

菊池氏:
 そのとおりです。とくに艦隊の場合は,「友達が回復できる副官を連れて行くから,自分は別の系統にしよう」といった選択ができるでしょうね。

4Gamer:
 艦隊を組んでいても,副官を追従させられるんですね。

菊池氏:
 ええ。最大プレイヤー5人,副官5人で1つの艦隊となります。ですから,今までなかなか勝てなかった敵とも戦いやすくなると思います。また,副官の姿はこれまで設定画面でしか確認できませんでしたが,こうして連れ歩けるようになったことで,今まで以上に着せ替えを楽しめると思います。

4Gamer:
 ほかのプレイヤーからも見られるようになると,見た目にこだわりたくなりますね(笑)。そのほか,今回追加されるコンテンツはありますか。

竹田氏:
 あとは発見物が26件,クエストが21件追加されます。

菊池氏:
 発見物の中には,情報公開済みの「燃える柴」など,伝承発見物も含まれています。

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4Gamer:
 拡張パックのリリース記念キャンペーンなどを実施する予定はあるでしょうか。

菊池氏:
 あります。これを機に新たにゲームを始める皆さんや,休眠から復帰される皆さんをサポートする施策の展開を予定しています。例えば,新コンテンツである伝承航路に着手しやすくなるような施策などですね。詳細は追って公開します。

4Gamer:
 それでは最後に,今回の拡張パックおよび今後の「大航海時代 Online」に注目している人に向けて,メッセージをお願いします。

竹田氏:
 長く「大航海時代 Online」をプレイしている皆さんの中には,「とうとう,こんな領域をネタにするようになったか」というような印象を抱く方もいらっしゃるかもしれません。私達としては,伝承や伝説を扱うことで,今まで以上に広く大航海時代を表現していきたいと考えています。
 もちろん,これまで培ってきた世界観を壊すようなことはありませんので,ご安心ください。1つ前の拡張パック「Order of the Prince」では原点回帰を行いましたので,これからはその原点を守りつつ,新たなチャレンジに取り組むという,2軸で展開していきます。皆さんに長く楽しんでいただけるよう,これからも頑張ります。

4Gamer:
 ありがとうございました。

※画面写真はすべて開発中のPlayStation 4,もしくはPC版のもの

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