インタビュー
「ファンタジーアース ゼロ」インタビュー。「エンペラーズ サガ」とのコラボの背景にある開発者の10年越しの思いや,フェンサー/セスタス改修の進捗などを聞いた
今回4Gamerでは,FEZチームの二人のプロデューサーと,「エンペラーズ サガ」のプロデューサーを務めるスクウェア・エニックスの市川雅統氏に,このコラボ企画の意図や注目ポイントを語ってもらった。
なお市川氏は,FEZの前身となる「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」(以下,ROD)の開発プロジェクトの中心にいた人物である(関連記事)。今回のインタビューでは当時の思い出や,現在につながる意外なエピソードなども続々と飛び出したので,往年のFEZファンには興味深い内容となっている。
また記事後半では,2013年5月20日に公開された,FEZの2013年のサービス体制施策に関する質問も試みている。フェンサーとセスタスの改修の進捗や,オフラインイベント「メルファリア大感謝祭2013」およびFEZ初のスピンオフタイトル「メルファリア マーチ」についての新情報が聞けたので,現行FEZプレイヤーはご一読を。
「ファンタジーアース ゼロ」公式サイト
デフォルトボイスは学生の声? 100人テストの真相?
意外な開発初期の真実
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは今回,FEZと「エンペラーズ サガ」のコラボが実現した経緯などを教えてもらえますか?
リー・ユノ氏(以下,リー氏):
きっかけは,スクウェア・エニックスの社内会議で,市川が「エンペラーズ サガ」と他タイトルとのコラボが好評だったと報告したことでした。「今後はもっとコラボに力を入れていきたい」と言っていたので,その会議が終わった直後,即座に「FEZ,どうでしょう?」と声をかけたんです。
もう即答で「やりましょう」と(笑)。
と言うのも,僕はFEZの前身となるRODの開発を手がけていたんですよ。それこそ,スクウェア・エニックスとして合併する前のエニックス時代から。
4Gamer:
市川さんには,4GamerでRODのクローズドβテスト時のインタビューに応えていただいたこともあるんですよね。
市川氏:
ええ,ちょうどそのインタビューの頃が,RODに携わった最後の時期でした。僕の手を離れたあと,RODは一度クローズして,ゲームポットさんに運営移管するんですよね。……今,思い返しても,RODの開発は大変だったという記憶しかないんですよ。
4Gamer:
具体的に,どう大変だったんですか?
市川氏:
とにかく開発期間が長かったんです。その間,何度もディレクターが入れ替わりましたし,何しろ途中で会社まで合併しましたからね。そんな中,当時のプラグル(現ヴァニラウェアの前身)の神谷盛治さん達とずっと一緒に作業をしていたんですが……そう言えば,今のFEZにRODの頃のキャラクターの掛け声って残ってます?
リー氏:
残っていますよ。今はいろんな声優さんにボイスを演じていただいているんですけれど,一番最初の掛け声はデフォルトボイスになっています。
市川氏:
実はその掛け声,当時,専門学校に通っていた声優志望の学生さん達に協力してもらって収録したんです。
リー氏:
ええっ! じゃあ「んゆ〜」とかも当時の学生さんの声なんですか?
市川氏:
そうそう。そういうのを僕と神谷さんとで一緒に収録に行ったんですよ。
まだネット回線もADSLが普及し始めた頃に開発がスタートしたんですけれど,当時,オンラインゲームで50対50の大規模戦争なんて前例のない取り組みでしたから,本当に大変でしたね。
4Gamer:
最も大変だったことは何でしょう?
市川氏:
テストプレイをする時に,テスターを100人集めなければなりませんから,社内で環境を整えることが難しかったですね。それで,これまた専門学校に協力を仰いで,PC数十台にクライアントをインストールしたりしました。
あと思い出に残っているのはオープニングムービーですね。
リー氏:
当時のムービーは,今も使っていますよ。
市川氏:
あのムービーは,坂口博信さんに褒めていただいたことがあるんです。すごくうれしかったんで,よく覚えています。
4Gamer:
おお,そんなエピソードまで。
ちなみに市川さんは,今回,コラボを持ちかけられたとき,率直にどう思いました?
市川氏:
今,話してきたような思い出がすべて脳裏にフラッシュバックしました。RODの開発開始から数えると,もう10年以上経つんですよね。当時は,まさかこんなに長く続くタイトルになるとは予想もしていませんでした。
4Gamer:
もうずっとFEZには触っていないんですか?
市川氏:
ええ,僕の手を離れてからはまったく。……当時は若かったこともあって,長らく携わったRODのプロジェクトから離れることが心残りだったんです。本当に紆余曲折あったタイトルですが,多くの皆さんのおかげで今なおFEZとしてサービスが続き,奇しくも自分がプロデューサーを務める「エンペラーズ サガ」とコラボするなんて,非常に感慨深いですね。今は,ようやく恩返しができたというか,自分の中で何かが昇華された気分です。
「サガ」シリーズのコラボ装備はこだわりのクオリティに
4Gamer:
さて,今回のコラボでは,「サガ」シリーズの衣装がFEZの装備として登場しますけれど,仕上がりを見ての感想はいかがですか?
市川氏:
予想以上の出来栄えで,ちょっとビックリしました。コラボって,ここまでやるのかと。
リー氏:
フェニックスソフトさんが,イラストをもとに三面図から描き起こしてくださったんですよ。
それに数が多いですよね。初報の時点では,「アイスソード」は外せないとしても,あと何点か用意しているだけだと思っていました。
内山スグル氏(以下,内山氏):
衣装は男女それぞれ5種類ずつです。いずれも解像度やポリゴン数は,通常の装備からかなり増やしており,クオリティを高めています。通常装備だと,ボカシが入ったように見えるところも,クッキリしていますね。
市川氏:
これも昔話になってしまうんですが,当時,ローポリゴンでどこまでキャラクターの可愛らしさを表現できるかに挑戦していたんですよ。それが10年経った今でも,こうして衣装を着せると,ちゃんとキャットやロックブーケに見えるんだから,こだわったかいがありました。
ええ,このローポリだからこそ出せる可愛らしさというのは絶対崩してはいけないと考えています。今回もそこを守りつつ,可能なかぎり綺麗に仕上げました。
FEZのモデルはさまざまな制限の中で本当によく作られているなと思います。とくに裸にすると,よくできているのが分かりますよね。
市川氏:
裸と言えば当時,お風呂もありましたよね。バスタオルを巻いた姿になって,体力を回復しつつチャットを楽しめる場として。
4Gamer:
あれ? 確か以前のFEZのインタビューでも,公衆浴場を実装するとかお聞きしたような気が。
リー氏:
まさにそれが,市川の言うROD時代の産物です。結局,まだ開放時期は未定なんですけれど。
4Gamer:
ああ,そういうことだったんですか。
それではちょっと脱線してしまいましたが,今回のコラボ装備の中で皆さんのオススメを教えてもらえますか?
市川氏:
僕は「エンペラーズ サガ」で人気の高い「ロックブーケ」「聖王アウレリウス」「キャット」の3つですね。ロックブーケは「ロマンシング サ・ガ2」のときも人気だったのですが,「エンペラーズ サガ」では物語の中心人物なので,とくに人気が高まりました。
聖王はこれまで男か女か分からない存在でしたが,「エンペラーズ サガ」でカード化するにあたり,「サガ」シリーズの生みの親であるスクウェア・エニックスの河津秋敏に確認してみたら,「設定上は女です」と。このコラボ装備では,ヘルメットで髪が隠れてるのが残念かも。
リー氏:
ああ,頭装備は非表示設定できますよ。あとこの装備では,ヘルメットを被った状態でも,少し髪の毛が見えているんですよね。
内山氏:
これも今回こだわった部分です。通常,頭装備を被ると,排他処理で髪の毛はすべて消えてしまうんですが,このコラボ装備では敢えて髪を出すようモデルを作っています。
4Gamer:
ユノさんはどれがオススメですか?
「怪傑ロビン」のバンダナやマントの雰囲気が気に入っています。あとは,とにかくキャットが可愛いですよね。
内山氏:
キャットは一番最初に仕上がったんですよね。出来がいいと思ってゲームポットのオフィス内に張り出しておいたら,もうスタッフの食いつきがすごかったんですよ(笑)。
リー氏:
スクウェア・エニックス社内のFEZプレイヤーも同じでした(笑)。
4Gamer:
内山さんのオススメは?
内山氏:
私は「ジェラール」です。私の「サガ」シリーズとの出会いは「ロマンシング サ・ガ2」だったんですけれど,パッケージに描かれた鎧姿のジェラールは兜を被っているんですよ。ところがゲーム内では,鎧を装備しても頭部は兜のグラフィックスにならないんです。ずっとどんな感じになるんだろうと想像をめぐらせていたのですが,ようやく念願が叶いました。
リー氏:
この鎧は,ゲーム内で見ると光沢がすごいんですよ。
内山氏:
また「サガ」シリーズの武器といったら,「アイスソード」ですよね。あとは「ビューネイ」の和服も人気が出そうです。
リー氏:
ビューネイは髪型も格好いいですよね。いろいろコーディネイトできそうです。
4Gamer:
プレイヤーは,全種類のコラボ装備を入手できるんですか?
内山氏:
はい,全部カジノで手に入ります。アクセサリーの一部と,髪型などは店売りやキャンペーンのプレゼントですけれど。
リー氏:
また今回,初の試みなんですが,このコラボ装備はマントがなびくんですよ。FEZのモデル的には難しいことなのですが,せっかくの機会ですから,やれることは全部盛り込もうと。
内山氏:
あと同時にリリースしたアクセサリーの「羽」も動きます。羽は今回,初めて出すのですが,これもクオリティが高いですよ。
戦争などゲーム内の10シーンで「サガ」シリーズのBGMが流れる!
4Gamer:
今回のコラボでは,ゲームのBGMも「サガ」シリーズのものに変更できるんですよね。
リー氏:
はい。「ロマンシング サ・ガ」「2」「3」の3作のBGMと,今年リリースされたイトケンさんこと伊藤賢治さんのアレンジアルバム「Re:Birth II」の曲を,ゲームの戦争中や勝利時など全10シーンでBGMに設定できます。
4Gamer:
BGMはプレイヤーの任意に設定できるのですか?
内山氏:
設定できるシーンによって,選択可能な曲のパターンが決まっています。たとえばクロニクルズで優勢になると,「クジンシーの戦い」が流れたりするようにできるのですが,これは「サガ」シリーズが好きな人にはたまらないですよ。
イトケンさんのバトル曲は盛り上がるでしょうねえ。
内山氏:
これまでのコラボは装備が中心でしたが,今回は視覚だけでなく聴覚も「サガ」シリーズで攻めてみようと。とくにイトケンさんの曲は記憶に残るんですよね。私もまさに「サガ」世代の人間なので,「サガ」シリーズのBGMを聴くと,「そう! コレコレ!」という気分になります。知らない方も,普段とは違う新鮮な気持ちで楽しめると思います。
4Gamer:
ひょっとして,BGMを差し替えられるというのは新機能ですか?
リー氏:
そうです。今回のコラボのティザーサイトを公開した当初,お客様から「当然,『サガ』のBGMに変わるんだろうな」というお声をいただいたのですが,「鋭い!」と感心しました。
4Gamer:
そのほか,今回のコラボに関連する情報はありますか?
内山氏:
「サガ」シリーズにちなんで,「クリスタルの輝石」を集めて「アビスゲート」を封印するというイベントを実施します。
またキャンペーンでは,頭に付けるアクセサリーの「のせものコッペリア」や「閃きの電球」をプレゼントします。コッペリアはドット絵調で描かれており,かつ実際に動きますし,電球は技を出すごとに光ります。
4Gamer:
ああ,「サガ」と言えば「閃き」ですね。
内山氏:
閃いたら「パリイ」と叫びたいですよね(笑)。電球は「エンペラーズ サガ」に新規登録し,チュートリアルをクリアするだけでもらえますので,この機会にぜひ入手してください。
4Gamer:
それでは,「エンペラーズ サガ」の現状などを教えてもらえますか?
市川氏:
サービスインから1年,ずっと「河津神」こと河津秋敏が,自ら初代「ロマンシング サガ」の前日譚などを書き起こしてきましたが,それがようやく一段落したところです。これからは「2」の隠れたエピソードを描いていきますので,「ロマンシング サ・ガ」「2」「3」を楽しんだ方はぜひ遊んでみていただきたいです。また今回のコラボ装備の元ネタも登場しますから,初めて「サガ」シリーズに興味を持ったという方もぜひ。
リー氏:
今回好評なら,「エンペラーズ サガ」とのコラボは第2弾,第3弾と続けたいですよね。実は以前,FEZのお客様にアンケートを取ったとき,「サガ」シリーズとのコラボを望む声がかなり多かったんですよ。
市川氏:
そうですね。こういう取り組みに対して,河津は非常に理解があるので,チャンスがあればどんどんやっていきたいです。とくに,2014年12月で「サガ」シリーズは25周年を迎えますので,今後の展開には注目してください。
リー氏:
またスクウェア・エニックスタイトルとFEZのコラボは,もう一つ企画が進行しています。そちらは機会が来たら発表しますので,まずは「エンペラーズ サガ」とのコラボを楽しんでください。
気になるフェンサー/セスタスの改修はコンセプトにも手を加えたから見直した大胆な内容に
4Gamer:
それでは,FEZ自体の現状について教えてください。2013年5月に発表したフェンサーとセスタスの調整の進捗はいかがですか?
両クラスのコンセプトにも手を加え,今まさに調整を行っている最中です。
まず調整の意図からお話ししますと,今回はフェンサー/セスタスの戦争における汎用性と,プレイヤー間の連携要素を持たせることを狙っています。現状のフェンサーは歩兵戦特化,セスタスは建築特化という立ち位置で,それぞれ特殊なスキルを持っていますが,やはりFEZは味方同士で連携を取りつつ臨機応変に戦うことが重要です。したがって各クラスに別個の役割を持たせるのではなく,幅広く行動が可能で,かつそれぞれが持つ差別化された部分で連携を図れるような方向で調整を進めようと考えています。
4Gamer:
なるほど。具体的にそれぞれのクラスがどう変わるのか教えてもらえますか?
内山氏:
フェンサーは,身軽さを特徴としたアタッカーという部分を生かしつつ,新たに連携を重視するサポートスキルを追加します。また撹乱型のアタッカーという点は変更され,前線を押し上げつつ,場合によっては1歩前に突出して戦うスタイルを取ります。
さらにフェンサーの攻撃は,建築物にほとんどダメージが通りませんでしたが,戦略の大きな部分を占める建築物の破壊はFEZの醍醐味の一つです。そこでフェンサーの建築物への攻撃力も上方修正します。
その一方で,主に1対1の場面で強さを支えていた機動力,回避力,カウンター能力,そして高威力スキルに関しては,下方修正や削除により,万能選手になってしまうことを防ぎます。
4Gamer:
なるほど,かなり大胆に手が入るので,全般的な遊び方も変わりそうですね。しかし,今のお話だけだと,フェンサーならではの特徴が薄れ,平準化してしまうようにも思えます。
そこは新スキルで差別化を図ります。相手にルーン(刻印)を刻み,そのルーンが刻まれた相手に対して味方が攻撃を加えると,その味方にバフ効果が付与されるんです。
4Gamer:
面白いですね。攻撃して相手にデバフ効果を与えるのではなく,味方にバフ効果なんですか?
内山氏:
ええ。FEZは,ゲームの性質上,ヒーラーやバッファーの扱いが難しいんです。たとえば,味方が魔法や弓で攻撃している横でずっと回復スキルやバフスキルを使っていたのでは面白くありませんし,戦線も停滞してしまいがちになります。
そこでフェンサーには,今回,サポートクラスとしての側面を持たせます。これまでは味方が体力を削った相手に止めを刺すフィニッシャーというイメージのあったフェンサーですが,今回は味方と一緒に前線を押し上げ,サポートしつつ攻撃にも参加できるようなクラスを目指しています。
またデバフに関しては,すでにスカウトが強力なスキルを持っています。そこでさらにフェンサーがデバフを使えるようにしてしまうと,それこそ差別化が難しくなってしまいますから。
リー氏:
イレイスマジックは,もともと自分に効果のあるバフスキルだったんですよね。それを攻撃の中で味方に効果をもたらすにはどうすればいいのかを検討した結果,この形式が適しているんじゃないかと。
4Gamer:
分かりました。それではセスタスについても教えてください。
セスタスは,従来の建築関連の特性に,自己強化とサポートの要素が加わります。歩兵戦でもバランスよくプレイできるようスキルを大幅に追加しており,主にタンクとして,また突撃して相手の前線を崩す妨害役としての役割を果たすよう調整を進めています。
従来のタンク/アタッカーとしてのウォリアーとの差別化は,パラメータのバランスの違いはもちろん,プレイスタイルの幅という部分で図っていきます。
リー氏:
体術系のスキルが増えるので,今までよりもアクティブなイメージが強くなります。タックルして相手をノックバックさせたり。
内山氏:
FEZは一人で突進してもすぐに倒されてしまうので,前線でお見合いになることが多いのですが,セスタスは自己強化して防御力を高め,妨害スキルを駆使することで相手の前線を切り崩すことができます。そこから味方がなだれ込むというイメージですね。
リー氏:
オベリスクを回復しながら戦えますし,前線であればアロータワーを強化しながら戦えるようになることも大きいですね。
内山氏:
これまではアロータワーの強化中,セスタスはほかの行動ができなかったんですよね。今回は強化をしながらさまざまな行動がとれるように調整しますので,効果が続いている間は積極的に戦闘にも参加できるようになります。
4Gamer:
そのほか,新しいセスタスの特徴はありますか?
内山氏:
スタイルチェンジが廃止され,一つのスキルで対歩兵/対建築双方のケースで最適な攻撃判定がなされるようになります。これにより,スキルスロットに空きができ,代わりに大量に追加される新スキルを入れやすくなります。
4Gamer:
なるほど。
内山氏:
今お話しできる範囲であらためて概要をまとめると,フェンサーもセスタスも,現在のスキルからいくつかを削除したうえで,現在のスキル効果の調整/変更と新スキルの追加をし,最終的に合計で,それぞれ15種類程度のスキルを持つクラスとなります。
これにより現状のスキル選択の固定化を解消し,ソーサラーが雷/氷/炎の中から系列を選択するような感じで,習得スキルの取捨選択ができるようになります。
リー氏:
今までプレイしていたフェンサー/セスタスの先入観がなくなるので,相当遊び方が変わると思います。
もっとも今回は,現状から何を残し何を削り,新しく何を加えるかについては相当に議論を重ねました。
内山氏:
その中で,やるならコンセプトの見直しから徹底的にと判断したんです。思い切って削除したスキルもありますが,それはFEZチームでシミュレーションを重ねた結果なんです。
4Gamer:
フェンサー/セスタスがリニューアルされるにあたり,イベントやキャンペーンは予定していますか?
リー氏:
以前ゲーム中のカジノでフェンサー/セスタスの装備を手に入れたお客様の中には,あまりプレイしないからという理由でリサイクルしてしまった方もいるかと思います。そうした装備をリングで買い戻せるようなサービスを,期間限定で提供しようと考えています。
フェンサー/セスタスおよび新戦争ルールが体験できる「メルファリア大感謝祭2013」
4Gamer:
それでは,先日発表された「メルファリア大感謝祭2013」について教えてください。
今回で3回目となる「メルファリア大感謝祭」ですが,2013年9月15日に東京ドームシティ プリズムホールで開催します。
目玉となるのはフェンサー/セスタスの先行体験コーナーです。とくに勝負を付けるわけではなく,あくまでもスキルがどんな感じに変わるのかなど,お客様同士の簡単な対戦を通じてプレイフィールを体験していただくものです。両クラスとも,あと少しで実装できるというところまで来ていますので,かなりイメージを掴んでいただけるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
もう公開できる段階まで調整が済んでいるんですね。
内山氏:
そうなんです。また,「クロニクルズ」などで実装を予定している新戦争ルールの「虹水晶調査作戦」の先行体験コーナーを予定しています。このルールは,FPSの占領戦に近いもので,マップ上に設置されたクリスタル付近に一定時間留まると,そこが占領されるという内容です。実際のゲームプレイは,味方同士協力しながら前線を押し上げ,どんどんクリスタルを自分達のものにしていく感じになります。
4Gamer:
なるほど。
内山氏:
例年どおりコスプレコーナーなども設けます。実はサークルを作ってFEZのコスプレを楽しんでいるお客様もいらっしゃるので,ぜひご参加をお待ちしております。もちろんグッズの販売もあり,オリジナル新作もご用意していますよ。
リー氏:
新作では,iPhoneケースなどもあります。現在特設サイトで新作グッズ,再販グッズ共にラインアップを公開しておりますので,ぜひ一度ご確認ください。
内山氏:
あとは目新しいところだと,Timesさんのご協賛をいただき,「FEZ痛車」の展示を行います。
4Gamer:
おお,往年のゲームポットらしい企画ですね。コストが掛かる割りに実利がほとんどないという(笑)。
内山氏:
おっしゃるとおりです(笑)。そして先行体験コーナーが表の目玉なら,裏の目玉と言えるのがクイズコーナーです。これはFEZチームで今流行っている,かなりマニアックなクイズで,FEZのサービスイン当初から遊んでくださっているお客様でも,「ん?」「ぐぬぬ」となるような内容なんですよ。
リー氏:
あるFEZの会議のときに,フェニックスソフトさんが,青とオレンジの点が無数に表示された戦争データに関する資料を持ってきたんですよ。実はその資料,あるマップの戦争で,攻撃側と防衛側がデッドした場所を点で示していたんです。そして「じゃあ,このマップはどこだ?」と。
内山氏:
これが本当に面白くて,分かるマップは本当にすぐ分かるんです。
4Gamer:
ああ,点が集中しているあたりが前線で,この位置にあるから,あのマップだろうとか,そんな感じになるわけですね。
内山氏:
意外なところで熱戦が繰り広げられていたりと,私達自身,気付かされることが多いんです。あとはオベリスクの設置場所ですとか,最上級問題としてはエクリプスの設置場所などがあります。正解を教えられると,「確かに!」と思うのですが,なかなか難しいんですよ。
リー氏:
それがあまりにも面白いので,お客様にもクイズとして挑戦していただこうと。
内山氏:
「メルファリア大感謝祭」も3回目ですから,皆さんオープンに楽しんでいただけると思います。2年前の第1回は,初の開催ということで,お客様が心なしか戸惑っていたようにも感じたのですが,昨年は皆さんが心から楽しんでくださったので,スタッフ一同,励みになりました。今年は,より一層の盛り上がりになることを約束します。
リー氏:
昨年は,ダンボールでスカフォードを作ってきたお客様もいらっしゃいましたからね。ぜひ気軽に会場にお立ち寄りください。
内山氏:
また来場者特典として,建築物をモチーフにした武器をプレゼントします。言ってしまえばネタ系アイテムなんですが,持っているとちょっとニヤリとできてうれしいんですよ。
リー氏:
元ネタは,あるお客様がデザインコンテストに投稿された作品なんですが,今回,ご本人にご了承をいただいて,こういった形で実現できました。
あとは「メルファリアマーチ」で使えるシリアルコード付きポストカードも来場者特典になっていますので,iOS端末をお使いの方はぜひ。
スマホアプリ「メルファリアマーチ」は,FEZの世界観を使ったストラテジーRPG
4Gamer:
ちなみに何度かお話に出てきている「メルファリアマーチ」なんですが,4Gamerできちんと取り上げるのは初めてなので,あらためて紹介をお願いします。
メルファリアの世界を舞台としたスマートフォン向けのラインストラテジーRPGです。iOS版を先行リリースしますが,Android版も開発を始めており,追ってリリースする予定です。
ゲームの内容は,FEZの各クラスやスキルの特徴を生かした,いわゆるタワーディフェンスです。FEZはもともとストラテジー要素のあるゲームですから,タワーディフェンスのシステムともかなり相性がいいんですよ。
4Gamer:
FEZプレイヤーに注目してほしい部分などを教えてください。
リー氏:
ドット絵で描かれたキャラが,チョコチョコ戦うところです。お馴染みの装備や技もドット絵で再現されていますので,楽しんでいただけると思います。
またカードイラストは,基本的にFEZのプレイ経験があるイラストレーター陣に直接依頼しています。発注時は装備だけFEZチームから指定し,それ以外の顔や髪のタイプ,アクセサリーは自由に描いていただきました。そのイラストを元に,各キャラのドット絵を起こしています。スキルの表現は,何度も繰り返しスキル動画を見ながら作りました。
ドット絵のキャラがヌルヌル動くなど,全体にすごく丁寧な作りになっているんですよ。
リー氏:
プレイヤーは新人司令官という立場になり,シグルス,もしくはクリィムの指導を受けながらゲームを進めていくことになります。その際,自分が所持するキャラクターの中から一人だけ「部隊長」として設定ができます。その部隊長はゲーム内でナビゲーションをしてくれたり,プレイヤーへ語りかけてくれたりします。
また,ゲーム内に登場するFEZでも見覚えのある一部のキャラクターについては,生みの親であるイラストレーターさんに登場シーンを確認していただきながら開発を進めました。そういったクロスオーバー的な要素も一部含まれています。
そのほか,FEZ本編ではあまり触れられなかったNPCの設定も登場します。たとえばクヌートとクリィムは知り合いという設定が元々あるので,二人が会話するシーンなどが登場します。
一方でゲーム自体の難易度は,FEZも世界観もまったく知らない方にも楽しんでいただけるよう設定しているので,FEZのお客様には物足りないかもしれません。そこは,順次上級マップを追加しますので,ご期待ください。
4Gamer:
リリース時期はいつ頃でしょう?
リー氏:
2013年9月中の配信を予定しております。残念ながら「メルファリア大感謝祭2013」には間に合わないのですが,9月2日にティザーサイトをオープンし,特典ユニットがもらえる事前登録を開始します。登録自体はPCからもできますので,iPhone / iPadをお持ちの方はぜひチェックしてみてください。
今後はゲーム内イベントを同時期に開催するなど,FEZと「メルファリアマーチ」の双方からメルファリアの世界観に触れられる企画を予定しておりますが,両方遊ばないとどうにもならないといった仕様は入れませんのでご安心ください。あくまでも本作はスピンオフ作品であり,FEZとはまったく別のゲームとなります。一人で遊ぶタイプのゲームですので,気軽に試していただけると幸いです。
4Gamer:
分かりました。それでは最後に,今後のFEZの展開に期待する人に向けて,メッセージをお願いします。
内山氏:
フェンサーとセスタスの改修は,およそ3年ぶりの大がかりなアップデートということでお客様をお待たせしてしまっています。FEZチーム内で会議を重ねているのはもちろんのこと,実際にプレイしながらヒアリングしたお客様の声をしっかり受け止めたうえで,現在調整を進めています。そのあとは,2013年5月に発表した「部隊戦」などの実装を控えていますが,いずれも早い段階で追加情報を発信していきます。今後も新しい要素を続々と投入し,より深いゲームにするべくチーム一丸となって臨みますので,ぜひ期待してください。
リー氏:
クラスごとのスキルにまで手を入れたアップデートは,3年ぶりです。とくに一部のスキルを削除するという決断は,おそらく今回が初めてです。これまで7年間サービスを続け,かつ今後も続けていこうとする中では,こういった決断が必要になる場面もあるということで,今回の判断をしました。これから,お客様のさまざまな声が寄せられるでしょうが,それは真摯に受け止めていきます。
またFEZ本編に留まらず,グッズやスマートフォンアプリなど,さまざまな形でメルファリアの世界観を知っていただけるよう,展開していきます。引き続き,ご期待ください。しばらくFEZから離れていたというお客様も,この機会にまたプレイしていただけると,何かいいことがあるかもしれません。ぜひよろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
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