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「ラグナロクオンライン」と「同II」をつなぐのはブランドとコミュニティ。ガンホー 代表取締役社長 森下一喜氏インタビュー
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印刷2007/05/08 16:58

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「ラグナロクオンライン」と「同II」をつなぐのはブランドとコミュニティ。ガンホー 代表取締役社長 森下一喜氏インタビュー

ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長 森下一喜氏
 「ラグナロクオンライン ファン感謝祭〜RJC2007〜」で大忙しの合間を縫って,ガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下,ガンホー)代表取締役社長 森下一喜氏が,例年のようにインタビューに応じてくれた。
 「ラグナロクオンラインII」(以下,RO2)の試遊台が日本国内で初めて公開されて大きな注目を集めているところで,旧来の「ラグナロクオンライン」(以下,RO)のサービスとの関わりを,どう捉えているか。また,そもそも森下氏自身は,現時点におけるRO2をどのように評価しているのか? そんな,ガンホーとRO,RO2をめぐるホットな話題をお届けする。



■「ラグナロクオンラインII」の魅力とは

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。今日はことにお忙しいタイミングかと思いますので,順不同で端的にお聞きしていきます。試遊台が用意され,カンファレンスでも概要説明がなされる「ラグナロクオンラインII」(以下,RO2)ですが,ガンホーはこれをどのようなゲームにしていきたいと考えているのでしょうか?
 「ラグナロクオンライン」(RO)において,日本独自の工夫や,日本発のプロジェクトを形にしていった実績を考えたとき,RO2ではどんなことが考えられているのだろうか,という意味です。

森下氏:
 そうですね。大枠で考えているのは,ROとRO2をまったく違うものとして捉えるのではなく,「ラグナロク」という一つの大きなブランドとして,どう育てていけるか,です。「ラグナロク」ブランドの中に,1もあれば2もあり,モバイルゲームもある。そういう展開をしていきたいと考えています。

4Gamer:
 なるほど。共通のブランド,ですか。

森下氏:
 ええ,ブランドやノウハウを生かしていきたい部分はあります。ただ,さらに踏み込んでRO2自体に関して言えば,このタイトルが持つ独自性の部分,良さを最大限に引き出していきたいと思っています。
 「エミル・クロニクル・オンライン」や「北斗の拳ONLINE」,「グランディアオンライン」といった自社タイトルの場合は,ゲームの中身からして文字どおり自分達の思うとおりにできる。それに対してRO2は,開発会社が別にいるパブリッシングタイトルではありますが,ROでも取り組んできたように,良いと思うことは盛り込んでいけるようにしたいと思います。
 Gravityさんとは5年のお付き合いで,お互いのことを十分に理解していると思っていますからね。それがROの成功につながったわけですし。

4Gamer:
 ではRO2に関して,森下さんの考える最大の魅力とは何でしょうか?

森下氏:
 2Dではできなかった,キャラクターの個性表現でしょうか。もちろんフル3D化に伴って,グラフィックス全般が美しくなっているのですが,もともとROが持っていた良いところをうまく継承しながら,さらに新しい要素を盛り込んで,ここまで続いてきた“キャラクターに対するモチベーション”に基づいて,自分の個性を出していけるところが,重要だと捉えています。
 ROとまったく関係ないゲームであればともかく,ラグナロクというブランドにとって最大の要素はコミュニティで,それと並ぶのがキャラクター性です。RO2でも,その部分を最大限生かしていきたい。オンラインゲームですから,コミュニティ要素を生かさないでどうする,というくらいの心構えですし,そこにはこうしたイベント(「ラグナロクオンラインファン感謝祭〜RJC2007〜」を指す)も密接に関わってきます。

4Gamer:
 ではRO2のターゲットは,ROと同じであると考えてよいのでしょうか。

森下氏:
 そうです。ただ,いままでROの2Dキャラクターが可愛いと思い,それをすごく気に入ってくれる方もいれば,むしろそれが苦手という方もいたと思います。そうした方に向けては,グラフィックス面で進化したRO2のような作品で新たなマーケットを開き,潜在顧客を獲得していくこともしていきたいわけです。
 また,ROとRO2ではPC側の動作条件からして違いますから,いままでROを楽しんできてくれた方全員が,RO2の必要スペックを満たしたPCを持っているかというと,そうでない可能性もある。そういった意味で全体としてはより高い年齢層に向けて,プロモーション規模も拡大していきたいと考えています。

4Gamer:
 重ね合わせながらも,新しい層に訴求していきたいと。森下さん御自身が触ってみた感想としてはいかがですか?

森下氏:
 インタフェースについて言いますと,いままでと比べた場合,若干難しくなるのかもなあと思いました。とはいえ,操作性,ユーザビリティの面で見ると,いままでROを楽しんでいた方もすんなり入っていけると思います。キーボード操作が入ってくるわけですが,基本操作として,いきなりできないということはないので,問題ないかと思います。
 まあ,操作体系と関連して,ゲームとしてのウリの部分が若干変わっているので,そこがお客様にどう受け入れられるか,でもありますが。

4Gamer:
 クリックベースの操作から,キーボードベースの操作へという変化は,触ってみるとそれなりに大きい気もしたのですが,いかがでしょうか。

森下氏:
 基礎的な操作に関しては,それほど驚くこともないと思います。コンシューマゲームにしてもシリーズを重ねるごとに,オプション的な操作は加わっていくものですし,RO2においても当然ながら,インタフェースの機能強化はなされています。まあ,必然的なものですね。

4Gamer:
 2年前の東京ゲームショウに出展されたムービーと比べたとき,絵柄にはかなり手が入っているように見えましたが,これについてはどうお感じになりましたか?

森下氏:
 3Dの表現としては,エミル・クロニクル・オンラインのようにトゥーンレンダリングをかけるやり方もあるでしょうし,なかなかこうと言うのが難しいですね(笑)。どうしても嗜好の問題もあります。ただ,現状で反応は悪くないと思っています。Gravity側からさらなるブラッシュアップも加わるでしょう。

豊富なアバター性とエモートアクション,アクション性の高い操作が特徴の「ラグナロクオンラインII」


■日本市場への落とし込みはケース・バイ・ケース

4Gamer:
 Gravityのお話が再度出てきたところでお聞きします。RO2の開発をめぐって,ガンホーとGravityの間ではどんな形でやりとりが進んでいるのでしょうか?

森下氏:
 うーん,特別なことはないですよ。ROでずっと一緒にやっていますからね。ただ,ガンホーが自分の開発タイトルを持つことで,開発者同士の交流は,以前よりがっちりできるようになりました。RO2に関して言うと,互いの会社にそれぞれ人材を常駐させているわけではありませんが,コミュニケーションは毎日のようにとっています。直して,チェックして,注文して,みたいな形で。

4Gamer:
 RO2は当然ながら日韓両国でサービスされるわけですが,例えば日本市場で必要と思われることが浮上してきた場合,それは日本サービス独自のものになりそうでしょうか,それともワールドワイドでの仕様として考えられるのでしょうか?

森下氏:
 形としては両方あると思いますね。例えばROの「アマツ」の場合,日本で企画して依頼し,日本サービスだけに導入される予定でしたが,のちに「グローバルプロジェクト」という形で,全世界のサービスに実装していっていいんじゃないかということになりました。そういった意味でケース・バイ・ケースです。

4Gamer:
 では,韓国サービスと日本サービスで,仮に違いが出るとすればどういった部分でしょうか?

森下氏:
 展開のさせ方は,日韓で違うものになるでしょうね。例えばエミル・クロニクル・オンラインの韓国サービスでは,だいぶ仕様を変えていますからね。けっこう根本的な部分から変えていたりしますよ(笑)。
 ですから,サービス対象国の事情や市場,プレイヤーさんの嗜好によって,違いが出ることはあるでしょう。

4Gamer:
 では,やはり日本向けの味付けは存在しそうですか。

森下氏:
 そこは特別なことを考えなくても,あるでしょう。ある市場向けに調整して落とし込むということですから。
 ROで5年間培ってきたナレッジ(Knowledge)は,ゼロから始めるのとは全然違いますから,そこはとくに心配していません。



■「ラグナロク」というブランド,コミュニティこそ重要

4Gamer:
 ラグナロクとしてのブランドを大事にしつつ,新しい面を訴求していくというお話でしたが,現状ROのお客さんが,すごく大事なことは事実だと思います。そうした人にとって,RO2はROの後継タイトルなのか,まったく新しい選択肢なのか,どちらなのでしょう?

森下氏:
 そうですね,いまのところこう考えています。ラグナロクブランド最大のウリであるコミュニティを核にして,その周囲に各作品,ROでありRO2であり,ほかのサービスがある。そうした全体を,総合的なブランド価値として育成していきたいのです。
 ROという作品のみでは,新しいターゲットを獲得していくのに厳しい面もあると思います。それはさきほど述べたように,グラフィックス面であるかもしれません。そうした人に向けてRO2がある。ROをやっている人と同じ,一つのコミュニティが出来れば「これ面白いからやってみなよ」といった形で,両方を楽しむ人も出てくるでしょう。
 そうした意味で,こっちをやめてこっちをやってくださいといった意思はまったくないです。2が出たから2に行ってくださいなどと言うつもりは毛頭ないし,むしろ1がこれから先10年,20年と続いていくほうに進みたい。

4Gamer:
 コミュニティこそが重要であるという論点は,まさにそのとおりだと思います。しかし,コミュニティは作品ごとの枠を本当に越えられるのか,という点が課題になりますよね?

森下氏:
 作品ごとのアカウントで捉えれば,これは別個のものであって,もちろん越えられないということになります。でもそこで例えばアカウントを共通化してみたところで,そうそう誰かの思惑どおりにいったりしないのもコミュニティというものだと思っています。

4Gamer:
 では,データとして引き継げるような形を作ることは,とくに考えていないと。

森下氏:
 ええ。考えていません。要するに違う作品だということです。ROというゲームがあり,RO2というゲームが出てくる。でもその基礎には“ラグナロクファン”というコミュニティがあり,そのコミュニティに人がいるのであって,その人がどれを選択するかは自由です。
 ただし,そのコミュニティをサポート,バックアップしていくことで,つまりガンホーゲームズなどを通して異なる作品のプレイヤーさん同士の交流が盛んになる方向での,ラグナロクコミュニティの発展形があり得るだろうと。そう考えているのです。

4Gamer:
 ROのコミュニティを“作品の”コミュニティと考えたら閉じてしまうが,それはブランドのコミュニティなんだ,ということですね。

森下氏:
 そのとおりです。例えば自動車メーカーは,異なるターゲットに向けてさまざまな車種を提供しますし,それらを買う人の嗜好はそれぞれに異なっている。でもそこにはきちんと,メーカーブランドが存在するわけです。

4Gamer:
 「ラグナロク」はブランドのレイヤーでコミュニティを構築していなければならない……。

森下氏:
 そう。そうであるからこそ,RO2の話題を含んだ形で「ラグナロクオンライン ファン感謝祭〜RJC2007〜」のようなイベントができるのだと思っています。
 今後はROのみのイベント――小規模なものは依然としてあるかもしれませんが――でなく,「ラグナロク」のイベントとしてあるべきものだと考えているのです。
 今回のイベントの名前は「ラグナロクオンライン ファン感謝祭〜RJC2007〜」ですが,そこにRO2の話題が入ってくるのは,一つのブランドだからです。新たなターゲットを「ラグナロクファン」として獲得していく。

4Gamer:
 うーむ,なるほど。

森下氏:
 僕らの事業は,ただオンラインゲームの運営としてあるわけではない。そこがまさに特徴だと思うんですね。家庭用ゲーム事業もやっていくし,モバイルゲーム事業もやっていれば,マーチャンダイズ(関連商品展開)事業もある。
 オンラインゲームの最も良いところは,コミュニティを永続的に盛り上げていけることにあると思うのです。製品投入ごとに切れるパッケージソフトビジネスとは,そこが違う。
 そしてそこを核にしつつ,さまざまなビジネスを一つのブランドのもとで展開していける。そこが強みなんですね。たとえて言えばファッションブランドみたいなもので,バッグもやれば貴金属もやるといった形と似ています。

4Gamer:
 確かにオンラインゲームは,周辺展開の余地がある分野ですね。

森下氏:
 我々はそこに,我々の培った技術やノウハウを最大限に活用した,総合ゲーム会社としての,ビジネス展開の“絵”を描いています。

4Gamer:
 なるほど,RJC2007の現状が,その実践の一部というわけですか。

森下氏:
 そうです。そのオフラインでの形というわけです。その一方でオンラインではどうするかというと,ガンホーゲームズにおけるコミュニティ向けサービスや,SNS的サービスを通して,ROとRO2のプレイヤーの皆様が作品の壁を越えてコミュニケーションをとり,相互の結びつきを生み出していけるような条件を提供していきます。
 例えば「グランディア」はもともとコンシューマゲームソフトですが,オンラインゲームとして展開してコミュニティが成立すれば,逆にコンシューマゲームとしてのグランディアも訴求していける。それが,ブランドとして展開していくということです。

4Gamer:
 ROとRO2をラグナロクブランドでつなげる場所として,ガンホーゲームズの名が挙がりましたが,そこで具体的に考えていることを教えてください。

森下氏:
 例えば現状でパチスロがありますね。どちらのプレイヤーから見ても違和感のないコンテンツであり,両ゲームのプレイヤーの皆様が互いにめぐり合うフックとして機能すると考えています。そして,交流が深まるのはガンホーゲームズが提供するコミュニティ機能部分です。

4Gamer:
 ガンホーゲームズを舞台にして,何か新しい施策は考えていますか?

森下氏:
 ええ,それも随時出していきますよ。直接に両ゲームをつなげるようなものではなく,あくまで交流できる場として,です。

4Gamer:
 何らかのイベントとか……。

森下氏:
 そうですね,現段階で何とは言えませんが,そうした企画要素もあり得ると思います。

「ラグナロク」ブランドを広げる存在といえる,ジー・モードのi-mode携帯電話向けゲーム「カプラクエスト」と「コモドカジノ」


■初代「ラグナロク」は10年,20年と続けていきたい

4Gamer:
 ラグナロクブランドを育てていく,それに当たってはROのほうも大事にしていくというお話だったかと思いますが,では今後ROを盛り上げていくために,大切だと考えているのはどういった要素でしょうか。

森下氏:
 ROは一過性の流行に留まるものではなく,5年間のサービスを通して普遍的な良さを発揮してきているタイトルです。実のところ,いまから特別どうこうといったものではないと思っています。

4Gamer:
 いままでどおり手堅くやっていこう,というところですか。その「いままでどおり」の中には,不正行為者対策などの取り組みが含まれていたかと思います。これについて,現状をどのように評価していますか。

森下氏:
 不正行為者対策に関しては,まず,開発会社/セキュリティソリューション会社との共同によるシステムの改善があり,ゲーム内での取締りがあります。そこにもう一つ,昨年起きたような事件が二度と起きないよう,内部監査的機能としてのキャラクター/アカウントデータ分析が加わりました。
 その意味で施策は一段と進化していますが,もともと「これをやったから大丈夫」というものではなく,永続的に取り組むべき課題と捉えています。

4Gamer:
 同じくROにおける最近の話題として,大きかったのはスペシャルアイテム販売の実現だと思います。アイテムカードの販売も順次広がっていますが,その進展に対する森下さんの評価はいかがですか?

森下氏:
 全体として,とくに事業上の観点からは予想した以上に順調にいっています。ただし,我々の目論見としては,新しく入ってきたプレイヤーさんが,既存のプレイヤーさんと比べて置いていかれる,追いつけないといった感覚を持たずに済む,レベルバランス面での追従を重視しています。その目標数値からいうと,まだそこに到達してはいません。
 スペシャルアイテム販売が始まって半年経っていますが,現実のプレイヤーさんの動きを見る限り,もう少しかかりそうですね。総合的に評価するならば,それを待ってからだと考えています。

4Gamer:
 昨年11月の「新プロジェクト発表会」で提示した課題については,現在進行形というわけですね。

森下氏:
 そうです。そもそもアイテム販売ということで言えば,アニメDVDへの添付から始まって,いままでもおそらく日本初となる実績を作ってきました。
 アニメにせよ,今回販売しているDVDへの添付にせよ,あくまでその物自体の魅力があって,そこでさらにお買い得感を感じてもらえる要素としてアイテムを添えているのですが。
 そうした形で継続的に取り組んできたことが,予想以上の結果につながったのではないかと,思っています。

「ラグナロクオンライン ファン感謝祭〜RJC2007〜」のカンファレンスで発表された,ROのEpisode 6.0「ラヘル」アップデート


4Gamer:
 ところで,RO2の課金形態はもう決まっていますか。

森下氏:
 いやいや,未定です。

4Gamer:
 ここまでのお話で,「ラグナロク」ブランドのためのファン感謝祭という構図が見えてきたかと思いますが,今後のファン感謝祭について,いま考えているところを教えてください。

森下氏:
 そうですね,とりあえず今年の話からすると,ディファ有明と比べて会場がかなり広くなりましたが,ある種それに見合う形で朝から大勢の人に集まってもらえて,そこは正直感慨の深いものがあります。
 今年はとくに,ラグナロクchでの予選経過放送など,盛り上げるための事前施策に力を入れてきました。大みそかの興行に向けて,格闘技業界が事前宣伝に注力して盛り上げていくような感じでやっていこうと言ったことが,こうして形になったわけです。

4Gamer:
 有明コロシアムだけに。

森下氏:
 そう。昔のRJCは対プレイヤー戦の競技が主体で,みんながみんな楽しめるものではないとも思っていたので,最初にやったときはけっこうおっかなびっくりの部分があったのです。
 イベントである程度集客の自信があったとしても,「思ったより集まってくれないんじゃないか」といった不安は常にありますし,改良点やアイデアは毎年積み重ねていっています。
 今後も継続していくに当たっては,より良くしていきたいし,ラグナロクというブランドをより大きく育てていかなければならない。そう考えています。

4Gamer:
 「継続していくに当たって」ということは,ラグナロクファンは来年を楽しみにしていてよい感じでしょうか?

森下氏:
 まあ,先のことはなんともお答えできませんが,僕達は当然継続していきたいと思ってますよ。

4Gamer:
 分かりました。それでは最後に,ROをプレイしているファンの方,いまROないしRO2に興味を持っている方に向けて,メッセージをお願いします。

森下氏:
 とくにラグナロクファンの方にとっては,RO2が今年のニュースの目玉になると思います。そのお話は順次進めていくとして,ROはROとして,RO2が出てきたこととは関係なく,これから先も永続的に盛り上げていくことを考えています。その点に関してもし誤解している方がいましたら,そこはご安心ください。
 RO2はROの世界観や良さを継承している部分もありますが,新しい楽しみ方の要素が増えていますので,ぜひ一度は触れてみていただきたいと思います。
 ラグナロクのゲームをプレイしたことのない方に向けては,オンラインゲームのなかでこれほど広く展開しているタイトルはほかにないと思いますし,今後も長期的にプレイヤーさんとコミュニケーションをとって,改良していきたいと考えています。ぜひラグナロクおよび,ガンホータイトルに触れてもらえればと。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

盛況のうちに幕を閉じた,「ラグナロクオンライン ファン感謝祭〜RJC2007〜」。来年にもぜひ期待したいところだ


 ROで掴んだ大きな成功をある種の資産として,その後継作品とされるRO2のサービスにどう挑むのか……。RO2が持つ固有の魅力やゲーム内容もさることながら,ガンホーを率いる森下氏に今回のインタビューで聞きたかったのはまさにそこだ。
 それに対する氏の回答,作品ごとの垣根を越える手がかりは「ブランド」でありコミュニティであった。確かにROほど,関連商品や二次創作を含めた周辺市場が広く成立したオンラインゲームはないだろう。そのブランド力に立脚しつつ,ブランドとコミュニティの深化/拡大を目指す新たな施策は,例えば「ラグナロクオンライン ファン感謝祭〜RJC2007〜」のカンファレンスで披露されたモバイルゲームなど,今後も打ち出されていくに違いない。
 ただ,現時点でまだ分からないのはRO2自身に,「ラグナロク」ブランドの輪に入っていくための共通性,プレイヤーがこだわれる要素がどのくらい盛り込まれていくのか,という点だ。
 職業としての「ノービス」,可愛らしいモンスターの「ポリン」(RO2ではけっこう強いらしい)など,いくつかの明確な記号はすでに明かされているものの,そうした共通性が,個々のプレイヤーが内面に抱く“物語”に,どれだけ共鳴し得るのか。まさにそここそが,日本国内パブリッシャであるガンホーの腕の見せどころとなるだろう。

 新作が出たからといって,ROのサービスに何らかのマイナス影響があるわけではないし,RO/RO2のアカウントを共通化するといったシステム的な施策を考えているわけではない。ブランド,プレイヤーコミュニティを永続的に盛り上げていけることこそがオンラインゲームの強みであると,森下氏は強調した。
 その努力の結実,つまりROとの間でブランドとコミュニティを共有するRO2のより具体的な形を,今度はぜひ見てみたい。(Guevarista,Photo by 石塚一則)

  • 関連タイトル:

    RAGNAROK Online 2: Legend of the Second

  • 関連タイトル:

    ラグナロクオンライン

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