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[GC 2005#53]イラク戦争後のアラビア半島を描く「Warfare」
そんな命題に取り組んだのが,ロシアの販売元Game Factory Interactiveと,最近元気な開発チームのMistLandである。なんと,彼らがGC 2005で公開した新作「Warfare」で描かれる闘争の表舞台は,サウジアラビアが領土を築くアラビア半島だというのだ。
このWarfareは,サウド王家が,肥大化するにつれてアメリカと距離を置いていくという設定で始まり,2国間に生じた亀裂に付け入るように,タリバンの残党やアラビア民族反乱軍が暗躍するという内容だ。
"親米過ぎる"と,イスラム至上主義者から批判されていたファハド国王が他界したばかりでもあり,この話もまったくリアリティのない空想であると断言できなくなってきた昨今。財力のあるサウジアラビア相手では,アメリカもなかなか思いどおりに事を進められないはず。
そのような各国の国際的立場も考慮に入れたWarfareでは,"アメリカ軍"と"反乱軍"の2勢力から選択してプレイ可能だ。
戦略マップとゲームマップに分かれているのは,"Total War"シリーズや「Risk」のような感じだったが,戦略マップもリアルタイムになっているという。アラビア半島は30くらいの地域に分かれていて,シングルプレイヤーゲームでは,米軍と反乱軍のキャンペーンで一つ一つのゲームマップをミッションとして扱っているようだ。
Warfareで驚くのが,この段階ですでに片燐を覗かせる,マニアックなほどの作り込みだ。一つ一つのユニットは大きく,かつ細かく制作されており,タンクのエイブラムスのキャタピラから,アパッチに接続されている機関銃のアニメーションまでが表現されている。チヌークのように重いヘリは加速も悪く,いかにも重そうに旋回するし,ビルも「Age of Empire III」のように砲撃を受けた箇所だけが破壊されて崩れ落ちる。
それぞれの兵器ユニットは,側面,前面,エンジン,プロペラ,砲台,キャタピラなどの部位に分かれており,異なる貫通レーティングを持っていたり,攻撃を受けた部分だけ使用不能の状態になったりする。
タンクの場合,舗装道路なら疾風のように走れるが,熱源誘導式のミサイルの標的になりやすい。状況次第ではゆっくりでも砂塵を撒き散らせながら進んだほうが安全だったりと,常に戦略的に行動する必要が出てくるわけだ。
また,それぞれのユニットタイプにはスキルツリーの概念があり,より良い操縦士にするとか,練度の高いガンナーを配備するといったことが可能だという。
本作では歩兵部隊が重要で,よく見るとスナイパーやロケットランチャーなど専門職の兵士ユニットもある。20人ほどの部隊も,ミッションでレベルアップすると,このような特殊技能の兵士を加えられるのである。
CIAスパイや突撃自爆者のように単体で生産できるユニットもいるが,これら歩兵ユニットはバラバラで行動させられない。しかし,家屋の廃墟で待ち伏せるなどの高等戦術に使え,その利用価値は高くなっているとシュトフ氏は説明していた。
やはり戦力面では米軍に絶対的なアドバンテージがあるものの,無益に町を破壊したり兵士を死なせてしまったりすると,特別に用意された"世論"メーターが下がってしまい,補給が一時的に難しくなってしまうなどのハンデがある。
逆に,反乱軍もクリーンに戦うことで国連にアピールでき,兵器のサポートなどを受けられる可能性もあるらしい。市街に停めてある車やトラック,果ては空港のジャンボジェットまでを"ハイジャック"し,悪用もできるが,シュトフ氏は「我々はテロリストをサポートしているわけではありません。ゲームのオプションとして利用しているだけです」と語る。確かに,自爆テロで戦いを続けるよりも,近隣国からのサポートを受けてスカッドミサイルなど高度な兵器を利用したほうが得策なのだろう。
Warfareは,ロシア国内では2006年中の発売を予定しており,マルチプレイヤーモードは"考慮に入れているが未定"とのことだった。(奥谷海人)
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