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いよいよ日本上陸。NEXONが放つ期待のMMORPG「ZerA」,プロデューサーインタビュー
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印刷2006/11/28 18:39

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いよいよ日本上陸。NEXONが放つ期待のMMORPG「ZerA」,プロデューサーインタビュー

 NEXONが韓国内で正式サービス中のMMORPG「ZerA: Imperan Intrigue」(以下,ZerA)。これまでは「メイプルストーリー」「マビノギ」「テイルズウィーバー」といった,どちらかというと可愛い絵柄とカジュアルな雰囲気を持ったタイトルを数多く運営してきた同社としては,やや異色ともいえるリアルなキャラクターデザインが特徴的なゲームだ。グラフィックスのクオリティも高く,これまでの同社タイトルとは異なる趣を持った本作に注目している人も多いのではないだろうか。
 美しいグラフィックスや,多彩なスキルを用いた派手な戦闘と共に,インスタンスダンジョンである「デミプレーン」や,大規模PvPゾーン「ラモトニア」といった,独特のネーミングが施されたさまざまなシステムもまた,本作の見どころの一つとなっている。
 早くから次世代MMORPGの期待作として注目を集め,日本でのサービスにも期待を持たれる本作だが,現在はどうなっているのだろうか。本作独自のシステムや,日本でのサービスについて,NEXONのZerA開発室長Park Kyung Min氏にインタビューをする機会を得たので,ここでお伝えしていこう。



■韓国ではアイテム課金方式で,8月に正式サービス開始

NEXON ZerA開発室長 Park Kyung Min氏
4Gamer:
 本日はよろしくお願いいたします。

Park Kyung Min氏(以下,Park氏):
 こちらこそ,よろしくお願いします。

4Gamer:
 まずは,ZerAの現在の状況を教えてください。

Park氏:
 韓国では,今年(2006年)の2月にオープンβテストを開始したのですが,ゲームバランスや,サーバーなどのネットワーク関連の問題が発生し,当初予定していた開発スケジュールを遅らせて,これらの問題の解決に当たっていました。これが大体6月くらいまでかかってしまいました。

4Gamer:
 修正作業には,かなり時間がかかったようですね。

Park氏:
 はい。ただ,その後7〜8月にかけては順調に開発も進み,8月に一回めのアップデートを行っています。このアップデート後は,プレイヤーからの反応も良く,これでようやく当初のペースを取り戻せたと考えています。また,8月下旬には有料アイテムが購入できるアイテムショップもオープンして,売り上げも徐々に伸びています。
 さらに,12月には「ガーデンシステム」の実装を含む,大規模なアップデートを予定しています。ガーデンシステムというのは,高レベルのプレイヤーのためのもので,これを追加することによって,ZerAのゲームシステムが一通り完成することになります。

4Gamer:
 8月に行われたアップデートはどんな内容だったのですか?

Park氏:
 大きく三つのアップデートがあります。一つめは「武器アップグレードシステム」の変更です。従来のシステムでは,15段階まで武器をアップグレードできたのですが,全体的にアップグレード上限を低めにして,その分,一段階ごとに細かなアップグレードができるように変更しました。
 二つめは,「ラモトニアシステム」の実装です。“ラモトニア”というのは,40対40の大規模な対人戦が行われるインスタンスダンジョンのことです。このラモトニアでは,相手陣営の建造物をすべて破壊するのが目的で,乗り物に乗って戦うこともできます。ZerAにおけるPvPには,どこでも行えるフリーPvPと,このラモトニアでのPvPの二通りがあります。
 三つめがラモトニア内で使用できる乗り物の追加です。ラモトニア絡みということで,二つめの内容とも重なっていますが,これはプレイヤーから見ると大きな変更だったと思います。



4Gamer:
 具体的なゲームシステムについては,のちほど改めて詳しく教えてください。
 ZerAは8月のアップデートを経たのちに,有料アイテムの販売と,正式サービスがスタートしたわけですね。

Park氏:
 ええ。8月下旬の有料アイテムの販売開始をもって,正式サービスということになります。

4Gamer:
 ちなみにそのアイテムショップでは,どんなアイテムが売られているのですか?

Park氏:
 例えば,PvPエリアであるラモトニア内で,戦闘機能が発揮できる乗り物があります。この乗り物は,一般のフィールドでは移動用として使えます。有料アイテムの中で一番人気があるのが,この乗り物ですね。機能系のアイテムでいえば,街と街の間の移動が便利になるようなものに人気があります。
 そのほかにも,ラモトニアでの戦闘時に敵と味方を区別しやすいように,特徴的な模様をつけたギルド服といったものや,少し変わったものとしては,「コミュニティパッケージ」といって,ゲーム内のさまざまな機能をもっと便利にする商品があります。

4Gamer:
 コミュニティパッケージとはどんなものですか?

Park氏:
 このパッケージは,元々ゲーム内にある機能を,もっと便利に使えるようにする機能強化を集めたセットです。例えば,ゲーム内にアイテムを預ける銀行があるのですが,より多くのアイテムを預けられるようにスロットを拡張したり,特定のNPCを通じて行うしかなかった宅配システムをどこでも使えるようにしたり,といったものです。
 これは9月頃に追加されたばかりのパッケージで,徐々に利用者も増えています。

4Gamer:
 なるほど,「マビノギ」における定額料金のオプションサービスとやや似ていますね。ところで,正式サービスの開始に当たって,オープンβテスト時に発生していた不具合はすべて解消されたのでしょうか。

Park氏:
 はい。オープンβテスト初期にはクライアントが不安定で,サーバーシステムの調整などに時間がかかってしまいました。また,もっと大きなものとして,ゲームバランスの問題もありました。具体的には,インスタンスダンジョンである“デミプレーン”で目的を達成したときにもらえる報酬が多すぎたり,少なすぎたりしていたんです。また,キャラクターの成長速度が,最初に考えていたものよりも速すぎるといった問題もありました。
 これらのバランス調整をする中で,プレイヤーからの反発を受けたりといったこともあって,やはり修正にはかなり時間がかかりましたが,現在はすでに解消されています。



■多彩なプレイを可能にする,さまざまなシステムが用意

4Gamer:
 これまでのお話にもありましたが,デミプレーンやラモトニアといった,多彩なシステムが本作の特徴ですよね。まずはデミプレーンについて詳しく教えてください。

Park氏:
 デミプレーンは,いわゆるインスタンスダンジョンのことです。デミプレーンでのクエストの目的には,ボスモンスター討伐や特定NPCの保護など,さまざまなものがあり,依頼を達成すると報奨をもらうことができます。デミプレーンそれ自体も,時間制限のあるものがあったり,同じマップであっても目的によって道が異なったりと,変化に富んだものになっているのが特徴です。
 どのデミプレーンに入るかは,フィールド上にいるNPCに話しかけることによって選択できます。そのときに,デミプレーンに個人で入るか,パーティで入るかを選ぶことができます。通常のフィールドでは周囲に人がいたりして,演出などに色々な制限がありますが,特定のパーティのみが入れるデミプレーンでは,シングルプレイ用ゲームのような演出やストーリー展開が楽しめるようになっています。

4Gamer:
 デミプレーンには何人まで入ることができるのですか?

Park氏:
 本作では5人までパーティを組むことができて,パーティ用のデミプレーンにも5人まで入れます。現時点では複数のパーティで入れるようなデミプレーンは用意していませんが,これは今後変更を加えることがあるかもしれません。

4Gamer:
 複数のパーティで攻略するデミプレーンが追加されれば,さらに楽しめるものになりそうですね。ラモトニアシステムと,武器アップグレードシステムについても具体的に教えてください。

Park氏:
 これが実に複雑なんです。その二つについて簡単に説明しますと,武器をアップグレードするためには,まず,ラモトニアでの戦闘に勝利したときに入手できる「エリリュム」(*)という資源が必要になります。そして,このエリリュムを使って武器や防具をアップグレードする,という流れになります。
 現在は5段階のアップグレードが可能ですが,それぞれの段階において,組み合わせるアイテムによって性能の異なる装備品が作成できるようになっています。いまのところ,性能が異なっても外見はそれほど変化がありませんが,今後は色や形で見た目にも違いが分かるようにするつもりです。

4Gamer:
 なるほど。ではラモトニアでのPvPは,プレイヤー同士がこのエリリュムをめぐって争っていると考えればいいのでしょうか。

Park氏:
 そういうわけではありません。ラモトニアでは三通りの遊び方が用意されていて,一つは,一人でラモトニアに行ってエリリュムを集めること。もう一つがギルド戦で,これはその名のとおりギルド同士での対戦で,ランキング戦となっています。そして,最後の一つが「勢力戦」です。これはギルド戦の延長と考えてもらうといいかもしれません。
 ZerAの世界には,二つの大きな“ショップ”があります。勢力戦は,その“ショップ”の支配権をかけて二つのギルドが戦い,勝ったほうが“商店”で行われるさまざまな取り引きからの税金を徴収できる,というイメージですね。支配権を持つギルドに対して,それを奪おうとするギルドが対戦を申し込んで,ラモトニア内で決着をつけるのです。



■12月には「ガーデンシステム」を導入。日本上陸は2007年初頭

4Gamer:
 こうして見ると,本作は複雑なシステムと設定を持ったタイトルなんですね。ちょっと気になったのですが,ZerAというタイトルにもやはり何か意味があるのでしょうか?

Park氏:
 ZerAというのは,北欧神話の中に出てくる“ルーン文字”のことです。

4Gamer:
 ということは,北欧神話がZerAの世界観やストーリーに結びついているのですか?

Park氏:
 そうですね。確かに,ZerAの世界観の中には北欧神話が溶け込んでいます。12月に予定しているアップデートで「ガーデンシステム」が導入されると,ガーデンに所属することでさまざまなシナリオクエストが受けられるようになります。そのシナリオクエストを通じて,ZerAの世界観がもっとよく見えてくるようになります。

4Gamer:
 そのガーデンシステムについて,もう少し具体的に教えてください。

Park氏:
 ガーデンシステムは,一般のフィールドやデミプレーンでの戦闘のほかに,プレイの幅を広げようと考えて企画されたものです。ZerAの世界には四つの,“ガーデン”というNPCのギルドのようなものがあり,プレイヤーはこの中からどれか一つのガーデンを選んで所属することができます。
 ガーデンに加入すると,シナリオクエストを受けたり,高レベル用の装備品やスキルを使用するためのライセンスをもらえたりします。四つのガーデンはそれぞれ複雑な関係を持っていて,共通のシナリオクエストのほかにも,ガーデンによって異なるシナリオが展開することになります。

4Gamer:
 ガーデンごとにシナリオが異なるとすると,ほかのガーデンのシナリオが気になる人も多いと思います。一度どこかに所属した後に,ほかのガーデンに移ることはできるのですか?

Park氏:
 そこがいま,最後まで悩んでいる部分で,まだはっきりと決まってはいません。

4Gamer:
 プレイヤーとしてはぜひ,柔軟に選択できるようにしてほしいところですね。では最後に,ZerAの日本サービスの予定についても教えてください。

Park氏:
 今年(2006年)の夏ぐらいに,ZerA開発チーム内に海外チームを編成して,日本語バージョンを開発しています。ただ翻訳するだけのローカライズではなく,ネクソンジャパンとの間で色々な意見を出し合って,日本独自のシステムなども検討しながら作業を進めているところです。日本でのサービス開始時期には,来年(2007年)の上半期くらいを予定しています。

4Gamer:
 開始時期について,もう少し具体的なヒントを教えてもらえますか?

Park氏:
 うーん,そうですね(笑)。来年の頭くらいには,と考えています。

4Gamer:
 それは思ったより早いですね。

Park氏:
 以前から,日本でもたくさんの人達がZerAに期待をしているという話を聞いています。現在その期待に応えるために,日本サービスに向けた色々な工夫や準備をして,ローカライズ作業を行っています。多くの期待と関心を持ってくれている日本の人達に,早くZerAをお見せできるよう全力をあげて開発中ですので,ぜひ楽しみにしていてください。

4Gamer:
 本作のできるだけ早い日本サービスを,期待して待ちたいと思います。本日はありがとうございました。



 MMORPGがゲームジャンルの一つとして確立して以来,ゲームシステムも大きく変化してきた。その中で多くの独創的なアイデアが生まれ,いまとなってはすでに,本当の意味でオリジナリティのあるシステムを作り出すのは難しい状況になっている。ある意味,既存のシステムをどうアレンジして作品に取り込むかが,現在のMMORPGの課題であるともいえる。
 こうした流れの中で,ZerAにも既存のMMORPGからのアイデアが,数多く取り入れられている。しかし今回のインタビューでは,本作はあまりに多くのシステムを詰め込んだために,全体的に複雑でやや理解しにくいものになっている点が気になった。このあたりをやり応えがあると捉えるか,ややこしすぎると感じるかは人それぞれであり,日本のプレイヤーにどのように受け取られるかは注目すべき点だ。
 本作とほぼ同時期に次世代MMORPGとして注目を集めていた「R.O.H.A.N」「グラナド・エスパダ」は,日本国内でもすでにサービスが開始されている。開発の遅れからやや出遅れた感もある本作だが,インタビュー中にもあるように,いよいよ日本でプレイできる日も近いようだ。しばらく前から,ネクソンジャパンの公式サイトにも,“Coming Soon”と書かれたZerAのものと思われるバナーが掲載されていることに気づいている読者もいるのではないだろうか。
 現在の水準から見ても,十分美しいと言えるグラフィックスには,日本のゲーマーにも訴求するものがあるだろう。あとは,このシステムの完成度を高めた状態で,どのように日本のプレイヤーに見せることができるか,楽しみに待つことにしたい。(ginger)

(*)ゲーム内用語は,日本語版では変更されることがあります

(2006年11月14日収録)


  • 関連タイトル:

    ZerA: Imperan Intrigue

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