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印刷2006/12/14 21:36

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期待のオンラインレースゲーム「Level-R」,先行体験レポート

物理計算,3DCG描画ともに優秀なInvictusエンジン。綺麗なだけでなく,挙動もしっかりしている
 ゲームポットが運営予定のオンラインレースゲーム「Level-R」が,いよいよ動き出した。同作では,今月15日から17日まで,3日間にわたって技術テストが行われるわけだが,4Gamerではそれに先立ち,ゲームポットを訪問して,実際にゲームをプレイさせてもらった。また,ディレクターの加賀直柔氏にも話を聞けたので,Level-Rの現状,そして今後の展開などについても紹介していこう。

■Invictusエンジンを採用したゲームポットオリジナル作品

 「Level-R」は,ゲームポットとしては初となる自社プロデュース作品だ。開発元は,ハンガリーのInvictus Games。同社が以前にパッケージタイトルとしてリリースした「Cross Racing Championship 2005」(以下,CRC2005)を,オンラインゲーム用にリメイク/アレンジしたのが,Level-Rである(CRC2005の体験版は,4GamerにもUpしている)。もちろん,コースや車種といった目に見える部分はすべて一新されているので,ゲームとしては,まったくの新作といっていい内容になっている。

 CRC2005のポイントは,Invictus Gamesが独自に開発した物理エンジン「Invictusエンジン」にあった。このエンジンのおかげで,車の挙動だけでなく,衝突/接触時の車体ダメージも,(ヘッドライトが割れる,バンパーが取れるなど)リアルに表現されているのだ。また,車体ダメージによりどこかが壊れれば,それは車の挙動にも反映され,運転しにくくなる(一度停止してからBackspaceキーを押すと,すぐリペアされる)。
 なお,チェックポイントの立て看板や,クラッシュ対策のタイヤバリアなど,コース内にあるオブジェクトに関しても,Invicutsエンジンの威力が発揮されており,車をぶつけることで,壊したり,吹っ飛ばしたりできる。



■レースモードはVS/Practice/FUNの3種類
CRC2005の体験版から。選択できる二つのコースのうち,短い「イギリスの秋」だ。どつき合いが激しい
 Level-Rのゲームモードは,レース部分に関しては,「VS」「Practice」「FUN」の3種類が用意されている。VSは本作のメインモードで,最大8人での対戦プレイが楽しめる。技術的な特徴としては,対戦をする際の通信負荷を減らし,データを高速でやり取りするために,P2P方式を採用していること。レースへの参加者を募るロビー部分はクライアント/サーバー方式だが,レースが始まるとP2Pに切り替わるというわけである。
 Practiceは文字通り,コースの習熟に利用する練習モード。そして最後のFUNは,パーティプレイ的なモードで,「キャッチ・ザ・フラッグ」と呼ばれる競技が楽しめる。これは,コースのどこかにある旗を入手し,一定時間保持し続けるという,FPSでいうところの「キャプチャー・ザ・フラッグ」とほぼ同ルールの内容である。競技の性質上,意図的な体当たりも許容されるモードなので,かなりダイナミックな展開が楽しめそうだが,現在はまだ調整中とのことで,残念ながら実際にプレイすることはできなかった。
 加賀氏によると,上記以外のレースモードに関しても開発を進めており,折を見て徐々に公開していくという。Invicutsエンジンの豊かな表現力から,どのような「遊び」が生まれていくのか,今から楽しみである。

 なおレース関連の仕様として,自分のドライビングを確認できる「Replay」モードもある。「ビデオテープ」というアイテムを購入/使用することで(アイテム購入に関しては後述),リプレイファイルをはき出すことができるのだ。そのファイルは自由に配布でき,クライアントさえあれば誰でも,そのリプレイデータを再生できるとのこと。

 また,レース以外のモードとしては,「Tutorial」「Ranking」「Shop」「Tuning」などがある。Tutorialはいうまでもなく,操作などに関する基本トレーニング。Rankingでは,自分のタイムが全プレイヤー中で何位かを確認できる。Shopはのちほど説明するが,車やパーツなどを購入できるモード。Tuningは,レースゲームではお馴染みの,パーツ交換/車体調整をするモードだ。

写真左:ボンネットが吹っ飛んだところ。画面右の緑色の表示は,コンディションを表している。悪くなると緑→黄→赤と変化 写真中央:コースを間違えないように置いてある看板を吹っ飛ばしたところ。軽い物は吹っ飛ばしまくれる 写真右:慣れないと難しいが,シフト操作をマウスで行えるCRC2005の特徴を引き継いでいる。Hパターンがカッコい


■コース(マップ)は5種類,ルートは50種類以上!
 今回の取材で確認できたコース(マップ)は,東京をモチーフにしたストリートコース「Tokyo」,イギリスをモチーフにしたオフロード(ラリー)コース「England」,そしてオリジナルレイアウトのサーキット「Circuit」の3コースである(Tokyo,England,Circuit以外にも,あと2マップあるそうだが,今回はチェックできなかった)。
 それぞれのマップには,ルートが複数設けられており,景観は同じながら,コースとしてはまったく別物として楽しめるようになっている(同一マップの中に複数のコースがあり,合計50以上のコースで走行できるようだ)。また,時間帯は複数から選ぶことができ,ラップ数も3/5/7周から選択可能だ。
 コースデータの中には,「ターマック」「グラベル」「マッド」のほか,「スノー/アイス」の項目もあった。ゆくゆくは,WRCのスウェディッシュ・ラリーのように,雪に覆われていたり,アイスバーンになっているコース/ルートが用意されるのかもしれない。加賀氏によると,コースはどんどん追加していく予定とのことなので,期待していよう(峠/沼地コースの開発が進められているそうだ)。

 ちなみに,我々日本人には最も身近なのが「Tokyo」コースだが,これが実際に東京を走っているような感じがしてなかなか面白い。片側4車線の大通りから,高層ビルと高層ビルの合間にある細い道に進入できたり,高速道路を走ったりもできる。いかにもありそうな銀行や食品関係の広告も見られるが,なかにはゲームポットの自社広告看板もあり,背景を見ているだけでも楽しめる。

 また,ターマック(舗装路)とグラベル(未舗装路)が混在するEnglandコースは,そのグラベル部分が強烈である。CRC2005の体験版のショートコースのほうをイメージしてもらえば分かりやすいが,とにかくアンジュレーションやギャップが激しく,ドライバー視点や後部座席視点など,車体が映らない視点でプレイすると,人によっては乗り物酔いしてしまうかもしれない。もちろん,単純な縦揺れではなく,サスペンションを備えた車ならではの動きが計算されているので,かなりの迫力&リアリティがある。

 Circuitは,巨大なタイヤがコースをまたぐアーチになっているなど,いかにもありそうな雰囲気のコースだ。最初は,ここで走るのが一番かもしれない。比較的見通しがよく,コース幅も広いので,8台で走ったとしても,体当たり合戦にはなりにくそうだ(さすがにコーナーで絡んでしまうかもしれないが,Englandコースのオフロードは直線でさえ絡みそう)。コースにアップダウンはあるが,飛び跳ねてしまうほどのレベルではないので,スピードも出しやすい。

写真左:本作のメインが,対戦モード。取材したときは,テストプレイヤーの方がいて,ちょうど対戦できた 写真右:コースを習熟するためには,まずPracticeモードでひたすら走り込む。ほかのプレイヤーに邪魔される心配なし


■車は10種類以上が登場,パーツの購入やアップグレードも可能
ストリートコースの「Tokyo」。ビルが林立し,日本語の看板や広告などがひしめく,らしい雰囲気のコース
 次に車種について。車はそれぞれ性能が異なるほか,走れるコースのタイプが決められている。ゲームスタート時点では,ストリート/サーキットに対応するハッチバック(ホンダ シビックのようなリアトランクの出っ張りがないデザイン)タイプ「CORUS S2」と,ストリート/ラリーで走れる四駆車タイプ「AILCA X」が利用できる。
 それ以外の車はショップで購入でき,最大4台の車が所有可能だ。初期車種以外では,今回は,バギータイプの「DUCCY EVOII」と,4ドアセダンの高級車的外観の4ドアセダン「OWADRO SDT5」を見ることができたが,すでに10種類以上の車が準備されているようだ。 登場車種は随時増やしていく予定とのことなので,オープンβサービスが始まる際には,もっとショップに多数が並んでいるかもしれない。ちなみに,車などをショップで購入するときは,レースを通じて得られるPPを使用するとのこと(ファステストラップやリードラップを記録した場合など,さまざまな場面でPPボーナスがつく模様)。将来的にはCP(ゲームポットが導入している,電子通貨)を消費して購入する,高性能車種なども登場するかもしれない。

 そのほか,ショップではパーツ購入とアップグレードが行える。パーツに関しては,「ボディ」「塗装」「パワー」「ハンドリング」の4カテゴリに分類され,外見を変えるものから,スペックアップにつながるものまで,さまざまなものが用意されている。これらは,PPとCP,両方の通貨で購入できるようにするとのこと。
 またショップでは,カラーリングも変更できる。外見,性能ともに自分だけの1台を作れるというわけである。ほかにも,前述したビデオテープのように,車のパーツ以外のアイテムもショップで販売されるようだ。ビデオテープは現在のところ,どちらのポイントで購入できるようにするかを検討中とのことだが,加賀氏としては,PP販売にしたいようである。
 アップグレードに関しては,現在「ボディ」「最大出力」の2項目があり,より軽量/強固なボディにしたり,ハイパワーなエンジンに載せ替えたりといったことが可能になるようだ。

上段左:舗装されたワインディングロードと,悪路が半々の「England」。イギリスの田舎が舞台なのだろう 上段中央:広告は日本語なので国内にある設定のようだが,雰囲気的には外国のサーキットっぽい趣もある「Circuit」 上段右:同じコースでもルートが複数用意されている。「Tokyo」は確認できただけでも4ルートあった 下段左:時間帯も選べる。「Circuit」の場合は,「午後」「夕暮れ」「霧」の3種類が選択可能だ 下段中央:コースデータのうち路面の種類のなかに,「スノー/アイス」があるのが分かるだろうか 下段右:どのコースでも見られるのだが,「Gamepot」の看板。「Tokyo」コースに一番似合うように思う


■特徴的なライセンステストのある経験値システム
 そのほかの大きな特徴としては,経験値とレベルアップの要素がある。Level-Rのレベルアップのシステムは少々変わっており,ライセンスシステムが導入されている。まず大枠としてランクというものがあり,最初はビギナーからスタートして,F,E,D,C,B,A,AA(ダブルエー),AAA(トリプルエー)となり,最高のRまで10段階となっている。そして,このランクの中には5段階のレベルがある。経験値を一定値まで溜めれば,レベルアップだ。
 ランクを上げるには,ライセンステストをクリアする必要がある。卒業試験と思ってもらえれば分かりやすいだろう。ランクが設けられた理由は,次のレベルで通用するテクニックを有しているかどうかを確認するためだという。プレイヤーにとっては,ドライビングテクニックにおける具体的な目標になると思われるので,明確な目標を立てて,ゲームが楽しめそうだ。
 ランクが上がると,より多くのアイテムを購入できるようになるというメリットがある。ライセンステストは,ショップで「願書」というアイテムを購入すると受けられる仕組みだ(PPで購入可能)。ちなみに経験値のほうは,レースをすることでたまっていく(走行距離や成績に応じて,PPと経験値が得られる)。

上段左:この2台が標準。上のCORUS S2はストリートとサーキット用。下のAILCA Xはストリートとオフロード用 上段中央:ショップで購入できる車が,「OWADRO SDT5」(上)と「DUCCY EVOII」(下) 上段右:ショップのパーツコーナー。左のパーツを選ぶと,すぐセットされるので,見た目をチェックできる 下段左:パーツはこんな感じで変更される。取っ替え引っ替え試すことが可能だ 下段中央:CORUS S2のカラーリング比較。左上がデフォルト。それぞれパーツも変更されているので,若干形状も異なる 下段右:ショップのアップグレードの画面。エンジン交換はやはりお金がかかる


■BGMはMP3を用意すればお好み次第! そして16:9画面にも対応
 もちろん本作にも最初からオリジナルのBGMが収録されているのだが,プレイヤーが自分でMP3を用意して,特定のフォルダに入れておくと,好きなBGMが選べるようになるそうである。デフォルトとして,トランスやプログレッシブ・ロック調のものが用意されている。レース向きのアップテンポな曲なのだが,人によっては演歌を聴きたいという人もいるだろうし,もっと激しい曲が好きなだという人もいるだろう。好きな曲を聴きながらゲームが楽しめるというのは,特筆すべき特徴ではないものの,嬉しい限りである

 またゲームのグラフィックスは,16:9の横長モニターにも対応(本記事で使用しているのは16:9の画像だ)。横長のモニターでプレイすると,視野が広くなるのでより迫力が増す。16:9表示に対応したモニターを持っているなら,ぜひ試してみてほしい。



■ゲーム性を維持しつつ,リアリティを追求
 ゲームエンジンが同一なので,Level-Rの操作感はCRC2005に近い。視点は9パターン用意されており,ドライバーのシフトチェンジやステアリングさばき,さらには左右を見渡したときの顔の動きなども見られる,後部座席あたりからの視点がなかなかかっこよい。いわゆる背後霊視点も複数用意されているので,3D酔いしやすい人でも,安心してプレイできるだろう。

 実際にプレイしてみると,そのレースゲームとしてのリアリティに感心させられる。ヘタなブレーキだとドアンダーが出てしまい,うまく曲がれない。「レースゲームはアクセルベタ踏みでOK」とばかりにスピードを出していれば,すぐにコースアウト。コントロールを失って壁などに衝突すると,車体に大きなダメージを受けてしまう。
 しかし,ゲームに慣れてくると,ブレーキングのタイミングも理解できるようになり,クリッピングポイントをなめるようにして加速していけるようになった。運転技術の上達が自分自身でもはっきり確認できたので,プレイしていて非常に楽しかった。

 加賀氏の話では,Level-Rは(ファンモードは別として)リアリティに重点を置いて育てていきたいとのこと。爽快感に特化したアーケード方向ではなく,できるだけ現実に近い形でレースを再現するのが目標だという。
 ただし,タイヤの摩耗までは扱わないそうだ。そこまでやってしまうと,さすがに遊べる人が限られてしまうので,そこは絶妙なさじ加減といえるだろう。なので,ドリフトをしたい人は(タイヤの摩耗を気にせず)ドリフトをしまくってもいいのである。どうしても,速さを競うのではなく,ぶつけ合ってストレスの発散がしたいという人は,ファンモードでガッチャンガッチャンやってほしい。



■硬派な路線で男性プレイヤーをターゲットに
 同社のスポーツ系のゲームといえば,いわずもがなの「スカッとゴルフ パンヤ」があるが,あちらは女性プレイヤーも多い。それに対して,Level-Rはかなり硬派なタイトルなので,興味を持つ女性プレイヤーはどうしても少なくなってしまうことだろう。
 その点について加賀プロデューサーに尋ねてみたところ,ハッキリ「男性をターゲットにしている」との答え。MMORPGよりも短時間で楽しめるジャンルなので,同社が運営する他作品の合間に楽しんでもらうスタイルを考えているようだ。
 また,リアルな物理演算エンジンを用いたレースゲームというと,かなりマシンパワーを必要としそうだが,推奨スペックはCPUがPentium 4/2.53GHz以上,メモリ512MB以上,グラフィックスチップはGeForce 6600 GT以上,通信環境はADSL以上とのこと。これはほぼ必須に近いとのことなので,比較的ハイスペックといえる。その理由としては,ラグが多発するとゲーム性が損なわれるため,あまり低いスペックのマシンは推奨できないため,としている。
 なお,ビジネスモデルとしては,基本プレイ料金無料のアイテム課金制を予定しているが,詳細についてはまだ検討中とのこと。

 通信面での安定性やゲームバランスなど,クリアしていかなければいけない要素がまだまだ多いと加賀氏は語っていた。今回実施する技術テストでは,テスターの皆さんに,本来的なテスターとしての役割を求めているという。「βテストでも楽しめて当たり前」的な接し方ではなく,「自分がよりよいゲームに仕上げる」という意識をどこかに持って,技術テストを楽しんでほしい。
 4Gamerでは今後,機会があるたびにプレビュー/レビューなどをお届けしていく予定なので,続報を楽しみにしていていただけたら幸いだ。(ライター:デイビー日高)

写真左:ちゃんと右ハンドル。左手がシフトノブを操作しているのが分かるだろうか? 写真右:スピードを出すのはいいけど,しっかりブレーキングをしないと,アンダーステアが出て,グッサリ
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