テストレポート
ベンチマークで探るGeForce 7800 GTXの実力
グラフィックスチップとメモリチップは,ヒートパイプ付きの大きなチップクーラーで覆われている。だが,高さは1スロット分なので,多くのGeForce 6800 Ultra搭載グラフィックスカードで見られた,カードに隣接するスロットをふさいでしまうような仕様ではないわけだ。カード長は228mmで,比較用に用意したASUSTeK Computer製のGeForce 6800 Ultra搭載カード「Extreme N6800 Ultra」(以下6800Ultra)の215mmと比べて,それほど大きくなっていないのも好印象である。
さて,ForceWare 77.62にも,レジストリに「CoolBits」というDWORD値を追加することにより,グラフィックスチップコア/グラフィックスメモリの動作クロックを変更できる機能が用意されている。それによれば,標準状態のコアクロックは430MHz,メモリクロックは1.2GHzだった。ちなみにForceWareから「最適な頻度を検出する」で自動オーバークロックを試みたところ,コアクロックは489MHz,メモリクロックは1.31GHzまで上昇したことを付記しておきたい。
■3DMark05でスコア1万を突破!
ここからは,気になるベンチマーク結果について見ていくことにしよう。テスト環境は表のとおりで,SanDiegoコアのAthlon 64 4000+/2.4GHzベースのシステムを利用している。また,時間の都合上,NVIDIA SLI(以下SLI)の検証は一部のテストに限っている点をご了承いただきたい。
まずは「3DMark05 Build120」の総合結果(グラフ1)だが,2枚の7800GTXによるSLI動作では,1024×768ドットの解像度で1万を超えるスコアを叩き出した。さらに,1600×1200ドットにおける9714というスコアは特筆に値する。高解像度環境になればなるほど,6800Ultraとの差が開いていくのがはっきり分かるだろう。この傾向は,3DMark05の詳細テストであるFeature Testsで,より顕著に表れている(グラフ2〜4)。
スペックの詳細は別記事のとおりだが,7800GTXは24本のピクセルパイプラインと8本の頂点パイプラインを持つ。対して6800Ultraだと順に16本と6本。ピクセルシェーダ(Pixel Shader)のテストにおいて7800GTXが解像度を問わず高いスコアを出し,6800UltraのSLI動作時に迫る勢いなのは,ピクセルパイプライン本数の差によるものだろう。また,頂点シェーダ(Vertex Shader)においても,7800GTXが順当に高いスコアを出している。
シングルカード動作における性能差について「Far Cry」のフレームレートを見てみると,6800Ultraは,高解像度でフルスクリーンアンチエイリアシング(以下FSAA)などを適用するとフレームレートが大きく低下するのに対し,7800GTXではそれほど極端な落ち込みが見られない(グラフ5)。とくに,1280×1024ドットでFSAA x8と異方性フィルタリング(Anisotoropic Filtering,以下Anisotropic)x16を適用しても,1024×768ドット時とスコアがほとんど変わらない点は賞賛に値する。
グラフ6の「DOOM 3」のフレームレートにおいても同様で,高解像度における7800GTXのパフォーマンスが非常に良好だ。フィルタリングを適用にするとさすがに数値は落ち込むが,1024×768ドットでFSAA x8とAnisotropic x16を同時に適用してもゲームになる(57.8fps)のは要注目。
純粋に解像度だけを変更してUnreal Tournament 2003およびUnreal Tournament 2004で比較してみると,ゲーム自体の負荷が軽いため,7800GTXと6800Ultraの間にあまり差はない(グラフ7,8)。マップによっては6800Ultraのほうがスコアが高い場合すらある。
つまり7800GTXは,6800Ultraよりも,さらに高い解像度環境,高度なフィルタリング適用時に,よいパフォーマンスを得られるグラフィックスチップなのだ。リファレンスカードがグラフィックスメモリ容量512MBを初めから視野に入れて設計されているあたりからも,高解像度へと進むディスプレイ市場,そしてハイエンドゲーマーのニーズに合った製品と言える。
■パフォーマンスは向上したが消費電力も増加
最後に7800GTXの消費電力およびチップの温度を計測してみた。Windows XP起動後30分間放置した状態をアイドル時,3DMark05 Build120を繰り返し実行している状態を高負荷時として,ワットチェッカーでシステム全体の消費電力を,そしてForceWareでチップ温度を計測している。
SLI動作時に消費電力が増加してしまうのは当然だが,それでも284Wという値はかなり大きい(グラフ9)。実際,2系統の+12Vを持つ定格420Wの電源ユニット(+12V1が20A)では,3DMark05 Build120の実行中にシステムが強制終了してしまった。7800GTXによるSLI動作を考えているなら,容量にかなりの余裕がある電源ユニットを用意する必要がありそうだ。既報(「こちら」)のとおり,AOpenは最低でも500Wが必要としているので,参考にしてほしい。
ただ,シングルカードでは,わずかながら6800Ultraより消費電力が下がっており,SLIを考慮しないのであれば,現在利用している電源ユニットを流用できる可能性が高いといえる。
また,消費電力が大きいと発熱量も増える傾向にあるが,7800GTXのチップ温度は高負荷時で77℃とかなり高い(グラフ10)。前述したとおり,冷却機構は意外にもコンパクトなサイズにまとめられているわけだが,リファレンスカードのチップクーラーは冷却能力が足りていない印象を受けた。GeForce FX 5800以降,そこかしこから「うるさい」と言われ続けてきたことに対する反動なのか,確かにクーラーは静かになった印象を受けるが,正直これでは心許ない。熱暴走こそしなかったものの,これからの季節を考えると少し不安が残る。
7800GTX搭載カードの価格は7万円前後になるようだ。6800Ultra搭載製品が現在6万円前後で販売されていることを考えれば,それほど割高な印象はない。全体として,劇的なパフォーマンス向上は期待できないが,GeForce 6のマイナーチェンジモデルとして,確実に高速化したことを考えれば,コストパフォーマンス的に十分に納得のいくグラフィックスチップではないだろうか。(宮崎真一)
- 関連タイトル:
GeForce 7800
- この記事のURL:
Copyright (c) 2006 NVIDIA Corporation