インタビュー
経済危機な今こそオンラインゲーム産業はチャンス? ソウル中央大学ウィ教授インタビュー
世の中的には,経済危機だなんだと騒がれている昨今。そんななかで,不況に強いと言われるゲーム産業,またそれに連なるであろうオンラインゲーム産業の状況はどうなっているのだろうか。あるいは,今後どうなっていくのだろうか?
4Gamerでは,そんなオンラインゲーム産業の研究を行っている経営学者 魏 晶玄(ウィ・ジョンヒョン)氏にインタビューを行った。反響を呼んだ前回のインタビューからはや半年。最近は,主に中国のオンラインゲーム市場の調査を行っていたというウィ氏。今回は,ほとんど日本には伝わっていない中国ゲーム市場の最新動向を中心に据えながら,オンラインゲームビジネス,ひいてはゲームビジネスのあり方についてなど,いろいろな話を聞いてみた。
実力と自信を着実に付けつつある中国のオンラインゲーム会社
4Gamer:
お久しぶりです。
最近は,中国のオンラインゲーム市場について調査されているそうですね。中国市場の状況に何か変化はありましたか?
今回は,主に中国市場で展開している中国および韓国のオンランゲーム会社(の経営陣)にヒアリングを行って,中国市場における競争力の差に関する認識について調査を行いました。中国のゲーム会社と韓国のゲーム会社,それぞれがどこに優位性を感じていて,逆にどの分野に敗北意識を持っているのか。2年前に行った同様の調査と合わせ,経営陣の意識の変化について調べました。
4Gamer:
2年前……というと,まだ中国市場が立ち上がりでバブリーだった頃ですよね。
ウィ氏:
オンラインゲーム市場に限って言えば,中国市場はまだまだ元気があると思います。
今年,私が中国市場を調査して強く変化を感じたのは,中国のオンラインゲーム会社の「開発」に対する意識が大きく変化しているということです。
中国のオンラインゲーム会社といえば,ナスダック上場を果たしている盛大(シャンダ)や網易(ネットイーズ)などといった企業があるわけですが,これらの会社は,基本的に外部(海外)からコンテンツ(オンラインゲーム)を買ってきて,それを中国でサービスする……いわゆる“運営元”というスタイルの会社ですよね。
4Gamer:
そうですね。
ウィ氏:
今回の調査でハッキリと感じたのは,そういった中国企業のスタンスが,ここ数年で「運営」から「開発」という方向へ大きくシフトしていることなんですよ。
4Gamer:
なぜそのような変化があったのでしょう?
一つには,やはり「Perfect World -完美世界-」の開発元である北京完美時空網絡技術(以下,完美時空)が,2007年に米ナスダックで上場を果たし,大きな成功を収めたということがあるでしょう。2007年における投資市場の中国のオンラインゲーム会社への期待感はかなりもので,完美時空は,この上場で約400億円ほどの資金を手にしました。
4Gamer:
400億ですか。
ウィ氏:
当時の完美時空の年間の売上高がいくらかご存じですか? 年商でせいぜい10億円程度なんです。たかだか10億円の売上しかない,しかも一介のゲーム開発会社に対して,400億円以上の値段が付く……これは一種のバブルですよ。
4Gamer:
「完美世界」といえば,日本を含めて海外展開が成功したタイトルとしても有名だと思いますけど,その400億円の期待感というのは,あくまでも中国の内需拡大(オンラインゲーム市場のさらなる拡大)を当て込んだものなのでしょうか?
ウィ氏:
そうですね。基本的には,中国市場の拡大に対する期待感です。ただ,ここでポイントとなるのは,近年の中国のオンラインゲーム市場における競争において,「自社開発」の重要度が非常に増しているということです。
中国のユーザーに合うゲーム開発が求められてきた……というのもありますが,「World of Warcraft」(以下,WoW)を中国でサービスしているThe9と開発元のBlizzard Entertainmentの問題(契約の更新について揉めていた)などにも見られるように,海外からのコンテンツ買い付けが大きなリスクを孕んでいるという認知が広まった側面も見逃せないでしょう。なぜなら,自分達でコンテンツを「持っていない」限り,主導権は常に海外のゲーム会社に握られており,決してその収益基盤が盤石なものだとは言えないからです。
4Gamer:
中国企業の開発方面へのシフトは,古くは盛大のActozsoft(韓国のオンラインゲーム会社)買収などにも見られていたと思いますけど,そういった動きがここ1〜2年で急激に強まってきた……ということなのですか?
ウィ氏:
ええ,完美時空の成功もあって,多くの会社が上場を目指して積極的な活動をするようになっていると感じます。そして,ここでさっきの私が行った調査に話が戻るのですが,そうした開発重視の流れが顕著になっているなかで,中国市場における韓国のオンラインゲーム会社は,その存在感を失いつつあるのが明らかになりました。
4Gamer:
具体的にはどのような調査結果になったのですか?
端的に言えば,韓国企業と中国企業の間の競争力に対する“意識差”が大きく広がっている……という感じです。というのも,2年前の調査では,韓国企業と中国企業の双方の意識というのは,ほとんど差がありませんでした。ゲームの企画力,開発力,そしてサーバープログラム技術などなど,オンラインゲーム産業での競争力は,総じて韓国企業が数年先を進んでいる……というような意識ですね。そして実際,それは正しくもありました。
4Gamer:
まぁだからこそ,高いライセンス料を払ってでも韓国企業のオンラインゲーム(あるいは欧米のオンラインゲーム)を購入していたわけですしね。
ウィ氏:
しかし今回の調査では,そういった中国企業側の意識が一変していたんです。「もう韓国企業に負けていないぞ!」という意識が,中国企業の中で強くなっている。
4Gamer:
なるほど。
しかしそうなると,輸出産業化してる韓国のオンラインゲーム業界は結構厳しいのでは?
ウィ氏:
正直な話,韓国のオンラインゲーム会社にとっては非常に厳しい結果だと思います。
まぁとはいえ,実際のところ中国企業のオンラインゲームのクオリティはどうか?といえば,まだまだ韓国企業に劣っているのは間違いないと思います。しかし,経営陣の意識が乖離してきたことが,例えば今後のライセンスの交渉などの場面に,大きく響いてくるのも確かでしょう。
オンラインゲーム産業における「覇権」の必須条件
4Gamer:
しかし,中国市場といえば,以前は韓国のゲーム会社の独壇場でしたよね。市場の黎明期に圧倒的な立ち位置を築きながら,たった数年でこうもシェアを落としてしまった理由はなんなのでしょうか。
ウィ氏:
一つには,シェアを押さえている間に「打つべき手」を韓国の企業が打ててなかった,というのがあると思います。当時の中国市場に対する韓国企業のビジネスのやり方というのは,かなり投げやりだったというか,イニシャルライセンスを取れるだけ取ってオシマイ!というようなやり方が主流でした。中国市場に“根を張る”ようなアクションを,ほとんどしてこなかった(できなかった)んです。
4Gamer:
根を張る……というのは,具体的にはどういったことですか?
ウィ氏:
ユーザーを抱える,ユーザーをプールさせ続ける仕組みを作るということです。
4Gamer:
それは言ってしまえば,ハンゲームなどいわゆるゲームポータルのような仕組み……という捉え方でもよいですか?
中国市場に関して言えば,ゲームポータルに限らず,もっと総合的な……“オンラインゲームでビジネスをするためのインフラ”とでも言えばいいでしょうか。それは,ネットカフェへの展開力であったり,それを含めたマーケティング力であったりなど,多岐に渡るものです。
これまでの歴史を分析する限りでは……という話になりますが,オンラインゲーム産業において,主導権を握る方法は,大きく二つに大別されます。一つは,圧倒的に高品質な“コンテンツ”を獲得するという方法であり,もう一つは,何らかの方法でユーザーを押さえるという方向です。
前者は,昔の韓国市場でいえば「リネージュ」であり,最近で例えるならWoWがそれに当たります。後者は,ハンゲームやネットマーブルなどといったゲームポータル,あるいはネットカフェなど,ユーザーとの直接的な接点になるようなポイントを牛耳ることです。
4Gamer:
なるほど。
ただ個人的には,オンラインゲーム市場というものを“長い目”で見た場合に,圧倒的なコンテンツが本当に競争力(市場のシェア争い)の中核になり得るのだろうか? という疑問もあります。
というのも,例えば韓国のオンラインゲーム市場の流れを思い返してみると,リネージュや「StarCraft」といった超人気コンテンツを起爆財として市場が立ち上がった頃は,それらの人気コンテンツを抱えるNCsoftやHanbit Softなどといった企業が業界の主導権を握っていたと思います。
しかし,オンラインゲーム市場の裾野が広がっていく過程で,重厚長大なゲームからカジュアルゲームへという流れを経て,オンラインゲーム市場の主導権も,リネージュを擁するNCsoftから,カジュアルゲーム主体のNHN(ハンゲームの運営元)やNEXONへと移っていきました。これについてはどう思われますか?
ウィ氏:
以前にもお話ししましたが,それは,日本でも同じような流れになっていますよね。「ラグナロクオンライン」「ウルティマ オンライン」「ファイナルファンタジーXI」といった人気MMORPGで市場が立ち上がりながらも,今日,結果として日本のPCオンラインゲーム市場の(大枠の)主導権を握っていると言えるのは,“大作”を持たないハンゲームなどではないでしょうか?
4Gamer:
そうですね。
ウィ氏:
強力なコンテンツというのは,市場を切り開く,あるいは他社からシェアを奪い取る時には必要なものなのですが,そのユーザーを“維持して次に繋げる”のは,そういった人気コンテンツの開発/運営などとはまったく違うノウハウが求められるのだと思います。
実際,韓国のNCsoft(リネージュの開発/運営元),中国の盛大(ミルの伝説2の運営元 ),そして日本におけるガンホー・オンライン・エンターテイメント(ラグナロクオンラインの運営元)などは,それぞれ非常に(会社としての)傾向が似ていると思いますし,各社共に似たようなところで苦労されているように見えます。
私が先ほどいった“根を張る”アクションというのは,強力なコンテンツによって集客している間に,なんとかして「ユーザーをプールさせる仕組み」を作り上げなければならなかった……という話なんですよ。
4Gamer:
まぁ家庭用ゲーム機市場における,プラットフォーマーとサードパーティの立ち位置の違い,方向性の違いみたいなものなのでしょうか。ともあれ,そのあたりは各社が何もやってなかったというわけでもなかったとは思いますが……。
ウィ氏:
そうですね。しかし,結果としては失敗してしまいました。客観的に見れば,企業の拠り所となる価値,核となる競争力の違いが,こういった結果を生んだのだと思います。
直接名前は申し上げられませんけど,以前,とある会社のMMORPGの開発者たちは,韓国の有名なカジュアルダンスゲーム「Audition」を指して,「俺たちならこんなのは3日で作れる!」と豪語していました。確かにゲームの設計,グラフィックスなどだけを見れば,カジュアルゲームは簡単に作れるものだったのでしょうし,実際,幾つかのゲームも世に出ました。しかし,彼らはそれらを作ることはできても,成功させることはできなかったのです。
4Gamer:
そうかもしれません。
ウィ氏:
中国市場に話を戻すと,韓国のコンテンツを使って“ビジネスの地盤”を固めたのは,韓国の企業ではなく中国の企業だったわけです。どんな強力なコンテンツでもいつかは飽きられてしまいますし,新奇性も失っていきます。そうなったとき,「次のゲーム」をどれにするかという主導権がどちらにあるのか? 中国のオンラインゲーム市場で,着々と中国国産のゲームが主流になっているという現状を見る限り,これは明らかではないでしょうか。
パッケージゲームとオンラインゲーム,それぞれのビジネスモデル
話が少し飛んでしまうのかもしれないのですが,オンラインゲーム産業における“覇権”とは,結局なにがポイントとなるでしょうか。家庭用ゲーム機/携帯ゲーム機であれば,いわゆる普及台数などが“覇権”の指標になっていますが。
ウィ氏:
何をどうすれば覇権を握れるのか? というのは,産業を研究するうえでは大きなテーマだと思います。しかし,オンラインゲーム産業自体がまだ若い産業ですし,最終的な答えはまだ誰にも分からないというのが正直なところだと思います。それに,それが分かっていれば私は大金持ちになれますよ(笑)。
ただ,例えばマイクロソフトなどは,自社のXbox LIVEサービスに乗せるコンテンツや課金サーバーなどを,シアトルにあるデータセンターで一括管理する体制を取っていますよね。ゲームメーカー側は,マイクロソフト側へゲームを「納品」するという形になっていて,ビジネスの主導権はマクロソフト側にあるわけです。言ってしまえば,既存のゲームビジネスの方式をそっくりオンラインへと移植させようとしているとも言えます。
マイクロソフトは,自社の持つ展開力や資金力を活かして,インフラ……あるいは多岐に渡る方面(DirectXなども含む環境面など)からゲーム市場を押さえようとしている。
4Gamer:
思うのですが,ダウンロード販売が今後伸びると言われている昨今――というか,昔から言われてはいたが――ですけど,コンシューマ業界のビジネスモデルは,あくまでも「ハードウェア」を軸にした成功モデルを踏襲してますよね。ハードウェアを,いわゆる「顧客との接点」として捉えていて,そこを押さえることで,顧客への仲介料を接収するスタイルというか。ゲーム機そのものではないですが,iPodやiPhoneなども基本的な考え方は同じです。
ハードウェアに依存するというビジネスモデルが悪いとは思いませんが,ハンゲームやセカンドライフ,あるいはGoogleやMySpaceなど,いわゆる“ネット系企業”の覇権奪取のアプローチから考えてみると,やっぱり毛並みが大きく異なるのかなぁという印象があります。この点についてはどう思われますか?
ウィ氏:
既存のパッケージゲーム産業のビジネスモデルというのは,仰るように任天堂やソニーなどのプラットフォーマーがハードを普及させて市場そのものを作り上げ,そこでのビジネスに対してライセンス料を取るというモデルですよね。私としては,使い方や遊び方を含めて商品/価値を提示するという意味において,ハードウェアを軸にプラットフォームを築くこと自体は,それほど間違っているとは思いません。
ただ,アプローチがPCオンラインゲーム産業などとは大きく異なっているのは確かで,オンラインの要素が強まっていく過程で,そこがどのように変遷していくのかは,興味深いポイントだと思います。
4Gamer:
まぁとはいえ,家庭用ゲーム機でも,いわゆる「ネット接続率」や「稼働率」の話はよくされますよね。市場の覇権=ユーザーをプールさせる仕組みを持つという意味では,もうとっくに「普及台数」だけの勝負から,アクティブ率や市場(ユーザー)の活気度を競い合う,次のステージに進んでいるとも言えますね。
ウィ氏:
そうですね。そう思います。
Xbox 360の「NEW XBOX EXPERIENCE」や,PLAYSTATION 3の「PlayStation Home」などの動向にも注目したいですね。
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不況な時こそオンラインゲームのビジネスチャンス?
4Gamer:
話は変わりますが,昨今,世界的な金融危機が大きな問題となっていますよね。とくに韓国などは,かなり深刻な状況だと思います。この危機が(主に韓国の)オンラインゲーム産業に与える影響をどう見ますか?
ウィ氏:
すでに株価などの面で,韓国のオンラインゲーム企業は大きなダメージを受けています。大きな影響を受けていると思いますよ。
4Gamer:
一般的に,ゲーム産業は不況に強い,という話をよく聞きます。旅行や映画に行くのは控えても,コストパフォーマンスの良い娯楽であるゲームは,あまり不況の影響を受けないという説ですが。オンラインゲームはどうでしょうか?
既存のゲーム産業と同様に……いや,あるいはそれ以上に,オンラインゲームは不況に強い産業ではないかと思います。先ほどゲーム会社の株価が下がっているとお話ししましたが,私としては,むしろ今がオンラインゲーム会社が株価を上げるチャンスかもしれない,と考えているくらいですし(笑)。
株価が軒並み下がっているということは,投資する先が無くて,資金がどこかで行き場を失っているということでもありますからね。そんななかで,不況に強い企業(産業)があるということになれば,その株を買っておこうと思う人もいるはずですから。
4Gamer:
なるほど。そういえば,景気とオンラインゲーム産業の相関性を調べた研究やデータってあるのでしょうか?
ウィ氏:
オンラインゲーム自体が近年急激に勃興してきた産業ですから,そうした長期的/マクロ的な視点での研究データは,正直なところまだ存在しません。ただ,
・初期投資が要らない
>PCがあれば遊べる。高いゲーム機を買う必要がない
>基本無料のタイトルなど
・コミュニティ性/社会性があって止めにくい
・いうなれば中毒性が高い
などというように,最近のオンラインゲームというのは,非常に手軽かつ低コストで,なおかつ熱中できる娯楽ですから,消費者の行動原理から考えて,私の主張がそう間違っているとは思いません。
それに不況になれば失業者が増えるわけですけど,そうした人達が余暇を何で過ごすか? まぁ失業中にあんまりゲームばかり遊んじゃうのもどうかとは思いますけど(苦笑),オンラインゲームが有力な選択肢になるのは間違いないと思うんですよね。人間,どんな状況であれ,やっぱり娯楽は必要ですから。手の届く範囲で遊び方を探すものだと思います。
4Gamer:
そういえば,以前どこかの調査で,「EverQuest」(≒MMOという意味で)のプレイヤーは主に低所得者層だ,みたいな話があったと思うのですが,オンラインゲームは,やっぱり「安い娯楽」という捉え方でいいんですかね。
ウィ氏:
まぁハイスペックなPCを買って,高速回線を自宅に引いて……みたいなコアユーザーもいますけれど,大枠でみれば,「安い娯楽」に分類されるでしょう。中国の内陸部などにオンラインゲームが急激に普及していったのも,やはり「安い娯楽」であるがゆえですし。
不況になると,リストラだとか経費削減だとか,企業側はいわゆる防御的なアクションが多くなりがちです。しかしオンラインゲーム産業に関していえば,もっと攻撃的なアクションを行っていってもいいと思いますし,そうするべきではないかと思います。
無料で遊べます! タダです! っていうのをアピールしていけば,オンラインゲームを遊んでみようかな? という人はもっと増えるんじゃないですかね? ……まぁ,タダより高い物は無いとはいいますけど(笑)。
4Gamer:
まぁ,タダで済ませないためにゲーム会社もいろいろ頑張りますからね(苦笑)。
いずれにせよ,株価下落など含めて,経営レイヤーで言えば決して嬉しくはないけれど,新規ユーザーの獲得などのサービス面でいえば,今の不況も,むしろビジネスチャンスだということですかね。
ウィ氏:
私はそう考えています。
4Gamer:
分かりました。
ひとまず,こんなところがまとめになりますかね?
ウィ氏:
そうですね。今回に関してはこんなところでしょうか。
あ,そういえば,実は今,仮想世界サービス(※)についてある実験を行っているのですけど,今度会う時は,それについて話し合いましょうか(笑)。
4Gamer:
じゃあ,次回のインタビューはそのテーマで(笑)。
ともあれ,本日はありがとうございました。
※一応補足しておくが,氏の言う仮想世界とは,とくにセカンドライフ的なものに限っておらず,オンラインゲームも含めた「ネット上に実質的な社会が作られているもの」全般を指している
さて,今回も取り留めのないゲーム業界談義になってしまったウィ氏へのインタビュー。中国市場の動向,それに関連したオンラインゲームビジネスのあり方,そしてゲームビジネス全般の話題などなど,多岐に渡る話が聞けたのではないかと思うが,如何だっただろうか。
これは筆者の個人的な感覚ではあるのだが,オンラインゲームというと,昔はPCオンラインゲーム,もっと言えば,MMORPGがほぼイコールで語られていた時期もあったわけだが,カジュアルオンラインゲームの普及や,家庭用ゲーム機における標準機能化などと共に,最近は,むしろその定義がかなり曖昧になっているような感がある。
FPSであれば大抵はオンラインプレイモードが実装されているし,携帯ゲーム機でも,通信プレイができるタイトルは少なくない。要するに,もうかなりのジャンルのゲームが当たり前のように「オンライン化」しているというのが現状だろう。
ビジネス,サービスの両面から,オンラインの要素をよりよい形で取り込んでいくことは,今後のゲーム産業にとっての大きな課題である。この点に関して,異論を挟む余地はもはやない。
ただその一方で,日本/北米/欧州で展開される既存のコンシューマゲーム市場と,アジアを中心に拡大するオンラインゲーム市場は,それぞれが違う進化軸で「オンライン」というものに取り組んでいる節(※)もあり,同じ“ゲーム業界”でありながら,それぞれの市場が今後どうなっていくのか? なかなかに興味が尽きないところだろう。
オンラインゲーム市場の黎明期から考えると,もはや「新奇的な要素」とは言えないオンライン機能。しかし,こなれてきた今だからこそ,次のステップの行方が気になる次第。今後も注意深く動向を追いたい。
※もちろん,課金モデルなど,共通/応用できる要素も多い
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